黄金竜のいるセカイ

にぎた

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終章 セカイに光あれ

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 瓦礫の山オルストンにて、バルとウタは黄金ワニに追いかけられている。

「なんであんなことしたの!?」
「だって! あのままだと、隊長はやられてたよ!」

 瓦礫の合間を走り抜ける。しかし、ワニは瓦礫など目もくれず最短距離で二人に詰め寄ってくる。

「もうすぐ後ろだよ!」

 叫んだウタが足をとられて転ぶ。気がついたバルは、ウタの手をひっぱった。

 だが、もう遅い。
 喰われちゃう! 

 ワニはもうすぐそこだ。大きな口を開け、ミキサーのようなノコギリ牙が見えた。

 だが、ワニは大きな口を開けたまま、足元からバラバラに崩れていくではないか。
 徐々にスピードが落ちていき、二人の鼻の先で止まった。

 何が起こったの?

 ノコギリ牙が目の前にある。
 突然動かなくなったワニを目の前にして、涙目で抱き合う少年二人は、しばらく動けずにいた。



 竜の胎内にて、白い影たちがリオンもどきを解放した。

「もう終わったのよ」
「そんなバカな……」

 リオンもどきと白い影たちが消えていく。プロトタイプの放った光を浴びて、彼らも浄化されていくのだ。

「認めない。我々がどれだけの思いで平和を願ったのか……」
「願うだけなら誰にでもできるのよ」

 そして消えた。白い影たちも。リオンの体も。声も。気配も。魂も。竜の胎内には、静寂だけが残った。



 女隊長リーは見ていた。

 光を吐き終えた金色こんじきの竜は、しばらくして糸が切れたかのように、その巨体をオルストンの瓦礫の山へ倒れたところを。

 目の光が消えた。
 すべて終わった。生まれながらに縛られていた運命。錆び付き絡み合った争いの鎖が、ようやく紐解かれたのだ。

 そして、意識が遠のく視界の隅で、彼女は見た。

 ストンストン、と大きな音をたてる、ヘンテコリンな乗り物に乗った2人が、竜の口から出てくるところを。


(結・黄金竜神物語へつづく――)
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