54 / 405
intermission 2 ~わらしべアーシェ~
占い学科の実験ってナニ!?
しおりを挟む
Side-アーシェ 1
「ラッキーアイテム?」
放課後、いつもの魔術師ギルドの教室で。あたしはキテレツな話を聞いた。
「そ。占いが得意なナナ先輩が、ちょっとだけ実験に付き合って欲しいんだって」
この話を持ち込んだのは、相も変わらずの『情報屋』コギー。どこから仕入れてくるのかは謎だけど、しばらく冒険に行ってなくて退屈を持て余してたあたしにとっては魅力的な提案だった。
「面白そうだけど、占いで実験って何?」
「さあ? とりあえず興味を持ったんなら、行ってみる? 占い学科に」
「そうねえ…」
気の無いフリはしてみたけど、やっぱり気になる占い実験! 気の無いフリしながらの「行くだけ行ってみようかな」って返しで、コギーは「よし、行こ行こ♪」ってあたしを引っ張って行った。さすがね、あたしがかなり惹かれてることが分かった上でのこの速攻! というよりもやっぱり,コギーも気になってたんだ。
占い学科っていうのは、このギルドの中でもちょっとだけ異質な学科。未来の予測っていうふわっとした現象を研究してる。でも「未来に起こりうる悲劇を未然に防げる」って理由で、かなり真面目に研究されているんだよね。人によって水晶玉を使ったり、カードを使ったりって様々だけど根っこは同じ研究内容だから、何使ってもいいんだって。もう一人の親友、セーラも来年からここの学科志望なんだって言ってた。見学兼ねて誘ったんだけど、別件の用事があって、来れないって…残念。
占い学科の教室は、すぐ隣の校舎。薄暗くカーテンを引いて、怪しさ大爆発! でもなんか惹かれるものもある、フシギな場所だった。
壁や天井から薬草やニンニク、護符なんかがつるされている。うん、面白そう! 来てよかった♪
「ナナ先輩~? どこですか?」
奥に向かってコギーが呼びかけると、ちょうど後ろにかかっていたカーテンが開いて誰か出てきた。
「そんな大きな声出さなくても、聞こえてるわよ…あら、コギーじゃないの。その子は新しい生け贄候補かしら?」
気だるげな声とともに、神秘的な銀髪のお姉さんが水晶玉を抱えて現れた。うわぁキレイな人だ…って思わず見とれちゃったけど、ちょっと待った。
「…いけにえ?」
なんか聞き捨てならないセリフをさらっと口にしなかった、このヒト?
「違いますよ、今度は! ほら、占いの実験! 協力してくれるって子ですよ!」
ちょ、コギー?! ナニよ「今度は」って?
「ねえ、何いけにえって?」
とりあえず怖いけど、そこんとこだけハッキリさせてもらわなきゃ!
「あら、実験? お願いしちゃっていいのかしら? ああ、安心して。簡単な事だから」
「いや、あたしが欲しいのはそっちの安心じゃなくて…」
その後。半分押し切られる形で、あたしは実験に参加することになっちゃった。まあ、内容はホント簡単なんだけどね。 ちょっとだけ魔法? をかけられた後にこの建物を出て、初めて手にしたものを持ち歩くだけ。それがラッキーアイテムになるんだって。なんなのそれ?
とりあえず一人で外を出歩く。お散歩みたい、天気も良いしいい気分! ショッピングでも行きたい気分だけど、実験中だし無理だよね…。
まあいいや、気ままに歩けばいいんだし。そう思いながら運河沿いの土手に差し掛かった時、いきなり足を滑らせた。
「ひゃあっ!?」
我ながら色気のない悲鳴をあげながら土手の地面に慌ててしがみつく。おかげでなんとかそれ以上、滑り落ちずに済んだ。って、あれ…?
