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第6幕 計画は入念に、愛情込めて
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昨日はそのまま悠斗の家にお泊まりをした。流石にドロドロになるほどエッチなことはせず、静かな夜を過ごした。それでも誰かが居る空間で二回もすれば、静かとは言えないかもしれない。
おばさん手製の朝食を食べたあとは、嘘を真実に変えるためドラッグストアまで行く。プリンになっていたので丁度良かった。
「大人っぽい感じになったね」
「うん、変じゃない?」
「アッシュでいい感じ」
「へへっ、ありがとうな♪」
髪は悠斗が染めてくれた。今回は少し落ち着いた色合いをチョイスした。暗めの色は伸びてもプリンになりずらい。
そのあとは心機一転、テスト勉強をし健全な学生らしい休日を過ごしていた。勉強が一段落すると、すっかり夕方になっていた。
「あっ、そろそろ夕飯の時間だ」
「食べて行かないのか?」
「うん、母さん支度しているだろうし」
玄関まで見送ると丁度おふくろが帰宅し、俺と同じことを言っていた。
夕飯を食べ終え部屋に籠ると、プレゼント作成を再開する。まだまだ先が長い作業に肩が凝りそうになると、休憩しながら昨日悠斗のおばさんに貰った写真を見て癒される。
生まれたばかりの悠斗はとても可愛らしく、天使そのものだ。成長を感じ同じ歳だが感慨深くなる。
へへっ、俺ってばおっさんみたい。
睫毛長いなー。お目々クリクリ……。
これなんて思いっきり女の子だ。
泣きそうな顔でカメラに視線を向ける悠斗。女の子の服に身を包み髪にリボンを着け、ぎこちなくピースポーズをしている。
はぁぁ~……癒やされる……。
ゆうちゃんメンコイなぁ~。
写真をスマホで撮影すると、こっそり待ち受け画面に設定する。悠斗も変態だが俺も結構やばいのかもしれない。苦笑いしつつ可愛いに罪はないのだと開き直る。
「ああ……いかんいかん。これじゃ進まない。よしっ! 頑張るぞ~♪」
ひとりで意気込むと作業を再開する。気付いた頃には一時を過ぎてしまっていた。作業を終わらせクローゼットに仕舞うと、大きなあくびをしながらベッドに入り即寝した。
***
「ふぁ~~ぁ……」
「柳ちゃん眠いの? 大きいあくびだね?」
「徹夜でもしたのか?」
「瀬菜ってば、朝からずっとこの調子なんだよ」
食堂でリッチなランチを食べていた。あくびを繰り返す俺に、みんながツッコミを入れてくる。
「してないけど……寒くなって来たし冬眠の時期なんだ」
「テスト勉強が嫌になってるとか? 柳ちゃんは罰ゲーム決定かな?」
「早速考えねぇとだな」
「昨日も頑張っていたし、瀬菜はやればできる子だよ」
お前らの罰ゲームエグそうだな。
てか、もう決定ってやめてよね。
色々両立させながら、俺なりに頑張っているのにさ。
お腹も満たされ眠気が倍増だ。どこかのサイトで糖質を取りすぎると、血糖値が一気に上がって余計に眠くなると書かれていた。動かない頭でどうでもいい豆知識を思い出す。
ぼんやりしていると、スマホがブルブルと震えだす。俺ひとりではなく四人共にだ。
『今日の放課後、生徒会室集合ヨロ♡』
環樹先輩からだった。
テスト前に集合とは何事か。正直テスト前になにか任されるのは結構辛い。けれど引き受けた以上は行くしかない。
しばらく放置していると、またスマホが震える。
『既読スルーしないでよ!』
誰も返事を返さないことが不服だったらしく、先輩はメッセージとプンプンしているスタンプを送って来た。
「誰か返事してよ」
「面倒だろ」
「柳ちゃんスタンプだけしといてよ。代表で」
