王子×悪戯戯曲

そら汰★

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第3幕 溢れる疑惑

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 キッチンから部屋に戻ると、テレビを観ながらしっかり服を着ている悠斗に、アイスを渡しテーブルにペットボトルの水を置く。クーラーが効いた部屋でクラクラしていた頭が落ち着いていく。

「裸族卒業したのか?」
「ありがとう。瀬菜がフラフラだからちょっとの間ね?」
「ヤダって言ったのに、お前がしつこく触るからだろ。あゔ~~、アイスが体に染みる~♪」
「お風呂上がりだと倍で美味しいよね」

 涼しい室内だが、風のせいでアイスが溶けるのが早い。ポタポタと垂れる雫をペロペロと舐めていると、悠斗がボーッと俺を眺めていた。悠斗も湯当たりだろうか……アイス越しに見つめ返す。

「……わざとやっているの?」
「なにが? お前も早く食べないと……それ溶けているぞ?」

 悠斗は大きく息を吐きアイスを勢い良く食べ終わると、水をひと口飲みテーブルに突っ伏していた。
 一体悠斗はなにをやっているのだ。テーブルに張り付いたまま、動きを見せない悠斗の髪を弄りながら話し掛ける。

「なぁ……悠斗」
「ん? なぁーに?」
「俺さ、今年の誕生日、凄くいい想い出になった。色々勘違いもして、お前には迷惑掛けたけど、生まれてきて良かったなって心から思ったよ。俺……お前になにか返せないかなって考えたけど、全然思い浮かばなくてさ。でも、これから少しずつでも返していくよ。俺が幸せな分、お前にも幸せになって欲しいからさ」

 ガバっと急に起き上がる悠斗にビックリすると、泣きそうな悠斗の顔が一瞬見え俺に抱きついてくる。俺も悠斗の背中に腕を回して抱きしめ返す。

「瀬菜……俺は幸せだよ。恋人にもなれて、瀬菜が側に居る……凄く幸せ」
「うん。悠斗、いつもありがとう」

 悠斗は力を緩め俺の頰を両手で包むと、顔中に優しいキスをする。啄むようなキスから深い口付けに変わり、一度治ったはずの疼きが湧き上がってくる。潤んだ瞳で見つめれば、欲情しきった瞳で見つめ返され、ゾクリと身体が震えてしまう。

「瀬菜……我慢大会もう終わりにしていい?」
「なんだよそれ……我慢させたつもりないけど……」
「焦らすのは本当に得意だね。ほら、俺ずっとこんなだよ?」

 手を導かれて悠斗の大きく勃起した陰茎を、ズボンの上から確認させられる。自分は一度落ち着いていたので、まさかずっとこのままだったのかと思うと可哀想になる。

「ごめん……気付かなかった」
「アイス食べてるときなんて、見ているだけでヤバかったよ?」

 ああ……そういうことか……。
 それで机に伏せていたのか。

 理解すると俺は悠斗のズボンをずらして屈み込み、ペロリとペニスを舐めた。アイスを舐めるように、悠斗に視線を向けながらチロチロと舐め上げていく。ピクピクと熱くて大きいペニスを咥え、口を窄め上下に動かす。

「ん……ッ、瀬菜いきなり……ん、んっ……はっ」
「やくほくだし……アイフみたひになめへほひいだお?」
「やば……我慢して良かった」
「うー……あふくて……口のなは、ヒモチ」

 ちゃぷちゃぷとペニスを舐めていると、悠斗の鈴口から苦味のある体液が溢れる。ヌメリと唾液が混ざり合い、口腔から溢れそうになる度にコクリと飲み込むと、まるで媚薬を含んだように気持ちが昂ぶってしまう。

 悠斗のまだ大きくなっていく。
 全部飲み込めないかも……。
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