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第6幕 計画は入念に、愛情込めて
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「ちょっと……もうヤダ!」
「うるせぇ……黙っていろ」
「なんでこの間より短いんだよ!」
「だ、ま、れ! 悠斗のため……だろ? ほらこっち向け」
多澤は俺の顎をグイッと持ち上げると、綺麗に化粧を施していく。口が悪いがアートな男だ。手先が器用な芸術肌な多澤は、綺麗にアイライナーを引き、唇にはナチュラルなピンクベージュを乗せ、オッドアイで青と緑のカラコンを装着させられる。それからあちらこちらに真っ赤なリボンを巻付けていった。
俺そのものがプレゼントとでもいうような仕上がりに、多澤は下から上まで確認し最終チェックをする。最近どうにも俺はみんなの着せ替え人形だ。
短い黒パンツにニーハイソックス。ヘソ出しに胸の開いた白いシャツ。黒の短いベスト。ふんわり髪の長い三つ編みに、うさぎの耳。
そう、お馴染みになりつつある悠斗のお気に入り、セラゾのナギコスだ。ただし二度ほど着たときよりも、短パンがやけに短い。
これ……パンツ出ちゃうじゃん!
「んー、ダメだな……。瀬菜、脱げ。そしてこれに履き替えろ」
目の前に一枚の可愛らしい布切れが差し出される。
「それって……ひ、紐………」
「ノーパンと、どっちがいい」
「どっちも嫌じゃ‼」
多澤の横暴に俺は抵抗するものの、敵うはずもなく渋々紐パンツをまた履く羽目になった。もちろんちゃんと着替えるときは部屋から出て行って貰い、先にリビングに戻るように二人を追いやった。
俺、単なる変態じゃね?
このパンツ……多澤買ったのか?
そりゃ悠斗の誕生日だけど、悠斗を喜ばせたいけど……。
あはは、悲しい……。
着替えをし、意を決してみんなの居るリビングに向かう。まだ食べていないケーキも食べたい。それに部屋に籠もっていれば悠斗か多澤が迎えに来てしまう。
深呼吸をして扉を開けるとみんなの視線が一斉に自分のほうへと向けられた。俺の姿に一瞬室内が静まる。やはりこんな姿は場違いだろうか。けれどすぐにその場が湧いた。
「瀬菜君可愛いわね~。おばさん興奮しちゃう♪」
「うちの未来のお嫁さんは凄いね母さん!」
「せっちゃんギュってしたくなっちゃう! 悠くんの気持ちがなんだか分かるわ♪」
「これって、さっき村上君が悠斗君にプレゼントしてたパネルのコスの格好だよね! 実際に見ると本当に可愛い~~♪ うちにも写真飾りたい~♪」
どうやら食事を終え、みんなそれぞれ持ち寄ったプレゼントを渡しているところだった。その中には大きめなパネルに俺のコス姿を納めた写真もあった。村上のとっておきは変なグッツではなくホッとするものの、自分の姿というのはなんとも複雑だ。
「悠斗これ、俺からのプレゼント」
「へっ⁉ ちょっ、ちょっと待て‼」
多澤がとんでもないことを言い、悠斗の前に差し出された俺。悠斗は惚けた様子で、俺を上から下まで舐めるように視線を流している。
「いつから俺は多澤の所有物になった⁉」
「違うわ! 悠斗に殺されるような言葉吐くんじゃねぇよ! 俺のプレゼントは外側だけだぞ。中身はとっくに悠斗のもんだしな」
「はっ‼ 凄く嬉しい♡ ヤバ……前よりもバージョンアップしてる。雅臣は俺のこと良く理解しているね! このコス衣装貰っていいの?」
「ああ、もちろんだ。お前の脳みそは大体瀬菜で埋め尽くされているからな。三浦さんに型紙貰って作ったから、汚してもいいぞ。まぁ、あとでたっぷり楽しめ」
多澤は俺の顔を見てニヤッと笑う。多澤の含みのある言い方と表情に、背中にザワッと寒気が走る。悠斗はだらしない顔付きで「美味しそう」と訳の分からない不吉なことを呟いていた。
「うるせぇ……黙っていろ」
「なんでこの間より短いんだよ!」
「だ、ま、れ! 悠斗のため……だろ? ほらこっち向け」
多澤は俺の顎をグイッと持ち上げると、綺麗に化粧を施していく。口が悪いがアートな男だ。手先が器用な芸術肌な多澤は、綺麗にアイライナーを引き、唇にはナチュラルなピンクベージュを乗せ、オッドアイで青と緑のカラコンを装着させられる。それからあちらこちらに真っ赤なリボンを巻付けていった。
俺そのものがプレゼントとでもいうような仕上がりに、多澤は下から上まで確認し最終チェックをする。最近どうにも俺はみんなの着せ替え人形だ。
短い黒パンツにニーハイソックス。ヘソ出しに胸の開いた白いシャツ。黒の短いベスト。ふんわり髪の長い三つ編みに、うさぎの耳。
そう、お馴染みになりつつある悠斗のお気に入り、セラゾのナギコスだ。ただし二度ほど着たときよりも、短パンがやけに短い。
これ……パンツ出ちゃうじゃん!
