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第三章 セプタンブル地区“申”
12話 能力
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「マギアとは能力の総称。そしてマギアを完全に使いこなし強大な力を持つ者は十二支と王族のみ。この辺りは分かるでしょ?」
グノンの言葉に、ミネは黙って頷いた。
「でも…十二支以外も力をつけることが出来るとしたら…?」
「え…」
「本来マギアはとてつもなく強力よ。だから私達人間は本能的にリミッターを持っている。自分が使いこなせる量を体が知っているからそれ以上は使えないようにセーブしているの。十二支は動物と交わっているからマギアを受け入れる器が人よりもかなり大きいの。ただし、力を滅多に使わなかったり、自分を押さえ込んでいると弱くなっていく。」
「自分を押さえ込む……」
ミネには心当たりしかなかった。
「制御を軽くして力をつけるには、まず体力を上げること。なるべくハードなスケジュールを組んだ方がいいわね。それから、自分の能力…火、水、闇、植物、それらに直に触れること。例えばミネちゃんなら夜ね。夜にトレーニングを行うと効果的よ。後は…自分の能力を信じること。信じないと応えてくれないわ。」
「私、全部欠けてる…」
「これから頑張ればいいのよ。仲間もいるんだから。それにね、マギアは他の人と合わせたりできるのよ」
「どういうこと?」
「ミネちゃんと私が力を合わせたら闇と炎の合わせ技だって出来ちゃうの。」
「そんなことが…」
ミネは大きく息を吸った。
「合わせ技だけでなく、数種類を自分のものにすることも可能よ。欲しい力とマギアを調合した注射を打つことで手に入れられる。ただ、定期的に打たないと持続しないからお金がかなりかかるわ。注射以外にも方法はあるけど、これはタブーだから」
「それらは十二支以外にも当てはまるのか?」
突然プランツェが割り込んできた。
「もちろんよ。十二支のサポートくらいは出来るわ。人によっては大魔法だって可能よ。」
「……」
「さて、ひとまずこれくらいにしておきましょうか。明日にはセプタンブル地区を出るんだから今日は休んでおかなくちゃ」
グノンは立ち上がった。
「ありがとう。教えてくれて」
ミネは笑顔で言った。
少しすっきりしたような表情だ。
「どういたしまして」
グノンも笑顔を見せた。
グノンが部屋を出ると、プランツェが後を追ってきた。
「何か御用?」
「さっきの、注射以外の方法が知りたい。」
「知ってどうするの?……やりたいの?」
「やるかどうかは聞いてから判断する。…強くなれるための方法なら、なんでも聞いておきたい」
「ミネちゃんのため…?」
「……」
プランツェは答えなかった。
グノンは遠い目をしながら呟くように言った。
「人が死ぬと、その人の能力は自然に帰る。それは分かってるでしょ」
「あぁ」
「その能力を吸い取ることができる」
「……誰かを殺して………ってことか」
「多分ね。…私はその辺は専門外よ。違法な研究をしているのは魔術師と呼ばれる人達だから」
「魔術師…」
その頃、ソレイユ城ではー。
「魔術師。魔術師はいるか」
レーツェルが声を荒げている。
「王子よ…。そんなに大声を上げずとも私ならここにおります。」
「ペルラを殺した輩をまだ見つけられぬとは何事であるかっ。仮にもそなたは王宮の魔術師なのだぞ」
「現在手を尽くしているので今しばらく待たれよ。そう焦られても困りますな」
「……そなたはまだ若い。私の怒りを買って職を失わないようにすることだ」
「お若い王子にそう言っていただけるとは光栄ですな。」
魔術師の口の端がつり上がった。
「すぐに会えますよ。王女ペルラ様を殺した輩に。」
グノンの言葉に、ミネは黙って頷いた。
「でも…十二支以外も力をつけることが出来るとしたら…?」
「え…」
「本来マギアはとてつもなく強力よ。だから私達人間は本能的にリミッターを持っている。自分が使いこなせる量を体が知っているからそれ以上は使えないようにセーブしているの。十二支は動物と交わっているからマギアを受け入れる器が人よりもかなり大きいの。ただし、力を滅多に使わなかったり、自分を押さえ込んでいると弱くなっていく。」
「自分を押さえ込む……」
ミネには心当たりしかなかった。
「制御を軽くして力をつけるには、まず体力を上げること。なるべくハードなスケジュールを組んだ方がいいわね。それから、自分の能力…火、水、闇、植物、それらに直に触れること。例えばミネちゃんなら夜ね。夜にトレーニングを行うと効果的よ。後は…自分の能力を信じること。信じないと応えてくれないわ。」
「私、全部欠けてる…」
「これから頑張ればいいのよ。仲間もいるんだから。それにね、マギアは他の人と合わせたりできるのよ」
「どういうこと?」
「ミネちゃんと私が力を合わせたら闇と炎の合わせ技だって出来ちゃうの。」
「そんなことが…」
ミネは大きく息を吸った。
「合わせ技だけでなく、数種類を自分のものにすることも可能よ。欲しい力とマギアを調合した注射を打つことで手に入れられる。ただ、定期的に打たないと持続しないからお金がかなりかかるわ。注射以外にも方法はあるけど、これはタブーだから」
「それらは十二支以外にも当てはまるのか?」
突然プランツェが割り込んできた。
「もちろんよ。十二支のサポートくらいは出来るわ。人によっては大魔法だって可能よ。」
「……」
「さて、ひとまずこれくらいにしておきましょうか。明日にはセプタンブル地区を出るんだから今日は休んでおかなくちゃ」
グノンは立ち上がった。
「ありがとう。教えてくれて」
ミネは笑顔で言った。
少しすっきりしたような表情だ。
「どういたしまして」
グノンも笑顔を見せた。
グノンが部屋を出ると、プランツェが後を追ってきた。
「何か御用?」
「さっきの、注射以外の方法が知りたい。」
「知ってどうするの?……やりたいの?」
「やるかどうかは聞いてから判断する。…強くなれるための方法なら、なんでも聞いておきたい」
「ミネちゃんのため…?」
「……」
プランツェは答えなかった。
グノンは遠い目をしながら呟くように言った。
「人が死ぬと、その人の能力は自然に帰る。それは分かってるでしょ」
「あぁ」
「その能力を吸い取ることができる」
「……誰かを殺して………ってことか」
「多分ね。…私はその辺は専門外よ。違法な研究をしているのは魔術師と呼ばれる人達だから」
「魔術師…」
その頃、ソレイユ城ではー。
「魔術師。魔術師はいるか」
レーツェルが声を荒げている。
「王子よ…。そんなに大声を上げずとも私ならここにおります。」
「ペルラを殺した輩をまだ見つけられぬとは何事であるかっ。仮にもそなたは王宮の魔術師なのだぞ」
「現在手を尽くしているので今しばらく待たれよ。そう焦られても困りますな」
「……そなたはまだ若い。私の怒りを買って職を失わないようにすることだ」
「お若い王子にそう言っていただけるとは光栄ですな。」
魔術師の口の端がつり上がった。
「すぐに会えますよ。王女ペルラ様を殺した輩に。」
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