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mission 2 孤高の花嫁
結婚式の始まり
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side-アーチ 15
思わぬ役得、貰っちまったな。
まさかその場でやらかすとは思わなかったがよ…ちっとばかし、お子様にゃ刺激が強すぎたんじゃねぇの? よりによって弟子の目の前でのことだったもんだから、あれからひとっことも口聞いてくんねぇんだよな…。こんなんで大丈夫かね?
んで、当日。
幾分は厚みも減ったが、相変わらずの曇天の朝を迎えた。ここぞとばかりに着飾った結婚式の招待客は、雨を気にして空ばかり見上げてやがる。
会場はもちろん、カッパーフィールド家の城だ。前にパーティーをした大広間を急ごしらえでチャペルに仕立て直し、祭壇まで作ってあった。神殿で借りてきたのか、長椅子が行儀よく並んで花もあしらわれた本格づくりだ。こりゃ、準備した使用人さん方は徹夜仕事なんだろうぜ…お疲れさん。
オレたちも、そんな貴族の参列者に混じって会場に乗り込んでいた。あれこれ考えていたところに、お披露目パーティーの時にデュエル達を引っ張り回したっつーお貴族姉妹がエスコート役を探してやってきた。イーディスとデビーと言う名の姉妹は不在のデュエルを探しながらオレに目をつけ、じろじろと無遠慮な視線で舐め回すように見た挙句に「まあ合格! そこそこ好み!」という判定を下してサムズアップ。…どういう意味だコラ。
んで、今。鷲掴んだ腕をやたらと腕に押し付けてくるのは、まあ役得と思えなくもねぇが、ちとウザい。
隣の厨房エルフなんぞは、すでに死んだ魚みたいな目で諦めきっている…二度目だもんな、ご愁傷様。デュエルは今頃、さぞかしホッとしてるんだろうよ?
当のデュエルはどうしてるかってーと、目立つ鎧姿で会場の裏から回り込んで中を伺いながらスタンバイしている。うまく逃げやがって…。アーシェや弟子の方も、どこから手に入れたのか不明だがカッパーフィールド家のメイド風の衣装で使用人達に溶け込んでいた。他の使用人達も事情を聞いているので協力してんだそうだ。
普通に会場入りしたオレたちは、堂々と参列者の席に陣取って結婚式の始まりを待つ。面が割れてるからヤバいって? 上等だ。こっちとしちゃ来てくれた方が都合がいいんだしよ。
あと、意外に思ったのがこの一件にゃ無関係の善良な貴族っつーのも結構いたってことだ。必ずしも貴族は敵じゃねぇって思えば、ちっとばかしホッとしたぜ。…残念ながら、このお貴族姉妹は関係ねぇって方の貴族だが。
とりあえず結婚式に紛れ込んで喧嘩を売り、悪事の証拠を広めて挑発した上で花嫁奪還っつーのが理想的な流れなんだが…まあ予定は未定だ。大まかなところはかわらねぇが、あとは敵さんの出方次第ってとこかね?
「素敵な結婚式ね…いつかアタシたちも、ねえ?」
すぐ目の前でラスファの腕にくっついたイーディスのうっとり声が耳に入る。うへえ…積極的なことで。見ている分にゃ面白…いや、害はねぇんだが、場合が場合だ。背後に冷てぇモンを感じながら、オレは入場しつつある花嫁を待った。
さあ、この結婚式…潰してやんぜ?
思わぬ役得、貰っちまったな。
まさかその場でやらかすとは思わなかったがよ…ちっとばかし、お子様にゃ刺激が強すぎたんじゃねぇの? よりによって弟子の目の前でのことだったもんだから、あれからひとっことも口聞いてくんねぇんだよな…。こんなんで大丈夫かね?
んで、当日。
幾分は厚みも減ったが、相変わらずの曇天の朝を迎えた。ここぞとばかりに着飾った結婚式の招待客は、雨を気にして空ばかり見上げてやがる。
会場はもちろん、カッパーフィールド家の城だ。前にパーティーをした大広間を急ごしらえでチャペルに仕立て直し、祭壇まで作ってあった。神殿で借りてきたのか、長椅子が行儀よく並んで花もあしらわれた本格づくりだ。こりゃ、準備した使用人さん方は徹夜仕事なんだろうぜ…お疲れさん。
オレたちも、そんな貴族の参列者に混じって会場に乗り込んでいた。あれこれ考えていたところに、お披露目パーティーの時にデュエル達を引っ張り回したっつーお貴族姉妹がエスコート役を探してやってきた。イーディスとデビーと言う名の姉妹は不在のデュエルを探しながらオレに目をつけ、じろじろと無遠慮な視線で舐め回すように見た挙句に「まあ合格! そこそこ好み!」という判定を下してサムズアップ。…どういう意味だコラ。
んで、今。鷲掴んだ腕をやたらと腕に押し付けてくるのは、まあ役得と思えなくもねぇが、ちとウザい。
隣の厨房エルフなんぞは、すでに死んだ魚みたいな目で諦めきっている…二度目だもんな、ご愁傷様。デュエルは今頃、さぞかしホッとしてるんだろうよ?
当のデュエルはどうしてるかってーと、目立つ鎧姿で会場の裏から回り込んで中を伺いながらスタンバイしている。うまく逃げやがって…。アーシェや弟子の方も、どこから手に入れたのか不明だがカッパーフィールド家のメイド風の衣装で使用人達に溶け込んでいた。他の使用人達も事情を聞いているので協力してんだそうだ。
普通に会場入りしたオレたちは、堂々と参列者の席に陣取って結婚式の始まりを待つ。面が割れてるからヤバいって? 上等だ。こっちとしちゃ来てくれた方が都合がいいんだしよ。
あと、意外に思ったのがこの一件にゃ無関係の善良な貴族っつーのも結構いたってことだ。必ずしも貴族は敵じゃねぇって思えば、ちっとばかしホッとしたぜ。…残念ながら、このお貴族姉妹は関係ねぇって方の貴族だが。
とりあえず結婚式に紛れ込んで喧嘩を売り、悪事の証拠を広めて挑発した上で花嫁奪還っつーのが理想的な流れなんだが…まあ予定は未定だ。大まかなところはかわらねぇが、あとは敵さんの出方次第ってとこかね?
「素敵な結婚式ね…いつかアタシたちも、ねえ?」
すぐ目の前でラスファの腕にくっついたイーディスのうっとり声が耳に入る。うへえ…積極的なことで。見ている分にゃ面白…いや、害はねぇんだが、場合が場合だ。背後に冷てぇモンを感じながら、オレは入場しつつある花嫁を待った。
さあ、この結婚式…潰してやんぜ?
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