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mission 4 ワンコ王国、建国のススメ!
疑惑の戦場
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side-デュエル 9
「目を閉じて!」
押し殺したアーシェの声で、反射的に目を閉じる。途端にまぶたの裏を白く焼くほどの『閃光』の魔法が放たれた。
目を閉じてこの威力だ、不意打ちでやられた方はたまったものじゃないだろう。
直後、高所に陣取ったラスファのものらしい矢の風切り音が耳に届いた。射程を精霊魔法で伸ばしているのだろうそれは、確実に敵の戦力を削っているに違いない。まして閃光で視界を灼かれた直後ならなおさらだろう。
今や敵は大混乱に陥っていた。
森からまろび出る黒ずくめは足元もおぼつかず、かと言って潜んでいても狙い撃ちにされるとあっては逃げる他ないだろう。森の奥に逃げられた者は運がいいが、方向感覚を失っているために敵前に出てしまったらしい。
だが妙だ。やたらと多い数の割に指揮系統もメチャクチャで、連携も何もあったものではない。ひどい時には味方同士で同士討ちを演じているところもあるぐらいだ。
放っておいても勝手に減りそうだな…。
「お?」
暗闇の中を透かし見て、誰ともなく違和感を覚えた。
「アーシェ、明かりを灯してくれ!」
「わかった!」
獣人族たちが焚いてくれていた篝火に届かない場所で蠢く影。明らかに人ではない動き。
「『灯火』よ!」
いくつか同時に放たれた魔法の明かりの中、昼間ほどとは言わないがふんわりとした光が周囲に満ちる。
「ぎいぃぃぃいいいえええぇぇぇえええ!」
とんでもない絶叫が響き渡った。あれは確か…!
「トロールの亜種、特に暗闇に特化したダークトロールです! 全くの暗闇では無敵ですが、その代わり光が弱点ですね!」
すかさずラグが解説を入れる。そうだ、思い出した!フランシスの実家で起きた事件で見た、あのトロールによく似たフォルムだったんだ。
再生能力は凄まじいと言う話だったが、光の中に引き摺り出されては、自慢の再生能力も消失するようだ。
「なら今のうちだ!」
いきなり耳元に風が断ち割られる音が届く。慌ててその方向に向くと、レックスが宙に身を躍らせていた。規格外の巨大な剣を振り上げて、ダークトロールの丸められた背に打ちおろす。獲物の大きさの割に、異常なスピードの攻撃! 俺はしばらく我を忘れてその戦いぶりを見送った。
「………ァ……ガァ…………ッ!」
途切れ途切れの絶叫。黒い血が後から後から湧き出し、再生しようとするその巨大な傷はブクブクと泡立ってささやかな抵抗を見せるが、やがて光の中で熔け崩れた。結構グロい最期だ。
改めて周囲を見ると、他の小さなザコも人間ではないようだった。低級魔物の代表格であるゴブリンやレッドキャップ、さらに大きいものはオークのようだ。どういう事だ、数ばかり多いが、ほぼ全て人間じゃない…!?
いや、今はそんなことどうでもいい!
「我々も行くぞ!」
飛び出す俺に続いて、犬獣人族の戦闘要員たちが武器を手に走る! たちまち雄叫びと悲鳴、血しぶきが飛び交う乱戦が繰り広げられた。
傭兵時代から思っていたが、やはり犬獣人族は優れた戦士たちだ。勇敢で迅速、かつ連携にも長けている。
しかし、やはり妙だ。この戦場には人間がいない。いるのは低級な魔物たちばかりだ。ゴブリンやレッドキャップを盾に大柄なオークが侵攻しているが、こんなことがあり得るのだろうか?
いや…以前のゴブリンを操る杖の存在がある。あれに似た魔術具を敵が所持しているとしたら?
あり得ないことではない。なにせ、ここは世界有数の遺跡都市なのだ。手付かずの無数の遺跡に囲まれて、未だに古代の魔術具がザクザクと出てきている。さらには魔術師ギルドでも魔術具が作られているくらいだ、組織的に作成している可能性はある。
それに…。
少なくとも敵には、魔神と契約している奴がいるのだから…!
「目を閉じて!」
押し殺したアーシェの声で、反射的に目を閉じる。途端にまぶたの裏を白く焼くほどの『閃光』の魔法が放たれた。
目を閉じてこの威力だ、不意打ちでやられた方はたまったものじゃないだろう。
直後、高所に陣取ったラスファのものらしい矢の風切り音が耳に届いた。射程を精霊魔法で伸ばしているのだろうそれは、確実に敵の戦力を削っているに違いない。まして閃光で視界を灼かれた直後ならなおさらだろう。
今や敵は大混乱に陥っていた。
森からまろび出る黒ずくめは足元もおぼつかず、かと言って潜んでいても狙い撃ちにされるとあっては逃げる他ないだろう。森の奥に逃げられた者は運がいいが、方向感覚を失っているために敵前に出てしまったらしい。
だが妙だ。やたらと多い数の割に指揮系統もメチャクチャで、連携も何もあったものではない。ひどい時には味方同士で同士討ちを演じているところもあるぐらいだ。
放っておいても勝手に減りそうだな…。
「お?」
暗闇の中を透かし見て、誰ともなく違和感を覚えた。
「アーシェ、明かりを灯してくれ!」
「わかった!」
獣人族たちが焚いてくれていた篝火に届かない場所で蠢く影。明らかに人ではない動き。
「『灯火』よ!」
いくつか同時に放たれた魔法の明かりの中、昼間ほどとは言わないがふんわりとした光が周囲に満ちる。
「ぎいぃぃぃいいいえええぇぇぇえええ!」
とんでもない絶叫が響き渡った。あれは確か…!
「トロールの亜種、特に暗闇に特化したダークトロールです! 全くの暗闇では無敵ですが、その代わり光が弱点ですね!」
すかさずラグが解説を入れる。そうだ、思い出した!フランシスの実家で起きた事件で見た、あのトロールによく似たフォルムだったんだ。
再生能力は凄まじいと言う話だったが、光の中に引き摺り出されては、自慢の再生能力も消失するようだ。
「なら今のうちだ!」
いきなり耳元に風が断ち割られる音が届く。慌ててその方向に向くと、レックスが宙に身を躍らせていた。規格外の巨大な剣を振り上げて、ダークトロールの丸められた背に打ちおろす。獲物の大きさの割に、異常なスピードの攻撃! 俺はしばらく我を忘れてその戦いぶりを見送った。
「………ァ……ガァ…………ッ!」
途切れ途切れの絶叫。黒い血が後から後から湧き出し、再生しようとするその巨大な傷はブクブクと泡立ってささやかな抵抗を見せるが、やがて光の中で熔け崩れた。結構グロい最期だ。
改めて周囲を見ると、他の小さなザコも人間ではないようだった。低級魔物の代表格であるゴブリンやレッドキャップ、さらに大きいものはオークのようだ。どういう事だ、数ばかり多いが、ほぼ全て人間じゃない…!?
いや、今はそんなことどうでもいい!
「我々も行くぞ!」
飛び出す俺に続いて、犬獣人族の戦闘要員たちが武器を手に走る! たちまち雄叫びと悲鳴、血しぶきが飛び交う乱戦が繰り広げられた。
傭兵時代から思っていたが、やはり犬獣人族は優れた戦士たちだ。勇敢で迅速、かつ連携にも長けている。
しかし、やはり妙だ。この戦場には人間がいない。いるのは低級な魔物たちばかりだ。ゴブリンやレッドキャップを盾に大柄なオークが侵攻しているが、こんなことがあり得るのだろうか?
いや…以前のゴブリンを操る杖の存在がある。あれに似た魔術具を敵が所持しているとしたら?
あり得ないことではない。なにせ、ここは世界有数の遺跡都市なのだ。手付かずの無数の遺跡に囲まれて、未だに古代の魔術具がザクザクと出てきている。さらには魔術師ギルドでも魔術具が作られているくらいだ、組織的に作成している可能性はある。
それに…。
少なくとも敵には、魔神と契約している奴がいるのだから…!
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