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第11幕 王子の憂鬱と無鉄砲な俺
06
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「まぁ、その……あえて言うことでもないけどよ」
「それは話しにくいこと? 知っておいたほうがいいなら話てよ。無理して言わなくてもいいけどね」
「うんうん。由良りんが言いたくないなら、無理には聞かないよ?」
俺と悠斗が気にしないでいると、由良りんは首を左右に振った。
「いや……今日ゲーセンで、昔の知り合いに声掛けられただろ? なにかあってからじゃ遅いし、聞いて欲しい」
今日ゲーセンで会った昔の知り合い。向こうは親しげで、由良りんと関わりを持ちたい様子だった。なにかあるのだろうとは思っていたが、聞くことはしなかった。
そのときの状況を、居なかった悠斗に簡単に説明すると、由良りんは昔話を交ぜながら話をしてくれた。
「俺、中学のとき結構荒れてて、今日会ったヤツらと結構悪さしてた。高校入ってから馬鹿なことしてらんねぇって、そいつらからの連絡もシカトしてた。時間が経てば、俺に執着しないと踏んでたけど、今日会ってそうでもねぇかもって思ってさ。俺はいいんだ……ただ、ヤナが巻き込まれたら……悪いユウ、もしそうなったら……」
由良りんは歯切れ悪く、なぜか俺ではなく悠斗に謝罪した。
「いまさらでしょ。どうして毎回トラブルを持ち込むんだろ」
悠斗は俺に視線を向け、憎らしそうな顔をしてくる。
「……なっ、俺が悪いのか⁉」
「違うよ。瀬菜のトラブル体質にムカついているだけ」
「それ俺の一部じゃん‼ でもさ、由良りんが関わらなければいいだけで、なんで俺が巻き込まれる前提なんだよ」
「もちろん確証はねぇよ。けど、あいつらが俺に執着するのは、ほかに理由があってよ。実は……俺の家、カタギじゃないんだ」
由良りんがそう言うと、悠斗は納得した様子で一つ頷く。
「あいつら勘違いしてんだ。思春期特有の憧れみたいなもんだ。けど、俺は家継ぐつもりねぇし、今じゃうちの組もインテリ路線だし、違法なことはしてないっぽいけどな」
「それなら、なおさらカナちゃんの友人に手を出そうなんて考えないんじゃない?」
「賢ければな……。いくらインテリとは言え、昔のながらの黒い部分が全くない訳じゃねぇし。まぁ、俺の思い過ごしで済めばいいけどよ。悪いが気に留めておいてくれ」
二人の話が難しい……。
俺またもや乗り遅れてる……。
そもそも、カタギじゃないってなに?
インテリ路線って? 設計士とか?
「瀬菜? えっと……理解できてないね? 取り敢えず変な人には近寄らないようにね?」
「り、理解? し、してるよ! 俺だって誰彼構わずついてかないってば!」
「やっぱ、ユウにも話ておいて良かったわ……。ヤナ今日会ったやつらの顔覚えているか?」
「……ん? うん……なんとなく? てか向こうが俺のことなんて覚えていないよ!」
「あー、ユウのメガネが役に立ったかもな。全然似合ってなかったけど」
「えっ‼ 変だった⁉ それなら言ってよ‼」
「ふふっ、いい虫除けだったでしょ?」
悠斗のメガネが役立つとは思わなかった。鈍くさそうで、由良りんの金ヅルだと思われていた。おそらく毛色が違い過ぎて、友達には見えなかったはずだ。
それに、名前すら伝えていない。だから、俺としては由良りんになにかトラブルが起きるのではと、心配になっていた。
「全然話変わるけどよ……知っているか?」
真面目モードから一変、由良りんはまた違う話を提供してくれる。由良りんの手元を興味深々に見ると、う◯い棒を机に置き、スマホをその上に水平に乗せていた。
パンッ‼ ……と、破裂した音とザクッと乾いた音が鳴り、驚くことに無惨にも、う○い棒はスマホに押し潰されていた。
「ちょ、ちょっと! それじゃ粉々になっちゃうよ!」
「カナちゃん。食べものは粗末にしたらダメだよ」
「違うんだよ……こうやって、やると……な。ほら」
ギザギザのところから封を開けると、綺麗に縦に四当分されていた。
「おお‼ 超パッカリ割れてる‼」
「本当だ。逆にボロボロ落とさずに食べられるね」
「だろ? スティック状になるから、食べ易いぞ?」
大きなう◯い棒ではなかったが、由良りんの面白い豆知識に感動しつつ、押し潰すのが爽快になり、三人でプチう◯い棒パーティーを繰り広げたのだった。
「それは話しにくいこと? 知っておいたほうがいいなら話てよ。無理して言わなくてもいいけどね」
「うんうん。由良りんが言いたくないなら、無理には聞かないよ?」
俺と悠斗が気にしないでいると、由良りんは首を左右に振った。
「いや……今日ゲーセンで、昔の知り合いに声掛けられただろ? なにかあってからじゃ遅いし、聞いて欲しい」
今日ゲーセンで会った昔の知り合い。向こうは親しげで、由良りんと関わりを持ちたい様子だった。なにかあるのだろうとは思っていたが、聞くことはしなかった。
そのときの状況を、居なかった悠斗に簡単に説明すると、由良りんは昔話を交ぜながら話をしてくれた。
「俺、中学のとき結構荒れてて、今日会ったヤツらと結構悪さしてた。高校入ってから馬鹿なことしてらんねぇって、そいつらからの連絡もシカトしてた。時間が経てば、俺に執着しないと踏んでたけど、今日会ってそうでもねぇかもって思ってさ。俺はいいんだ……ただ、ヤナが巻き込まれたら……悪いユウ、もしそうなったら……」
由良りんは歯切れ悪く、なぜか俺ではなく悠斗に謝罪した。
「いまさらでしょ。どうして毎回トラブルを持ち込むんだろ」
悠斗は俺に視線を向け、憎らしそうな顔をしてくる。
「……なっ、俺が悪いのか⁉」
「違うよ。瀬菜のトラブル体質にムカついているだけ」
「それ俺の一部じゃん‼ でもさ、由良りんが関わらなければいいだけで、なんで俺が巻き込まれる前提なんだよ」
「もちろん確証はねぇよ。けど、あいつらが俺に執着するのは、ほかに理由があってよ。実は……俺の家、カタギじゃないんだ」
由良りんがそう言うと、悠斗は納得した様子で一つ頷く。
「あいつら勘違いしてんだ。思春期特有の憧れみたいなもんだ。けど、俺は家継ぐつもりねぇし、今じゃうちの組もインテリ路線だし、違法なことはしてないっぽいけどな」
「それなら、なおさらカナちゃんの友人に手を出そうなんて考えないんじゃない?」
「賢ければな……。いくらインテリとは言え、昔のながらの黒い部分が全くない訳じゃねぇし。まぁ、俺の思い過ごしで済めばいいけどよ。悪いが気に留めておいてくれ」
二人の話が難しい……。
俺またもや乗り遅れてる……。
そもそも、カタギじゃないってなに?
インテリ路線って? 設計士とか?
「瀬菜? えっと……理解できてないね? 取り敢えず変な人には近寄らないようにね?」
「り、理解? し、してるよ! 俺だって誰彼構わずついてかないってば!」
「やっぱ、ユウにも話ておいて良かったわ……。ヤナ今日会ったやつらの顔覚えているか?」
「……ん? うん……なんとなく? てか向こうが俺のことなんて覚えていないよ!」
「あー、ユウのメガネが役に立ったかもな。全然似合ってなかったけど」
「えっ‼ 変だった⁉ それなら言ってよ‼」
「ふふっ、いい虫除けだったでしょ?」
悠斗のメガネが役立つとは思わなかった。鈍くさそうで、由良りんの金ヅルだと思われていた。おそらく毛色が違い過ぎて、友達には見えなかったはずだ。
それに、名前すら伝えていない。だから、俺としては由良りんになにかトラブルが起きるのではと、心配になっていた。
「全然話変わるけどよ……知っているか?」
真面目モードから一変、由良りんはまた違う話を提供してくれる。由良りんの手元を興味深々に見ると、う◯い棒を机に置き、スマホをその上に水平に乗せていた。
パンッ‼ ……と、破裂した音とザクッと乾いた音が鳴り、驚くことに無惨にも、う○い棒はスマホに押し潰されていた。
「ちょ、ちょっと! それじゃ粉々になっちゃうよ!」
「カナちゃん。食べものは粗末にしたらダメだよ」
「違うんだよ……こうやって、やると……な。ほら」
ギザギザのところから封を開けると、綺麗に縦に四当分されていた。
「おお‼ 超パッカリ割れてる‼」
「本当だ。逆にボロボロ落とさずに食べられるね」
「だろ? スティック状になるから、食べ易いぞ?」
大きなう◯い棒ではなかったが、由良りんの面白い豆知識に感動しつつ、押し潰すのが爽快になり、三人でプチう◯い棒パーティーを繰り広げたのだった。
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