正義という名の復讐 ~十二支から外された猫~

夢華彩音

文字の大きさ
上 下
12 / 20
第三章 セプタンブル地区“申”

11話 闇の力

しおりを挟む
ミネは自分が猫であること、そして闇の力を持っていることをグノンに伝えた。
「なるほどね。珍しいわ…」
「……嫌いになっちゃった?」
「どうして?……あぁ、一般的には禁忌とされてるものね。確かに、十二支の中でも異質な猫を嫌う者は少なくないわ。」
「そう…ですよね」
「私は興味深いわ。いい研究が出来そうよ」

すると、黙って聞いていたラピヌが大きな声で言った。
「私達、お姉様に大切な用があって来たのよ。ねっ?ミネ」
「ええっ?あぁ……うん」
突然話を振られたミネは、ラピヌの圧力に押されて思わず頷いた。
グノンは慣れているのか、冷静だ。
「ラピヌ…あなたミネちゃんを振り回してないでしょうね?」
ラピヌはその問いには答えず、話し始めた。
「私達の旅についてきて欲しいの。ミネは実の親を探すために旅をしてるんですって。お姉様の力があれば助かるのよ。マギアのこともちゃんと教えてあげて欲しいわ。それから……」
ミネはぎょっとして言った。
「ちょっ、ちょっと待ってラピヌ。私はー」
 
ラピヌはグノンを仲間に入れるつもりだったようで、必死に話を続けている。
そんなラピヌを制したのはグノンの一言だった。
「ラピヌ。それ、ミネちゃんの許可を得た上で言っているのね?」
「えっ?? それは……」
「また一人で勝手に決めたのね。ラピヌったら少しも成長してないじゃない。……ごめんなさいね。」

グノンはミネに向かって苦笑いを浮かべた。
「い、いえ。私も…グノンがいてくれたら助かるわ。ラピヌの言う通り私達は仲間を探してるの。でも…グノンにはやるべき事があるみたいだったから」
「研究のこと?」
「うん…」
「気にかけてくれていたのね。…あなた達にお願いされたら断る理由なんか無いわ。研究ならどこででも出来るから」
「じゃあ…一緒に来てくれるの?」
「もちろんよ。というか、断っても誰かさんに無理やり連れていかれそうだし」
グノンはラピヌをじろっと見つめた。

ミネはワクワクしてきた。
旅を始めた目的は母親を探すためだったけど、こうやって観光したり、新しい出会いがあったり……楽しむのもいいかもしれない。

「そういえば、魔法の勝負でミネはラピヌに負けたのよね?」
グノンは思い出したように言った。」
「うん…。ラピヌが強かったから」
ミネが答えると、ラピヌは自慢げに笑った。
グノンは不思議そうな顔をしている。
「闇の力は強力よ。ラピヌ1人に負けるなんてまずありえないでしょうね。」
「そうなの?」
「残念ながらね。本来なら私とお姉様が協力したって勝てっこないわ」
と、ラピヌが口を挟んだ。
「となると……ミネがマギアのことを把握しきれてないようだわ。」
グノンは腕を組んで呟いた。
「…私、もっと強くなれる?」
ミネが尋ねると、グノンは強く頷いた。

「もちろんよ。セプタンブル地区を出る前に少し教えてあげるわ」
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

白い結婚をめぐる二年の攻防

藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」 「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」 「え、いやその」  父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。  だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。    妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。 ※ なろうにも投稿しています。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。

ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの? ……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。 彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ? 婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。 お幸せに、婚約者様。 私も私で、幸せになりますので。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~

藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――  子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。  彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。 「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」  四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。  そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。  文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!? じれじれ両片思いです。 ※他サイトでも掲載しています。 イラスト:ひろ様

もう一度7歳からやりなおし!王太子妃にはなりません

片桐葵
恋愛
いわゆる悪役令嬢・セシルは19歳で死亡した。 皇太子のユリウス殿下の婚約者で高慢で尊大に振る舞い、義理の妹アリシアとユリウスの恋愛に嫉妬し最終的に殺害しようとした罪で断罪され、修道院送りとなった末の死亡だった。しかし死んだ後に女神が現れ7歳からやり直せるようにしてくれた。 もう一度7歳から人生をやり直せる事になったセシル。

処理中です...