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第5幕 噂の姫乃ちゃん
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食堂で休憩でもするのかと、悠斗に手を引かれるまま着いて行く。俺の歩幅に合わせて校内を歩いてくれる悠斗に、嬉しさで顔がニヤけてしまう。
歩いているうちに徐々に人が減り、人影がない静かな廊下の一番奥にある教室で立ち止まると、悠斗は扉を開け中に入るように促してきた。
室内には誰もおらず、カーテンが閉められ薄っすらと陽の光が差し込んでいる。文化祭で盛り上がっている同じ校内とは思えないほど静まり返っており、たまに窓の外からワーっと微かに声が聞こえる程度。
「あ~疲れた。人混みは体力削られるよね? 瀬菜はそこ、机の上に座って?」
「そんなに疲れたのか? けど、こんなところでなにするんだ?」
「いいから……はい、座る!」
「うわっ!」
脇の下に手を差し込みヒョイっと持ち上げられ、机の上に腰を下ろす。悠斗は椅子に腰掛けると、俺の片足を持ち靴を脱がした。そのままソックスをするりと抜き取ると、爪先を手のひらで包みため息を漏らした。
「いつから我慢していたの? あちこち靴擦れしちゃってる。痛くなかったの?」
「……痛かったけど、折角悠斗とデートだし、まだ大丈夫かなって……思って」
「もう……嬉しいけど、瀬菜が痛いのは嫌だな」
悠斗はポケットから絆創膏を取り出すと、靴擦れしている部分に貼り付けてくれる。
「ありがとう……でも、よく気付いたな」
「瀬菜のことならね。いつもと違かったら、そりゃ分かるよ? 何年一緒に居ると思ってるの?」
もう片方の足も同じように悠斗は絆創膏を貼ってくれた。
「これで少しはパンプス履いても痛くないと思うけど、無理だったら抱っこするからね」
「うん、ありがとう。抱っこは……遠慮します」
「クスッ……今は女の子の格好だし、みんなに見られても恥ずかしくないでしょ?」
「そんなことないし。手繋いでるのだって結構ドキドキしたんだぞ」
「ふふっ、普段でも可愛いけど、また違う可愛さだから手が離せなくて」
「そんなに俺、悠斗から見ても違う? やっぱりさ、女の子のほうが……いいか?」
嬉しそうに校内を回る悠斗の様子に、男の俺よりも本当は女の子のほうが嬉しいのではないかとずっと感じていた。
「瀬菜……怒るよ。俺は瀬菜の性別なんてどうでもいい。もし瀬菜が女の子のだったらそれはそれで愛したし、男の子でも一緒。瀬菜だから好き。瀬菜がいいの」
悠斗は少しムッとした顔をしているが、俺は顔を真っ赤に染めてしまう。悠斗はいつでも俺が欲しい言葉をくれる。その言葉に一々喜ぶ自分は本当に単純だ。
俯く俺の片足を上げると、悠斗はちゅっちゅと脚の脛にキスをしてくる。そんな悠斗の行動に唇を噛み締め潤んだ瞳で見つめれば、口角を上げもう一度唇を落としツーっと舌で愛撫された。
「疲れた脚にキスでマッサージ。気持ちいい?」
口を開くと変な声を上げてしまいそうで、悠斗の質問に首を横に振り答える。
「そう? ならもっと念入りにしなきゃ……」
脚の脛から太ももへ移動する唇にビクッと肌が震える。反応が楽しいのか内腿の奥へと吸い付くと、赤く鬱血した印をいくつか付けられた。
「ふっ……悠斗、いい加減に……」
「瀬菜のフリフリパンツ見せて?」
「へっ⁉︎ ダメッ‼︎」
俺がスカートを押さえる前にバッと捲り上げる悠斗。キスだけで反応してしまった息子君が、小さい面積の下着からちょこんと頭を覗かせていた。
