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第7幕 ドキドキ☆クリスマス
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お会計を済ませ品物を受け取ると、我慢した割に結構な量になってしまった。手にしていた荷物を悠斗がさり気なく奪ってしまう。自分も持つと言う前に悠斗が確認してくる。
「トイレは大丈夫?」
「あつ、うん。実は行きたいけど……どうしよう?」
なんだかデジャブ……。
学校じゃないし人も多いし……。
外出先はこれが困る。女装でも男は男だ。女性用トイレに入る訳にはいかない。水族館を出てから人が少なそうなトイレを探すことにした。
「小さいところなら、人あまり来ないし大丈夫かな」
「うん、悠斗が見張ってて」
同じビルの小さめなトイレに向かうと、丁度人が出て来たところだった。中を確認してもらい、超特急で用を済ます。鏡を見るとルージュが取れてしまっていたが、取り敢えず急いで外に出る。俺がトイレから出るとひとりこちらへ向かって来ていた。
「セーフ……俺、いつか痴女に間違えられそう。お化粧も治したかったけど」
「ふふっ、さっき入って行った人、表示を二度見してたよね。あそこ……座ろっか」
フロアの端にある休憩スペースのソファーに座ると、悠斗が手際よく化粧直しをしてくれる。
「朝見たとき、綺麗にお化粧されていたから、村上君にやってもらったのかなって思ったけど、自分で頑張ったって聞いて嬉しかった」
「最初は不安だったけど、何度か変身しただろ? 見様見真似だけど……なんとかできたんだ。無理だったら手伝ってもらうつもりだったけど……マスカラが一番難しかった! あっ、でも村上の妹のマコちゃんが色々教えてくれたよ」
「そっか。女の子は頼りになるね。瞼ビューラーで挟まなかった?」
「挟んだ! 涙で見えなくなったし、下瞼にマスカラ付いちゃうし!」
「クスッ、想像できる。唇……ちょっと開けてストップね」
ルージュを指に取ると、トントンと色を乗せてくれる。
「瀬菜は元々ピンクで綺麗な色だし、あんまり付けなくても十分だけどね。はい、パッてしてみて?」
ルージュをパッパと唇で馴染ませると、ウイッグも整え直してくれた。
「可愛い。食べちゃいたいな……」
「折角直したのに……食べるのか?」
「ふふっ、そうだね。まだ勿体ないかな。時間あるしどうしようか? もう少し暗くなったらイルミネーションも見たいね?」
「うん! 見たい♪」
この時期のイルミネーションはきっと綺麗に違いない。目をキラキラとする俺に、悠斗は頷くと考え込んでいた。
「そうだな……電車移動して……任せてもらってもいい?」
「うん。俺良く分かんないし、悠斗に任せた!」
そのあとは電車に乗りどこかへと向かっていた。大きな駅に到着すると、俺はその規模の大きさに感嘆の声を上げた。再開発が進んでいるせいか、現代の最先端技術を使った液晶案内などが沢山設置されており様々な言語が表示されている。
改札前の大きなエントランスには、クリスマスの飾りが豪華に飾られ、人々は皆足を止め、厳しい表情から笑顔が漏れていた。中心に置かれた天井まで届きそうな大きなツリーには、通りすがる観光客やイベントを楽しむカップルに思い出を提供していた。
「デカイ駅だな~。こんなところ来るの凄い久々!」
「外国の観光客も多いからね。色々開発が進んでいるね」
「人もいっぱい………これを見せたかったのか?」
「ううん。これは俺も知らなかった。話題になっているイルミネーションはここからすぐだけど、先にあっちに行ってみようかなって」
「トイレは大丈夫?」
「あつ、うん。実は行きたいけど……どうしよう?」
なんだかデジャブ……。
学校じゃないし人も多いし……。
外出先はこれが困る。女装でも男は男だ。女性用トイレに入る訳にはいかない。水族館を出てから人が少なそうなトイレを探すことにした。
「小さいところなら、人あまり来ないし大丈夫かな」
「うん、悠斗が見張ってて」
同じビルの小さめなトイレに向かうと、丁度人が出て来たところだった。中を確認してもらい、超特急で用を済ます。鏡を見るとルージュが取れてしまっていたが、取り敢えず急いで外に出る。俺がトイレから出るとひとりこちらへ向かって来ていた。
「セーフ……俺、いつか痴女に間違えられそう。お化粧も治したかったけど」
「ふふっ、さっき入って行った人、表示を二度見してたよね。あそこ……座ろっか」
フロアの端にある休憩スペースのソファーに座ると、悠斗が手際よく化粧直しをしてくれる。
「朝見たとき、綺麗にお化粧されていたから、村上君にやってもらったのかなって思ったけど、自分で頑張ったって聞いて嬉しかった」
「最初は不安だったけど、何度か変身しただろ? 見様見真似だけど……なんとかできたんだ。無理だったら手伝ってもらうつもりだったけど……マスカラが一番難しかった! あっ、でも村上の妹のマコちゃんが色々教えてくれたよ」
「そっか。女の子は頼りになるね。瞼ビューラーで挟まなかった?」
「挟んだ! 涙で見えなくなったし、下瞼にマスカラ付いちゃうし!」
「クスッ、想像できる。唇……ちょっと開けてストップね」
ルージュを指に取ると、トントンと色を乗せてくれる。
「瀬菜は元々ピンクで綺麗な色だし、あんまり付けなくても十分だけどね。はい、パッてしてみて?」
ルージュをパッパと唇で馴染ませると、ウイッグも整え直してくれた。
「可愛い。食べちゃいたいな……」
「折角直したのに……食べるのか?」
「ふふっ、そうだね。まだ勿体ないかな。時間あるしどうしようか? もう少し暗くなったらイルミネーションも見たいね?」
「うん! 見たい♪」
この時期のイルミネーションはきっと綺麗に違いない。目をキラキラとする俺に、悠斗は頷くと考え込んでいた。
「そうだな……電車移動して……任せてもらってもいい?」
「うん。俺良く分かんないし、悠斗に任せた!」
そのあとは電車に乗りどこかへと向かっていた。大きな駅に到着すると、俺はその規模の大きさに感嘆の声を上げた。再開発が進んでいるせいか、現代の最先端技術を使った液晶案内などが沢山設置されており様々な言語が表示されている。
改札前の大きなエントランスには、クリスマスの飾りが豪華に飾られ、人々は皆足を止め、厳しい表情から笑顔が漏れていた。中心に置かれた天井まで届きそうな大きなツリーには、通りすがる観光客やイベントを楽しむカップルに思い出を提供していた。
「デカイ駅だな~。こんなところ来るの凄い久々!」
「外国の観光客も多いからね。色々開発が進んでいるね」
「人もいっぱい………これを見せたかったのか?」
「ううん。これは俺も知らなかった。話題になっているイルミネーションはここからすぐだけど、先にあっちに行ってみようかなって」
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