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第6幕 計画は入念に、愛情込めて
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「……なるほど。可愛いおめでとうだね?」
「ううぅ……ちゃんと……言えなかったじゃないか」
「ううん。やばい……キュンとしちゃった。ありがとう瀬菜」
すっかり覚醒したのか悠斗は優しく微笑むと、また唇に齧り付いてくる。俺のプランでは寝ぼける悠斗にそっとキスをしておめでとうを言い、また眠りの国へと誘うつもりだったのだ。
「こんな素敵なサプライズ、俺は幸せで興奮が治らないよ」
「そ、そうか。けど登校時間までもうちょっと寝よ?」
「んー、それは無理かな。今この瞬間を瀬菜と楽しみたいし」
「だって俺、寝るつもりでパジャマのままで来たんだぞ」
「えっ? 瀬菜自身が俺へのプレゼントじゃないの? パジャマならすぐに脱げるし。ほら……捲りやすい♡」
「ば、馬鹿! 朝からどこに手突っ込んでいるんだよ!」
声を上げ暴れ出す俺の唇に悠斗は指先を当ててくる。
「瀬菜、シ~~っだよ? 大きい声出したら美久に声聞こえちゃう」
その言葉にここが悠斗の家だったことを思い出す。まだみんな寝静まっているのだ。大声はマズイと口を噤むぐ。そんな俺の姿を見てクスクスと笑いながら、服の中に手のひらを忍ばせ肌を撫で上げる悠斗に涙目で訴える。
「本当に幸せだな。……ねぇ、どうして夜這いしたの? 瀬菜は朝弱いのにわざわざ起きて来たんだよね?」
「それは……お前が俺の誕生日に産まれた時間言ってくれたの、嬉しかったんだ。誕生日ってさ、日にちもだけど産まれた瞬間からだろ? 俺……お前を一番に祝いたかったし、凝ったこと中々できないけど、俺なりの気持ち……みたいなさ」
気持ちを吐露すると、悠斗は悪戯をしていた手をピタリと止めた。驚いた表情が緩み、瞳を潤ませふわっと微笑む。脱力するようにすとんっと俺の肩に額を乗せ、少し震えている様子だ。
「瀬菜……嬉しすぎてやばい……泣きそう」
「泣くほどじゃないだろ……」
「だって大切な人が、そんな風に思っていたら堪らないよ」
「悠斗は大袈裟だな。あーあ、折角悠斗よりお兄さんだったのに、追い付かれちゃった~」
「俺はやっとこ追い付けたって感じだけどね」
「へへっ、十六歳のお誕生日おめでとう。悠斗にとっていい一年になればいいな!」
悠斗はぎゅっと俺を抱き締めると、コクリと頷きありがとうと呟いた。
「なぁ、もう寝ないのか? 俺、授業中眠くなりそう」
「そうだね。なら……はい、腕枕」
「お前の誕生日なのに俺がされるほうなのな」
「うん、そうだよ? 抱きしめて眠るんだもん」
苦笑い気味で悠斗の腕に頭を預けると、目はすっかり覚めていたが体力を温存させる。
悠斗の胸に擦り寄り、朝の目的を果たせてホッとする。悠斗の体温にうとうとする。そんな俺を観察する悠斗はクスクスと微笑み、あちこちにキスをしひとり楽しんでいる様子だった。
ピピピ……ピピピ……。
音がする。
今日は良くアラーム音で起こされる。けれどそれと合わせて悠斗の優しい声もする。
「瀬菜、起きて? お風呂にも入るでしょ?」
「……ん……まだもうちょっとだけ……」
「ん? なんでこんなに可愛いのかな?」
ぬくもりにすりすりと密着していると、身体が急に宙に浮く。寝ぼけている俺は驚き、悠斗の首に抱き付いていた。そう、姫抱っこだ。
「ふふっ、強行突破だよ。間際でバタバタするの大変でしょ?」
「そうだけど! びっくりするわ!」
「瀬菜扉開けて?」
「あ、そっか……じゃなくて! 下ろしてくれればいいだろ⁉︎」
「このまま瀬菜を抱きしめてお風呂入りたい気分」
