正義という名の復讐 ~十二支から外された猫~

夢華彩音

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第三章 セプタンブル地区“申”

11話 闇の力

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ミネは自分が猫であること、そして闇の力を持っていることをグノンに伝えた。
「なるほどね。珍しいわ…」
「……嫌いになっちゃった?」
「どうして?……あぁ、一般的には禁忌とされてるものね。確かに、十二支の中でも異質な猫を嫌う者は少なくないわ。」
「そう…ですよね」
「私は興味深いわ。いい研究が出来そうよ」

すると、黙って聞いていたラピヌが大きな声で言った。
「私達、お姉様に大切な用があって来たのよ。ねっ?ミネ」
「ええっ?あぁ……うん」
突然話を振られたミネは、ラピヌの圧力に押されて思わず頷いた。
グノンは慣れているのか、冷静だ。
「ラピヌ…あなたミネちゃんを振り回してないでしょうね?」
ラピヌはその問いには答えず、話し始めた。
「私達の旅についてきて欲しいの。ミネは実の親を探すために旅をしてるんですって。お姉様の力があれば助かるのよ。マギアのこともちゃんと教えてあげて欲しいわ。それから……」
ミネはぎょっとして言った。
「ちょっ、ちょっと待ってラピヌ。私はー」
 
ラピヌはグノンを仲間に入れるつもりだったようで、必死に話を続けている。
そんなラピヌを制したのはグノンの一言だった。
「ラピヌ。それ、ミネちゃんの許可を得た上で言っているのね?」
「えっ?? それは……」
「また一人で勝手に決めたのね。ラピヌったら少しも成長してないじゃない。……ごめんなさいね。」

グノンはミネに向かって苦笑いを浮かべた。
「い、いえ。私も…グノンがいてくれたら助かるわ。ラピヌの言う通り私達は仲間を探してるの。でも…グノンにはやるべき事があるみたいだったから」
「研究のこと?」
「うん…」
「気にかけてくれていたのね。…あなた達にお願いされたら断る理由なんか無いわ。研究ならどこででも出来るから」
「じゃあ…一緒に来てくれるの?」
「もちろんよ。というか、断っても誰かさんに無理やり連れていかれそうだし」
グノンはラピヌをじろっと見つめた。

ミネはワクワクしてきた。
旅を始めた目的は母親を探すためだったけど、こうやって観光したり、新しい出会いがあったり……楽しむのもいいかもしれない。

「そういえば、魔法の勝負でミネはラピヌに負けたのよね?」
グノンは思い出したように言った。」
「うん…。ラピヌが強かったから」
ミネが答えると、ラピヌは自慢げに笑った。
グノンは不思議そうな顔をしている。
「闇の力は強力よ。ラピヌ1人に負けるなんてまずありえないでしょうね。」
「そうなの?」
「残念ながらね。本来なら私とお姉様が協力したって勝てっこないわ」
と、ラピヌが口を挟んだ。
「となると……ミネがマギアのことを把握しきれてないようだわ。」
グノンは腕を組んで呟いた。
「…私、もっと強くなれる?」
ミネが尋ねると、グノンは強く頷いた。

「もちろんよ。セプタンブル地区を出る前に少し教えてあげるわ」
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