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mission 5 冒険者は 期間限定教師?
戻ってきた日常
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Side-ラスファ 5
デュエルのトドメによって、バルログは無事に封印の蓋になった。過剰に漏れ出た魔力の渦は、少しずつ正常に戻るだろう。ただ…最後に力任せに投げ飛ばしたせいで、バルログは頭から源泉に放り込まれ…。
「これって、シュールな絵面よねー…逆さまなんて」
アーシェが言う通り、バルログはちょうど床から下半身だけが突き出た体勢で円柱状の柱に取り込まれるように封印が安定していた。さらにはデュエルの槍の穂先まで、突き刺さったまま一緒に封印されているというのは笑えない。槍だけ出して修理できると思っていたが、やはりそう簡単にはいかないらしい。
だが武器なしになったというのに、デュエルはかえってすっきりした様子で授業に勤しんでいる。『武器は壊れるもの、扱えるものは槍だけではないさ』とも言っていたが…それは元傭兵の感覚なんだろうか?
それよりも、懸念すべきは…。
「せんせー、きょうの授業なに?」
いつの間にかサシャがそばに来て、こちらを見上げている。
「ちょっと良いか、サシャ? 『お友達』と話しても…」
「うん! 出てきて『レナリオ』」
その言葉が終わる前に、辺りに柔らかな光が満ちる。精霊の『お友達』こと、レナリオだ。
「光の精霊…だったよな? 少し聞きたいことがある。いいな?」
私の問いに、『彼女』は頷く。
「サシャと契約したと聞いたが…代償は?」
そう。この精霊はあの後、サシャと契約を果たしていたのだ。…私のように。だからこそ聞かずにいられなかった。
『代償…? これは、あの砦の封印を戻してくれたそのお礼。代償とか、特に取るつもりはない。…サシャの事を心配してくれているのか?』
少し嬉しそうに話すレナリオ。そこに純白のドレスを纏った貴婦人が割り込んだ。
『案ずるな。精霊にとって人の子の生涯は、それこそ一瞬。ただ見守り、守護するのみなら代償もそう要らぬ』
『至高の御方!』
突然に割り込んだ純白の貴婦人に、レナリオは深々と頭をたれる。サシャは飛び上がって嬉しげに声をかけた。
「白いお姫様! せんせーのお友達だったんだ! あたしともおそろい!」
『うむ。だが妾とそなたの秘密にな』
「ないしょないしょ! 」
意外なことに、イヴは子供には優しいようだ。見たことがないほど柔らかく微笑うと姿を消した。
『私はサシャを守る。大きく力は貸せないが、代償もいらない。それでいいか?』
「もちろんだ。サシャを守ってやってくれ」
ここに留まるのももう少し。最後に授業が残っている。
その前にできるだけ、教えられることはあるはずだ!
デュエルのトドメによって、バルログは無事に封印の蓋になった。過剰に漏れ出た魔力の渦は、少しずつ正常に戻るだろう。ただ…最後に力任せに投げ飛ばしたせいで、バルログは頭から源泉に放り込まれ…。
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アーシェが言う通り、バルログはちょうど床から下半身だけが突き出た体勢で円柱状の柱に取り込まれるように封印が安定していた。さらにはデュエルの槍の穂先まで、突き刺さったまま一緒に封印されているというのは笑えない。槍だけ出して修理できると思っていたが、やはりそう簡単にはいかないらしい。
だが武器なしになったというのに、デュエルはかえってすっきりした様子で授業に勤しんでいる。『武器は壊れるもの、扱えるものは槍だけではないさ』とも言っていたが…それは元傭兵の感覚なんだろうか?
それよりも、懸念すべきは…。
「せんせー、きょうの授業なに?」
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「光の精霊…だったよな? 少し聞きたいことがある。いいな?」
私の問いに、『彼女』は頷く。
「サシャと契約したと聞いたが…代償は?」
そう。この精霊はあの後、サシャと契約を果たしていたのだ。…私のように。だからこそ聞かずにいられなかった。
『代償…? これは、あの砦の封印を戻してくれたそのお礼。代償とか、特に取るつもりはない。…サシャの事を心配してくれているのか?』
少し嬉しそうに話すレナリオ。そこに純白のドレスを纏った貴婦人が割り込んだ。
『案ずるな。精霊にとって人の子の生涯は、それこそ一瞬。ただ見守り、守護するのみなら代償もそう要らぬ』
『至高の御方!』
突然に割り込んだ純白の貴婦人に、レナリオは深々と頭をたれる。サシャは飛び上がって嬉しげに声をかけた。
「白いお姫様! せんせーのお友達だったんだ! あたしともおそろい!」
『うむ。だが妾とそなたの秘密にな』
「ないしょないしょ! 」
意外なことに、イヴは子供には優しいようだ。見たことがないほど柔らかく微笑うと姿を消した。
『私はサシャを守る。大きく力は貸せないが、代償もいらない。それでいいか?』
「もちろんだ。サシャを守ってやってくれ」
ここに留まるのももう少し。最後に授業が残っている。
その前にできるだけ、教えられることはあるはずだ!
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