「どんな気分だよそれ……」
朝から悠斗の謎な行動に、まぁ……誕生日だし好きにさせるかと早々に諦める。
「ううぅ……ちゃんと……言えなかったじゃないか」
「ううん。やばい……キュンとしちゃった。ありがとう瀬菜」
すっかり覚醒したのか悠斗は優しく微笑むと、また唇に齧り付いてくる。俺のプランでは寝ぼける悠斗にそっとキスをしておめでとうを言い、また眠りの国へと誘うつもりだったのだ。
「こんな素敵なサプライズ、俺は幸せで興奮が治らないよ」
「そ、そうか。けど登校時間までもうちょっと寝よ?」
「んー、それは無理かな。今この瞬間を瀬菜と楽しみたいし」
「だって俺、寝るつもりでパジャマのままで来たんだぞ」
「えっ? 瀬菜自身が俺へのプレゼントじゃないの? パジャマならすぐに脱げるし。ほら……捲りやすい♡」
「ば、馬鹿! 朝からどこに手突っ込んでいるんだよ!」
声を上げ暴れ出す俺の唇に悠斗は指先を当ててくる。
「瀬菜、シ~~っだよ? 大きい声出したら美久に声聞こえちゃう」
その言葉にここが悠斗の家だったことを思い出す。まだみんな寝静まっているのだ。大声はマズイと口を噤むぐ。そんな俺の姿を見てクスクスと笑いながら、服の中に手のひらを忍ばせ肌を撫で上げる悠斗に涙目で訴える。
「本当に幸せだな。……ねぇ、どうして夜這いしたの? 瀬菜は朝弱いのにわざわざ起きて来たんだよね?」
「それは……お前が俺の誕生日に産まれた時間言ってくれたの、嬉しかったんだ。誕生日ってさ、日にちもだけど産まれた瞬間からだろ? 俺……お前を一番に祝いたかったし、凝ったこと中々できないけど、俺なりの気持ち……みたいなさ」
気持ちを吐露すると、悠斗は悪戯をしていた手をピタリと止めた。驚いた表情が緩み、瞳を潤ませふわっと微笑む。脱力するようにすとんっと俺の肩に額を乗せ、少し震えている様子だ。
「瀬菜……嬉しすぎてやばい……泣きそう」
「泣くほどじゃないだろ……」
「だって大切な人が、そんな風に思っていたら堪らないよ」
「悠斗は大袈裟だな。あーあ、折角悠斗よりお兄さんだったのに、追い付かれちゃった~」
「俺はやっとこ追い付けたって感じだけどね」
「へへっ、十六歳のお誕生日おめでとう。悠斗にとっていい一年になればいいな!」
悠斗はぎゅっと俺を抱き締めると、コクリと頷きありがとうと呟いた。
「なぁ、もう寝ないのか? 俺、授業中眠くなりそう」
「そうだね。なら……はい、腕枕」
「お前の誕生日なのに俺がされるほうなのな」
「うん、そうだよ? 抱きしめて眠るんだもん」
苦笑い気味で悠斗の腕に頭を預けると、目はすっかり覚めていたが体力を温存させる。
悠斗の胸に擦り寄り、朝の目的を果たせてホッとする。悠斗の体温にうとうとする。そんな俺を観察する悠斗はクスクスと微笑み、あちこちにキスをしひとり楽しんでいる様子だった。
ピピピ……ピピピ……。
音がする。
今日は良くアラーム音で起こされる。けれどそれと合わせて悠斗の優しい声もする。
「瀬菜、起きて? お風呂にも入るでしょ?」
「……ん……まだもうちょっとだけ……」
「ん? なんでこんなに可愛いのかな?」
ぬくもりにすりすりと密着していると、身体が急に宙に浮く。寝ぼけている俺は驚き、悠斗の首に抱き付いていた。そう、姫抱っこだ。
「ふふっ、強行突破だよ。間際でバタバタするの大変でしょ?」
「そうだけど! びっくりするわ!」
「瀬菜扉開けて?」
「あ、そっか……じゃなくて! 下ろしてくれればいいだろ⁉︎」
「このまま瀬菜を抱きしめてお風呂入りたい気分」
「どんな気分だよそれ……」
朝から悠斗の謎な行動に、まぁ……誕生日だし好きにさせるかと早々に諦める。
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