君のための魔法

魔法使いは愛のために

ここは女王シェヘル・アルバートの国、第三都市アルバート。
僕は平凡な奴隷のルルだ。
ご主人様であるレイチェル様に拾われなかったら死んでいた。
レイチェル様に感謝しながら、毎日を過ごしていた。
でも、ある日レイチェル様は不治の病に犯されてしまった。
治したくても僕は無力で、毎日を泣いて過ごしていた。
ある日、不思議な夢をみた。
『レイチェル様は残りの命がわずかになりました。ですから、あなたに恩返しのための力を授けます。その力は自分の命と引き換えに望み通りの魔法が使えます。しかし悪いことに使えばあなたは地獄に落ちますよ』
誰かはわからなかった。
朝、目を覚ますと僕は魔法使いになっていた。

僕「レイチェル様！みてください！」 
僕は庭の枯れ木に満開の花を咲かせて、レイチェル様にみせてみた。
レイチェル様は花が好きだから、喜んでくれると思ったんだ。
レイチェル「まぁ、素敵ね…ゴホッ」
苦しそうに咳き込むレイチェル様。
僕はいろんな魔法を思いつく限りやってみた。
レイチェル様は久しぶりにたくさん笑顔を見せてくれて嬉しかった。
でも…。
レイチェル様の命は残りわずか…。
僕は涙が出そうなのを必死に堪えた。
 
僕はあるとき思った。
魔法でレイチェル様の病気を治せないだろうかと。
僕はレイチェル様の病気を魔法で治そうとした。
結果は成功した。
レイチェル様の顔色はみるみるよくなった。
しかし、レイチェル様の目の前で僕は倒れた。
魔法を、命を使い過ぎたみたいだ。
レイチェル様が涙を流しながら僕の名前を必死に呼んでいる。
僕「レイチェル様、僕幸せだったよ。さようなら。ありがとう」
レイチェル「いや！目を開けて！死なないで！」
僕の意識はレイチェル様の言葉を最後になくなった。
 
ここはどこ？
僕は死んだのかな？
？「目を覚ましましたね」
僕「誰？」
？「私はシェヘル。この国の女王です」
シェヘルは僕に微笑みを浮かべ、頭を撫でてくれた。
シェヘル「心優しいルル。あなたが望むなら、あなたを精霊にしてあげましょう。精霊になれば、またレイチェルとともにいられますよ」
僕「本当に？」
シェヘル「ええ…」
僕は、レイチェル様のもとに戻れるならとうなずいた。

それから数日後。
「にゃー」
レイチェル「あら、お腹が空いたのかしら」
レイチェル様は一匹の猫を飼い始めた。
悲しみにくれるレイチェル様に毎日花をもってきたその猫を、レイチェル様は気に入ったからだ。
レイチェル「不思議よね。あなたをみてるとルルのことを思い出すの」

レイチェル様は知らない。
その猫が、精霊になったルルだということを。