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intermission 2 ~わらしべアーシェ~
ラッキーアイテムって、マジだ!
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Side-アーシェ 6
兄貴と別れて、あたしはそのまま賑やかな通りを歩いた。いつの間にか日は傾き始め、あちこちに灯りがともり始めている。うーん、このままじゃこの石鹸が今日の収穫になっちゃうなあ…。できればもう一回くらいは交換しときたいよね。いや、石鹸自体はキレイだしバラのいい香りなんだけどさ。これこのまま持って帰っちゃったら、あの嫌なお姉さんのこと記憶に焼き付いちゃいそうで…。さっさと忘れるためにも、交換交換!
日がかげる街角をあてもなく歩くと、大きな建物のそばを通りかかった。ここは、この町で一番大きい公衆浴場…ぶっちゃけ、お風呂屋さんね。
あたしは、手の中の石鹸を眺めた。もしかしてここって、石鹸を欲しがる人が出てこないかなあ…? まさかね。そう単純だったら、誰も苦労しないわ。
ふとそう思った時、真正面から声がかかった。
「あら、あなた素敵な石鹸持ってるわねえ」
え? マジでいた!
目をあげると、そこには背の高いお姉さんが立っていた。あれ、ちょっと待って? この人…声低くない? あと肩幅も…?
「ごめんなさいね、アタシちょっと石鹸切らしちゃって。良かったら、コレと交換できないかしら?」
えーと…ごめんなさい、性別不明のおネェさんってことでいいですか? あたしそっちばっか気になって、おネェさんの手元なんか見てないよ! そう思った時だった。オネェさんの手の中には、あたしが前々から狙っていた、あの髪留めがある!
「こここここれって…!」
テンパるあたしを見て、オネェさんは微笑んだ。
「ええ。繁華街の雑貨屋『カリーノ』の限定品なんだけどね? 貰い物なんだけど、アタシには可愛すぎちゃって。良かったら、取り替えっこしてくれるかしら?」
「よよよよ、喜んで!!」
あたしは首がもげる勢いで頷きまくった。だって、最後の最後でこんな大収穫があるなんて!
そういえばあのオネェさん、公衆浴場ってどっちに入るんだろ? ちょっと冷静になったところで疑問が噴きだしてきた。もう少し一緒にいて、見とくんだったなとちょっと後悔したけど。
あたしはその足で、猛ダッシュで宿に帰った。だって、まだ交換したいって人に出てこられたらたまんないじゃん! 報告? そんなの、明日でいいって! どうせもうギルドは閉まってるだろうし、兄貴からも暗くなる前に帰れって言われたし! 扉に飛び蹴りかます勢いで飛び込むと、あたしは自分の部屋がある二階に駆け上がった。酒場でお酒飲んでたデュエルがおつまみを落として呆然とこっち見てるのが視界の端にちらっと見えたけど、別にいいじゃん! 髪飾りは正義よ!
二階にある自分の部屋でそっと髪飾りを取り出して眺めると、あたしは自然と笑みがこぼれた。二ヶ月前から店頭にあったけど、高くてなかなか手を出しづらかった代物。あのオネェさんが誰にもらったのかってのが、気になるっちゃ気になるけども…今はあたしの手の中にあるんだから、いいか!
翌朝。
今日は朝からずっとつけとくんだ、って決めてた髪留め。身につけて下の食堂に降りれば、さっそくラグちゃんがチェックしてきた。
「あら? アーシェさん新しい髪留めですか? 可愛らしいですわ!」
ラグちゃん、気づいてくれてありがとう! デュエルとかアーちんとか、ぜんっぜん気づいてくれなくてさ。物足りなかったとこよ。
昨日の経緯をラグちゃんに話すと「面白い実験ですわ」って、興味を持ったみたいだった。ナナ先輩に、また頼んでみようかな?
「でもアーシェさん…その実験って、何に使うものなのでしょうか?」
「え?」
「持ち物の交換で、因果律の検証? ってことでしょうか? 応用法とか、どう使うのでしょう?」
「…えーと?」
確かにね。この魔法って、使いどころがわかんないや。面白いことは面白いけど、それ以上に膨らまない気がするしね。
でもこの実験って、真相を知って驚いたわ。
ほんっとに意外な使い方してるよナナ先輩!
