27 / 47
第四夜
四たびの哀悼
しおりを挟む
真夜中 24:00
「嫌あああぁぁぁああぁ! あああっぁあああぁぁああ!」
全身を黒い霧に包まれ、悲痛な悲鳴をあげつつシュゼット嬢は変貌しつつあった。
俺は凍りついたようにその様を見続けるしかなかった。美しい肌は傷だらけに、綺麗に揃った爪も失われ血が流れている。水浸しになった全身は血の気も失せ、悲鳴をあげ続けたであろうその声も嗄れたそれに成り果ててしまっている。落ちくぼんだ目は爛々と恨みに燃え上がり、死の間際まで嬲られたであろう心も壊れてしまっている事がうかがえた。
「シュゼット嬢…ずっと、こんな…?」
「…ええ…日付が変わるごとに、このような無残なお姿に…! どうすれば…どうすれば、お嬢様を本当にお救いできるのか…?」
執事さんは、顔を覆ってその場に膝をついた。かすかな嗚咽を漏らすと、絞り出すように呟く。
なんという事だ…。変貌の様子を初めて見たが、ここまで惨たらしい変化とは…!
救われるためには、俺の命と引き換えにする他ない。そしてこの部屋には、全員が揃っていた。
これは…いきなり、詰んでしまったという事か…。
彼女から目を逸らさずに、来たるべき時を覚悟する。今度の終焉はシュゼット嬢の手でか、それとも執事さんの手でか…?
シュゼット嬢は目を俺からそらした。彼女の目線を追うと、その先には修理したばかりのオルゴールがある。
いけない!
彼女自身の手で、これを壊させてはいけない!
何故そう思ったのか…?
俺にもわからない。だが、ほぼ衝動的に身体が動いた。俺の死で全てが元に戻る。そんな事わかりきっているというのに…。
それでも駆け抜けざまに、テーブルから持参したランプとオルゴールをすくい上げる。破砕音を背中で聴きながら、俺は扉を抜けた。
どこに…どこに行く? どこに行けば…!
階段を駆け下り、静けさを取り戻した玄関の大時計を横切る。傍にある扉をかたっぱしから試して、開いたのは応接室のような部屋がひとつきり。とりあえず飛び込むと、息を整えて廊下に聞き耳を立てる。そして…このオルゴールをどうするべきか?
湿った足音はまだしない。俺を追ってくるのだろうか?
そこまで考えて、奇妙なことに気がついた。前にあの姿のシュゼット嬢と遭遇した時に、何故わざわざ一階にいたのだろうか? ただ意味もなく、階下に降りる理由も無さげなのだが…。
どこかから、呻き声が聞こえる。そういえばこの声…どこから?
前はそこまで考える余裕などなかったが、俺たちの他に誰かがいるのだろうか?
そのうちに、湿った足音が聞こえてきた。酷くゆっくりと階段を下り、こちらに近づいているのだろうか?
今の標的は俺なのか、あの呻き声なのか…?
いや、待てよ…?
今まで自室に真夜中までいた場合、シュゼット嬢の真実を知ることはなかった。だが、この時間帯に部屋から出た場合…彼女は優先的に俺の方に来ていたんじゃないのか?
ということは…!
濡れた足音は、確実にこちらに迫って来ている。…呻き声は無視しているのか? どうやってか彼女は、俺の位置を完全に把握しているらしい。これは、応接室から出なくては…!
扉をそっと開けると、遠い廊下を歩くシュゼット嬢の姿が白くうっすら見える。ひどくゆっくりと、しかし確実にこちらに迫っていた。どこに逃げても無駄ということか。それでも、抵抗はしていこうと決めたから。俺は部屋を飛び出して、彼女と逆方向に逃げる。自室にいたら大丈夫ということだろうか? 一応、やってみるか。
そうだ…この場合は執事さんを警戒すべきだ。当然彼は、この展開を読んでいるに違いない。今自室に戻ると、彼は待ち構えているだろう。なら…!
俺は真っ直ぐに図書室に向かった。どのみち死は避けられないなら、あの罠のある隠し扉を開いてやる! 開けば矢が飛んで来る罠は、一体何を隠しているのか…死が確定しているのだから、試してみる価値はあるだろう。
初めて来た夜の図書室は、ひっそりと静まり返って独特の空気を醸し出していた。目指すは奥の隠し扉と思われる空間だ。
例の天井にあるアロースリットを背にして、そこの壁を軽く叩いて当たりをつける。いつ矢が飛んでくるかわからない分、気分がいいわけもないが…その辺りの覚悟はとうにできていた。どこかに、隠し扉を開ける機構があるはず。押すのか引くのか…。
もしかしたら。とりあえず閃いた予感に従って周囲の書棚を調べてみる。何かあるかもしれない、近くにある書棚の本にスイッチがあるとしたら? 少し飛び出した本を押すと扉を開くスイッチになっているという展開はよくある話だ。
…これは…? 黒い背表紙の本の中に、一冊だけ赤い背表紙のものがある。そっと取り出そうとしても動かない。これだろうか?
…その時だった。
「…見ぃつけた…!」
「!」
だが少しばかり時間をかけ過ぎてしまったようだ。亡霊と化したシュゼット嬢がいつのまにか背後に迫って来ていた。
見えない刃が放たれようとしたその時、俺はとっさにオルゴールを抱え込んでその凶刃を背で受けた。灼熱を感じる背をえぐる激痛と、ごきり、という体内から響いた厭な音。これは…完全に、致命傷だ…!
「…くぅ…っ…!」
俺は口元から血を滴らせつつ震える指先で、オルゴールのねじまきをいっぱいまで回した。
こんな痛み…苦痛に満ちた彼女の最期に比べたら、なんでも、ない…。
ふらつきながら振り向くと、オルゴールの蓋を開けて甘い恋唄の旋律をシュゼット嬢に聞かせる。感覚が消えつつある背と足を頑丈な書棚に預け、肩で息をしながらオルゴールを必死で抱えた。
書棚はすでに、むせ返るほどに俺の血で染まっている。足元にできた血の海は、俺自身がもう長くない事を雄弁に物語っていた。
保って数分か…。
だが、それでも。
できることはあるはずだ…。
どうか…どうか、思い出して欲しい…。
貴女の人生が不幸な思い出のみではなかったことを…。
幸せな思い出もあったはずなんだ。苦痛ばかりに塗りつぶされて、それまでの幸せを忘れてしまうなんて、あまりにも悲しすぎる。
オルゴールの旋律に、シュゼット嬢が動きを止めた。少しずつ、瞳から狂気が薄れるのがわかる。幸せな過去を思い出すように目を閉じわずかに微笑んで…。
そこまでで、俺も力尽きた。痛みは既に、麻痺しかかっている。最後の力を振り絞ってそっとオルゴールを書棚の上に載せると、糸が切れるように膝から力が抜け…足元にできていた赤い水たまりに崩れ落ちる。
…ああ、これでいい。
甘い旋律は途切れる事なく奏で続けられる。
霞んだ目でもわかった。図書室の入り口に、短剣を携えた死神の姿が見える。ここまでか…。俺は静かに目を閉じた。
「嫌ああああああああ!」
シュゼット嬢の悲鳴。
かすかに残った意識の中、びしゃりと音を立ててシュゼット嬢の声が近づく。力なく血溜まりに倒れた姿勢から、震えるか細い手で抱き起こされたようだった。
…駄目だ…シュゼット嬢。血に汚れてしまう…。
「カシアン様、カシアン様、カシアン様!!」
オルゴールの旋律をかき消すように、彼女は泣きながら俺の名を繰り返し呼び続ける。
ああ…すまない…こんな形で、泣かせるつもりなんかなかったのに…。正気に戻って仕舞えば、優しい彼女のことだ…。こうなることは予測してしかるべきだったというのに…!
「お願い…お願い、目を開けて…! お願い、彼を助けて…!」
すぐそばに来たらしい執事さんに、彼女は泣きながら懇願する。すでに虫の息の俺を見てか…小さく息を呑んだ執事さんの声は、沈みきっていた。
「申し訳ありません、お嬢様…。彼は、もう…」
「…そんな…」
「せめて、苦しみを終わらせて差し上げましょう…。今の彼にして差し上げられることは、他にありません…」
短剣を抜き放つ音に、シュゼット嬢は声を震わせる。
「駄目…駄目よ、そんな…!」
「お嬢様…ご覧にならない方が、よろしいかと…!」
「そんな…嫌、やめてええええええええ!」
シュゼット嬢の悲鳴と、心臓を貫く冷たい刃。
…それが、今回の最後の記憶になった。
「嫌あああぁぁぁああぁ! あああっぁあああぁぁああ!」
全身を黒い霧に包まれ、悲痛な悲鳴をあげつつシュゼット嬢は変貌しつつあった。
俺は凍りついたようにその様を見続けるしかなかった。美しい肌は傷だらけに、綺麗に揃った爪も失われ血が流れている。水浸しになった全身は血の気も失せ、悲鳴をあげ続けたであろうその声も嗄れたそれに成り果ててしまっている。落ちくぼんだ目は爛々と恨みに燃え上がり、死の間際まで嬲られたであろう心も壊れてしまっている事がうかがえた。
「シュゼット嬢…ずっと、こんな…?」
「…ええ…日付が変わるごとに、このような無残なお姿に…! どうすれば…どうすれば、お嬢様を本当にお救いできるのか…?」
執事さんは、顔を覆ってその場に膝をついた。かすかな嗚咽を漏らすと、絞り出すように呟く。
なんという事だ…。変貌の様子を初めて見たが、ここまで惨たらしい変化とは…!
救われるためには、俺の命と引き換えにする他ない。そしてこの部屋には、全員が揃っていた。
これは…いきなり、詰んでしまったという事か…。
彼女から目を逸らさずに、来たるべき時を覚悟する。今度の終焉はシュゼット嬢の手でか、それとも執事さんの手でか…?
シュゼット嬢は目を俺からそらした。彼女の目線を追うと、その先には修理したばかりのオルゴールがある。
いけない!
彼女自身の手で、これを壊させてはいけない!
何故そう思ったのか…?
俺にもわからない。だが、ほぼ衝動的に身体が動いた。俺の死で全てが元に戻る。そんな事わかりきっているというのに…。
それでも駆け抜けざまに、テーブルから持参したランプとオルゴールをすくい上げる。破砕音を背中で聴きながら、俺は扉を抜けた。
どこに…どこに行く? どこに行けば…!
階段を駆け下り、静けさを取り戻した玄関の大時計を横切る。傍にある扉をかたっぱしから試して、開いたのは応接室のような部屋がひとつきり。とりあえず飛び込むと、息を整えて廊下に聞き耳を立てる。そして…このオルゴールをどうするべきか?
湿った足音はまだしない。俺を追ってくるのだろうか?
そこまで考えて、奇妙なことに気がついた。前にあの姿のシュゼット嬢と遭遇した時に、何故わざわざ一階にいたのだろうか? ただ意味もなく、階下に降りる理由も無さげなのだが…。
どこかから、呻き声が聞こえる。そういえばこの声…どこから?
前はそこまで考える余裕などなかったが、俺たちの他に誰かがいるのだろうか?
そのうちに、湿った足音が聞こえてきた。酷くゆっくりと階段を下り、こちらに近づいているのだろうか?
今の標的は俺なのか、あの呻き声なのか…?
いや、待てよ…?
今まで自室に真夜中までいた場合、シュゼット嬢の真実を知ることはなかった。だが、この時間帯に部屋から出た場合…彼女は優先的に俺の方に来ていたんじゃないのか?
ということは…!
濡れた足音は、確実にこちらに迫って来ている。…呻き声は無視しているのか? どうやってか彼女は、俺の位置を完全に把握しているらしい。これは、応接室から出なくては…!
扉をそっと開けると、遠い廊下を歩くシュゼット嬢の姿が白くうっすら見える。ひどくゆっくりと、しかし確実にこちらに迫っていた。どこに逃げても無駄ということか。それでも、抵抗はしていこうと決めたから。俺は部屋を飛び出して、彼女と逆方向に逃げる。自室にいたら大丈夫ということだろうか? 一応、やってみるか。
そうだ…この場合は執事さんを警戒すべきだ。当然彼は、この展開を読んでいるに違いない。今自室に戻ると、彼は待ち構えているだろう。なら…!
俺は真っ直ぐに図書室に向かった。どのみち死は避けられないなら、あの罠のある隠し扉を開いてやる! 開けば矢が飛んで来る罠は、一体何を隠しているのか…死が確定しているのだから、試してみる価値はあるだろう。
初めて来た夜の図書室は、ひっそりと静まり返って独特の空気を醸し出していた。目指すは奥の隠し扉と思われる空間だ。
例の天井にあるアロースリットを背にして、そこの壁を軽く叩いて当たりをつける。いつ矢が飛んでくるかわからない分、気分がいいわけもないが…その辺りの覚悟はとうにできていた。どこかに、隠し扉を開ける機構があるはず。押すのか引くのか…。
もしかしたら。とりあえず閃いた予感に従って周囲の書棚を調べてみる。何かあるかもしれない、近くにある書棚の本にスイッチがあるとしたら? 少し飛び出した本を押すと扉を開くスイッチになっているという展開はよくある話だ。
…これは…? 黒い背表紙の本の中に、一冊だけ赤い背表紙のものがある。そっと取り出そうとしても動かない。これだろうか?
…その時だった。
「…見ぃつけた…!」
「!」
だが少しばかり時間をかけ過ぎてしまったようだ。亡霊と化したシュゼット嬢がいつのまにか背後に迫って来ていた。
見えない刃が放たれようとしたその時、俺はとっさにオルゴールを抱え込んでその凶刃を背で受けた。灼熱を感じる背をえぐる激痛と、ごきり、という体内から響いた厭な音。これは…完全に、致命傷だ…!
「…くぅ…っ…!」
俺は口元から血を滴らせつつ震える指先で、オルゴールのねじまきをいっぱいまで回した。
こんな痛み…苦痛に満ちた彼女の最期に比べたら、なんでも、ない…。
ふらつきながら振り向くと、オルゴールの蓋を開けて甘い恋唄の旋律をシュゼット嬢に聞かせる。感覚が消えつつある背と足を頑丈な書棚に預け、肩で息をしながらオルゴールを必死で抱えた。
書棚はすでに、むせ返るほどに俺の血で染まっている。足元にできた血の海は、俺自身がもう長くない事を雄弁に物語っていた。
保って数分か…。
だが、それでも。
できることはあるはずだ…。
どうか…どうか、思い出して欲しい…。
貴女の人生が不幸な思い出のみではなかったことを…。
幸せな思い出もあったはずなんだ。苦痛ばかりに塗りつぶされて、それまでの幸せを忘れてしまうなんて、あまりにも悲しすぎる。
オルゴールの旋律に、シュゼット嬢が動きを止めた。少しずつ、瞳から狂気が薄れるのがわかる。幸せな過去を思い出すように目を閉じわずかに微笑んで…。
そこまでで、俺も力尽きた。痛みは既に、麻痺しかかっている。最後の力を振り絞ってそっとオルゴールを書棚の上に載せると、糸が切れるように膝から力が抜け…足元にできていた赤い水たまりに崩れ落ちる。
…ああ、これでいい。
甘い旋律は途切れる事なく奏で続けられる。
霞んだ目でもわかった。図書室の入り口に、短剣を携えた死神の姿が見える。ここまでか…。俺は静かに目を閉じた。
「嫌ああああああああ!」
シュゼット嬢の悲鳴。
かすかに残った意識の中、びしゃりと音を立ててシュゼット嬢の声が近づく。力なく血溜まりに倒れた姿勢から、震えるか細い手で抱き起こされたようだった。
…駄目だ…シュゼット嬢。血に汚れてしまう…。
「カシアン様、カシアン様、カシアン様!!」
オルゴールの旋律をかき消すように、彼女は泣きながら俺の名を繰り返し呼び続ける。
ああ…すまない…こんな形で、泣かせるつもりなんかなかったのに…。正気に戻って仕舞えば、優しい彼女のことだ…。こうなることは予測してしかるべきだったというのに…!
「お願い…お願い、目を開けて…! お願い、彼を助けて…!」
すぐそばに来たらしい執事さんに、彼女は泣きながら懇願する。すでに虫の息の俺を見てか…小さく息を呑んだ執事さんの声は、沈みきっていた。
「申し訳ありません、お嬢様…。彼は、もう…」
「…そんな…」
「せめて、苦しみを終わらせて差し上げましょう…。今の彼にして差し上げられることは、他にありません…」
短剣を抜き放つ音に、シュゼット嬢は声を震わせる。
「駄目…駄目よ、そんな…!」
「お嬢様…ご覧にならない方が、よろしいかと…!」
「そんな…嫌、やめてええええええええ!」
シュゼット嬢の悲鳴と、心臓を貫く冷たい刃。
…それが、今回の最後の記憶になった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
神送りの夜
千石杏香
ホラー
由緒正しい神社のある港町。そこでは、海から来た神が祀られていた。神は、春分の夜に呼び寄せられ、冬至の夜に送り返された。しかしこの二つの夜、町民は決して外へ出なかった。もし外へ出たら、祟りがあるからだ。
父が亡くなったため、彼女はその町へ帰ってきた。幼い頃に、三年間だけ住んでいた町だった。記憶の中では、町には古くて大きな神社があった。しかし誰に訊いても、そんな神社などないという。
町で暮らしてゆくうち、彼女は不可解な事件に巻き込まれてゆく。
最終死発電車
真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。
直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。
外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。
生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。
「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!
呪配
真霜ナオ
ホラー
ある晩。いつものように夕食のデリバリーを利用した比嘉慧斗は、初めての誤配を経験する。
デリバリー専用アプリは、続けてある通知を送り付けてきた。
『比嘉慧斗様、死をお届けに向かっています』
その日から不可解な出来事に見舞われ始める慧斗は、高野來という美しい青年と衝撃的な出会い方をする。
不思議な力を持った來と共に死の呪いを解く方法を探す慧斗だが、周囲では連続怪死事件も起こっていて……?
「第7回ホラー・ミステリー小説大賞」オカルト賞を受賞しました!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
182年の人生
山碕田鶴
ホラー
1913年。軍の諜報活動を支援する貿易商シキは暗殺されたはずだった。他人の肉体を乗っ取り魂を存続させる能力に目覚めたシキは、死神に追われながら永遠を生き始める。
人間としてこの世に生まれ来る死神カイと、アンドロイド・イオンを「魂の器」とすべく開発するシキ。
二人の幾度もの人生が交差する、シキ182年の記録。
(表紙絵/山碕田鶴)
※2024年11月〜 加筆修正の改稿工事中です。本日「59」まで済。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
ミコトサマ
都貴
ホラー
神座山並町でまことしやかに囁かれる、白い着物に長い黒髪の女の幽霊ミコトサマの噂。
その噂を検証する為、綾奈は高校の友人達と共に町外れの幽霊屋敷を訪れる。
そこで彼女達は、背筋が凍えるような恐ろしい体験をした。
恐怖はそれで終わらず、徐々に彼女達の日常を蝕みはじめ―…。
長編の純和風ホラー小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる