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short mission 4 宅配戦線、異常あり!
風光明媚、エルネシア領
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Side-ラスファ 1
…大したものだ。
先刻の葡萄酒の話を出してから、わずか数時間。我々はくだんの村に続く街道の上にいた。
正直言って、アーチには感心する。毎回毎回、よくもまあここまで舌が回るものだ。冒険者の依頼でもないこの件に渋る女将を説得してのけた上に、買い付けという形で了承をもぎ取ったのだから。それも『できるだけ安く仕入れろ』とのお言葉付きで。
「もう少しでエルネシア領ですよ」
依頼人…ネルソンの声で我にかえると、行く手には立派な葡萄畑が広がっていた。
流石に葡萄酒の産地だけはある。広大な面積を占める畑は遠目にもよくわかった。
畑もさることながら、景観もすこぶる良い。ゆったりした森を背景に、そびえる岩山から滝が落ちている。いかにも貴族が好みそうな環境に思える。
これは狙われるな…。
「ここを潰して保養地にか…なんとしても阻止しなくては」
デュエルの背中がポツリと語る。同じことを考えていたか…。
「エルネシアの葡萄酒は、癖のない芳醇な風味が特徴だ。有数の産地を潰させるわけにはいかないな」
小さいが、断固たる意志のこもった言葉。肩透かしを食らった気分で、私は問いを返した。
「…有名なのか?」
「知る人ぞ知る名産地だ。酒好きなら常識だがな」
そういうものか。デュエルも大概ザルだが、飲めない者には知るすべがない。
「オレも好きだぜ、ここのは」
デュエルほどではないが、葡萄酒の味を知るアーチが補足する。
「女のとこに行くときの手土産にいいんだ。口当たりが良くて飲みやすいからな」
「…」
「うわぁ、これ全部原料になる葡萄?」
畑を覗き込みながら上がったアーシェのはしゃぎ声に、依頼人は目を細めた。葡萄棚から無数の赤い粒がきらめいている。ちょっと手を伸ばせば届きそうな位置だ。
「ええ。ただあくまで醸造用なので、食用には向きません」
その一言で、アーシェの伸ばしかけた手が止まった。さてはつまみ食いする気だったな。
「…酸っぱいの?」
「ええ。あと種が多くて渋いです」
アーシェとラグの手が、同時に引っ込んだ。お前もか、ラグ。
「…もうちっと早く言って欲しかったぜ…」
アーチが種を吐き出して額を押さえる。…おいちょっと待て保護者! なに真っ先につまみ食いしてんだ!
「「なんか、すいません…」」
私とデュエルの声がハモった。
…大したものだ。
先刻の葡萄酒の話を出してから、わずか数時間。我々はくだんの村に続く街道の上にいた。
正直言って、アーチには感心する。毎回毎回、よくもまあここまで舌が回るものだ。冒険者の依頼でもないこの件に渋る女将を説得してのけた上に、買い付けという形で了承をもぎ取ったのだから。それも『できるだけ安く仕入れろ』とのお言葉付きで。
「もう少しでエルネシア領ですよ」
依頼人…ネルソンの声で我にかえると、行く手には立派な葡萄畑が広がっていた。
流石に葡萄酒の産地だけはある。広大な面積を占める畑は遠目にもよくわかった。
畑もさることながら、景観もすこぶる良い。ゆったりした森を背景に、そびえる岩山から滝が落ちている。いかにも貴族が好みそうな環境に思える。
これは狙われるな…。
「ここを潰して保養地にか…なんとしても阻止しなくては」
デュエルの背中がポツリと語る。同じことを考えていたか…。
「エルネシアの葡萄酒は、癖のない芳醇な風味が特徴だ。有数の産地を潰させるわけにはいかないな」
小さいが、断固たる意志のこもった言葉。肩透かしを食らった気分で、私は問いを返した。
「…有名なのか?」
「知る人ぞ知る名産地だ。酒好きなら常識だがな」
そういうものか。デュエルも大概ザルだが、飲めない者には知るすべがない。
「オレも好きだぜ、ここのは」
デュエルほどではないが、葡萄酒の味を知るアーチが補足する。
「女のとこに行くときの手土産にいいんだ。口当たりが良くて飲みやすいからな」
「…」
「うわぁ、これ全部原料になる葡萄?」
畑を覗き込みながら上がったアーシェのはしゃぎ声に、依頼人は目を細めた。葡萄棚から無数の赤い粒がきらめいている。ちょっと手を伸ばせば届きそうな位置だ。
「ええ。ただあくまで醸造用なので、食用には向きません」
その一言で、アーシェの伸ばしかけた手が止まった。さてはつまみ食いする気だったな。
「…酸っぱいの?」
「ええ。あと種が多くて渋いです」
アーシェとラグの手が、同時に引っ込んだ。お前もか、ラグ。
「…もうちっと早く言って欲しかったぜ…」
アーチが種を吐き出して額を押さえる。…おいちょっと待て保護者! なに真っ先につまみ食いしてんだ!
「「なんか、すいません…」」
私とデュエルの声がハモった。
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