あたしの手には、コケた弾みでつかんだ猫じゃら草が一本。ナナ先輩の説明だと、初めに掴んだものがラッキーアイテムって話だったから…。
「えええ…ラッキーアイテムって、コレ?」
捨てちゃおっかなとも思ったけど、やっぱり今は実験中だし、いちおうもっていくことにした。
ちょっとがっかりだけどね…。
「ラッキーアイテム?」
放課後、いつもの魔術師ギルドの教室で。あたしはキテレツな話を聞いた。
「そ。占いが得意なナナ先輩が、ちょっとだけ実験に付き合って欲しいんだって」
この話を持ち込んだのは、相も変わらずの『情報屋』コギー。どこから仕入れてくるのかは謎だけど、しばらく冒険に行ってなくて退屈を持て余してたあたしにとっては魅力的な提案だった。
「面白そうだけど、占いで実験って何?」
「さあ? とりあえず興味を持ったんなら、行ってみる? 占い学科に」
「そうねえ…」
気の無いフリはしてみたけど、やっぱり気になる占い実験! 気の無いフリしながらの「行くだけ行ってみようかな」って返しで、コギーは「よし、行こ行こ♪」ってあたしを引っ張って行った。さすがね、あたしがかなり惹かれてることが分かった上でのこの速攻! というよりもやっぱり,コギーも気になってたんだ。
占い学科っていうのは、このギルドの中でもちょっとだけ異質な学科。未来の予測っていうふわっとした現象を研究してる。でも「未来に起こりうる悲劇を未然に防げる」って理由で、かなり真面目に研究されているんだよね。人によって水晶玉を使ったり、カードを使ったりって様々だけど根っこは同じ研究内容だから、何使ってもいいんだって。もう一人の親友、セーラも来年からここの学科志望なんだって言ってた。見学兼ねて誘ったんだけど、別件の用事があって、来れないって…残念。
占い学科の教室は、すぐ隣の校舎。薄暗くカーテンを引いて、怪しさ大爆発! でもなんか惹かれるものもある、フシギな場所だった。
壁や天井から薬草やニンニク、護符なんかがつるされている。うん、面白そう! 来てよかった♪
「ナナ先輩~? どこですか?」
奥に向かってコギーが呼びかけると、ちょうど後ろにかかっていたカーテンが開いて誰か出てきた。
「そんな大きな声出さなくても、聞こえてるわよ…あら、コギーじゃないの。その子は新しい生け贄候補かしら?」
気だるげな声とともに、神秘的な銀髪のお姉さんが水晶玉を抱えて現れた。うわぁキレイな人だ…って思わず見とれちゃったけど、ちょっと待った。
「…いけにえ?」
なんか聞き捨てならないセリフをさらっと口にしなかった、このヒト?
「違いますよ、今度は! ほら、占いの実験! 協力してくれるって子ですよ!」
ちょ、コギー?! ナニよ「今度は」って?
「ねえ、何いけにえって?」
とりあえず怖いけど、そこんとこだけハッキリさせてもらわなきゃ!
「あら、実験? お願いしちゃっていいのかしら? ああ、安心して。簡単な事だから」
「いや、あたしが欲しいのはそっちの安心じゃなくて…」
その後。半分押し切られる形で、あたしは実験に参加することになっちゃった。まあ、内容はホント簡単なんだけどね。 ちょっとだけ魔法? をかけられた後にこの建物を出て、初めて手にしたものを持ち歩くだけ。それがラッキーアイテムになるんだって。なんなのそれ?
とりあえず一人で外を出歩く。お散歩みたい、天気も良いしいい気分! ショッピングでも行きたい気分だけど、実験中だし無理だよね…。
まあいいや、気ままに歩けばいいんだし。そう思いながら運河沿いの土手に差し掛かった時、いきなり足を滑らせた。
「ひゃあっ!?」
我ながら色気のない悲鳴をあげながら土手の地面に慌ててしがみつく。おかげでなんとかそれ以上、滑り落ちずに済んだ。って、あれ…?
あたしの手には、コケた弾みでつかんだ猫じゃら草が一本。ナナ先輩の説明だと、初めに掴んだものがラッキーアイテムって話だったから…。
「えええ…ラッキーアイテムって、コレ?」
捨てちゃおっかなとも思ったけど、やっぱり今は実験中だし、いちおうもっていくことにした。
ちょっとがっかりだけどね…。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる