王子×悪戯戯曲

そら汰★

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第6幕 計画は入念に、愛情込めて

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 唇を覆い少しずつ水を与えられる。口の中に冷たい液体が流し込まれ、火照った身体に染み渡ってくる。水がなくなると悠斗の舌に吸い付き、もっとちょうだいと舌を絡ませる。そんなことを続けるうちに、今度は眠気が襲ってくる。目を擦ろうとして止められる。

「ダメだよ瀬菜。コンタクト取らないと」
「ん……じゃ……もっろちゅうひて?」
「なんでちゅうなの? ほら、上向いて」
「んーー、ちゅうしらいのら」

 上を向いてちゅうの体勢を取ると、悠斗はまぶたを固定しコンタクトを外した。キスをしてくれないことにぷーっと頬を膨らませると、ベッドに押し倒され啄むキスを何度も落とされ満足する。

「もうちゅうはいいの?」
「えへへっ……ゆうたん……すきらょ~~♪ ら~いしゅきぃ♡」

 へらへらと笑いそう言うと、悠斗は大きなため息を吐き出し苦笑いを浮かべる。

「なにこの酔っ払い……。ハァ……祐一さんの家ってのが妬ましい……今度二人のときに飲ませよ」
「ゆうろ~♪ ねうぞぉ~~♪」
「はいはい……もう、ホントに……ちんこ痛い……」
「いらいの? いらいのいらいろ、とんれけ~~♪ あはは~~」

 悠斗の股間をナデナデし、母親が子供をあやすときのように、何度も痛いの痛いの飛んでけ~とすると、悠斗は勘弁してと俺を胸にギュッと抱きしめ動けないようにした。
 体温が心地良くてフワフワした頭に眠気が襲ってくる。背中を優しく撫でられているうちに、知らぬ間に眠りに落ちていた。悠斗は俺を寝かし付けしばらくすると、そっとベッドを下りみんなの元に戻って行った。


「ああ、悠斗君、瀬菜君大丈夫?」
「ええ……寝ていますよ」
「悠斗偉いじゃん。しばらく戻らないと思ったぜ。良く理性持たせたな」
「人をケダモノ扱いしないでくれる? 一応ここ祐一さん家だしね」
「別に僕は構わないけどね?」
「王子王子! ちょっと姫君を撮ってもいい?」
「村上君に撮らせるなんて勿体ない。そのカメラ貸して」
「えーー王子が撮るの? 俺意外とセンスあるよ?」
「お前らそっとしておけよ」
「雅臣が真面目発言なんて珍しい」
「ホント、ホント~! 柳ちゃんに対して愛情を感じた」
「アホか! 酔っ払った瀬菜が面倒なだけだ!」

 多澤のひと言で俺のお眠り酔っ払いショットは回避されていた……ことは知らぬところだが、黒歴史を永久保存されずに済んだことには感謝したい。



 目をパチッと開けると、薄暗い見慣れない室内で自分がどこにいるのか分からなかった。ギシっとスプリングを鳴らし身体を起こすと辺りを見渡す。ぼんやりと首を傾げ、今までなにをしていたか思い出そとすると、ズキンと頭に痛みを感じる。
 頭の痛みに下を向くと、自分の格好にああそうかと納得する。ハロウインパーティを祐一さんの家でしていた。シャンパンが甘くて美味しくて一杯飲んだら、フワフワして……その先が思い出せない。
 壁に掛けられたデジタル時計を見ると、自分が覚えている限りの時間から、だいぶ経過しているようだ。扉を開けると眩しい光にくらりとしてしまう。そんな俺を悠斗がそっと支えてくれた。

「大丈夫? 辛いところある?」
「……頭ちょっと痛い。俺どうしちゃったの?」
「ごめん瀬菜君、佐伯が間違えてアルコール提供しちゃったんだ」
「すまない瀬菜君。大人として情けない」

 未成年にお酒を振る舞ってしまったことに、佐伯さんはずいぶん罪悪感を感じているようだ。

「……そういうことか。へへっ、佐伯さんでも間違えることあるんだな! 俺大人の仲間入り♪」
「折角のパーティーだったのに、本当に悪かった」
「頭痛いならコーヒーかな?」
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