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mission 4 ワンコ王国、建国のススメ!

国主の問題

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side-デュエル 13

 そろそろ潮時だろう。

 建国にあたっての条約も締結された。
 条約のおかげで襲撃の際の心配も軽減された。
 冒険者ギルドの面子も守った。
 居住区域の確保もある程度はできた。
 そして、交易品となる織物の取引条件も定まった。
 この仕事もこの辺りで終わったと判断して差し支えないだろう。

 だが、ここで大きな仕事が残っていることに気がついてしまった。

「デュエルさん! ぜひここの建国王になって、この国を導いてください!」
「アーチさん! この国の外交に手腕を発揮してください!」
「ラスファさん! この先の行く末に、お知恵をお貸しください!」

 あー…どうしよ?
 正直なとこ言っていいなら、めんどい事この上ない。
 チャールズさんから忠告を受けはしたが、こんな祭り上げられるとどうしていいかわからなくなる。一応対策を考えては見たものの、俺から答えは出ないままで今に至っている。こりゃチャールズさんも苦労したんだろうな…。

 どうでもいいが、俺の隣で空気がピリピリしている気がするが…気のせいと思いたい。振り返ればレックスがブツブツ言っている。怖い。
「目をつけたのはオレが先だ…横取りは許さん。最強騎士団長に敏腕外交官、切れ者参謀長はうちが貰う!」
 …なんか知らんが、俺の知らないところでラスファたちもスカウトしてたらしい。冒険者を引退したと宣言したら、すかさず拉致られるに違いない。

「はい注目ー!」
 そんな中アーチの合図で、その場の全員の目がそちらに吸い寄せられた。もちろん俺もだ。
 奴はいつもの笑みを浮かべたままで、その辺に転がっている岩に乗っかって手を上げ注目を集めている。ラスファもその場にいたが、岩には乗らずにそばに来てこめかみを抑えていた。たまに思うが、彼は目立つと頭痛が起きる体質か何かなのだろうか?

 現実逃避混じりのジョークは横に置いておいて。アーチは晴れ晴れとした顔つきで呼びかけてきた。
「ちょいとばかし提案だ。なに、難しい事じゃねぇ…国主っての、それ無しにしねぇ?」
 周囲がざわついた。国主というのは、文字通り国の主…国王と同義だ。それを決めずに建国するというのはどういう事なのか…全員、固唾を飲んで続きを聞き出した。

「んじゃ、どうするかって? 簡単な事さ」
 そばのラスファから何かを受け取ると、アーチは大きく広げた。

『我々は、断固戦い抜く!』
 謎の文字が書かれた布だ。微妙な空気をアーチは笑い飛ばす。
「あ、間違えた。悪りィ。こっちこっち!」
今度は白い紙に書かれたものだ。これは…エルダード上層部の組織図か?

「国主とかそういうの、無しにしねぇ?」

 静かにざわめく一同。さらにアーチは続ける。
「エルダード上層部に倣ってよ、各部門のトップを投票で決めて一定期間の任期を務める。んで、それが過ぎたら次の投票って具合によ。オメーらにゃ難しくもねぇはずだ」

 実際このエルダードには、国主やそれに準ずる王などは存在しない。いるのは定期的な選挙や投票などによって選ばれた、評議会員のみだ。
 「それでも国主を決めたかったら、あとはオメーらでなんとかしてくれ」
 その宣言でざわめきが大きくなる。
「そんな!」
「どうか考え直して下さい!」

 そう言い募る群衆に向けて、アーチは一喝した。

「必要ねぇって言ってるんだ!!!」
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