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第4幕 盛り沢山な夏休み
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多澤の家に泊まると先ほどメッセージを受信したはずなのですが……。
彼、なぜか隣に居ます……。
なにがどうしてそうなったんですかね?
そんな彼からたまには離れて、友情を深めようと決意したんですよ?
「瀬菜、見て。この花火、色が凄い綺麗だよ?」
「アーー、ホントウダーーキレイダネェーー」
「クスッ、なにその言い方。瀬菜ってば、感情全くこもっていないよ?」
「ソウデスカネェーー」
「ふふっ……変な瀬菜」
イヤイヤ変なのはお前だろ!
むしろ俺、意外と普通だと思うよ?
「なぁー多澤、王子と泊まりでなにしようとしていた訳? 花火二人でって訳じゃないっしょ?」
「あー……まぁほら、悠斗のヤツ瀬菜に禁止食らってるらしいからよ。遊びに行って瀬菜が疲れているのに手出したら禁止どころじゃ済まないってさ。変な気起こさないための、あいつなりの抵抗だったらしいぞ」
「そういうことね~。柳ちゃんはめちゃ悩んで、俺という友情で気分転換しようとしてたのに」
「全く……この間いざこざに巻き込まれて、やっとこ一段落したと思えば、お前が泊まるとか言うから」
「え~~! そりゃなくね? だって王子も多澤の家泊まるって言うからだな~!」
「お前さー、よく考えろよ。誕生日プレゼント、また変なアダルトグッツだったんだって? そんなもん渡す奴に、自分の恋人一緒に居させるの不安だろうが」
「あはは~……それかぁ~~」
「バーカっ……」
夏のイベント。花火はこの夏やりたい事項に確かに入っていた。ウサギーランドで楽しんだあと、すぐにまた一つ叶って達成感はある。
でもさ──なんか違くね?
悠斗の予測不能な行動はいつものことだけど……。
みんなでやれる花火もそりゃ楽しいけど……。
なんで村上と多澤から離れて悠斗と二人で花火してんだよ‼︎
「なぁ、悠斗。みんなで花火やるんじゃなかったのか。なんで二人から離れてやっているんだよ!」
「瀬菜……やるとかやっているとかエロい言い方しないでよ。襲いたくなるでしょ?」
恨めしそうな顔で悠斗が俺を見つめてくる。
「アホか! もういい! お前ひとりで寂しく花火していろ!」
「冗談でしょ? 分かった……みんなでちゃんと花火しよ? 打ち上げ花火も買って来たから機嫌直してよ」
オロオロする悠斗に、調子に乗るなとそっぽを向く。
「お前、火付け役だからな!」
プンプンしながら二人の居るところに向かい、悠斗が打ち上げ花火やってくれると伝えると、三人でベンチに座り打ち上げられるのを待つ。
小ぶりながらも華やかな花火は、パンパンと澄んだ空気に音を響かせ夜空に打ち上げられていく。キラキラと舞い上がり儚く消える輝きに、徐々に怒りも治っていく。
一緒に見たかったのに……。
悠斗の馬鹿……。
彼、なぜか隣に居ます……。
なにがどうしてそうなったんですかね?
そんな彼からたまには離れて、友情を深めようと決意したんですよ?
「瀬菜、見て。この花火、色が凄い綺麗だよ?」
「アーー、ホントウダーーキレイダネェーー」
「クスッ、なにその言い方。瀬菜ってば、感情全くこもっていないよ?」
「ソウデスカネェーー」
「ふふっ……変な瀬菜」
イヤイヤ変なのはお前だろ!
むしろ俺、意外と普通だと思うよ?
「なぁー多澤、王子と泊まりでなにしようとしていた訳? 花火二人でって訳じゃないっしょ?」
「あー……まぁほら、悠斗のヤツ瀬菜に禁止食らってるらしいからよ。遊びに行って瀬菜が疲れているのに手出したら禁止どころじゃ済まないってさ。変な気起こさないための、あいつなりの抵抗だったらしいぞ」
「そういうことね~。柳ちゃんはめちゃ悩んで、俺という友情で気分転換しようとしてたのに」
「全く……この間いざこざに巻き込まれて、やっとこ一段落したと思えば、お前が泊まるとか言うから」
「え~~! そりゃなくね? だって王子も多澤の家泊まるって言うからだな~!」
「お前さー、よく考えろよ。誕生日プレゼント、また変なアダルトグッツだったんだって? そんなもん渡す奴に、自分の恋人一緒に居させるの不安だろうが」
「あはは~……それかぁ~~」
「バーカっ……」
夏のイベント。花火はこの夏やりたい事項に確かに入っていた。ウサギーランドで楽しんだあと、すぐにまた一つ叶って達成感はある。
でもさ──なんか違くね?
悠斗の予測不能な行動はいつものことだけど……。
みんなでやれる花火もそりゃ楽しいけど……。
なんで村上と多澤から離れて悠斗と二人で花火してんだよ‼︎
「なぁ、悠斗。みんなで花火やるんじゃなかったのか。なんで二人から離れてやっているんだよ!」
「瀬菜……やるとかやっているとかエロい言い方しないでよ。襲いたくなるでしょ?」
恨めしそうな顔で悠斗が俺を見つめてくる。
「アホか! もういい! お前ひとりで寂しく花火していろ!」
「冗談でしょ? 分かった……みんなでちゃんと花火しよ? 打ち上げ花火も買って来たから機嫌直してよ」
オロオロする悠斗に、調子に乗るなとそっぽを向く。
「お前、火付け役だからな!」
プンプンしながら二人の居るところに向かい、悠斗が打ち上げ花火やってくれると伝えると、三人でベンチに座り打ち上げられるのを待つ。
小ぶりながらも華やかな花火は、パンパンと澄んだ空気に音を響かせ夜空に打ち上げられていく。キラキラと舞い上がり儚く消える輝きに、徐々に怒りも治っていく。
一緒に見たかったのに……。
悠斗の馬鹿……。
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