5 / 32
第二章 麻生明梨
~孤独1~
しおりを挟む
“あなたは、どんな大人になりたい?
私達は生まれてから死ぬまで運命、役目からは決して逃げることはできない。
けれど…心の中では自由でいなさい。
苦しみや、悲しみに押しつぶされると自分を見失ってしまうから。
私は何度も思った。
どうして私にだけこんな運命があるの?
今すぐにでも逃げ出してしまいたいって。
でも、できなかった。結局なにも変わらなかった。
もしあなたが本当の自由を望むなら、全てを捨てる覚悟を持ちなさい。
あなたの行動次第で、村の全てが決まるのだら”
外を眺めながら明梨は母の言葉を思い出していた。
散々泣いた後の目はとてもだるく、ただ遠くを見つめるだけで精一杯だった。
ついこの間、母が死んだ。
私は不思議なものをみた。葬儀の時、当然村人は涙を流していた。けれど…役人やごく一部の家来は全く泣いていなかった。
それどころか、嬉しそうに手を合わせていた。
そして、皆こう言っていた。
“美由紀様。貴女様は我が村のおきてを守り、務めを果たされました。
どうぞしばしの間安らぎを得られますよう。
そして、最期の役割をお果たし下さい。”
言葉の意味はよく分からなかったけれど、
次はきっと……
次は私の番だ。
妙な自覚があった。
けれど、私の役目が何なのかわからなかった。
私はまだ幼いから。
後に私はこの役目を与えられていることを恨むことになる。
私達は生まれてから死ぬまで運命、役目からは決して逃げることはできない。
けれど…心の中では自由でいなさい。
苦しみや、悲しみに押しつぶされると自分を見失ってしまうから。
私は何度も思った。
どうして私にだけこんな運命があるの?
今すぐにでも逃げ出してしまいたいって。
でも、できなかった。結局なにも変わらなかった。
もしあなたが本当の自由を望むなら、全てを捨てる覚悟を持ちなさい。
あなたの行動次第で、村の全てが決まるのだら”
外を眺めながら明梨は母の言葉を思い出していた。
散々泣いた後の目はとてもだるく、ただ遠くを見つめるだけで精一杯だった。
ついこの間、母が死んだ。
私は不思議なものをみた。葬儀の時、当然村人は涙を流していた。けれど…役人やごく一部の家来は全く泣いていなかった。
それどころか、嬉しそうに手を合わせていた。
そして、皆こう言っていた。
“美由紀様。貴女様は我が村のおきてを守り、務めを果たされました。
どうぞしばしの間安らぎを得られますよう。
そして、最期の役割をお果たし下さい。”
言葉の意味はよく分からなかったけれど、
次はきっと……
次は私の番だ。
妙な自覚があった。
けれど、私の役目が何なのかわからなかった。
私はまだ幼いから。
後に私はこの役目を与えられていることを恨むことになる。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
勿忘草 ~記憶の呪い~
夢華彩音
ミステリー
私、安積織絵はとある学校に転入してくる。 実は彼女には記憶がない。その失われた記憶を取り戻すために手がかりを探していくのだが…
織絵が記憶をたどるほど複雑で悲しい出来事が待っているのだった。
勿忘草(ワスレナグサ)シリーズ第1弾
<挿絵 : パラソルさんに描いて頂きました>
《面白いと感じてくださったら是非お気に入り登録 又はコメントしてくださると嬉しいです。今後の励みになります》
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
サイキック・ガール!
スズキアカネ
恋愛
『──あなたは、超能力者なんです』
そこは、不思議な能力を持つ人間が集う不思議な研究都市。ユニークな能力者に囲まれた、ハチャメチャな私の学園ライフがはじまる。
どんな場所に置かれようと、私はなにものにも縛られない!
車を再起不能にする程度の超能力を持つ少女・藤が織りなすサイキックラブコメディ!
※
無断転載転用禁止
Do not repost.
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
朱糸
黒幕横丁
ミステリー
それは、幸福を騙った呪い(のろい)、そして、真を隠した呪い(まじない)。
Worstの探偵、弐沙(つぐさ)は依頼人から朱絆(しゅばん)神社で授与している朱糸守(しゅしまもり)についての調査を依頼される。
そのお守りは縁結びのお守りとして有名だが、お守りの中身を見たが最後呪い殺されるという噂があった。依頼人も不注意によりお守りの中身を覗いたことにより、依頼してから数日後、変死体となって発見される。
そんな変死体事件が複数発生していることを知った弐沙と弐沙に瓜二つに変装している怜(れい)は、そのお守りについて調査することになった。
これは、呪い(のろい)と呪い(まじない)の話
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる