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第5幕 噂の姫乃ちゃん
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「なになにこの放送ー!」
「なんかのイベントか⁉︎」
「俺じゃないのは確かだー」
「逆に行きたくなる内容じゃね?」
当事者でない限りは意味不明な校内放送に周りがザワつき、口々に面白がったり自分には関係ないなと話し始めていた。内容を理解できた俺と村上は顔を見合わせてしまう。
「なんか……呼ばれたっぽいね?」
「そうだよな……これ俺達のことだよな? こんな変な放送あるかよ。チャイム音まで自分で言うって、マジでふざけてね?」
「取り敢えず王子達と合流しようか」
「だな……ははは………」
悠斗にメールを送り、下駄箱辺りで待ち合わせをする。到着すると悠斗と多澤は近くに居たのかすでにおり、二人で話をしていた。
「悠斗、さっきの放送聞いたか?」
「うん、おそらく俺達のことだね。けど、今頃生徒会室前は混乱しているかな」
「どうする? お呼びのようだし、行かない訳にもな……」
「だぁね。取り敢えず行きますか!」
四人で相談し生徒会室に向かうと、入口付近は案の定野次馬だらけで、好奇心旺盛な学生で溢れている。入ったはいいが、あとから変な噂が立ちそうだ。
怪しい放送を流した本人が悪いということになり、待たせておこうと昼飯を先に取ることで意見が一致した。
一位を獲得した悠斗のクラスは早速食券が支給され、俺と村上はありがたく山分けをゲットする。優雅に食堂ランチを楽しみながら、先ほど三浦さんから仕入れた「清河環樹が理事長の孫らしい」ということを伝えると、悠斗と多澤は納得した様子だった。
「タマキって言っていたから、それが苗字だと思ってたけど……セイガなら理解できるかな」
「俺を襲ったヤツもキヨカワって言っていたけど、面倒くさくて本人は訂正しないんだって」
「理事長との関係、あまり公にしたくないとか?」
「自分は学校関係者です、なんて自ら吹聴はしないだろ」
それでも三浦さんが知っていたということは、一時的に噂になったのだろう。
ヘンテコな放送をするちょっと変わり者の先輩は、俺が強姦されたとき、すでにそこに居た。状況もバッチリ把握している。俺が一々説明する必要はない気がする。
モグモグと昼食を堪能し、いつ頃向かおうか相談していると、髪の長い綺麗な女性が俺達のテーブルの前に立ち、肩で息をしながら呟いた。
「ハァハァ……あなた達っ……やっと見つけましたよ……。こっちは昼食も取れないっていうのに、ずいぶん優雅ですね……っ」
突然現れた面識のない綺麗な女性を見上げると、遠回しに嫌味を言われてしまう。
ネクタイの色からして二年生のようだ。
「環樹──ああ、生徒会長様がお呼びなの、聞こえなかったのかしら? あの馬鹿のせいでこっちはあちこち捜しまわらなきゃいけないわ、野次馬を散らさなきゃいけないわ……。着任早々……とっとと行くわよ!」
そう環樹先輩のことを愚痴りながら、俺達に命令してくる。
「なんかのイベントか⁉︎」
「俺じゃないのは確かだー」
「逆に行きたくなる内容じゃね?」
当事者でない限りは意味不明な校内放送に周りがザワつき、口々に面白がったり自分には関係ないなと話し始めていた。内容を理解できた俺と村上は顔を見合わせてしまう。
「なんか……呼ばれたっぽいね?」
「そうだよな……これ俺達のことだよな? こんな変な放送あるかよ。チャイム音まで自分で言うって、マジでふざけてね?」
「取り敢えず王子達と合流しようか」
「だな……ははは………」
悠斗にメールを送り、下駄箱辺りで待ち合わせをする。到着すると悠斗と多澤は近くに居たのかすでにおり、二人で話をしていた。
「悠斗、さっきの放送聞いたか?」
「うん、おそらく俺達のことだね。けど、今頃生徒会室前は混乱しているかな」
「どうする? お呼びのようだし、行かない訳にもな……」
「だぁね。取り敢えず行きますか!」
四人で相談し生徒会室に向かうと、入口付近は案の定野次馬だらけで、好奇心旺盛な学生で溢れている。入ったはいいが、あとから変な噂が立ちそうだ。
怪しい放送を流した本人が悪いということになり、待たせておこうと昼飯を先に取ることで意見が一致した。
一位を獲得した悠斗のクラスは早速食券が支給され、俺と村上はありがたく山分けをゲットする。優雅に食堂ランチを楽しみながら、先ほど三浦さんから仕入れた「清河環樹が理事長の孫らしい」ということを伝えると、悠斗と多澤は納得した様子だった。
「タマキって言っていたから、それが苗字だと思ってたけど……セイガなら理解できるかな」
「俺を襲ったヤツもキヨカワって言っていたけど、面倒くさくて本人は訂正しないんだって」
「理事長との関係、あまり公にしたくないとか?」
「自分は学校関係者です、なんて自ら吹聴はしないだろ」
それでも三浦さんが知っていたということは、一時的に噂になったのだろう。
ヘンテコな放送をするちょっと変わり者の先輩は、俺が強姦されたとき、すでにそこに居た。状況もバッチリ把握している。俺が一々説明する必要はない気がする。
モグモグと昼食を堪能し、いつ頃向かおうか相談していると、髪の長い綺麗な女性が俺達のテーブルの前に立ち、肩で息をしながら呟いた。
「ハァハァ……あなた達っ……やっと見つけましたよ……。こっちは昼食も取れないっていうのに、ずいぶん優雅ですね……っ」
突然現れた面識のない綺麗な女性を見上げると、遠回しに嫌味を言われてしまう。
ネクタイの色からして二年生のようだ。
「環樹──ああ、生徒会長様がお呼びなの、聞こえなかったのかしら? あの馬鹿のせいでこっちはあちこち捜しまわらなきゃいけないわ、野次馬を散らさなきゃいけないわ……。着任早々……とっとと行くわよ!」
そう環樹先輩のことを愚痴りながら、俺達に命令してくる。
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