「瀬菜もしなくていいよ」
「いや、これ放置したら先輩送り続けねぇ? ひとり一文字スタンプな」
俺が『オ』多澤が『ッ』村上が『ケ』悠斗が『ー』と、順番に送信しておいた。
おばさん手製の朝食を食べたあとは、嘘を真実に変えるためドラッグストアまで行く。プリンになっていたので丁度良かった。
「大人っぽい感じになったね」
「うん、変じゃない?」
「アッシュでいい感じ」
「へへっ、ありがとうな♪」
髪は悠斗が染めてくれた。今回は少し落ち着いた色合いをチョイスした。暗めの色は伸びてもプリンになりずらい。
そのあとは心機一転、テスト勉強をし健全な学生らしい休日を過ごしていた。勉強が一段落すると、すっかり夕方になっていた。
「あっ、そろそろ夕飯の時間だ」
「食べて行かないのか?」
「うん、母さん支度しているだろうし」
玄関まで見送ると丁度おふくろが帰宅し、俺と同じことを言っていた。
夕飯を食べ終え部屋に籠ると、プレゼント作成を再開する。まだまだ先が長い作業に肩が凝りそうになると、休憩しながら昨日悠斗のおばさんに貰った写真を見て癒される。
生まれたばかりの悠斗はとても可愛らしく、天使そのものだ。成長を感じ同じ歳だが感慨深くなる。
へへっ、俺ってばおっさんみたい。
睫毛長いなー。お目々クリクリ……。
これなんて思いっきり女の子だ。
泣きそうな顔でカメラに視線を向ける悠斗。女の子の服に身を包み髪にリボンを着け、ぎこちなくピースポーズをしている。
はぁぁ~……癒やされる……。
ゆうちゃんメンコイなぁ~。
写真をスマホで撮影すると、こっそり待ち受け画面に設定する。悠斗も変態だが俺も結構やばいのかもしれない。苦笑いしつつ可愛いに罪はないのだと開き直る。
「ああ……いかんいかん。これじゃ進まない。よしっ! 頑張るぞ~♪」
ひとりで意気込むと作業を再開する。気付いた頃には一時を過ぎてしまっていた。作業を終わらせクローゼットに仕舞うと、大きなあくびをしながらベッドに入り即寝した。
***
「ふぁ~~ぁ……」
「柳ちゃん眠いの? 大きいあくびだね?」
「徹夜でもしたのか?」
「瀬菜ってば、朝からずっとこの調子なんだよ」
食堂でリッチなランチを食べていた。あくびを繰り返す俺に、みんながツッコミを入れてくる。
「してないけど……寒くなって来たし冬眠の時期なんだ」
「テスト勉強が嫌になってるとか? 柳ちゃんは罰ゲーム決定かな?」
「早速考えねぇとだな」
「昨日も頑張っていたし、瀬菜はやればできる子だよ」
お前らの罰ゲームエグそうだな。
てか、もう決定ってやめてよね。
色々両立させながら、俺なりに頑張っているのにさ。
お腹も満たされ眠気が倍増だ。どこかのサイトで糖質を取りすぎると、血糖値が一気に上がって余計に眠くなると書かれていた。動かない頭でどうでもいい豆知識を思い出す。
ぼんやりしていると、スマホがブルブルと震えだす。俺ひとりではなく四人共にだ。
『今日の放課後、生徒会室集合ヨロ♡』
環樹先輩からだった。
テスト前に集合とは何事か。正直テスト前になにか任されるのは結構辛い。けれど引き受けた以上は行くしかない。
しばらく放置していると、またスマホが震える。
『既読スルーしないでよ!』
誰も返事を返さないことが不服だったらしく、先輩はメッセージとプンプンしているスタンプを送って来た。
「誰か返事してよ」
「面倒だろ」
「柳ちゃんスタンプだけしといてよ。代表で」
「瀬菜もしなくていいよ」
「いや、これ放置したら先輩送り続けねぇ? ひとり一文字スタンプな」
俺が『オ』多澤が『ッ』村上が『ケ』悠斗が『ー』と、順番に送信しておいた。
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