「んー、ダメだな……。瀬菜、脱げ。そしてこれに履き替えろ」
目の前に一枚の可愛らしい布切れが差し出される。
「それって……ひ、紐………」
「ノーパンと、どっちがいい」
「どっちも嫌じゃ‼」
多澤の横暴に俺は抵抗するものの、敵うはずもなく渋々紐パンツをまた履く羽目になった。もちろんちゃんと着替えるときは部屋から出て行って貰い、先にリビングに戻るように二人を追いやった。
俺、単なる変態じゃね?
このパンツ……多澤買ったのか?
そりゃ悠斗の誕生日だけど、悠斗を喜ばせたいけど……。
あはは、悲しい……。
着替えをし、意を決してみんなの居るリビングに向かう。まだ食べていないケーキも食べたい。それに部屋に籠もっていれば悠斗か多澤が迎えに来てしまう。
深呼吸をして扉を開けるとみんなの視線が一斉に自分のほうへと向けられた。俺の姿に一瞬室内が静まる。やはりこんな姿は場違いだろうか。けれどすぐにその場が湧いた。
「瀬菜君可愛いわね~。おばさん興奮しちゃう♪」
「うちの未来のお嫁さんは凄いね母さん!」
「せっちゃんギュってしたくなっちゃう! 悠くんの気持ちがなんだか分かるわ♪」
「これって、さっき村上君が悠斗君にプレゼントしてたパネルのコスの格好だよね! 実際に見ると本当に可愛い~~♪ うちにも写真飾りたい~♪」
どうやら食事を終え、みんなそれぞれ持ち寄ったプレゼントを渡しているところだった。その中には大きめなパネルに俺のコス姿を納めた写真もあった。村上のとっておきは変なグッツではなくホッとするものの、自分の姿というのはなんとも複雑だ。
「悠斗これ、俺からのプレゼント」
「へっ⁉ ちょっ、ちょっと待て‼」
多澤がとんでもないことを言い、悠斗の前に差し出された俺。悠斗は惚けた様子で、俺を上から下まで舐めるように視線を流している。
「いつから俺は多澤の所有物になった⁉」
「違うわ! 悠斗に殺されるような言葉吐くんじゃねぇよ! 俺のプレゼントは外側だけだぞ。中身はとっくに悠斗のもんだしな」
「はっ‼ 凄く嬉しい♡ ヤバ……前よりもバージョンアップしてる。雅臣は俺のこと良く理解しているね! このコス衣装貰っていいの?」
「ああ、もちろんだ。お前の脳みそは大体瀬菜で埋め尽くされているからな。三浦さんに型紙貰って作ったから、汚してもいいぞ。まぁ、あとでたっぷり楽しめ」
多澤は俺の顔を見てニヤッと笑う。多澤の含みのある言い方と表情に、背中にザワッと寒気が走る。悠斗はだらしない顔付きで「美味しそう」と訳の分からない不吉なことを呟いていた。
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