上 下
6 / 14

⑥ロイドの憂い

しおりを挟む
食後は部屋に戻って
メイドは、私の体をキレイにふきベッドへ置くとすぐに出て行った。
ベッドにはノエルもいた。

私は体を慣らすため、食後の運動をするために歩いてみたが、
ふかふかのベッドが、歩きずらく、
しかも、ノエルも真似して私の後ろから着いてくるので余計に歩きずらかった。
2匹並んでベッドを歩いてる所へ、


ロイドが大きい声で「ノエル・モナ!寝てるか?」と言いながら部屋へ入ってきた。

寝ていても大きな声で起きるんじゃないかって思いながら私は首をかしげた。



「何歩いてるんだ?運動したいのか!じゃあ遊ぼう
 昨日は父上と一緒に寝たが
 今日は俺と一緒に寝る日なんだぞ!明日は兄上だ」

私をヒョイと抱えたロイドは上へポンと投げ続けてノエルも投げた。

「ピィー」

「..........」

ロイドは私とノエルをお手玉みたいに落ちたら投げるを繰り返した。
最初は怖いと思ってたが、ロイドは雑に見えるが優しく抱き留めてくれ
投げる時もフワっと優しく投げている事に気づいたら、むしろ
楽しくなってきた。
すると、ノエルは空中に舞ってる間に翼を広げたりしてるうちに、
飛べる?というより、少ない時間だが、空中でとどまれるようになった。

「ノエルは大丈夫そうだな!練習したら飛べるようになるよ!」


ロイドはそう言いながらもノエルにぶつからないように、
片手で私を投げ、ノエルも最初は空中でとどまっていたが、
力尽きて落ちたら、ロイドはまた投げるを繰り返ししていた。

(ずるいー私も飛べたらいいのにー)

私は空中で、もがいて動いたが、元が人間なのか
翼を動かす?感覚も分からず空中でジタバタした。

「モナ無理するなーこの遊びは空中を飛ぶ感覚を感じるためだし
 はしゃぎ過ぎたら疲れるぞー」

私が落ちたら今度は投げずに右手で脇に挟んで顔をのぞきながら言ってきた。
その頭上でノエルは空中を漂いながらそーっとロイドの左手に落ちて乗った。
ロイドは給仕をするウエイトレスみたいに、
右手にモナ左手にノエルを乗せ両方を交互に見つめた。


「ピィ?」と私は頭を傾きフラフラさせながら次兄の顔の良さにウットリ見入って
     あんなに翼を動かせなかったが、その時は翼を軽く羽ばたいていた

「........」ノエルは無尽蔵みたいに1ミリも動かずただ座っていた。

「プッ  お前ら双子なのに全然違うなー笑える...
 モナは体を揺らしながら笑う所が母上にそっくり....
 ノエルは全く父上や兄上俺と似てないなー
 たぶん母上の父、祖父の青龍公に似ているぞー仏頂面で、
   無口で感情が読めない所...
 お前たち二人がきっと青龍公と父上を仲直りしてやれるかもしれないな...
 俺や兄上は父上似だから難しいから...

 亡くなった母上が最後に言ったんだ
 (ごめんなさい...お父さま)って.....」

明るくイキイキしてるロイドが悲しいのに笑ってる顔で言ってたから
私は、わざと急に体を丸めてうずくまった。

「モナどうしたんだ?」

ロイドは慌ててノエルを床に優しく降ろした後
私を見ようと顔を近づけると私は、ロイドの顔を翼を広げて包み込み
頭をさするように、翼を動かした。
そしてノエルは必死に飛んで行きロイドの頭に乗って座り込んだ。


「...........」
しばらく私は兄の頭をさすり、
ノエルはロイドの頭の上で犬が伏せをしているように座ってそれぞれに
慰めるように温もりを分け合った。


「よーし寝よう!」

しばらくすると、ロイドは何も無かったようにベッドへ行き座った
私はロイドに抱えられていたから見上げたら

「ピウィ!ピー」震えながら私は笑っていた。

カッコイイ兄の頭の上に彫刻のように背筋よく座ってる
ノエルと兄の姿が面白かったのだ....


