11 / 28
第二章 狂いと絶望
10話 告白
しおりを挟む
私は海斗に、杏のことを話した。
何でか、自分の思いが口をついて出てくる。
美雪以外、誰にも話すつもりはなかったのに。
「意外だな。松川と森野は友達だと思ってた。傍から見ても楽しそうだったし」
「私も…」
私はうなだれた。
だが、1番辛いのは“悲しい”よりも“憎い”が勝っていることだ。
裏切られて悲しい。ではなく、仲良くならなければ良かったとさえ思う。
「まぁでも、ズルズルと表面上の付き合いをするよりは本性が分かって良かったんじゃないか?」
「……そう、かな」
「松川が、森野をもっと信頼するようになってたら今よりも苦しいだろうし」
「そうだね…」
確かに、それは一理ある。
大好きだと思ってもらえる人と過ごす方が幸せだから。
でも、江藤君は分かってない。
女って、面倒なんだよ。
友達という存在を失うと、待っているのは孤立だけだ。
そして一度孤立した人には、誰も手を差し伸べない。グループにいれない。
楽しい学校生活は友達によってきまるのだ。
そう、例えいじめられていたとしても友達がいるだけでどれほど支えになるだろう。
私は、大人の都合で美雪を。
そして勝手な都合で友達を失ったのだ。
翌週。
私はある決心をした。
海斗に自分の気持ちを伝えようと思ったのだ。
言っておくけど、期待しているわけじゃないよ。
ただ、自分の気持ちに終止符を打とうとしているだけだ。
かつての孤独に戻ってしまった以上、この思いは自分を追い詰めるだけだから。
私は、海斗を人気のない校舎裏に呼び出した。
「何?話って」
海斗の口調は、いつも優しい。
ごめんね。こんなのに想われて。
「私……。海斗君が、好き…だよ」
「え?それ……告白ってことでいいの?」
「うん。あ、でも返事は別に…」
そう言いかけると、海斗は突然笑い始めた。
「俺がちょっと優しくしたら、すぐにそう思うんだ?」
「え……?」
「松川1人にだけ優しくしてるとでも思ったのか?残念。俺は誰に対してもこうだよ。好感度上げたいし。」
「江藤…君?」
「俺がわざわざいじめられているような奴と付き合う訳が無いだろ。そもそも、お前のことを友達とか思う奴すら現れるかよ」
どう…して?
どうして私がこんな目に遭わなきゃならないの?
ただ、聞いてほしいだけだったのに…
もう嫌だよ。
ここには居たくない。
逃げたい。
私は藁にもすがる思いで担任の先生に全てを話すことにした。
何でか、自分の思いが口をついて出てくる。
美雪以外、誰にも話すつもりはなかったのに。
「意外だな。松川と森野は友達だと思ってた。傍から見ても楽しそうだったし」
「私も…」
私はうなだれた。
だが、1番辛いのは“悲しい”よりも“憎い”が勝っていることだ。
裏切られて悲しい。ではなく、仲良くならなければ良かったとさえ思う。
「まぁでも、ズルズルと表面上の付き合いをするよりは本性が分かって良かったんじゃないか?」
「……そう、かな」
「松川が、森野をもっと信頼するようになってたら今よりも苦しいだろうし」
「そうだね…」
確かに、それは一理ある。
大好きだと思ってもらえる人と過ごす方が幸せだから。
でも、江藤君は分かってない。
女って、面倒なんだよ。
友達という存在を失うと、待っているのは孤立だけだ。
そして一度孤立した人には、誰も手を差し伸べない。グループにいれない。
楽しい学校生活は友達によってきまるのだ。
そう、例えいじめられていたとしても友達がいるだけでどれほど支えになるだろう。
私は、大人の都合で美雪を。
そして勝手な都合で友達を失ったのだ。
翌週。
私はある決心をした。
海斗に自分の気持ちを伝えようと思ったのだ。
言っておくけど、期待しているわけじゃないよ。
ただ、自分の気持ちに終止符を打とうとしているだけだ。
かつての孤独に戻ってしまった以上、この思いは自分を追い詰めるだけだから。
私は、海斗を人気のない校舎裏に呼び出した。
「何?話って」
海斗の口調は、いつも優しい。
ごめんね。こんなのに想われて。
「私……。海斗君が、好き…だよ」
「え?それ……告白ってことでいいの?」
「うん。あ、でも返事は別に…」
そう言いかけると、海斗は突然笑い始めた。
「俺がちょっと優しくしたら、すぐにそう思うんだ?」
「え……?」
「松川1人にだけ優しくしてるとでも思ったのか?残念。俺は誰に対してもこうだよ。好感度上げたいし。」
「江藤…君?」
「俺がわざわざいじめられているような奴と付き合う訳が無いだろ。そもそも、お前のことを友達とか思う奴すら現れるかよ」
どう…して?
