5 / 28
第一章 幸せな日常
4話 突然
しおりを挟む
「ねぇ。朱音、最近の松川調子乗ってない?」
千秋は朱音の腕に手を添えた。
放課後になると、取り巻きである千秋と若菜は朱音の機嫌をとろうとする。
「そう?」
朱音は興味無さそうだった。
「碧 美雪がいるせいで松川と遊べないじゃない。…ねぇ?朱音。また昔のように4人で居たいなぁ」
若菜は形だけの笑顔を浮かべた。
「そんなの、また別のを探せばいいだけでしょ。」
「そうだけど。ほら、松川ほど便利な相手いないじゃない?私退屈でさ」
千秋は朱音の手を握った。
今から行こうよと言いたげな表情で。
「それを探すのはあんた達に任せたでしょ。さっさとすれば?」
朱音は千秋の手を振りほどいた。
千秋と若菜は顔を見合わせて首をすくめた。
取り巻きとは言うものの、2人は朱音を慕っているのだ。
同時刻。
「ただいまー!」
美雪は勢いよく玄関の扉を開いた。
「おかえりなさい、美雪。おやつがあるから着替えたら降りてらっしゃい。大事な話もしなくちゃいけないし…」
美雪の母親、碧 千鶴は布巾を持ったままリビングから出てきた。
「はーい。……って、あれ?お父さん帰ってるの?」
美雪は父の靴があることに驚いた。
こんな時間に帰ってるなんて滅多にないことだった。
「あー、うん。そうみたい。」
「ふーん。じゃあ着替えてくるね」
「はいはい。」
美雪は部屋の電気をつけた。
机の上には優美から借りた小説が置いてある。
「あっ。もう読んだのに優美に返してなかったな。」
美雪は忘れないようにその本を鞄にしまった。
「明日は鞄を雑な扱いしないように気を付けなきゃ」
と、独り言を呟きながら着替えを終えた。
階段を駆け足で降り、リビングに入ると両親は暗い顔で座っていた。
「何かあったの?…今日、おかしいよ。珍しくお父さんが早く帰ってきたんだからやめてよね、そういうの」
美雪が無理に冗談を言うと、父の碧 春之が重い口を開いた。
「実は……」
その内容は、美雪を暗闇に突き落とすようなものだった。
翌朝、私(松川 優美) は美雪の様子がおかしいことに気がついた。
しかし、美雪から話してくれるだろうと思ってそっとしていたのだが…
ホームルームで担任の黒谷 健がため息をついて話し始めた。
「実は、みんなに悲しい知らせがあるんだ。……碧さん。前に来なさい」
「………はい。」
美雪は黒谷先生の隣に立つと、抑揚の無い声で言った。
「私、転校することになりました。……父の転勤先があまりに遠いから、私も編入するしか無いみたいで……。ここに残るって選択肢は両親には無くて、それで…」
美雪の言葉は私への言い訳のようで、私は頭の中が真っ暗になったようなきがした。
千秋は朱音の腕に手を添えた。
放課後になると、取り巻きである千秋と若菜は朱音の機嫌をとろうとする。
「そう?」
朱音は興味無さそうだった。
「碧 美雪がいるせいで松川と遊べないじゃない。…ねぇ?朱音。また昔のように4人で居たいなぁ」
若菜は形だけの笑顔を浮かべた。
「そんなの、また別のを探せばいいだけでしょ。」
「そうだけど。ほら、松川ほど便利な相手いないじゃない?私退屈でさ」
千秋は朱音の手を握った。
今から行こうよと言いたげな表情で。
「それを探すのはあんた達に任せたでしょ。さっさとすれば?」
朱音は千秋の手を振りほどいた。
千秋と若菜は顔を見合わせて首をすくめた。
取り巻きとは言うものの、2人は朱音を慕っているのだ。
同時刻。
「ただいまー!」
美雪は勢いよく玄関の扉を開いた。
「おかえりなさい、美雪。おやつがあるから着替えたら降りてらっしゃい。大事な話もしなくちゃいけないし…」
美雪の母親、碧 千鶴は布巾を持ったままリビングから出てきた。
「はーい。……って、あれ?お父さん帰ってるの?」
