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第7幕 ドキドキ☆クリスマス
07
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「……支度、時間掛かっちゃって。えっと……知り合い?」
チラリとお姉さん達に視線を向け首を傾げると、悠斗はブンブンと首を横に振り放心気味に俺を見つめている。
「そっか。じゃ行こ♪」
悠斗の腕に抱きつくと、ピトッとしなだれスリスリしながら恋人アピールをする。お姉さん達は、どこか悔しそうに唇をギリギリと噛み締めながら、俺達のアツアツぶりを傍観していた。
「──うっ……参ったな……連れ去りたい……」
「えっ? なに?」
「う、ううん! 行こうか!」
悠斗はそう言うと、頬を染めながら俺の手を取り恋人繋ぎでギュッと握り締め、エスコートするように歩き出した。
「この短時間でナンパされるなんて、流石としか言えない」
「流石って、俺だって好きでそうなってるんじゃないからね?」
「そうだけどさ……なんか妬けるじゃん」
「瀬菜が素直だ。その格好も可愛いし、贅沢過ぎる……」
「だって……たまには、外で悠斗とイチャイチャしたいし……俺のってアピールしたいし……恋人だし」
優しく繋がれていた手のひらを強く握り締めると、悠斗もキュッと握り返してくれる。自分で言っておきながら恥ずかしくなる。下を向いていると手を思わぬ方向へ引っ張られ、細い路地に連れて行かれた。
「なに? 水族館……行かなきゃ……」
「うん、行くよ? その前にちゃんと見せて?」
悠斗は俺を上から下まで眺めると、可愛い可愛いと言いまくっている。
今日は結構ラフだとは思う。
黒のスキニーパンツに、赤ベースでチェック柄の太ももまで隠れる長さのネルシャツ。シャツの中にはグレーのタートルネック。上着にはフワフワなファーが揺れるフード付きの灰色ダウンベスト。靴はスニーカーで疲れないようにした。頭にはニットに合わせ、毛糸で灰色の大きなフサフサなボンボン付きのニットキャップ。
一見男の子も着るような格好だが、ロングで大きめなウエーブがかかるウイッグを被っていた。前髪は横に流し前にプレゼントされたヘアピンをアクセントに。斜めがけの小さめなポシェットが、女の子っぽいかもしれない。
化粧はファンデを薄く塗り、ベージュのシャドーを入れマスカラをし、ブラウンの眉でフワリと仕上げた。ピンクベージュチークを頰に少しだけして、唇にもピンクベージュのルージュで全体的にナチュラル仕上げだ。
お淑やかな感じとは全く異なる元気っ子な姿。けれど、知らない人からすれば、どう見ても女の子にしか見えない。
「村上君に送ってもらって良かった。ひとりで電車になんて乗せられない」
「電車乗る度に痴漢に遭う訳ないだろ?」
「危機はこっちから避けないと」
悠斗は顔を近付けると、そっと唇に触れるだけのキスをして来る。人目が気にならない訳ではないが、この姿なら違和感はないはずだ。ドキドキと胸を高鳴らせ、普通の恋人達のようにできることが嬉しいと思ってしまう。
「マジ……ヤバ……待ち合わせ、心配だったけどして良かった」
「うん。なんか新鮮」
「ふふっ、そうだね。俺も我慢した甲斐があった」
「我慢? 俺がお泊まりしたこと?」
「それもだけど……昨日は丸々一日声だけで、瀬菜の顔見ていないからね。心がポッカリしてて」
悠斗は寂しそうにそう言うと、またチュッとキスをしそのままギュッと抱きしめてくる。
「瀬菜が近くに居るだけで幸せ……」
「悠斗……」
しばらく悠斗の抱擁を俺も堪能すると、また手を恋人繋ぎで握られ水族館へと向かった。
チラリとお姉さん達に視線を向け首を傾げると、悠斗はブンブンと首を横に振り放心気味に俺を見つめている。
「そっか。じゃ行こ♪」
悠斗の腕に抱きつくと、ピトッとしなだれスリスリしながら恋人アピールをする。お姉さん達は、どこか悔しそうに唇をギリギリと噛み締めながら、俺達のアツアツぶりを傍観していた。
「──うっ……参ったな……連れ去りたい……」
「えっ? なに?」
「う、ううん! 行こうか!」
悠斗はそう言うと、頬を染めながら俺の手を取り恋人繋ぎでギュッと握り締め、エスコートするように歩き出した。
「この短時間でナンパされるなんて、流石としか言えない」
「流石って、俺だって好きでそうなってるんじゃないからね?」
「そうだけどさ……なんか妬けるじゃん」
「瀬菜が素直だ。その格好も可愛いし、贅沢過ぎる……」
「だって……たまには、外で悠斗とイチャイチャしたいし……俺のってアピールしたいし……恋人だし」
優しく繋がれていた手のひらを強く握り締めると、悠斗もキュッと握り返してくれる。自分で言っておきながら恥ずかしくなる。下を向いていると手を思わぬ方向へ引っ張られ、細い路地に連れて行かれた。
「なに? 水族館……行かなきゃ……」
「うん、行くよ? その前にちゃんと見せて?」
悠斗は俺を上から下まで眺めると、可愛い可愛いと言いまくっている。
今日は結構ラフだとは思う。
黒のスキニーパンツに、赤ベースでチェック柄の太ももまで隠れる長さのネルシャツ。シャツの中にはグレーのタートルネック。上着にはフワフワなファーが揺れるフード付きの灰色ダウンベスト。靴はスニーカーで疲れないようにした。頭にはニットに合わせ、毛糸で灰色の大きなフサフサなボンボン付きのニットキャップ。
一見男の子も着るような格好だが、ロングで大きめなウエーブがかかるウイッグを被っていた。前髪は横に流し前にプレゼントされたヘアピンをアクセントに。斜めがけの小さめなポシェットが、女の子っぽいかもしれない。
化粧はファンデを薄く塗り、ベージュのシャドーを入れマスカラをし、ブラウンの眉でフワリと仕上げた。ピンクベージュチークを頰に少しだけして、唇にもピンクベージュのルージュで全体的にナチュラル仕上げだ。
お淑やかな感じとは全く異なる元気っ子な姿。けれど、知らない人からすれば、どう見ても女の子にしか見えない。
「村上君に送ってもらって良かった。ひとりで電車になんて乗せられない」
「電車乗る度に痴漢に遭う訳ないだろ?」
「危機はこっちから避けないと」
悠斗は顔を近付けると、そっと唇に触れるだけのキスをして来る。人目が気にならない訳ではないが、この姿なら違和感はないはずだ。ドキドキと胸を高鳴らせ、普通の恋人達のようにできることが嬉しいと思ってしまう。
「マジ……ヤバ……待ち合わせ、心配だったけどして良かった」
「うん。なんか新鮮」
「ふふっ、そうだね。俺も我慢した甲斐があった」
「我慢? 俺がお泊まりしたこと?」
「それもだけど……昨日は丸々一日声だけで、瀬菜の顔見ていないからね。心がポッカリしてて」
悠斗は寂しそうにそう言うと、またチュッとキスをしそのままギュッと抱きしめてくる。
「瀬菜が近くに居るだけで幸せ……」
「悠斗……」
しばらく悠斗の抱擁を俺も堪能すると、また手を恋人繋ぎで握られ水族館へと向かった。
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