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mission 5 冒険者は 期間限定教師?
実地研修三時限目・反撃の手がかり
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Side-デュエル 9
鞭のようにしなるバルログの尾が、ラスファに迫る! 炎を纏うバルログにとって、最も脅威となりうる彼を無防備にしたことを俺は悔やんだ。
カバーに入ろうにも、間に合わない!
そう絶望しかけた、その時だった。
「ごめんティグ、お願い!」
アーシェの号令に合わせ、白い影が割り込む! あれは、アーシェの召喚獣か?
虎としてはずいぶん小ぶりだが…白い毛玉は両者の間に割り込むと、燃え盛る尾を意外と鋭い牙で捕らえて引き戻す。これには召喚者が一番驚いたようだった。
「え…偉い! よくできました! 後で大好きなチーズ大盛りあげちゃう!」
「…実際に報酬やるの、確実にコッチだよな…?」
バルログの捕縛に集中しているラスファに代わってツッコむと、俺はすかさず尾の根元に槍を突き込み切り落とした。惚けてる場合じゃない!
「ほらよ、お片付けは基本だよな!」
切り落とされてなお、ビタビタ暴れる尾を短剣で突き刺してアーチが投げ捨てる。切り落とされた時点で炎は消えたが、余熱はまだ残ってるだろうに…よくやるよ。
「『お友達』!良かった、ぶじだった!」
サシャの声の方を見ると、淡い光に包まれた子供のような姿が宙に浮いている。アレがサシャの言う『お友達』なのか? 魔力のない俺が精霊など見る機会は滅多にないことだ。
その『お友達』が、逆側の壁を指差している。なんだ?
「見つけた、せんせー! あっちの壁!」
「あの金色のかざり! アレじゃない?」
子供たちが騒ぎだした。
部屋の向こうの壁、金細工で埋め尽くされた一角に何かをはめ込むような窪みがわずかに見える。
俺は手の中にある『枯れ枝』が抱えていた黄金の護符に目を落とした。これか!
俺はダッシュでラグと子供たちに駆け寄る。
「これをはめ込むと良さげか?」
俺の問いに、子供たちは首を横に振った。
「これじゃ足りないみたい」
「窪みと合わないよー?」
…なんてこった。違うのか?
だが、俺を見上げたたランディが壁を指して見せた。
「せんせー、この壁にお話が書いてある! 高いとこ!」
…お話?
覗き込むとかなり高い位置に、枠に囲って古代語の説明文が書かれていた。これを書いたやつは相当背のでかいやつだったに違いない。
「読めるか?」
流石に俺には古代語は読めない。そこで思いつくまま、古代語解読が得意なジョラに話を振ってみた。彼女は自信ありげに頷く。
「うん。せんせー、肩車して!」
するとすかさずアーチが割り込んできた。
「よっしゃオレの肩に来い! デュエル! あいつ捕まえるのそろそろ時間切れだ。加勢頼むぜ!」
…ラクな方に回りやがったな。俺はアーチを半眼で睨むとジョラを任せた。肩の上に立つ形だ。
「せんせー、おぱんつのぞいちゃやだよ?」
「十年後なら保証は無かったな、おませさん!」
子ども相手にゲスいこと言うな!!
鞭のようにしなるバルログの尾が、ラスファに迫る! 炎を纏うバルログにとって、最も脅威となりうる彼を無防備にしたことを俺は悔やんだ。
カバーに入ろうにも、間に合わない!
そう絶望しかけた、その時だった。
「ごめんティグ、お願い!」
アーシェの号令に合わせ、白い影が割り込む! あれは、アーシェの召喚獣か?
虎としてはずいぶん小ぶりだが…白い毛玉は両者の間に割り込むと、燃え盛る尾を意外と鋭い牙で捕らえて引き戻す。これには召喚者が一番驚いたようだった。
「え…偉い! よくできました! 後で大好きなチーズ大盛りあげちゃう!」
「…実際に報酬やるの、確実にコッチだよな…?」
バルログの捕縛に集中しているラスファに代わってツッコむと、俺はすかさず尾の根元に槍を突き込み切り落とした。惚けてる場合じゃない!
「ほらよ、お片付けは基本だよな!」
切り落とされてなお、ビタビタ暴れる尾を短剣で突き刺してアーチが投げ捨てる。切り落とされた時点で炎は消えたが、余熱はまだ残ってるだろうに…よくやるよ。
「『お友達』!良かった、ぶじだった!」
サシャの声の方を見ると、淡い光に包まれた子供のような姿が宙に浮いている。アレがサシャの言う『お友達』なのか? 魔力のない俺が精霊など見る機会は滅多にないことだ。
その『お友達』が、逆側の壁を指差している。なんだ?
「見つけた、せんせー! あっちの壁!」
「あの金色のかざり! アレじゃない?」
子供たちが騒ぎだした。
部屋の向こうの壁、金細工で埋め尽くされた一角に何かをはめ込むような窪みがわずかに見える。
俺は手の中にある『枯れ枝』が抱えていた黄金の護符に目を落とした。これか!
俺はダッシュでラグと子供たちに駆け寄る。
「これをはめ込むと良さげか?」
俺の問いに、子供たちは首を横に振った。
「これじゃ足りないみたい」
「窪みと合わないよー?」
…なんてこった。違うのか?
だが、俺を見上げたたランディが壁を指して見せた。
「せんせー、この壁にお話が書いてある! 高いとこ!」
…お話?
覗き込むとかなり高い位置に、枠に囲って古代語の説明文が書かれていた。これを書いたやつは相当背のでかいやつだったに違いない。
「読めるか?」
流石に俺には古代語は読めない。そこで思いつくまま、古代語解読が得意なジョラに話を振ってみた。彼女は自信ありげに頷く。
「うん。せんせー、肩車して!」
するとすかさずアーチが割り込んできた。
「よっしゃオレの肩に来い! デュエル! あいつ捕まえるのそろそろ時間切れだ。加勢頼むぜ!」
…ラクな方に回りやがったな。俺はアーチを半眼で睨むとジョラを任せた。肩の上に立つ形だ。
「せんせー、おぱんつのぞいちゃやだよ?」
「十年後なら保証は無かったな、おませさん!」
子ども相手にゲスいこと言うな!!
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