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第六章 ジュイエ地区“午”
19話 夢
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夜、物を移動させて広くなったリビングに布団を敷いた。
プランツェとグラセはもちろん別室だ。
「明日から、どうするの?私達だけで逃げ切れるかな。」
ティーグルは枕を抱えて座った。
「平気よ。お金なら私が出すし、仲間も増えるかもしれないでしょ。十二支だって後8人もいるんだから。」
ラピヌは呑気に指の先から植物を出し入れしている。
「私としては逃げるよりも戦いたいのよね。……そうだわ、ティーグルあなた私と手合わせなさいよ」
「え、えぇっ」
「いつかリベンジするって言ったでしょ。」
「だ、だめだよ。見つかっちゃったらどうするの」
「気にしない気にしない。」
「少しくらい気にしてよぉ」
と、ティーグルは布団にもぐってしまった。
「何よ、いくじなし」
2人のやり取りは終わりそうにない。
ラピヌを制したのは意外にもスティードだった。スティードはため息をついて読んでいた本を閉じた。
「ここ私の家よ。壊したら許さないから」
これには流石のラピヌも何も言えず、布団の上にドサッっと音を立てて倒れ込んだ。
「十二支だから特別って迷信よね。ちょっと人より魔力が強いだけ。こんなんじゃ夢は夢のまま。叶いっこないわ」
「夢?」
ミネが尋ねると、ラピヌは勢いよく起き上がった。
「そ。私ね、大物になりたのよ」
「おおもの?」
「そうよ。いつかアプリル地区を良くする仕事がしたいの。私を慕ってくれて、私らしく生きることを認めてくれる場所だから」
「そっか。ラピヌはちゃんと考えてるんだね」
「当たり前でしょ」
「てっきり戦うことしか頭に無いのかと…」
ミネが口を滑らせると、ラピヌのげんこつが飛んできた。手加減してくれたから大して痛くなかったけど。
「そう言うミネはどうなのよ」
「私?」
「そうよ。ミネにはないの?自分の夢」
「…よく分からない。こうやって家族以外と長い時間過ごすのだって初めてなのに」
私を吉乃と本名で呼んでくれる存在……。ミネは両親のことを想った。
いつか仲間達と本名で呼び合いたいとも思った。
こんな気持ちは初めてだ。
その時、見張りをしていたグノンがリビングに入ってきた。
「追っ手が隣町にいるらしいわ。近くで噂話をしてる人がいたの。ここに来るのも時間の問題よ」
「今出るのは不利じゃない?暗いもん」
ミネが言うとグノンは頷いた。
「明日、予定より早く出発しましょう。」
プランツェとグラセはもちろん別室だ。
「明日から、どうするの?私達だけで逃げ切れるかな。」
ティーグルは枕を抱えて座った。
「平気よ。お金なら私が出すし、仲間も増えるかもしれないでしょ。十二支だって後8人もいるんだから。」
ラピヌは呑気に指の先から植物を出し入れしている。
「私としては逃げるよりも戦いたいのよね。……そうだわ、ティーグルあなた私と手合わせなさいよ」
「え、えぇっ」
「いつかリベンジするって言ったでしょ。」
「だ、だめだよ。見つかっちゃったらどうするの」
「気にしない気にしない。」
「少しくらい気にしてよぉ」
と、ティーグルは布団にもぐってしまった。
「何よ、いくじなし」
2人のやり取りは終わりそうにない。
ラピヌを制したのは意外にもスティードだった。スティードはため息をついて読んでいた本を閉じた。
「ここ私の家よ。壊したら許さないから」
これには流石のラピヌも何も言えず、布団の上にドサッっと音を立てて倒れ込んだ。
「十二支だから特別って迷信よね。ちょっと人より魔力が強いだけ。こんなんじゃ夢は夢のまま。叶いっこないわ」
「夢?」
ミネが尋ねると、ラピヌは勢いよく起き上がった。
「そ。私ね、大物になりたのよ」
「おおもの?」
「そうよ。いつかアプリル地区を良くする仕事がしたいの。私を慕ってくれて、私らしく生きることを認めてくれる場所だから」
「そっか。ラピヌはちゃんと考えてるんだね」
「当たり前でしょ」
「てっきり戦うことしか頭に無いのかと…」
ミネが口を滑らせると、ラピヌのげんこつが飛んできた。手加減してくれたから大して痛くなかったけど。
「そう言うミネはどうなのよ」
「私?」
「そうよ。ミネにはないの?自分の夢」
「…よく分からない。こうやって家族以外と長い時間過ごすのだって初めてなのに」
私を吉乃と本名で呼んでくれる存在……。ミネは両親のことを想った。
いつか仲間達と本名で呼び合いたいとも思った。
こんな気持ちは初めてだ。
その時、見張りをしていたグノンがリビングに入ってきた。
「追っ手が隣町にいるらしいわ。近くで噂話をしてる人がいたの。ここに来るのも時間の問題よ」
「今出るのは不利じゃない?暗いもん」
ミネが言うとグノンは頷いた。
「明日、予定より早く出発しましょう。」
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