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第10幕 新学年と不良くん 〜高校二年生編〜
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オドオドしながら机の名前を見つめていると、不良君はボソリと呟いた。
「由良哉太だ」
まさかの自己紹介に、キョトンとしてしまう。
どうやら名前の読み方が分からないと、勘付いてくれたようだ。
「あっ、うん。由良哉太君……凄くカッコイイ名前だね!」
ニコッとしながら話し掛ければ、目を細めてガン見されました。
ううぅ……威圧感すげぇ……。
前後の温度差、半端ない……。
こういうクラスメイトは初めてだ。
対処方法に戸惑っていると、意外な言葉が返ってくる。
「ああ、サンキュー……」
おや? 結構……素直……?
見た目ほど、怖い訳じゃないかも?
これ以上話題が盛り上がらないと苦笑いすると、俺の様子を傍観していた村上と三浦さんにアイコンタクトをする。親指を突きだす二人は、勇気を出してよく頑張ったと褒めてくれているようだ。
二人と無言の会話をしていると、今度は突然焦った態度をしてくる。指先を立てたり首を振ったりと、よく分からないジェスチャーに首を傾げる。
上? 鬼? もう! なんなんだよ!
ぶはっ! なにその顔! 面白いんだけどっ!
まるで顔芸だ。
「瀬菜、誰がカッコイイの?」
「誰って、由良君! 苗字も名前もカッコイイ……じゃ~んっ──っん‼」
──お前は誰だ……?
なぜここに居る⁉
「な、なっ、なぁーーっ‼」
「ふふっ、どうしたのびっくりしちゃって。さっきぶりだね♡」
そう、そこにいたのは俺もよく知る学園の王子様。
「お前、てかお前も! ここでなにやっているんだ! 早く自分の教室行けよ!」
「なにって、自分の教室だから居るんだよ?」
「なんだ? 俺ら邪魔ってか? ならお前が違うクラスに行け」
「へっ⁉ 二人共……まさか……」
「ふふっ、なにその不満そうな顔は。俺は今日という日を凄く楽しみにしていたのに」
「悠斗と四六時中は流石に瀬菜も、嫌なんじゃね?」
イヤイヤ……村上と一緒はマジで嬉しかったけど、なぜ悠斗と多澤まで一緒なんだ!
明らかにこのクラス分けおかしいよね?
生徒会メンバー四人も集まっちゃってるよね?
陰謀か⁉ 陰謀だよな⁉
悠斗お前だな⁇ なにしたらこうなるんだ‼
学園の王子様の登場に、クラスは騒めいていた。注目をこれ以上集めたくないと、心の中でひとり雄叫びをあげる。そんな俺の横にちゃっかり座る悠斗。悠斗の前に座る多澤。
陰謀だとしても隣に座る悠斗をジトッと睨むと、俺の疑問が理解できたのか、トントンと机の端に貼られた部分を指先でノックしていた。
「ほら、瀬菜。ここ、俺の席でしょ?」
そこに視線を向けると、『立花悠斗』の名前がしっかりと貼られている。
「ホントウダネー。チイサイカラワカンナカッター」
「クスッ……今日から二年間、いっぱい想い出作れるね♡ よろしくね。柳瀬菜君♪」
微笑む悠斗に教室を見渡す。初めてのクラスメイト。それにこのカオスな顔ぶれ。二年間、無事に高校生活を送れるのだろうか……。色々な意味で不安を抱える初日となった。
「由良哉太だ」
まさかの自己紹介に、キョトンとしてしまう。
どうやら名前の読み方が分からないと、勘付いてくれたようだ。
「あっ、うん。由良哉太君……凄くカッコイイ名前だね!」
ニコッとしながら話し掛ければ、目を細めてガン見されました。
ううぅ……威圧感すげぇ……。
前後の温度差、半端ない……。
こういうクラスメイトは初めてだ。
対処方法に戸惑っていると、意外な言葉が返ってくる。
「ああ、サンキュー……」
おや? 結構……素直……?
見た目ほど、怖い訳じゃないかも?
これ以上話題が盛り上がらないと苦笑いすると、俺の様子を傍観していた村上と三浦さんにアイコンタクトをする。親指を突きだす二人は、勇気を出してよく頑張ったと褒めてくれているようだ。
二人と無言の会話をしていると、今度は突然焦った態度をしてくる。指先を立てたり首を振ったりと、よく分からないジェスチャーに首を傾げる。
上? 鬼? もう! なんなんだよ!
ぶはっ! なにその顔! 面白いんだけどっ!
まるで顔芸だ。
「瀬菜、誰がカッコイイの?」
「誰って、由良君! 苗字も名前もカッコイイ……じゃ~んっ──っん‼」
──お前は誰だ……?
なぜここに居る⁉
「な、なっ、なぁーーっ‼」
「ふふっ、どうしたのびっくりしちゃって。さっきぶりだね♡」
そう、そこにいたのは俺もよく知る学園の王子様。
「お前、てかお前も! ここでなにやっているんだ! 早く自分の教室行けよ!」
「なにって、自分の教室だから居るんだよ?」
「なんだ? 俺ら邪魔ってか? ならお前が違うクラスに行け」
「へっ⁉ 二人共……まさか……」
「ふふっ、なにその不満そうな顔は。俺は今日という日を凄く楽しみにしていたのに」
「悠斗と四六時中は流石に瀬菜も、嫌なんじゃね?」
イヤイヤ……村上と一緒はマジで嬉しかったけど、なぜ悠斗と多澤まで一緒なんだ!
明らかにこのクラス分けおかしいよね?
生徒会メンバー四人も集まっちゃってるよね?
陰謀か⁉ 陰謀だよな⁉
悠斗お前だな⁇ なにしたらこうなるんだ‼
学園の王子様の登場に、クラスは騒めいていた。注目をこれ以上集めたくないと、心の中でひとり雄叫びをあげる。そんな俺の横にちゃっかり座る悠斗。悠斗の前に座る多澤。
陰謀だとしても隣に座る悠斗をジトッと睨むと、俺の疑問が理解できたのか、トントンと机の端に貼られた部分を指先でノックしていた。
「ほら、瀬菜。ここ、俺の席でしょ?」
そこに視線を向けると、『立花悠斗』の名前がしっかりと貼られている。
「ホントウダネー。チイサイカラワカンナカッター」
「クスッ……今日から二年間、いっぱい想い出作れるね♡ よろしくね。柳瀬菜君♪」
微笑む悠斗に教室を見渡す。初めてのクラスメイト。それにこのカオスな顔ぶれ。二年間、無事に高校生活を送れるのだろうか……。色々な意味で不安を抱える初日となった。
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