紐パンだけでも恥ずかしいのに、俺の正直な分身はイヤらしく鈴口からプクリと蜜を水滴のように滲ませている。
歩いているうちに徐々に人が減り、人影がない静かな廊下の一番奥にある教室で立ち止まると、悠斗は扉を開け中に入るように促してきた。
室内には誰もおらず、カーテンが閉められ薄っすらと陽の光が差し込んでいる。文化祭で盛り上がっている同じ校内とは思えないほど静まり返っており、たまに窓の外からワーっと微かに声が聞こえる程度。
「あ~疲れた。人混みは体力削られるよね? 瀬菜はそこ、机の上に座って?」
「そんなに疲れたのか? けど、こんなところでなにするんだ?」
「いいから……はい、座る!」
「うわっ!」
脇の下に手を差し込みヒョイっと持ち上げられ、机の上に腰を下ろす。悠斗は椅子に腰掛けると、俺の片足を持ち靴を脱がした。そのままソックスをするりと抜き取ると、爪先を手のひらで包みため息を漏らした。
「いつから我慢していたの? あちこち靴擦れしちゃってる。痛くなかったの?」
「……痛かったけど、折角悠斗とデートだし、まだ大丈夫かなって……思って」
「もう……嬉しいけど、瀬菜が痛いのは嫌だな」
悠斗はポケットから絆創膏を取り出すと、靴擦れしている部分に貼り付けてくれる。
「ありがとう……でも、よく気付いたな」
「瀬菜のことならね。いつもと違かったら、そりゃ分かるよ? 何年一緒に居ると思ってるの?」
もう片方の足も同じように悠斗は絆創膏を貼ってくれた。
「これで少しはパンプス履いても痛くないと思うけど、無理だったら抱っこするからね」
「うん、ありがとう。抱っこは……遠慮します」
「クスッ……今は女の子の格好だし、みんなに見られても恥ずかしくないでしょ?」
「そんなことないし。手繋いでるのだって結構ドキドキしたんだぞ」
「ふふっ、普段でも可愛いけど、また違う可愛さだから手が離せなくて」
「そんなに俺、悠斗から見ても違う? やっぱりさ、女の子のほうが……いいか?」
嬉しそうに校内を回る悠斗の様子に、男の俺よりも本当は女の子のほうが嬉しいのではないかとずっと感じていた。
「瀬菜……怒るよ。俺は瀬菜の性別なんてどうでもいい。もし瀬菜が女の子のだったらそれはそれで愛したし、男の子でも一緒。瀬菜だから好き。瀬菜がいいの」
悠斗は少しムッとした顔をしているが、俺は顔を真っ赤に染めてしまう。悠斗はいつでも俺が欲しい言葉をくれる。その言葉に一々喜ぶ自分は本当に単純だ。
俯く俺の片足を上げると、悠斗はちゅっちゅと脚の脛にキスをしてくる。そんな悠斗の行動に唇を噛み締め潤んだ瞳で見つめれば、口角を上げもう一度唇を落としツーっと舌で愛撫された。
「疲れた脚にキスでマッサージ。気持ちいい?」
口を開くと変な声を上げてしまいそうで、悠斗の質問に首を横に振り答える。
「そう? ならもっと念入りにしなきゃ……」
脚の脛から太ももへ移動する唇にビクッと肌が震える。反応が楽しいのか内腿の奥へと吸い付くと、赤く鬱血した印をいくつか付けられた。
「ふっ……悠斗、いい加減に……」
「瀬菜のフリフリパンツ見せて?」
「へっ⁉︎ ダメッ‼︎」
俺がスカートを押さえる前にバッと捲り上げる悠斗。キスだけで反応してしまった息子君が、小さい面積の下着からちょこんと頭を覗かせていた。
紐パンだけでも恥ずかしいのに、俺の正直な分身はイヤらしく鈴口からプクリと蜜を水滴のように滲ませている。
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