どうして私がこんな目に遭わなきゃならないの?
ただ、聞いてほしいだけだったのに…
もう嫌だよ。
ここには居たくない。
逃げたい。
私は藁にもすがる思いで担任の先生に全てを話すことにした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
勿忘草 ~記憶の呪い~
夢華彩音
ミステリー
私、安積織絵はとある学校に転入してくる。 実は彼女には記憶がない。その失われた記憶を取り戻すために手がかりを探していくのだが…
織絵が記憶をたどるほど複雑で悲しい出来事が待っているのだった。
勿忘草(ワスレナグサ)シリーズ第1弾
<挿絵 : パラソルさんに描いて頂きました>
《面白いと感じてくださったら是非お気に入り登録 又はコメントしてくださると嬉しいです。今後の励みになります》
時の呪縛
葉羽
ミステリー
山間の孤立した村にある古びた時計塔。かつてこの村は繁栄していたが、失踪事件が連続して発生したことで、村人たちは恐れを抱き、時計塔は放置されたままとなった。17歳の天才高校生・神藤葉羽は、友人に誘われてこの村を訪れることになる。そこで彼は、幼馴染の望月彩由美と共に、村の秘密に迫ることになる。
葉羽と彩由美は、失踪事件に関する不気味な噂を耳にし、時計塔に隠された真実を解明しようとする。しかし、時計塔の内部には、過去の記憶を呼び起こす仕掛けが待ち受けていた。彼らは、時間が歪み、過去の失踪者たちの幻影に直面する中で、次第に自らの心の奥底に潜む恐怖と向き合わせることになる。
果たして、彼らは村の呪いを解き明かし、失踪事件の真相に辿り着けるのか?そして、彼らの友情と恋心は試される。緊迫感あふれる謎解きと心理的恐怖が交錯する本格推理小説。
白雪姫の接吻
坂水
ミステリー
――香世子。貴女は、本当に白雪姫だった。
二十年ぶりに再会した美しい幼馴染と旧交を温める、主婦である直美。
香世子はなぜこの田舎町に戻ってきたのか。実父と継母が住む白いお城のようなあの邸に。甘美な時間を過ごしながらも直美は不可解に思う。
城から響いた悲鳴、連れ出された一人娘、二十年前に彼女がこの町を出た理由。食い違う原作(オリジナル)と脚本(アレンジ)。そして母から娘へと受け継がれる憧れと呪い。
本当は怖い『白雪姫』のストーリーになぞらえて再演される彼女たちの物語。
全41話。2018年6月下旬まで毎日21:00更新。→全41話から少し延長します。
失踪した悪役令嬢の奇妙な置き土産
柚木崎 史乃
ミステリー
『探偵侯爵』の二つ名を持つギルフォードは、その優れた推理力で数々の難事件を解決してきた。
そんなギルフォードのもとに、従姉の伯爵令嬢・エルシーが失踪したという知らせが舞い込んでくる。
エルシーは、一度は婚約者に婚約を破棄されたものの、諸事情で呼び戻され復縁・結婚したという特殊な経歴を持つ女性だ。
そして、後日。彼女の夫から失踪事件についての調査依頼を受けたギルフォードは、邸の庭で謎の人形を複数発見する。
怪訝に思いつつも調査を進めた結果、ギルフォードはある『真相』にたどり着くが──。
悪役令嬢の従弟である若き侯爵ギルフォードが謎解きに奮闘する、ゴシックファンタジーミステリー。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる