260 / 716
第7幕 ドキドキ☆クリスマス
09
しおりを挟む
名前を呼ばれ顔を向けると、悠斗の顔が間近にあった。驚く俺の口元をペロリと舐められ、真っ赤になってしまう。わなわなとしている俺に爽やか笑顔を返す悠斗。
「クリーム付いてたよ?」
「あ、ありがとう……?」
「ふふっ、なんかいいなぁ~。瀬菜とこうして人目も気にせずにできるの」
「ちょっとは気にしろよ……。俺さっきから周りの視線が痛い」
「今日はイブだもん。瀬菜凄く可愛いから、俺のってアピール♡」
「馬鹿……そんなのしなくても……俺は……」
声が尻蕾で小さくなってしまう。「お前に夢中だよ」という最後の声は、悠斗には聞こえなかったようだ。終始イチャイチャしている馬鹿ップル全開だが、こんなにオープンに接するのは初めてで、今日頑張って女装をした甲斐があったというものだ。
そんな俺の気持ちを読み取ったのか、悠斗は俺に提案をしてきた。
「たまには俺も女装しようか?」
「いや、それは大丈夫。きっと綺麗な長身のモデルさんみたいになる。それに、小さい俺とバランス取れないだろう?」
「そう? でも瀬菜、女装好きじゃないでしょ?」
「好きじゃないけど……でも悠斗とくっ付けるから、たまにはいいかなって思った」
「クスッ……可愛い……ありがとう瀬菜」
悠斗は立ち上がり手を差し出すと、俺をエスコートするように立ち上がらせた。
「アシカのショーが始まるから行こ」
「うん!」
それから時間ぴったりで、アシカのショーを間近で堪能する。飼育のお姉さんに魚を受け取り、アシカに直接餌をあげると、お礼にアシカからキスしをてもらえた。
「もう、俺滅茶苦茶恥ずかしかった! アシカに説教ってなんだよ」
「だって、アシカのくせに瀬菜のほっぺにキスするとかあり得ない!」
「減るもんじゃないだろうが!」
「減るよ! あとで俺もいっぱいするからね!」
「アシカに対抗するなよ……。しかもあのアシカ、メスだってお姉さん言っていたぞ」
「メスとかオスとか関係ないの!」
流石に疲れてきた……。
アシカでこれでは人間なんて死刑ものだ。
「機嫌治せよ……。大方回ったし、約束してたクリスマスプレゼント、お土産屋さんに選びに行こうよ!」
「そうだね。ちゅうは取り敢えずあとにして、行こうか♪」
「まだ言うか! 全くお前って奴は……」
悠斗が人前で暴走を始める前に、お土産屋さんに向かう。誕生日も過ぎたばかりだし、クリスマスプレゼントは事前に打ち合わせ済みだ。悩まないように、水族館でなにか思い出になるものを選ぼうという話をしていた。
お土産売り場には、沢山のぬいぐるみやクリスマス限定のお菓子や小物で溢れていた。
「俺は……これにする。おしゃれで可愛い」
「ならさ、色違いで買わないか?」
悠斗が手にしたのはペンギンのマグカップ。色は二種類あるようだ。
「うん、いいかも。それじゃ、うちに来たとき瀬菜専用にしよ?」
「へへっ、俺専用とか嬉しい♪」
「ほかに欲しいものある? 瀬菜の気に入ったのプレゼントしたい」
「う~ん。なら、これ。綺麗だなって……」
「スノードームだね。クリスマス限定だし、いいと思うよ」
「ペンギンが雪の中泳いでるみたいで、ボーッとできるし、なんだか和む!」
一通りショップの中を見て回り、気に入ったものを選んだ。俺へのプレゼントが多い気がしたが、クリスマス限定という言葉に唆られてしまった。
こういうところはどうしてか気持ちが大きくなってしまう。普段はそんなに欲しいと思わないが、無性にペンギンのぬいぐるみが気になってしまう。手を伸ばそうとしたが、グッと堪えて我慢する。
「これぐらいにしよう!」
