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mission 2 孤高の花嫁
賭け事は楽し
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Side-アーチ 9
究極の判断ミスをかました気分で、そのままオレは距離を取ると足を止めた。
とりあえずここまでくりゃ、もういいかね。オレはさっきの男に最初に声をかけられた場所に再び行ってみた。かなり引き離したし、あの後ラスファが相手したならすぐ戻ってくることはねぇだろうからな。
左右を見回し、すかさず薄汚れた衣装を取ると、何食わぬ顔で客として入店。さりげなく見回せば隅でカードに興じる三人の男女に当たりをつけた。
そう物々しいカッコじゃねぇが、隠し切れねェそのテの空気がうっすら漂ってやる。素人以下かよ…。
とりあえず近くに陣取りエールを一杯頼むと、そいつらの会話に耳を傾けた。
「ん、赤の三揃いできた。…ねえ、アイツまだなの? 手紙取ってくるだけの仕事に、いつまでかかかってんのかしら?」
「俺が知るかよ。またいつものサボりグセが出たんじゃねェの? それか、そこらの女に引っかかったか…。よし、俺は青と白のペアが二つ…っと」
「確かこないだもやらかしたよな? もうアイツ、要らなくね? あー、こっちはブタだ…一人負けかよ」
「あいつは要らなくてもさ、例の手紙はいるでしょ? 持ち逃げされると、正直困るのよね。…じゃ、次のカード配るわよ?」
「おうよ! …まあ、そうなんだよな…誰か見にいくか?」
「じゃ、この勝負に負けた奴が見に行くことにしようぜ」
やる気があるんだかねェんだか、こいつら…。まあいいや、ちょっくら接触してみるかね。
オレはエールのジョッキを手にして件のテーブルに歩み寄る。
「よう、楽しそうにやってんじゃねェか。ちょっくら、オレも混ぜてくれよ」
連中は妙な闖入者に目を丸くする。何か言われる前に、オレは畳み掛けた。
「へへ、でもおれ弱ェから、お手柔らかに頼むわ。ここ、空いてるよな?」
ヘラヘラ笑いながら、オレは四人がけの空いた椅子にどっかりと腰掛ける。
連中は胡散臭げにこっちを見てやがったが、手の中で遊ばせてる銀貨を見て態度を変えた。
…え? ンなもんどこに持ってたかって? あるんだよな、これが。さっきの路地裏で追いかけっこする前に、粗末な木箱からちゃっかり拾った銀貨がよ。これを元手に、ちょいとからかってやろうかね。
「弱い」の一言であからさまに連中は、カモを見る目でオレを見始める。へへ、ちょろいちょろい!
「替え札は二回まで。…アンタ、もちろん掛け金は持ってるわね?」
「ああ、もちろんだ。こいつで勝負しようぜ?」
まず乗り気になったのは、浅黒い肌と黒髪ショートヘアの姐さんだ。目が醒めるように鮮やかな爪紅と、ぽってりした口紅が色っぽい。
「勝手も負けても、文句は受け付けねぇぞ?」
粗暴を絵に描いたような大男が、文字通り牙を剥く。ふうん? 純粋な人間じゃねぇな、このキバ。
「ああ、その前にカウンターでコインに交換してもらって来るんだな。逃げるなよ?」
三人目は、狡猾そうな小男だ。こいつも何らかの混血っぽいな。特徴的な出っ歯は、何かを連想させる。
「おお、そうなのか? んじゃ、ちょっくら交換してもらうかね」
けけけ、自分の金じゃこうも大盤振る舞いできねぇよな。ちっと勿体無い気もするが、ここは遊ばせてもらうとするかね…!
「これでいいか?」
思った以上に量があった賭けコインを目の前に重ね、オレは三人に向かい合う。
「上等。じゃ、配るわね」
さあさあ、ここからはオレのお楽しみタイムだ。
言っとくが、立ち見はお断りだぜ?
さあ、ショータイムの始まりだ!!
究極の判断ミスをかました気分で、そのままオレは距離を取ると足を止めた。
とりあえずここまでくりゃ、もういいかね。オレはさっきの男に最初に声をかけられた場所に再び行ってみた。かなり引き離したし、あの後ラスファが相手したならすぐ戻ってくることはねぇだろうからな。
左右を見回し、すかさず薄汚れた衣装を取ると、何食わぬ顔で客として入店。さりげなく見回せば隅でカードに興じる三人の男女に当たりをつけた。
そう物々しいカッコじゃねぇが、隠し切れねェそのテの空気がうっすら漂ってやる。素人以下かよ…。
とりあえず近くに陣取りエールを一杯頼むと、そいつらの会話に耳を傾けた。
「ん、赤の三揃いできた。…ねえ、アイツまだなの? 手紙取ってくるだけの仕事に、いつまでかかかってんのかしら?」
「俺が知るかよ。またいつものサボりグセが出たんじゃねェの? それか、そこらの女に引っかかったか…。よし、俺は青と白のペアが二つ…っと」
「確かこないだもやらかしたよな? もうアイツ、要らなくね? あー、こっちはブタだ…一人負けかよ」
「あいつは要らなくてもさ、例の手紙はいるでしょ? 持ち逃げされると、正直困るのよね。…じゃ、次のカード配るわよ?」
「おうよ! …まあ、そうなんだよな…誰か見にいくか?」
「じゃ、この勝負に負けた奴が見に行くことにしようぜ」
やる気があるんだかねェんだか、こいつら…。まあいいや、ちょっくら接触してみるかね。
オレはエールのジョッキを手にして件のテーブルに歩み寄る。
「よう、楽しそうにやってんじゃねェか。ちょっくら、オレも混ぜてくれよ」
連中は妙な闖入者に目を丸くする。何か言われる前に、オレは畳み掛けた。
「へへ、でもおれ弱ェから、お手柔らかに頼むわ。ここ、空いてるよな?」
ヘラヘラ笑いながら、オレは四人がけの空いた椅子にどっかりと腰掛ける。
連中は胡散臭げにこっちを見てやがったが、手の中で遊ばせてる銀貨を見て態度を変えた。
…え? ンなもんどこに持ってたかって? あるんだよな、これが。さっきの路地裏で追いかけっこする前に、粗末な木箱からちゃっかり拾った銀貨がよ。これを元手に、ちょいとからかってやろうかね。
「弱い」の一言であからさまに連中は、カモを見る目でオレを見始める。へへ、ちょろいちょろい!
「替え札は二回まで。…アンタ、もちろん掛け金は持ってるわね?」
「ああ、もちろんだ。こいつで勝負しようぜ?」
まず乗り気になったのは、浅黒い肌と黒髪ショートヘアの姐さんだ。目が醒めるように鮮やかな爪紅と、ぽってりした口紅が色っぽい。
「勝手も負けても、文句は受け付けねぇぞ?」
粗暴を絵に描いたような大男が、文字通り牙を剥く。ふうん? 純粋な人間じゃねぇな、このキバ。
「ああ、その前にカウンターでコインに交換してもらって来るんだな。逃げるなよ?」
三人目は、狡猾そうな小男だ。こいつも何らかの混血っぽいな。特徴的な出っ歯は、何かを連想させる。
「おお、そうなのか? んじゃ、ちょっくら交換してもらうかね」
けけけ、自分の金じゃこうも大盤振る舞いできねぇよな。ちっと勿体無い気もするが、ここは遊ばせてもらうとするかね…!
「これでいいか?」
思った以上に量があった賭けコインを目の前に重ね、オレは三人に向かい合う。
「上等。じゃ、配るわね」
さあさあ、ここからはオレのお楽しみタイムだ。
言っとくが、立ち見はお断りだぜ?
さあ、ショータイムの始まりだ!!
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