兄貴と別れて、あたしはそのまま賑やかな通りを歩いた。いつの間にか日は傾き始め、あちこちに灯りがともり始めている。うーん、このままじゃこの石鹸が今日の収穫になっちゃうなあ…。できればもう一回くらいは交換しときたいよね。いや、石鹸自体はキレイだしバラのいい香りなんだけどさ。これこのまま持って帰っちゃったら、あの嫌なお姉さんのこと記憶に焼き付いちゃいそうで…。さっさと忘れるためにも、交換交換!
日がかげる街角をあてもなく歩くと、大きな建物のそばを通りかかった。ここは、この町で一番大きい公衆浴場…ぶっちゃけ、お風呂屋さんね。
あたしは、手の中の石鹸を眺めた。もしかしてここって、石鹸を欲しがる人が出てこないかなあ…? まさかね。そう単純だったら、誰も苦労しないわ。
ふとそう思った時、真正面から声がかかった。
「あら、あなた素敵な石鹸持ってるわねえ」
え? マジでいた!
目をあげると、そこには背の高いお姉さんが立っていた。あれ、ちょっと待って? この人…声低くない? あと肩幅も…?
「ごめんなさいね、アタシちょっと石鹸切らしちゃって。良かったら、コレと交換できないかしら?」
えーと…ごめんなさい、性別不明のおネェさんってことでいいですか? あたしそっちばっか気になって、おネェさんの手元なんか見てないよ! そう思った時だった。オネェさんの手の中には、あたしが前々から狙っていた、あの髪留めがある!
「こここここれって…!」
テンパるあたしを見て、オネェさんは微笑んだ。
「ええ。繁華街の雑貨屋『カリーノ』の限定品なんだけどね? 貰い物なんだけど、アタシには可愛すぎちゃって。良かったら、取り替えっこしてくれるかしら?」
「よよよよ、喜んで!!」
あたしは首がもげる勢いで頷きまくった。だって、最後の最後でこんな大収穫があるなんて!
そういえばあのオネェさん、公衆浴場ってどっちに入るんだろ? ちょっと冷静になったところで疑問が噴きだしてきた。もう少し一緒にいて、見とくんだったなとちょっと後悔したけど。
あたしはその足で、猛ダッシュで宿に帰った。だって、まだ交換したいって人に出てこられたらたまんないじゃん! 報告? そんなの、明日でいいって! どうせもうギルドは閉まってるだろうし、兄貴からも暗くなる前に帰れって言われたし! 扉に飛び蹴りかます勢いで飛び込むと、あたしは自分の部屋がある二階に駆け上がった。酒場でお酒飲んでたデュエルがおつまみを落として呆然とこっち見てるのが視界の端にちらっと見えたけど、別にいいじゃん! 髪飾りは正義よ!
二階にある自分の部屋でそっと髪飾りを取り出して眺めると、あたしは自然と笑みがこぼれた。二ヶ月前から店頭にあったけど、高くてなかなか手を出しづらかった代物。あのオネェさんが誰にもらったのかってのが、気になるっちゃ気になるけども…今はあたしの手の中にあるんだから、いいか!
翌朝。
今日は朝からずっとつけとくんだ、って決めてた髪留め。身につけて下の食堂に降りれば、さっそくラグちゃんがチェックしてきた。
「あら? アーシェさん新しい髪留めですか? 可愛らしいですわ!」
ラグちゃん、気づいてくれてありがとう! デュエルとかアーちんとか、ぜんっぜん気づいてくれなくてさ。物足りなかったとこよ。
昨日の経緯をラグちゃんに話すと「面白い実験ですわ」って、興味を持ったみたいだった。ナナ先輩に、また頼んでみようかな?
「でもアーシェさん…その実験って、何に使うものなのでしょうか?」
「え?」
「持ち物の交換で、因果律の検証? ってことでしょうか? 応用法とか、どう使うのでしょう?」
「…えーと?」
確かにね。この魔法って、使いどころがわかんないや。面白いことは面白いけど、それ以上に膨らまない気がするしね。
でもこの実験って、真相を知って驚いたわ。
ほんっとに意外な使い方してるよナナ先輩!
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