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intermission 9 真昼の珍事!?

尾行のツボと筋肉フェチ

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Side-アーシェ 3

 やっと見つけた! 
 ほんっとにもう! 
 あたしも冒険者なんだから、撒こうったってそうはいかないんだからね!

 そりゃ、流石にちょっぴり…いや結構時間かかったけどさ。路地裏から出ようとする頃にようやっと兄貴の後ろ姿を見つけられた。
 実はひそかに尾行術とか勉強してたんだよねー♪ まさか最初にソレ使う相手が兄貴になるとは思わなかったけどさ…。

 まあそれ以上に兄貴の長い銀髪はちょっと目立つから、それも あってのことだけどさ? 今度は撒かれないからね!

「あのさあ…」
 大きな通りに出て、尾行を続行! 張り切るあたしに、横から遠慮がちに声がかかった。さっきから連れ立ってるコギーだ。

「なんのための尾行なの? まあ、面白いからいいんだけどね」
 え、なんのための? …そういやなんだろ?  兄貴のデートのデバガメ? いやいや、ちゃんとした理由はあるのよ? えーと…。
「び、尾行の練習? 勉強した成果を試したいっていうか、その…」

 悪かったわね、我ながら苦しい言い訳で! でも試したいのは事実だもんよ!
 でもコギーは苦笑いしながら親指を立てる。
「まあいいわ。それより今度は撒かれないようにしなきゃね」
「わかってるわよ…」

 悔しいけど、今のコギーは言い負かせる気がしない。気をとりなおして行ってみるか!
「…ん?」
 ふと振り返った視界に、でっかい人影が映った気がした。あんまり考えたく無いんだけど、もしかして…。

「やっぱり…」
 でっかい人影は思った通りの相手だった。知ってる限りで彼以上の大男は他にいない。もう一人見覚えのあるごつい人も連れてるけど、誰だっけ?
「わお、デュエルさん♪」
 横にいるコギーの声が、いきなり華やかになる。

 コギーは全力でしっぽを振るワンコみたいに喜び全開のオーラを振りまきながら、デュエルに手を振る。キャラ変わりすぎじゃない?

 コギーは、密かに『男は筋肉あってなんぼ!』という程の筋肉フェチだったりする。となれば、デュエルに懐かないわけがないのよね…。
「当番の見回りですよねー? お疲れ様です! そちらエドガーさんでしたね。こんにちは!」
  独自の情報網なのか見回り当番のシフトまで把握してるあたり、ちょっと怖いわコギー…。

「お、おう…どうも…」
 ちょっと引きながらデュエルは律儀に手を振り返す。
 あたしは大変な事に気がついた。

 兄貴の姿が、また雑踏に呑まれて消えてしまった…!
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