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mission 4 ワンコ王国、建国のススメ!
恐るべし女子力!
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side-アーチ 4
なんだなんだ、何が起こってやがる?
行方不明者を探してりゃ、さらにいねぇ奴が増えてた。んで、建国予定地に戻ってみりゃ襲撃まであったってのか?
一体全体、何がどうなってやがるんだか?
「これは多分、神様のお力をお借りすればなんとかなりそうですわ」
黒い首輪を外すために、静かに弟子は祈り始めた。って事は呪いかなんかか?
「ここはラグに任せるか。念のためデュエルは護衛を頼む」
ラスファの奴はそう言ってオレを促した。
「魔神に契約者?! マジかそりゃ?」
「できれば、私もそう思いたくはなかったんだが…」
オレが戻る前のことをまとめて説明されはしたが、あんまり考えたくなかった事実だよなあ…。
なんせ以前の病魔事件じゃ、オレたちでさえも苦戦を強いられちまったんだからな。それだけじゃねえ、戦闘が終わった後も数日間熱や吐き気の症状に苦しめられた。
なに? 治療された神殿でいい思いしたんじゃねぇかって? バカ言え、ナンパは元気と健康あってのもんだ! たとえ美人を口説き落としたって、そっから元気にゃ…ゲフンゲフン。おおう、お子様の前じゃ言えねぇけどな?
ま、ともかくだ。あんだけの苦闘を強いられた相手と同類がまだ居るってのは痛い話だ。
んで、こっからオレの話だ。
「こっちも改めて点呼を取って人数確認したんだが、昨日までいたはずのモンが数人消えたってんだよな」
オレの話を黙って聞くと、ラスファは頷いて先を促す。
「でよ、しばらく探し回ったんだが見当たらねぇ。とりあえず残ったメンバーを護衛しながらこっちに来たんだが、先に来てもいねぇ。どっかに出奔したか、それとも…拉致られたか」
「…昨日まではいたんだな?」
「それは間違いねぇってよ。健康チェックも兼ねて、毎日朝食時と夕食時には集まる習慣があるそうだが…昨日はちゃんと全員揃ってたんだよな。記録も残っているってよ」
「なら消えたのは、昨夜の夕食どき以降という事か。消えた者に、何か共通点はあるのか?」
あー、やっぱそこだよな。オレは顔をしかめた。
「それがよ…年齢性別お構いなしっつー無節操さだ。下は四歳児から、上は三十代ってとこだ」
「それでも比較的、若めの部類になりそうだな」
「ああ、消えたのって…どうも水汲みに行った時のことだったみたいよ」
オレらの会話にさらりとアーシェが割り込んだ。え、なにそれ聞いてねぇんだけど?
ポカンとするラスファ。まあ多分オレも似たような状態だろうけどよ…なんでこいつの方がこんな詳しんだよ?
「キャンプで仲良くなった娘から聞いたんだけどね? 水汲みに行った後で、いなくなった人が何人かいたんだって。だから、水場で待ち伏せされてたんじゃないのかな?」
「おおう…」
恐るべし、女子同士のコミュ力! 下手にオレたちが聞きに行ったところで、ここまでは聞けなかったんじゃねぇだろうか?
「て…敵がそこにいるとわかってるなら、こっちからも仕掛けられるかもな」
どうにかこうにか気を取り直したラスファは、平静を装ってオレに意見を求める。お…おお、そうだな。ビビってる場合じゃねぇや。
「そ、そそそそうだな。誰かが犬獣人のフリして、囮を使うってか。てか誰が?」
オレの返しに、ラスファは少しばかり歯切れ悪く俯く。
「…不本意だが…犬獣人たちがこっちに引き上げた以上、やるなら早い方がいい」
そう言って奴は何かを取り出した。
「…!」
なんだなんだ、何が起こってやがる?
行方不明者を探してりゃ、さらにいねぇ奴が増えてた。んで、建国予定地に戻ってみりゃ襲撃まであったってのか?
一体全体、何がどうなってやがるんだか?
「これは多分、神様のお力をお借りすればなんとかなりそうですわ」
黒い首輪を外すために、静かに弟子は祈り始めた。って事は呪いかなんかか?
「ここはラグに任せるか。念のためデュエルは護衛を頼む」
ラスファの奴はそう言ってオレを促した。
「魔神に契約者?! マジかそりゃ?」
「できれば、私もそう思いたくはなかったんだが…」
オレが戻る前のことをまとめて説明されはしたが、あんまり考えたくなかった事実だよなあ…。
なんせ以前の病魔事件じゃ、オレたちでさえも苦戦を強いられちまったんだからな。それだけじゃねえ、戦闘が終わった後も数日間熱や吐き気の症状に苦しめられた。
なに? 治療された神殿でいい思いしたんじゃねぇかって? バカ言え、ナンパは元気と健康あってのもんだ! たとえ美人を口説き落としたって、そっから元気にゃ…ゲフンゲフン。おおう、お子様の前じゃ言えねぇけどな?
ま、ともかくだ。あんだけの苦闘を強いられた相手と同類がまだ居るってのは痛い話だ。
んで、こっからオレの話だ。
「こっちも改めて点呼を取って人数確認したんだが、昨日までいたはずのモンが数人消えたってんだよな」
オレの話を黙って聞くと、ラスファは頷いて先を促す。
「でよ、しばらく探し回ったんだが見当たらねぇ。とりあえず残ったメンバーを護衛しながらこっちに来たんだが、先に来てもいねぇ。どっかに出奔したか、それとも…拉致られたか」
「…昨日まではいたんだな?」
「それは間違いねぇってよ。健康チェックも兼ねて、毎日朝食時と夕食時には集まる習慣があるそうだが…昨日はちゃんと全員揃ってたんだよな。記録も残っているってよ」
「なら消えたのは、昨夜の夕食どき以降という事か。消えた者に、何か共通点はあるのか?」
あー、やっぱそこだよな。オレは顔をしかめた。
「それがよ…年齢性別お構いなしっつー無節操さだ。下は四歳児から、上は三十代ってとこだ」
「それでも比較的、若めの部類になりそうだな」
「ああ、消えたのって…どうも水汲みに行った時のことだったみたいよ」
オレらの会話にさらりとアーシェが割り込んだ。え、なにそれ聞いてねぇんだけど?
ポカンとするラスファ。まあ多分オレも似たような状態だろうけどよ…なんでこいつの方がこんな詳しんだよ?
「キャンプで仲良くなった娘から聞いたんだけどね? 水汲みに行った後で、いなくなった人が何人かいたんだって。だから、水場で待ち伏せされてたんじゃないのかな?」
「おおう…」
恐るべし、女子同士のコミュ力! 下手にオレたちが聞きに行ったところで、ここまでは聞けなかったんじゃねぇだろうか?
「て…敵がそこにいるとわかってるなら、こっちからも仕掛けられるかもな」
どうにかこうにか気を取り直したラスファは、平静を装ってオレに意見を求める。お…おお、そうだな。ビビってる場合じゃねぇや。
「そ、そそそそうだな。誰かが犬獣人のフリして、囮を使うってか。てか誰が?」
オレの返しに、ラスファは少しばかり歯切れ悪く俯く。
「…不本意だが…犬獣人たちがこっちに引き上げた以上、やるなら早い方がいい」
そう言って奴は何かを取り出した。
「…!」
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