美雪は父の靴があることに驚いた。
こんな時間に帰ってるなんて滅多にないことだった。
「あー、うん。そうみたい。」
「ふーん。じゃあ着替えてくるね」
「はいはい。」
美雪は部屋の電気をつけた。
机の上には優美から借りた小説が置いてある。
「あっ。もう読んだのに優美に返してなかったな。」
美雪は忘れないようにその本を鞄にしまった。
「明日は鞄を雑な扱いしないように気を付けなきゃ」
と、独り言を呟きながら着替えを終えた。
階段を駆け足で降り、リビングに入ると両親は暗い顔で座っていた。
「何かあったの?…今日、おかしいよ。珍しくお父さんが早く帰ってきたんだからやめてよね、そういうの」
美雪が無理に冗談を言うと、父の碧 春之が重い口を開いた。
「実は……」
その内容は、美雪を暗闇に突き落とすようなものだった。
翌朝、私(松川 優美) は美雪の様子がおかしいことに気がついた。
しかし、美雪から話してくれるだろうと思ってそっとしていたのだが…
ホームルームで担任の黒谷 健がため息をついて話し始めた。
「実は、みんなに悲しい知らせがあるんだ。……碧さん。前に来なさい」
「………はい。」
美雪は黒谷先生の隣に立つと、抑揚の無い声で言った。
「私、転校することになりました。……父の転勤先があまりに遠いから、私も編入するしか無いみたいで……。ここに残るって選択肢は両親には無くて、それで…」
美雪の言葉は私への言い訳のようで、私は頭の中が真っ暗になったようなきがした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

このブラジャーは誰のもの?
本田 壱好
ミステリー
ある日、体育の授業で頭に怪我をし早退した本前 建音に不幸な事が起こる。
保健室にいて帰った通学鞄を、隣に住む幼馴染の日脚 色が持ってくる。その中から、見知らぬブラジャーとパンティが入っていて‥。
誰が、一体、なんの為に。
この物語は、モテナイ・冴えない・ごく平凡な男が、突然手に入った女性用下着の持ち主を探す、ミステリー作品である。
勿忘草 ~記憶の呪い~
夢華彩音
ミステリー
私、安積織絵はとある学校に転入してくる。 実は彼女には記憶がない。その失われた記憶を取り戻すために手がかりを探していくのだが…
織絵が記憶をたどるほど複雑で悲しい出来事が待っているのだった。
勿忘草(ワスレナグサ)シリーズ第1弾
<挿絵 : パラソルさんに描いて頂きました>
《面白いと感じてくださったら是非お気に入り登録 又はコメントしてくださると嬉しいです。今後の励みになります》


言霊の手記
かざみはら まなか
ミステリー
探偵は、中学一年生女子。
依頼人は、こっそりひっそりとSOSを出した女子中学生。
『ある公立中学校の校門前から中学一年生女子が消息をたった。
その中学校では、校門前に監視カメラをつける要望が生徒と保護者から相次いでいたが、周辺住民の反対で頓挫した。』
という旨が書いてある手記は。
私立中学校に通う中学一年生女子の大蔵奈美の手に渡った。
中学一年生の奈美は、同じく中学一年生の少女萃(すい)と透雲(とおも)と一緒に手記の謎を解き明かす。
人目を忍んで発信された、知らない中学校に通う女子中学生からのSOSだ。
奈美、萃、透雲は、助けを求めるSOSを出した女子中学生を助けると決めた。
奈美:私立中学校
萃:私立中学校
透雲:公立中学校
依頼人の女子中学生:公立中学校
中学一年生女子は、依頼人も探偵も、全員、別々の中学校に通っている。
それぞれ、家族関係で問題を抱えている。
手記にまつわる問題と中学一年生女子の家族の問題を軸に展開。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる