王子×悪戯戯曲

そら汰★

文字の大きさ
上 下
121 / 716
第4幕 盛り沢山な夏休み

14

しおりを挟む
 多澤の家に泊まると先ほどメッセージを受信したはずなのですが……。
 彼、なぜか隣に居ます……。
 なにがどうしてそうなったんですかね?
 そんな彼からたまには離れて、友情を深めようと決意したんですよ?

「瀬菜、見て。この花火、色が凄い綺麗だよ?」
「アーー、ホントウダーーキレイダネェーー」
「クスッ、なにその言い方。瀬菜ってば、感情全くこもっていないよ?」
「ソウデスカネェーー」
「ふふっ……変な瀬菜」

 イヤイヤ変なのはお前だろ!
 むしろ俺、意外と普通だと思うよ?

「なぁー多澤、王子と泊まりでなにしようとしていた訳? 花火二人でって訳じゃないっしょ?」
「あー……まぁほら、悠斗のヤツ瀬菜に禁止食らってるらしいからよ。遊びに行って瀬菜が疲れているのに手出したら禁止どころじゃ済まないってさ。変な気起こさないための、あいつなりの抵抗だったらしいぞ」
「そういうことね~。柳ちゃんはめちゃ悩んで、俺という友情で気分転換しようとしてたのに」
「全く……この間いざこざに巻き込まれて、やっとこ一段落したと思えば、お前が泊まるとか言うから」
「え~~! そりゃなくね? だって王子も多澤の家泊まるって言うからだな~!」
「お前さー、よく考えろよ。誕生日プレゼント、また変なアダルトグッツだったんだって? そんなもん渡す奴に、自分の恋人一緒に居させるの不安だろうが」
「あはは~……それかぁ~~」
「バーカっ……」

 夏のイベント。花火はこの夏やりたい事項に確かに入っていた。ウサギーランドで楽しんだあと、すぐにまた一つ叶って達成感はある。

 でもさ──なんか違くね?
  悠斗の予測不能な行動はいつものことだけど……。
 みんなでやれる花火もそりゃ楽しいけど……。
 なんで村上と多澤から離れて悠斗と二人で花火してんだよ‼︎

「なぁ、悠斗。みんなで花火やるんじゃなかったのか。なんで二人から離れてやっているんだよ!」
「瀬菜……やるとかやっているとかエロい言い方しないでよ。襲いたくなるでしょ?」

 恨めしそうな顔で悠斗が俺を見つめてくる。

「アホか! もういい! お前ひとりで寂しく花火していろ!」
「冗談でしょ? 分かった……みんなでちゃんと花火しよ? 打ち上げ花火も買って来たから機嫌直してよ」

 オロオロする悠斗に、調子に乗るなとそっぽを向く。

「お前、火付け役だからな!」

 プンプンしながら二人の居るところに向かい、悠斗が打ち上げ花火やってくれると伝えると、三人でベンチに座り打ち上げられるのを待つ。
 小ぶりながらも華やかな花火は、パンパンと澄んだ空気に音を響かせ夜空に打ち上げられていく。キラキラと舞い上がり儚く消える輝きに、徐々に怒りも治っていく。

 一緒に見たかったのに……。
 悠斗の馬鹿……。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

いとしの生徒会長さま

もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……! しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

Take On Me 2

マン太
BL
 大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。  そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。  岳は仕方なく会うことにするが…。 ※絡みの表現は控え目です。 ※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

合鍵

茉莉花 香乃
BL
高校から好きだった太一に告白されて恋人になった。鍵も渡されたけれど、僕は見てしまった。太一の部屋から出て行く女の人を…… 他サイトにも公開しています

処理中です...