終わりのない悪夢~七つの復讐~

夢華彩音

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第一章 幸せな日常

4話 突然

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「ねぇ。朱音、最近の松川調子乗ってない?」
千秋は朱音の腕に手を添えた。

放課後になると、取り巻きである千秋と若菜は朱音の機嫌をとろうとする。
「そう?」
朱音は興味無さそうだった。
「碧 美雪がいるせいで松川と遊べないじゃない。…ねぇ?朱音。また昔のように4人で居たいなぁ」
若菜は形だけの笑顔を浮かべた。
「そんなの、また別のを探せばいいだけでしょ。」
「そうだけど。ほら、松川ほど便利な相手いないじゃない?私退屈でさ」
千秋は朱音の手を握った。
今から行こうよと言いたげな表情で。
「それを探すのはあんた達に任せたでしょ。さっさとすれば?」
朱音は千秋の手を振りほどいた。
千秋と若菜は顔を見合わせて首をすくめた。

取り巻きとは言うものの、2人は朱音を慕っているのだ。





同時刻。
「ただいまー!」
美雪は勢いよく玄関の扉を開いた。
「おかえりなさい、美雪。おやつがあるから着替えたら降りてらっしゃい。大事な話もしなくちゃいけないし…」
美雪の母親、碧 千鶴は布巾を持ったままリビングから出てきた。
「はーい。……って、あれ?お父さん帰ってるの?」
美雪は父の靴があることに驚いた。
こんな時間に帰ってるなんて滅多にないことだった。
「あー、うん。そうみたい。」
「ふーん。じゃあ着替えてくるね」
「はいはい。」



美雪は部屋の電気をつけた。
机の上には優美から借りた小説が置いてある。
「あっ。もう読んだのに優美に返してなかったな。」
美雪は忘れないようにその本を鞄にしまった。
「明日は鞄を雑な扱いしないように気を付けなきゃ」
と、独り言を呟きながら着替えを終えた。
階段を駆け足で降り、リビングに入ると両親は暗い顔で座っていた。
「何かあったの?…今日、おかしいよ。珍しくお父さんが早く帰ってきたんだからやめてよね、そういうの」
美雪が無理に冗談を言うと、父の碧 春之が重い口を開いた。
「実は……」

その内容は、美雪を暗闇に突き落とすようなものだった。






翌朝、私(松川 優美) は美雪の様子がおかしいことに気がついた。
しかし、美雪から話してくれるだろうと思ってそっとしていたのだが…
ホームルームで担任の黒谷 健がため息をついて話し始めた。
「実は、みんなに悲しい知らせがあるんだ。……碧さん。前に来なさい」
「………はい。」
美雪は黒谷先生の隣に立つと、抑揚の無い声で言った。
「私、転校することになりました。……父の転勤先があまりに遠いから、私も編入するしか無いみたいで……。ここに残るって選択肢は両親には無くて、それで…」

美雪の言葉は私への言い訳のようで、私は頭の中が真っ暗になったようなきがした。
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