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第10幕 新学年と不良くん 〜高校二年生編〜
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やっぱり佐上先生はセクハラ教師だ。これだから、来たくなかったというのに、楽しそうに下ネタを言いまくっている。これ以上ここに居たら本当になにかされそうで、背中に汗が吹きでる。
「ほれ、終わったぞ」
テーピングを巻き終え立ち上がった佐上先生は、来週もう一度来いと言う。
「来週ってのは理解できるか? 忘れるなよ、ビッチちゃん」
「だからビッチじゃないって! 柳瀬菜って言っているだろ!」
「いいじゃん、ビッチで……」
先生と一緒になって楽しんでいる由良君に頰を膨らませると、「冗談だよ」と笑われてしまう。
保健室をあとにし、そのまま由良君と学校近くのコンビニで約束の肉まんを購入して、俺は自分へのご褒美にアイスを購入した。
コンビニ近くの公園に行き、ベンチに腰掛け袋から肉まんを取り出し手渡した。
「ほい。賄賂じゃよ?」
「サンキュー」
「あの先生本当にセクハラ! この前もそうだったし。良く訴えられないよな」
「面白い先生じゃん。構えなくていいし。それより、球技大会のとき、立花とエロいことしていたほうが気になる」
さらりとぶり返され、飲みかけの水を吹き出しそうになる。
「し、してないし!」
「うわ……マジカよ」
白い目で見られ、うっと息を詰める。
「顔真っ赤だぜ」
「だっ、だから……違うってば……」
本当はキスをしていたが、試合を真面目に続けてくれていた由良君に真実を伝えるのが憚られる。
あのときは流れで……。
それ以上はしてないし……。
無言になる俺の様子を探るように、肉まんを食べている由良君。
アイスにしておいて良かった……。
冷たい固まりは、火照った身体を冷やしてくれる。
「てか、由良君……しつこい」
「ははっ、からかって遊んでんだよ。てかよ……そろそろ『君』呼びやめろよ」
「えっ? なんで?」
「なんでって……そう呼ばれる柄じゃねぇし。なんつーか、友達らしくねぇじゃん」
パッと由良君に視線を向ける。それからすぐに嬉しい気持ちが胸に広がる。
「……えへへっ、そっか、そうだよね! じゃぁ……由良りん!」
「……りんって……」
「イヤ? それじゃ哉太だから……カナちゃんでもいいよ!」
「いや、由良りんでいい。俺は……ヤナって呼ぶかな」
「ははは……それ、ヤナギって呼ぶのが面倒みたいじゃん!」
「そんなことねぇよ。いい響きじゃん」
そう呼ばれると、ちょっと照れくさい。初めてあだ名で呼ぶときは、どんな相手でもなぜだか気持ちがフワフワとして、高揚感が湧いてしまうものだ。
「ほれ、終わったぞ」
テーピングを巻き終え立ち上がった佐上先生は、来週もう一度来いと言う。
「来週ってのは理解できるか? 忘れるなよ、ビッチちゃん」
「だからビッチじゃないって! 柳瀬菜って言っているだろ!」
「いいじゃん、ビッチで……」
先生と一緒になって楽しんでいる由良君に頰を膨らませると、「冗談だよ」と笑われてしまう。
保健室をあとにし、そのまま由良君と学校近くのコンビニで約束の肉まんを購入して、俺は自分へのご褒美にアイスを購入した。
コンビニ近くの公園に行き、ベンチに腰掛け袋から肉まんを取り出し手渡した。
「ほい。賄賂じゃよ?」
「サンキュー」
「あの先生本当にセクハラ! この前もそうだったし。良く訴えられないよな」
「面白い先生じゃん。構えなくていいし。それより、球技大会のとき、立花とエロいことしていたほうが気になる」
さらりとぶり返され、飲みかけの水を吹き出しそうになる。
「し、してないし!」
「うわ……マジカよ」
白い目で見られ、うっと息を詰める。
「顔真っ赤だぜ」
「だっ、だから……違うってば……」
本当はキスをしていたが、試合を真面目に続けてくれていた由良君に真実を伝えるのが憚られる。
あのときは流れで……。
それ以上はしてないし……。
無言になる俺の様子を探るように、肉まんを食べている由良君。
アイスにしておいて良かった……。
冷たい固まりは、火照った身体を冷やしてくれる。
「てか、由良君……しつこい」
「ははっ、からかって遊んでんだよ。てかよ……そろそろ『君』呼びやめろよ」
「えっ? なんで?」
「なんでって……そう呼ばれる柄じゃねぇし。なんつーか、友達らしくねぇじゃん」
パッと由良君に視線を向ける。それからすぐに嬉しい気持ちが胸に広がる。
「……えへへっ、そっか、そうだよね! じゃぁ……由良りん!」
「……りんって……」
「イヤ? それじゃ哉太だから……カナちゃんでもいいよ!」
「いや、由良りんでいい。俺は……ヤナって呼ぶかな」
「ははは……それ、ヤナギって呼ぶのが面倒みたいじゃん!」
「そんなことねぇよ。いい響きじゃん」
そう呼ばれると、ちょっと照れくさい。初めてあだ名で呼ぶときは、どんな相手でもなぜだか気持ちがフワフワとして、高揚感が湧いてしまうものだ。
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