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mission 1 俺たち、観光大使じゃない冒険者!
真相と現状
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side-ラグ 2
「よう、遅かったな。もう少しで、オメー抜きで始めるとこだったぜ」
いつもの師匠の軽口に一瞥を向けると、ラスファさんはやや投げやり気味に答えました。
「別行動ついでにウラをとってきた。バンダナの予備を買うついでにな。ラドフォード卿、神殿通りのクラスター家で 大まかな事情は聞いた。当時は大変だったそうだな」
『それは話が早くて助かる。して、クラスター家は…マリーナは息災でしたか? それに、この街の様子は一体? 多くの人々が住んでいるのですか?』
とても気がかりだったのでしょう、勢いよく立ち上がるとレオンさんは矢継ぎ早に問いかけます。うつむき気味で、ラスファさんは静かに答えました。
「かつて短剣を託した女神官マリーナ・クラスターは、つい二週間ほど前に…。葬儀も済んで、今は静かなものだった」
その辛い報告に、彼は力なくうなだれました。彼にとってマリーナさんは、誰よりも会いたい方だったのでしょうね。
「あと、この街の現状については…見ての通りと思って、全力でスルーしてもらえるとありがたい…」
気のせいでしょうか? マリーナさんの報告よりも、悲しげに見えるんですが…? デュエルさんは、レオンさん…ラドフォード卿の肩に手を置いて、ため息混じりに深くうなづきました。どういうことなのでしょうか?
ラスファさんの情報はこうです。
五十年前、当時は至高神に仕える1人の神官騎士として、ラドフォード卿たちはこの街の地下遺跡に調査のため足を運びました。今もそうですが、当時はもっと遺跡の未調査箇所も魔物の数も多かった事でしょう。そして、そこでとんでもないものを見つけてしまったのです。幾重にも重ねられた封印の魔法陣に織り込まれた魔術文様、そしてその中心にはポツンと水晶でできた水差しが置いてあったそうなのです。慎重に調べた結果、それは古代の魔人を封じる強力な結界と判明しました。ただならぬ禍々しさに探索は中止して遺跡は人知れず封印することを決意した彼らは、完全に封鎖しようとしました。賢明な判断ですわ。
そこで、トラブルが生じてしまいました。同行していた仲間の一人が、この水差しを盗んで売ろうと考えたのです。危険なものであっても、強力な魔術具で力を求める方に心当たりがあったのでしょうか?
当然、ラドフォード卿も仲間の皆さんも猛反対し、揉み合いに。挙句粉々に砕けてしまって、封じられていた魔神は解放されてしまいました。水差しを売ろうと画策した方は、いち早く混乱に乗じて逃げてしまいました。
封じられていたのは、あらゆる病を司る『病魔』という特にたちの悪いものでした。病を流行らせ瘴気を広げ、死者の数が多いほど力を増すという恐ろしい魔神。遺跡には瘴気が広がりつつあり、絶望的な状況の中、残された仲間たちで何とか病魔を食い止めるべく奮闘しましたが敵わず、いよいよ最後の時になり…他の仲間を逃してラドフォード卿は最後まで残ると最後の力を振り絞って自らたのでしたを遺跡に封じて息絶えました。仲間を逃がす際にマリーナさんに託された短剣が、今回の事件の発端になりました物です。自らの死で力を僅かに取り戻した魔神がいつか復活することを予見して…死してなお魂だけとなって彼はその短剣に宿り、再びその対決を待っていました。マリーナさんには夢で詳細を伝え、そして五十年の眠りについたのです…。
「よう、遅かったな。もう少しで、オメー抜きで始めるとこだったぜ」
いつもの師匠の軽口に一瞥を向けると、ラスファさんはやや投げやり気味に答えました。
「別行動ついでにウラをとってきた。バンダナの予備を買うついでにな。ラドフォード卿、神殿通りのクラスター家で 大まかな事情は聞いた。当時は大変だったそうだな」
『それは話が早くて助かる。して、クラスター家は…マリーナは息災でしたか? それに、この街の様子は一体? 多くの人々が住んでいるのですか?』
とても気がかりだったのでしょう、勢いよく立ち上がるとレオンさんは矢継ぎ早に問いかけます。うつむき気味で、ラスファさんは静かに答えました。
「かつて短剣を託した女神官マリーナ・クラスターは、つい二週間ほど前に…。葬儀も済んで、今は静かなものだった」
その辛い報告に、彼は力なくうなだれました。彼にとってマリーナさんは、誰よりも会いたい方だったのでしょうね。
「あと、この街の現状については…見ての通りと思って、全力でスルーしてもらえるとありがたい…」
気のせいでしょうか? マリーナさんの報告よりも、悲しげに見えるんですが…? デュエルさんは、レオンさん…ラドフォード卿の肩に手を置いて、ため息混じりに深くうなづきました。どういうことなのでしょうか?
ラスファさんの情報はこうです。
五十年前、当時は至高神に仕える1人の神官騎士として、ラドフォード卿たちはこの街の地下遺跡に調査のため足を運びました。今もそうですが、当時はもっと遺跡の未調査箇所も魔物の数も多かった事でしょう。そして、そこでとんでもないものを見つけてしまったのです。幾重にも重ねられた封印の魔法陣に織り込まれた魔術文様、そしてその中心にはポツンと水晶でできた水差しが置いてあったそうなのです。慎重に調べた結果、それは古代の魔人を封じる強力な結界と判明しました。ただならぬ禍々しさに探索は中止して遺跡は人知れず封印することを決意した彼らは、完全に封鎖しようとしました。賢明な判断ですわ。
そこで、トラブルが生じてしまいました。同行していた仲間の一人が、この水差しを盗んで売ろうと考えたのです。危険なものであっても、強力な魔術具で力を求める方に心当たりがあったのでしょうか?
当然、ラドフォード卿も仲間の皆さんも猛反対し、揉み合いに。挙句粉々に砕けてしまって、封じられていた魔神は解放されてしまいました。水差しを売ろうと画策した方は、いち早く混乱に乗じて逃げてしまいました。
封じられていたのは、あらゆる病を司る『病魔』という特にたちの悪いものでした。病を流行らせ瘴気を広げ、死者の数が多いほど力を増すという恐ろしい魔神。遺跡には瘴気が広がりつつあり、絶望的な状況の中、残された仲間たちで何とか病魔を食い止めるべく奮闘しましたが敵わず、いよいよ最後の時になり…他の仲間を逃してラドフォード卿は最後まで残ると最後の力を振り絞って自らたのでしたを遺跡に封じて息絶えました。仲間を逃がす際にマリーナさんに託された短剣が、今回の事件の発端になりました物です。自らの死で力を僅かに取り戻した魔神がいつか復活することを予見して…死してなお魂だけとなって彼はその短剣に宿り、再びその対決を待っていました。マリーナさんには夢で詳細を伝え、そして五十年の眠りについたのです…。
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