「なんか重いと思ったら...ノエルか」
片手で摘まんでポイっとベットへ置くと私を真ん中にして、
ロイドは「二人とも愛してる」とキスして言って眠りについた。

子供のくせに”愛してる”だなんてセリフ可愛いんだからー
亡くなったお母さんを思い出したら
私だったら泣いちゃうけど
兄は子供なのに意外と強がりの性格?
男のプライド?でも、カッコイイなー
私はとても幸せいっぱいに包まれながら眠った。





その日の夜
「様子はどうだった?」

「とても仲睦まじいご様子でした。
 旦那様が昔ロイド様へされたように、
 モナ様ノエル様を空中へ飛ばしながらモナ様には魔力も一緒に送り
 はしゃいでいらしたようです。ノエル様はコツをつかんだらしく、
 あの頃のロイド様のように空中で漂うことが可能になったそうです。」


「ラルクは生まれて一か月間飛ばず、ある日突然自然と飛んだが、
 ロイドのようにすぐ飛ぼうとする当たり、
 ノエルも動くことが好きなのかもしれぬな。」


「はい、そのようです。恐れながら...
 その後、モナ様ノエル様を見て、サラ様を思い出されたようで
 ノエル様は青龍公に似ている...と
 それから、サラ様の言われた言葉を思い出されたようです。」


「...義父上に、ノエルは似ているな.....
 確か、......................................................
(ごめんなさい お父様).............だったな」


 
そう一言いったあと、しばらくの間沈黙が続いた。
ルイとサラは恋愛結婚で、
サラの父親である青龍公に反対され勘当されながらも、結婚した。
その後、ラルク・ロイドが生まれてからも連絡や会いに行ったが、許してくれなかった。
サラは青龍公が男で一つで育てた一人娘だった。

静かで冷静沈着だが、悪く言えば無口で根暗な頑固一徹の青龍公と違い
真逆ともいえるサラは、天真爛漫で何よりも空を飛ぶこと等、
動き回ることが大好きな明るい妻だった。
その家族の溝は最後の最後まで譲歩もなく
サラ....青龍公にとって娘の葬儀にさえ顔を出さなかったぐらい徹底ぶりだ。



その沈黙を破ったのも本人であるルイであった。

「ロイドは..........大丈夫か」

ラルク・ロイド共には父親似で
よく二人とも(母上に似ていたら違ってたかも....)と言っていた。
特にロイドは中途半端な黒に近い紺の色を持ち、もっと青ければ...と
どうしようもない事で悩んでいた。
何よりイキイキとしてハツラツとして明るい所はサラに似ているのに...

セバスは静かにゆっくり返事をした。

「モナ様ノエル様がお慰めされて元気におなりでした。」


「父親なのに私は役立たずだ。言葉も発せない小さき子達でさえ
 ロイドの心を守ってやれるのに......。」


「父親の愛はあなた様しか出来ません。
 坊ちゃんに出来る事をなされたら良いのです。」


「............セバス...は無いだろう私は4人の父親だぞ?」


「はいでございます。
 旦那様がすべき事はご自分が一番分っているのでしょう?
 申し訳ございません。出過ぎたことを申しました。
 罰として一日断食致します。失礼いたします。」


セバスはお辞儀して部屋を出ようとした。


「待て!セバス罰としては軽いし一日では足りない。
 ...........私に仕える事、以上」

「.......かしこまりました。旦那様」
セバスは深くお辞儀をしながら出て行った。







朝私は目覚めると、ある共通点を
ロイド兄さん....ノエルはあなたに





目覚めると右からロイド兄さんにしがみつかれ
左からはノエルが私を覆うように翼を広げて包み
苦しく目が覚めたのだ。
二人そろって寝相が悪ーーーーーーーーーーい。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる

兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

転生嫌われ令嬢の幸せカロリー飯

赤羽夕夜
恋愛
15の時に生前OLだった記憶がよみがえった嫌われ令嬢ミリアーナは、OLだったときの食生活、趣味嗜好が影響され、日々の人間関係のストレスを食や趣味で発散するようになる。 濃い味付けやこってりとしたものが好きなミリアーナは、令嬢にあるまじきこと、いけないことだと認識しながらも、人が寝静まる深夜に人目を盗むようになにかと夜食を作り始める。 そんななかミリアーナの父ヴェスター、父の専属執事であり幼い頃自分の世話役だったジョンに夜食を作っているところを見られてしまうことが始まりで、ミリアーナの変わった趣味、食生活が世間に露見して――? ※恋愛要素は中盤以降になります。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です

岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」  私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。  しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。  しかも私を年増呼ばわり。  はあ?  あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!  などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。  その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

婚約破棄ですか? でしたら貴方様には、その代償を払っていただきますね

柚木ゆず
ファンタジー
 婚約者であるクリストフ様は、私の罪を捏造して婚約破棄を宣言されました。  ……クリストフ様。貴方様は気付いていないと思いますが、そちらは契約違反となります。ですのでこれから、その代償を受けていただきますね。

処理中です...