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第10幕 新学年と不良くん 〜高校二年生編〜
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食事をする前まで険悪な感じだったが、スッカリ意気投合したようで、ジェラシーを感じつつも俺的には嬉しかった。
「良くわかんないけどさ、なんか二人共、仲良くなったみたいで俺嬉しい♪」
「……そう、良かったね」
「破壊的だな……。今まで平気だったのかよ。お前結構苦労しているんだな」
「まぁ、それなりにね。それに、そういうのも含めて……だから。たまに腹が立つけど」
「へー……俺も、もう少し出会ったのが早かったらな」
「ねぇ、さっきからなんの話しているんだ?」
クスクス笑いだす二人に、ムスッとすると普通に世間話だと言われてしまう。
由良君は彼女と別れたと言っていたので、俺の周りはみんな縁がないなと思いながら、男子校みたいだと可笑しくなってしまう。
「今度さ、合コンでも開く?」
「「開かない!」」
励ますつもりで言ったのに、鬼のような勢いで否定されてしまう。
「邪魔したいところだけど、俺そろそろ本気で帰るわ」
「もう帰るのか? そうだ! 今日試合頑張ってくれてありがとう! 由良君のおかげだよ」
由良君に感謝の気持ちを伝えると、スッと目前に手が伸びてくるが、躊躇った様子で止まり引いていった。
「おや……諦めが早いね? 助かるよ」
「バーカ諦めるかよ。俺結構しつこい性格でよ。試合、柳も頑張っただろ? 俺さ、高校生活すげぇつまんねぇと思ってたけど、今は楽しいよ。これからも、よろしくな。お二人さん」
「うん! こちらこそだよ! なっ! 悠斗!」
「はいはい」
「なんだよお前、適当だな……」
見送りはいいからとは言われたものの、初めて来たお客さんに対して、そういう訳にもいかず、玄関まで見送りする。
「由良君、またゆっくり遊びに来てね!」
「ああ、サンキュー。立花も飯美味かった。無理させんじゃねぇぞ」
「君の神経どうなってるの? 今度じっくり聞かせてよ。また学校でね」
由良君が帰ると、悠斗は俺をジッと見つめてなにか言いたげだ。
「なに?」
「別に……」
「ちょ、わぁっ‼」
玄関先でフワリと姫抱っこされると、悠斗はスタスタとどこかへ向かう。
「シャワー浴びよう」
シャワーを浴びることに異論はないが、悠斗が怒っているような気がする。
モタモタと服を脱ぐ俺とは対照的に、ささっと脱ぎ捨てなにやら考えながら、俺を待っている様子だ。
「ねぇ瀬菜、由良君は今日なんで来たと思う?」
「なんでって、お見舞いだろ?」
「それ以外は?」
「えっと……みんなでご飯食べた?」
「ほかには?」
「ほか? 彼女と別れて落ち込んでた。あっ、俺だから合コン提案したんだぞ? 俺がしたい訳じゃないからな! 励ますためだからな!」
「そう……瀬菜はやっぱり鈍いね?」
そう言う悠斗は、無表情に俺に手を差し伸べてくる。
「うん? ありがとう?」
「ふふっ、どういたしまして……」
コロリと変わる悠斗の表情にホッとしつつ、合コンのことは言うべきではなかったと、自分を殴りたくなる。
そんなことを言われたら、普通恋人としていいように思う訳がないのだ。自分が発した言葉が、表現足らずで不安にさせたとひとり反省していた。
「良くわかんないけどさ、なんか二人共、仲良くなったみたいで俺嬉しい♪」
「……そう、良かったね」
「破壊的だな……。今まで平気だったのかよ。お前結構苦労しているんだな」
「まぁ、それなりにね。それに、そういうのも含めて……だから。たまに腹が立つけど」
「へー……俺も、もう少し出会ったのが早かったらな」
「ねぇ、さっきからなんの話しているんだ?」
クスクス笑いだす二人に、ムスッとすると普通に世間話だと言われてしまう。
由良君は彼女と別れたと言っていたので、俺の周りはみんな縁がないなと思いながら、男子校みたいだと可笑しくなってしまう。
「今度さ、合コンでも開く?」
「「開かない!」」
励ますつもりで言ったのに、鬼のような勢いで否定されてしまう。
「邪魔したいところだけど、俺そろそろ本気で帰るわ」
「もう帰るのか? そうだ! 今日試合頑張ってくれてありがとう! 由良君のおかげだよ」
由良君に感謝の気持ちを伝えると、スッと目前に手が伸びてくるが、躊躇った様子で止まり引いていった。
「おや……諦めが早いね? 助かるよ」
「バーカ諦めるかよ。俺結構しつこい性格でよ。試合、柳も頑張っただろ? 俺さ、高校生活すげぇつまんねぇと思ってたけど、今は楽しいよ。これからも、よろしくな。お二人さん」
「うん! こちらこそだよ! なっ! 悠斗!」
「はいはい」
「なんだよお前、適当だな……」
見送りはいいからとは言われたものの、初めて来たお客さんに対して、そういう訳にもいかず、玄関まで見送りする。
「由良君、またゆっくり遊びに来てね!」
「ああ、サンキュー。立花も飯美味かった。無理させんじゃねぇぞ」
「君の神経どうなってるの? 今度じっくり聞かせてよ。また学校でね」
由良君が帰ると、悠斗は俺をジッと見つめてなにか言いたげだ。
「なに?」
「別に……」
「ちょ、わぁっ‼」
玄関先でフワリと姫抱っこされると、悠斗はスタスタとどこかへ向かう。
「シャワー浴びよう」
シャワーを浴びることに異論はないが、悠斗が怒っているような気がする。
モタモタと服を脱ぐ俺とは対照的に、ささっと脱ぎ捨てなにやら考えながら、俺を待っている様子だ。
「ねぇ瀬菜、由良君は今日なんで来たと思う?」
「なんでって、お見舞いだろ?」
「それ以外は?」
「えっと……みんなでご飯食べた?」
「ほかには?」
「ほか? 彼女と別れて落ち込んでた。あっ、俺だから合コン提案したんだぞ? 俺がしたい訳じゃないからな! 励ますためだからな!」
「そう……瀬菜はやっぱり鈍いね?」
そう言う悠斗は、無表情に俺に手を差し伸べてくる。
「うん? ありがとう?」
「ふふっ、どういたしまして……」
コロリと変わる悠斗の表情にホッとしつつ、合コンのことは言うべきではなかったと、自分を殴りたくなる。
そんなことを言われたら、普通恋人としていいように思う訳がないのだ。自分が発した言葉が、表現足らずで不安にさせたとひとり反省していた。
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