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mission 4 ワンコ王国、建国のススメ!
産業開発は織物から!
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side-アーシェ 4
「すっごいよね~」
あたしはフローネが織った布を広げて見入っていた。手芸とか苦手だったから、こういうことができる人って本当に尊敬するよ。
「そんなに難しくないんだよ? やってみる?」
持ち運びもできる織り機から振り返って、フローネが微笑む。
「いや多分無理! 織ってるとこ見せてもらってるけど、どうやってるのか全ッ然わかんないもん!」
はい、情け無いけどあたしは手芸の才能なんてないです。刺繍をすれば布を破き、編み物すれば絡まって収拾つかなくなる不器用さんですよ!
でもアーちんってば、よく織物に魔術文様を織り込むことなんて思いついたよね。
文様として最初から織り込むっていうのは、画期的な技術になりうるよ! 今の主流は、刺繍なんかで付け足すことだったんだけどね。最初から織り込まれてる布なら、刺繍に比べて大幅に応用範囲が広がるもん!
ラグちゃんは、そんな魔術文様布の種類を増やすために奔走してる。とりあえずはアーちんのポンチョや兄貴の上着から、あとはデュエルの持ち物に魔術文様が含まれた品がないか聞いて回るんだって。
それぞれ自分で絵に書き写して、フローネや布織りが得意な人たちに渡すって言ってた。うん…実はそっちもあたし苦手。でもでも、絵が下手なのはあたしだけじゃないし! 兄貴の画力だってひっどいからね!?
織り込みさえすれば、あとは何にでも加工できる。刺繍糸だとほつれたら効果も大幅ダウンしちゃうんだけど、その心配も少ない。
普段戦闘に無縁な一般の人も、事故防止の意味で防御の魔術文様の恩恵が得られるかもしれない。
よく考えてるよねー。
そこにアーちんがひょっこりとやって来た。
「なあなあ、ちょっとばかし布地の注文していいか?」
いきなりなんだろ?
「何? ファッションにでも目覚めた?」
…やな予感しかしない。今のアーちん、イタズラを思いついた悪童そのもののカオしてるから!
「いいからいいから! んで模様なんだけどな?」
アーちんが広げた図案を見て、あたしたちは噴き出した。なにこれ? どんなイタズラよ!?
「あの…これは一体?」
戸惑うフローネの頭に手を置くと、アーちんはとびっきりワルい大人の笑みを返す。
「どうでもいいけどそれ、騙される予感しかしないよ?」
「うるせーな。…なに、悪いようにゃしねェさ。もしかしたらこれで、いい国が作れちゃうかもしれねェぜ?」
「だから胡散臭いって!」
「…信じます!」
そんなわちゃわちゃしたやり取りを見て、フローネが決然とした表情で言い切った。
「皆さんのお力添えのもとでなされようとしている建国ですから! あとは皆さんについていくばかりですよ。私は私にできることをするだけです」
「フローネ…」
織り機に飛びつくようにして、フローネは猛烈な勢いで織り始める。図案を真剣に見据えて、脇目も振らずに。
「建国に尽力してるお父さんの、役に立ちたいって言ってたもんね」
やれることができれば、あとは突っ走るだけ。あたしはそんなフローネの背中を全力で応援した。
そう、あたしはあたしにできることをするだけ!
「すっごいよね~」
あたしはフローネが織った布を広げて見入っていた。手芸とか苦手だったから、こういうことができる人って本当に尊敬するよ。
「そんなに難しくないんだよ? やってみる?」
持ち運びもできる織り機から振り返って、フローネが微笑む。
「いや多分無理! 織ってるとこ見せてもらってるけど、どうやってるのか全ッ然わかんないもん!」
はい、情け無いけどあたしは手芸の才能なんてないです。刺繍をすれば布を破き、編み物すれば絡まって収拾つかなくなる不器用さんですよ!
でもアーちんってば、よく織物に魔術文様を織り込むことなんて思いついたよね。
文様として最初から織り込むっていうのは、画期的な技術になりうるよ! 今の主流は、刺繍なんかで付け足すことだったんだけどね。最初から織り込まれてる布なら、刺繍に比べて大幅に応用範囲が広がるもん!
ラグちゃんは、そんな魔術文様布の種類を増やすために奔走してる。とりあえずはアーちんのポンチョや兄貴の上着から、あとはデュエルの持ち物に魔術文様が含まれた品がないか聞いて回るんだって。
それぞれ自分で絵に書き写して、フローネや布織りが得意な人たちに渡すって言ってた。うん…実はそっちもあたし苦手。でもでも、絵が下手なのはあたしだけじゃないし! 兄貴の画力だってひっどいからね!?
織り込みさえすれば、あとは何にでも加工できる。刺繍糸だとほつれたら効果も大幅ダウンしちゃうんだけど、その心配も少ない。
普段戦闘に無縁な一般の人も、事故防止の意味で防御の魔術文様の恩恵が得られるかもしれない。
よく考えてるよねー。
そこにアーちんがひょっこりとやって来た。
「なあなあ、ちょっとばかし布地の注文していいか?」
いきなりなんだろ?
「何? ファッションにでも目覚めた?」
…やな予感しかしない。今のアーちん、イタズラを思いついた悪童そのもののカオしてるから!
「いいからいいから! んで模様なんだけどな?」
アーちんが広げた図案を見て、あたしたちは噴き出した。なにこれ? どんなイタズラよ!?
「あの…これは一体?」
戸惑うフローネの頭に手を置くと、アーちんはとびっきりワルい大人の笑みを返す。
「どうでもいいけどそれ、騙される予感しかしないよ?」
「うるせーな。…なに、悪いようにゃしねェさ。もしかしたらこれで、いい国が作れちゃうかもしれねェぜ?」
「だから胡散臭いって!」
「…信じます!」
そんなわちゃわちゃしたやり取りを見て、フローネが決然とした表情で言い切った。
「皆さんのお力添えのもとでなされようとしている建国ですから! あとは皆さんについていくばかりですよ。私は私にできることをするだけです」
「フローネ…」
織り機に飛びつくようにして、フローネは猛烈な勢いで織り始める。図案を真剣に見据えて、脇目も振らずに。
「建国に尽力してるお父さんの、役に立ちたいって言ってたもんね」
やれることができれば、あとは突っ走るだけ。あたしはそんなフローネの背中を全力で応援した。
そう、あたしはあたしにできることをするだけ!
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