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intermission 6 アイドルは辛いよ
パーティーの幕開け
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Side-デュエル 8
投票当日。
会場は、静かな熱気に包まれていた。
今まで異常なテンションで盛り上がっていたというのに、投票が始まると急に神妙な空気が降りてきている。
これが終われば、元の静かな(?)日常が戻ってくる。
そう思いたかった。
『エルダード観光局主催 観光大使アイドル総選挙 投票会場』
そう書かれた会場…普段は観光局本部と呼ばれている建物の入り口で、俺は次々と会場に吸い込まれる人々に目を光らせている。あまり考えたくはないが、まだ何か仕掛けてくる可能性は十分に考えられるのが現状だ。
会場の壁にはそれぞれの宿屋ごとにいるアイドルのポスターが覇権を競っている。うちのポスターも例外ではない。余談だが、フランシスのポスターもジェインたち三人娘に押されるようにして貼ってあった。
…なんだ、参加してたのかあいつ…。
「アニキ、お疲れ様っス!」
「お手伝いいたします、アニキ!」
そう言いながら『部下』になった連中が挨拶していくが、丁重にお断りしておいた。元々この場所は部外者立ち入り禁止エリアになっている。そんな中で投票箱に細工する奴がいるという情報だ。そっちはラスファが対応すると言っていたので、任せようと思う。
ちなみに俺は『選挙委員』と書かれた腕章を身につけている。空きの人員の中に無理を言ってねじ込んでもらった結果だ。こうすれば中の動向を監視できるからな。
もう一度ふと中を見ると『青薔薇亭』のポスターに十数人の集団アイドルのポスターを見つけて吹いた。アーチの奴が限りなくセンターに近い場所に陣取っている。コレ絶対、女将さんに見つかったら怒られるやつだ。
それからしばらくして、投票期限の正午の鐘がなった。
ゆっくりと会場を見回すと、中に残っていた投票者が選挙委員に押し出されるところだった。
これから開票作業が始まり、夕刻には結果発表という運びだ。それまでに俺にできることはほぼない。
…いや、そうでもないか。
俺は会場の中、開票作業をしている会議室に足を向けた。この腕章の効力を遺憾なく発揮させてもらおう!
開票作業は、多忙を極めている。数十人単位で木箱をひっくり返して開票作業を続けていた。
流石に見かねて「手伝おうか?」と申し出ると「いやいや、警備に専念していてくれ」と断られた。やはりそれまでの物騒な噂を警戒しているのだろうか?
この状況で、不正に対する対応を任せる形になったラスファのことが気にかかった。この大混雑の中、どうやって不正の証拠をつかむつもりなのだろうか? 彼のことだから、そう心配はしていないが…。
そして、投票結果の発表が始まる時刻になった。投票と同じ会場には多くの人々が詰めかけている。その代わりというように裏方で、開票作業を行なっていた全員がしかばねのように折り重なって眠っていた。今回の投票では一番頑張った裏方だ。時折寝言で数を数え続けているようだが、しっかりと休んでもらおうと思う。
静かに彼らが眠る裏舞台を後にすると、俺は定位置の舞台袖に進む。これからの修羅場には構わず、ゆっくりと休んでいてくれよ…。
「お集まりの皆々様、大っ変お待たせいたしました! アイドル総選挙、結果発表でございます!」
裏方に対する敬意をもう少し加えて欲しいと思えるようなアナウンスが響き渡る。魔術師ギルド作の、拡声の効果を持たせた杖によるものだ。
「第! 五位~! 『赤獅子の咆哮亭』所属! 双子の勇者姉妹・カレン&ルーシィ~!」
派手なドラムロールとともに順位のカウントダウンが始まった。アナウンスとともに拍手と歓声が大きくわき起こる!
呼ばれたアイドルは大きく手を振りながら、舞台の中央まで進んで観客に笑顔を振りまいている。
「第! 四位~! 『新緑の草原亭』所属! キュートな魔女っ娘! ナナ・ブレインズ~!」
「ありがとう! ナナ、これからも頑張るね!」
「第! 三位~! 『白銀の戦斧亭』所属! 魅惑の三重唱・セイレーンガ~ルズ~!」
! これは…ジェインたちのことか! 第三位まで食い込むとは、大健闘じゃないか!
というか…三人でユニット組んで、しかもセイレーンか…。大きく出たな、女将さん…。
「ありがとう、みんなありがとう!」
「頑張った甲斐がありました! 応援ありがとうございます!」
「やったぞヨメ~! 見てるか~!?」
うん、思い思いに歓声に答える三人だが…約一名、方向性が違くないか? どこかでガタッと音がしたのは気のせいだろうか?
そこまで発表が進んだ時、俺のそばに見慣れた人影が現れた。アーチだ。
「よお、大将! 最高のパーティーグッズ持ってきたぜ。手伝えよ」
奴が担いだ大きな袋は何なのかわからなかったが、俺は構わず頷いた。
さあ、パーティーの始まりだ!
投票当日。
会場は、静かな熱気に包まれていた。
今まで異常なテンションで盛り上がっていたというのに、投票が始まると急に神妙な空気が降りてきている。
これが終われば、元の静かな(?)日常が戻ってくる。
そう思いたかった。
『エルダード観光局主催 観光大使アイドル総選挙 投票会場』
そう書かれた会場…普段は観光局本部と呼ばれている建物の入り口で、俺は次々と会場に吸い込まれる人々に目を光らせている。あまり考えたくはないが、まだ何か仕掛けてくる可能性は十分に考えられるのが現状だ。
会場の壁にはそれぞれの宿屋ごとにいるアイドルのポスターが覇権を競っている。うちのポスターも例外ではない。余談だが、フランシスのポスターもジェインたち三人娘に押されるようにして貼ってあった。
…なんだ、参加してたのかあいつ…。
「アニキ、お疲れ様っス!」
「お手伝いいたします、アニキ!」
そう言いながら『部下』になった連中が挨拶していくが、丁重にお断りしておいた。元々この場所は部外者立ち入り禁止エリアになっている。そんな中で投票箱に細工する奴がいるという情報だ。そっちはラスファが対応すると言っていたので、任せようと思う。
ちなみに俺は『選挙委員』と書かれた腕章を身につけている。空きの人員の中に無理を言ってねじ込んでもらった結果だ。こうすれば中の動向を監視できるからな。
もう一度ふと中を見ると『青薔薇亭』のポスターに十数人の集団アイドルのポスターを見つけて吹いた。アーチの奴が限りなくセンターに近い場所に陣取っている。コレ絶対、女将さんに見つかったら怒られるやつだ。
それからしばらくして、投票期限の正午の鐘がなった。
ゆっくりと会場を見回すと、中に残っていた投票者が選挙委員に押し出されるところだった。
これから開票作業が始まり、夕刻には結果発表という運びだ。それまでに俺にできることはほぼない。
…いや、そうでもないか。
俺は会場の中、開票作業をしている会議室に足を向けた。この腕章の効力を遺憾なく発揮させてもらおう!
開票作業は、多忙を極めている。数十人単位で木箱をひっくり返して開票作業を続けていた。
流石に見かねて「手伝おうか?」と申し出ると「いやいや、警備に専念していてくれ」と断られた。やはりそれまでの物騒な噂を警戒しているのだろうか?
この状況で、不正に対する対応を任せる形になったラスファのことが気にかかった。この大混雑の中、どうやって不正の証拠をつかむつもりなのだろうか? 彼のことだから、そう心配はしていないが…。
そして、投票結果の発表が始まる時刻になった。投票と同じ会場には多くの人々が詰めかけている。その代わりというように裏方で、開票作業を行なっていた全員がしかばねのように折り重なって眠っていた。今回の投票では一番頑張った裏方だ。時折寝言で数を数え続けているようだが、しっかりと休んでもらおうと思う。
静かに彼らが眠る裏舞台を後にすると、俺は定位置の舞台袖に進む。これからの修羅場には構わず、ゆっくりと休んでいてくれよ…。
「お集まりの皆々様、大っ変お待たせいたしました! アイドル総選挙、結果発表でございます!」
裏方に対する敬意をもう少し加えて欲しいと思えるようなアナウンスが響き渡る。魔術師ギルド作の、拡声の効果を持たせた杖によるものだ。
「第! 五位~! 『赤獅子の咆哮亭』所属! 双子の勇者姉妹・カレン&ルーシィ~!」
派手なドラムロールとともに順位のカウントダウンが始まった。アナウンスとともに拍手と歓声が大きくわき起こる!
呼ばれたアイドルは大きく手を振りながら、舞台の中央まで進んで観客に笑顔を振りまいている。
「第! 四位~! 『新緑の草原亭』所属! キュートな魔女っ娘! ナナ・ブレインズ~!」
「ありがとう! ナナ、これからも頑張るね!」
「第! 三位~! 『白銀の戦斧亭』所属! 魅惑の三重唱・セイレーンガ~ルズ~!」
! これは…ジェインたちのことか! 第三位まで食い込むとは、大健闘じゃないか!
というか…三人でユニット組んで、しかもセイレーンか…。大きく出たな、女将さん…。
「ありがとう、みんなありがとう!」
「頑張った甲斐がありました! 応援ありがとうございます!」
「やったぞヨメ~! 見てるか~!?」
うん、思い思いに歓声に答える三人だが…約一名、方向性が違くないか? どこかでガタッと音がしたのは気のせいだろうか?
そこまで発表が進んだ時、俺のそばに見慣れた人影が現れた。アーチだ。
「よお、大将! 最高のパーティーグッズ持ってきたぜ。手伝えよ」
奴が担いだ大きな袋は何なのかわからなかったが、俺は構わず頷いた。
さあ、パーティーの始まりだ!
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