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mission 2 孤高の花嫁
なんの罰ゲームだこれは?
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side-デュエル 3
ファンシーショップと言う名の魔境に足を踏み入れた俺とラスファだったが、すぐに猛烈な後悔に襲われた。そこそこ客の入りが多い店だったせいで、入るなり凄まじい注目を集めることになってしまったのだ。店内は、店構えの五割増なファンシーさだ。背後から聞こえる笑い声は、ぎこちない俺たちを見てのものだろう…。
…俺、何かヘマやったか? 何の罰ゲームだ、これは?
そこに、アーシェの声がかけられた。
「あ、兄貴! ちょうど良かった、ねえねえコレ! ラグちゃんとお揃いにしようかと思うんだけど、赤と青のどっちがイイか迷ってるんだよね」
この様子だと、いつ来るかと待たれていたらしい。
彼女の名は、アーシェラン・バリニーズ。少し癖のある栗色の髪をポニーテールにまとめ、一見子供かと思うほど小柄で幼い外見の少女だ。
実はラスファの異母妹に当たる。その証拠に、彼女の耳はエルフほどではないが少し尖っている。人間とエルフ族の混血、ハーフエルフの証だ。
あまり知られていないことだが、人間という種族はほぼ全ての種族との混血が可能と言われている。だが、ほかの種族の特徴を断片的に受け継ぎ、外見にはあまり目立った差異は現れにくいのが常なのだ。例外はエルフとの混血の場合で、双方の種族の特徴を半々に受け継ぐことが多いらしい。彼女もその口で、わずかに尖った耳と将来を期待させる可愛らしさを併せ持っていた。ただし、そのエルフ族の血のせいで実年齢よりもだいぶ幼く見られるのが悩みの種のようだ。
「髪留め?」
「そうそう、これ掘り出し物! 身につけた人を一度だけ守ってくれる魔力がこもってるの! コレは買いでしょ? あ、大丈夫。ちゃんと魔力はチェックしたから」
「それで、お揃い位しましょうってことになりまして…」
アーシェのそばには、もう一人黒髪の少女がいた。癖のない長い黒髪に学者帽子を乗せ、神官ローブを纏って、小さなメガネをかけた賢そうな少女だ。彼女の名はラグランジュ・メイナー。中なうちではラグと呼ばれている。アーシェと並ぶと年上に見られがちだが、実は一つ年下の十五歳だ。落ち着いた物腰と控えめな物言いは、元気なアーシェとは好対照をなしている。
実家は裕福な商家だったそうだが、親が勝手に決めた婚約者を嫌った挙句に家出してそのまま神官になったという意外な経歴を持っていた。見た目はおとなしそうなのに、芯は強く一途なのだ。その一途さは現在、ある人物に向けられているが…その当人はまだ揃っていない。
「ねえ、いいでしょー? これ買ってよ兄貴ー!」
「いきなりそう来るのか?」
「だって、前回の報酬、安かったんだもん~! 学費払ったら、ほとんど残んないんだよ?」
「それでずっと待ってたのか? 人を財布扱いするな」
「ねえ、いいじゃん~! そんな高くないよ? お願いお願い!」
兄弟というよりは親子のようなやりとりに、周囲から笑いが漏れる。妹の上目遣いと居心地の悪さに白旗をあげたのは、やっぱりラスファのようだった。…今日もいいように振り回されてるな。
「あーわかった、両方とも貸せ! どっちを持つかは後で決めろ。…会計頼む。さっさと出るぞ!」
店員に髪留めを押し付けると、彼は妹を促した。その言葉に、ラグは戸惑ったような視線を彼に向ける。
「学費払ったら残らないのはラグも同じだ。どうせ一つも二つも大差ない」
「わーい、やったね! あ、でもちょっと待って」
「?」
「ラグちゃんのは、アーちんに買ってもらったほうがいいでしょ?」
わかりやすく赤面するラグ。これは、結局アーチを探しに行くことになりそうだ…。
まあいいや、この異空間から、さっさと出よう!
ファンシーショップと言う名の魔境に足を踏み入れた俺とラスファだったが、すぐに猛烈な後悔に襲われた。そこそこ客の入りが多い店だったせいで、入るなり凄まじい注目を集めることになってしまったのだ。店内は、店構えの五割増なファンシーさだ。背後から聞こえる笑い声は、ぎこちない俺たちを見てのものだろう…。
…俺、何かヘマやったか? 何の罰ゲームだ、これは?
そこに、アーシェの声がかけられた。
「あ、兄貴! ちょうど良かった、ねえねえコレ! ラグちゃんとお揃いにしようかと思うんだけど、赤と青のどっちがイイか迷ってるんだよね」
この様子だと、いつ来るかと待たれていたらしい。
彼女の名は、アーシェラン・バリニーズ。少し癖のある栗色の髪をポニーテールにまとめ、一見子供かと思うほど小柄で幼い外見の少女だ。
実はラスファの異母妹に当たる。その証拠に、彼女の耳はエルフほどではないが少し尖っている。人間とエルフ族の混血、ハーフエルフの証だ。
あまり知られていないことだが、人間という種族はほぼ全ての種族との混血が可能と言われている。だが、ほかの種族の特徴を断片的に受け継ぎ、外見にはあまり目立った差異は現れにくいのが常なのだ。例外はエルフとの混血の場合で、双方の種族の特徴を半々に受け継ぐことが多いらしい。彼女もその口で、わずかに尖った耳と将来を期待させる可愛らしさを併せ持っていた。ただし、そのエルフ族の血のせいで実年齢よりもだいぶ幼く見られるのが悩みの種のようだ。
「髪留め?」
「そうそう、これ掘り出し物! 身につけた人を一度だけ守ってくれる魔力がこもってるの! コレは買いでしょ? あ、大丈夫。ちゃんと魔力はチェックしたから」
「それで、お揃い位しましょうってことになりまして…」
アーシェのそばには、もう一人黒髪の少女がいた。癖のない長い黒髪に学者帽子を乗せ、神官ローブを纏って、小さなメガネをかけた賢そうな少女だ。彼女の名はラグランジュ・メイナー。中なうちではラグと呼ばれている。アーシェと並ぶと年上に見られがちだが、実は一つ年下の十五歳だ。落ち着いた物腰と控えめな物言いは、元気なアーシェとは好対照をなしている。
実家は裕福な商家だったそうだが、親が勝手に決めた婚約者を嫌った挙句に家出してそのまま神官になったという意外な経歴を持っていた。見た目はおとなしそうなのに、芯は強く一途なのだ。その一途さは現在、ある人物に向けられているが…その当人はまだ揃っていない。
「ねえ、いいでしょー? これ買ってよ兄貴ー!」
「いきなりそう来るのか?」
「だって、前回の報酬、安かったんだもん~! 学費払ったら、ほとんど残んないんだよ?」
「それでずっと待ってたのか? 人を財布扱いするな」
「ねえ、いいじゃん~! そんな高くないよ? お願いお願い!」
兄弟というよりは親子のようなやりとりに、周囲から笑いが漏れる。妹の上目遣いと居心地の悪さに白旗をあげたのは、やっぱりラスファのようだった。…今日もいいように振り回されてるな。
「あーわかった、両方とも貸せ! どっちを持つかは後で決めろ。…会計頼む。さっさと出るぞ!」
店員に髪留めを押し付けると、彼は妹を促した。その言葉に、ラグは戸惑ったような視線を彼に向ける。
「学費払ったら残らないのはラグも同じだ。どうせ一つも二つも大差ない」
「わーい、やったね! あ、でもちょっと待って」
「?」
「ラグちゃんのは、アーちんに買ってもらったほうがいいでしょ?」
わかりやすく赤面するラグ。これは、結局アーチを探しに行くことになりそうだ…。
まあいいや、この異空間から、さっさと出よう!
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