「確かに見ていると欲しくなっちゃうよね」
「クリーム付いてたよ?」
「あ、ありがとう……?」
「ふふっ、なんかいいなぁ~。瀬菜とこうして人目も気にせずにできるの」
「ちょっとは気にしろよ……。俺さっきから周りの視線が痛い」
「今日はイブだもん。瀬菜凄く可愛いから、俺のってアピール♡」
「馬鹿……そんなのしなくても……俺は……」
声が尻蕾で小さくなってしまう。「お前に夢中だよ」という最後の声は、悠斗には聞こえなかったようだ。終始イチャイチャしている馬鹿ップル全開だが、こんなにオープンに接するのは初めてで、今日頑張って女装をした甲斐があったというものだ。
そんな俺の気持ちを読み取ったのか、悠斗は俺に提案をしてきた。
「たまには俺も女装しようか?」
「いや、それは大丈夫。きっと綺麗な長身のモデルさんみたいになる。それに、小さい俺とバランス取れないだろう?」
「そう? でも瀬菜、女装好きじゃないでしょ?」
「好きじゃないけど……でも悠斗とくっ付けるから、たまにはいいかなって思った」
「クスッ……可愛い……ありがとう瀬菜」
悠斗は立ち上がり手を差し出すと、俺をエスコートするように立ち上がらせた。
「アシカのショーが始まるから行こ」
「うん!」
それから時間ぴったりで、アシカのショーを間近で堪能する。飼育のお姉さんに魚を受け取り、アシカに直接餌をあげると、お礼にアシカからキスしをてもらえた。
「もう、俺滅茶苦茶恥ずかしかった! アシカに説教ってなんだよ」
「だって、アシカのくせに瀬菜のほっぺにキスするとかあり得ない!」
「減るもんじゃないだろうが!」
「減るよ! あとで俺もいっぱいするからね!」
「アシカに対抗するなよ……。しかもあのアシカ、メスだってお姉さん言っていたぞ」
「メスとかオスとか関係ないの!」
流石に疲れてきた……。
アシカでこれでは人間なんて死刑ものだ。
「機嫌治せよ……。大方回ったし、約束してたクリスマスプレゼント、お土産屋さんに選びに行こうよ!」
「そうだね。ちゅうは取り敢えずあとにして、行こうか♪」
「まだ言うか! 全くお前って奴は……」
悠斗が人前で暴走を始める前に、お土産屋さんに向かう。誕生日も過ぎたばかりだし、クリスマスプレゼントは事前に打ち合わせ済みだ。悩まないように、水族館でなにか思い出になるものを選ぼうという話をしていた。
お土産売り場には、沢山のぬいぐるみやクリスマス限定のお菓子や小物で溢れていた。
「俺は……これにする。おしゃれで可愛い」
「ならさ、色違いで買わないか?」
悠斗が手にしたのはペンギンのマグカップ。色は二種類あるようだ。
「うん、いいかも。それじゃ、うちに来たとき瀬菜専用にしよ?」
「へへっ、俺専用とか嬉しい♪」
「ほかに欲しいものある? 瀬菜の気に入ったのプレゼントしたい」
「う~ん。なら、これ。綺麗だなって……」
「スノードームだね。クリスマス限定だし、いいと思うよ」
「ペンギンが雪の中泳いでるみたいで、ボーッとできるし、なんだか和む!」
一通りショップの中を見て回り、気に入ったものを選んだ。俺へのプレゼントが多い気がしたが、クリスマス限定という言葉に唆られてしまった。
こういうところはどうしてか気持ちが大きくなってしまう。普段はそんなに欲しいと思わないが、無性にペンギンのぬいぐるみが気になってしまう。手を伸ばそうとしたが、グッと堪えて我慢する。
「これぐらいにしよう!」
「確かに見ていると欲しくなっちゃうよね」
0
お気に入りに追加
237
あなたにおすすめの小説
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる