166 / 716
第5幕 噂の姫乃ちゃん
29
しおりを挟む
「多澤は口悪いからね~。俺は今日は多澤に罵られまくられた。キモイオカマって!」
「それは雅臣が正しいよ村上君。それはそうと瀬菜、明日は気を付けてね? 今日だけでも姫乃ちゃん人気凄かったし、明日は一般のお客さんも来るから」
「俺そんなにビックリするほど人気じゃなかっただろ? 見慣れない格好だったし、明日は免疫付いてるんじゃないか? それに悠斗と居たから、余計に変な噂が広まったじゃんか」
プンプンと頬を膨らませる俺を、三人は頭を抱えてダメだこりゃと口を揃えて嘆いていた。
「そういえば、どうして瀬菜は女装すること教えてくれなかったの?」
「それは……箝口令出てたし、今日午後に言うつもりだったし。なっ村上!」
「うんうん! そういうこと! 別に王子が危険人物なんて思ってないよ!」
「ははっ! まぁ大衆の面前であのデレ具合だもんな。言いたくはないわな」
俺と村上は内心焦るが、多澤がケラケラと笑ってくれたおかげで怪しまれずに済む。
「ねぇ……俺のことそんなに常識ない危険人物に見えてるの? 俺、凄く我慢していたでしょ?」
ジトッと俺達を見る悠斗に、三人で頭を抱えてダメだこりゃと口を揃えて嘆いた。
明日もあるからと早々に店前で解散すると、家に戻る途中「そうだ」と、思い出したように悠斗が言った。
「明日、祐一さんと佐伯さんが来るって言っていたよ?」
「えーー! 俺、あの格好見られたくない!」
「ふふっ、なら瀬菜ってバレないようにしたら?」
「んー。頑張ってみる」
「それと瀬菜、スマホは必ず身につけていてね? 明日はスケジュール合わなそうだし、瀬菜とずっとは居れないと思うから」
確かに今日ほど悠斗と一緒にいる時間はなさそうだ。けれど悠斗の念を押すようなもの言いに首を傾げてしまう。
「なんで? スマホ?」
「なにかあったら電話できるでしょ? 瀬菜のセクシーショットも大歓迎だよ?」
「ああ、まぁ……。夏子のセクシーショットいっぱい送るな!」
「それはなんの嫌がらせ? 送ってもいいけど即削除するよ?」
「うわー、夏子可哀想……。夏子だってよく見れば可愛いぞ?」
「よく見ても化け物でしょ。瀬菜の目を疑うな。姫乃ちゃんが可愛いのが引き立つもん。はぁ……明日もきっと可愛いだろうな」
悠斗の頭の中にはどうやら姫乃ちゃんが居座っているらしい。
「むぅ~~! やっぱりお前は女がいいんだな! こうなったらトコトン演じてやる!」
「違うってば! 気合い入れなくてもいいよ。変な虫増えたら困るでしょ?」
「お前だって王子様で変な虫増えるだろ! お互い様だ!」
「瀬菜ってば意地悪なんだから……。そんなこと言うと今から攫っちゃうよ?」
「俺、超優しいしー♪ 明日も早いし今日はとっとと帰って寝ような!」
ニカっと笑いごまかしてみる。
「やっぱ意地悪。はぁ……悶々としながら夜を過ごすのか……」
ボソリとなにか不吉なことを言っている悠斗だが、突込まないほうが良さそうだ。俺は悠斗の言い分をスルーし「また明日、おやすみ!」と伝えると玄関に駆け込んだ。
「それは雅臣が正しいよ村上君。それはそうと瀬菜、明日は気を付けてね? 今日だけでも姫乃ちゃん人気凄かったし、明日は一般のお客さんも来るから」
「俺そんなにビックリするほど人気じゃなかっただろ? 見慣れない格好だったし、明日は免疫付いてるんじゃないか? それに悠斗と居たから、余計に変な噂が広まったじゃんか」
プンプンと頬を膨らませる俺を、三人は頭を抱えてダメだこりゃと口を揃えて嘆いていた。
「そういえば、どうして瀬菜は女装すること教えてくれなかったの?」
「それは……箝口令出てたし、今日午後に言うつもりだったし。なっ村上!」
「うんうん! そういうこと! 別に王子が危険人物なんて思ってないよ!」
「ははっ! まぁ大衆の面前であのデレ具合だもんな。言いたくはないわな」
俺と村上は内心焦るが、多澤がケラケラと笑ってくれたおかげで怪しまれずに済む。
「ねぇ……俺のことそんなに常識ない危険人物に見えてるの? 俺、凄く我慢していたでしょ?」
ジトッと俺達を見る悠斗に、三人で頭を抱えてダメだこりゃと口を揃えて嘆いた。
明日もあるからと早々に店前で解散すると、家に戻る途中「そうだ」と、思い出したように悠斗が言った。
「明日、祐一さんと佐伯さんが来るって言っていたよ?」
「えーー! 俺、あの格好見られたくない!」
「ふふっ、なら瀬菜ってバレないようにしたら?」
「んー。頑張ってみる」
「それと瀬菜、スマホは必ず身につけていてね? 明日はスケジュール合わなそうだし、瀬菜とずっとは居れないと思うから」
確かに今日ほど悠斗と一緒にいる時間はなさそうだ。けれど悠斗の念を押すようなもの言いに首を傾げてしまう。
「なんで? スマホ?」
「なにかあったら電話できるでしょ? 瀬菜のセクシーショットも大歓迎だよ?」
「ああ、まぁ……。夏子のセクシーショットいっぱい送るな!」
「それはなんの嫌がらせ? 送ってもいいけど即削除するよ?」
「うわー、夏子可哀想……。夏子だってよく見れば可愛いぞ?」
「よく見ても化け物でしょ。瀬菜の目を疑うな。姫乃ちゃんが可愛いのが引き立つもん。はぁ……明日もきっと可愛いだろうな」
悠斗の頭の中にはどうやら姫乃ちゃんが居座っているらしい。
「むぅ~~! やっぱりお前は女がいいんだな! こうなったらトコトン演じてやる!」
「違うってば! 気合い入れなくてもいいよ。変な虫増えたら困るでしょ?」
「お前だって王子様で変な虫増えるだろ! お互い様だ!」
「瀬菜ってば意地悪なんだから……。そんなこと言うと今から攫っちゃうよ?」
「俺、超優しいしー♪ 明日も早いし今日はとっとと帰って寝ような!」
ニカっと笑いごまかしてみる。
「やっぱ意地悪。はぁ……悶々としながら夜を過ごすのか……」
ボソリとなにか不吉なことを言っている悠斗だが、突込まないほうが良さそうだ。俺は悠斗の言い分をスルーし「また明日、おやすみ!」と伝えると玄関に駆け込んだ。
0
お気に入りに追加
237
あなたにおすすめの小説
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる