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short mission 2 採集師は苦労とともに

白銀亭への帰還

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side-デュエル 1

 本日も絶好の観光日和!
 抜けるような青空のもと、今日もこの街には多くの人々が集う。歓声にファンファーレ、街角のショーに大道芸人の芸が冴え渡る。

そんな中…俺たちはちょっとした依頼をこなして帰ってきた。

 あいも変わらず、エルダードは出入りの激しい街だ。入口にそびえる巨大な門は閉じることを知らず、日々観光客を大量に受け入れては吐き出している。彼らは門の大きさに驚きはしゃぎながら足取りも軽く入っていき、街を楽しんでは日常に帰っていく。
 名残を惜しむかのように門の前で乗り合い馬車を待つ彼らはその日、さらなる驚きに見舞われた事だろう。

「なあオイ、オレら目立ってねぇ?」

 何故か嬉しげなアーチの指摘通り、そこに戻ってきた俺たちは一斉に観光客の視線を集めていた。

「ホンモノ?」
「そうよ、アレ、ホンモノの冒険者よ!」
「えー、すごい! 帰り際に、スッゴいもん見ちゃった! あとで自慢しよっと!」
「ねえ、声かけてみない?」
「えー…いやちょっとそれは…」

 女子ばかりのグループが俺たちを見ながらはしゃいでいるが、決して声をかけてくることはない。遠巻きに眺めてさえずりあっているだけにとどまっている。調子こいたアーチが彼女たちに手を振るが、引きつった笑顔で控えめに手を振り返されるばかり。どっちかというと、ドン引かれている。

 ま、そりゃそうだろうなぁ…。

 威圧感ある鎧姿の大男に愛想振りまくお調子者の盗賊、超絶無愛想な青年と後ろから小走りでついてくる小柄な少女二人。
 全員が例外なくボロボロの有り様なのだから。
 もれなく服は破れて返り血まみれ、細かい傷に泥汚れ、と壮絶な姿での凱旋だ…。これで声をかけてくる観光客なんて存在しないだろう。もしいたとしたら、心臓がタワシで出来ているに違いない。

「いつもより、歩きやすいねー」
「ええ…何処かにこんな神話がありましたね…」
 アーシェがため息つきながら皮肉混じりの感想を述べ、ラグが虚ろな目で応じる。多くの観光客でひしめく大通りも俺たちが通るなり、キレイに人垣が割れるのだ。確かにこんな神話が何処かにあった…俺ですら知っているのだから、有名な話なのだろう。

 そんな時に懐かしの自警団詰め所前を通りかかると、中から熱血系の団長が出てくるところだった。彼は結婚を機に冒険者から自警団の団長に就任したという経歴を持つ。日々部下を差し置いて第一線で走り回っている愛妻家で、若いが信望は厚い。

「ようお前ら! 外でバカデカいドラゴンとでも喧嘩してきたのか、その有り様は? もちろん、退治してきたんだろう? ははは、実力だけは折り紙つきだからなあ! 戦利品はあるのか?」
「頼むから放っといてくれ、ダンチョー…」
 言いながらオレの背中をべしべしと叩いてガハハと笑う団長。ただでさえ注目の的になっている上に、このデカい声。目立つことが嫌いなラスファにとっては拷問に等しいだろう。
 この男、人望も実力もあるのだが…どうも少々、デリカシーに欠けるのが玉に瑕。奥方的にはどうなんだろうか?

「またこっちにヘルプに出てきてくれよ。いつでも歓迎するぞ!」
 げっそりしながら解放され、俺たちはやっとホームである『白銀亭』にたどり着いた。

 客もまばらな時間帯でホッとしたのもつかの間。戸口をくぐれば来客中らしく、女将が誰かと話をしていた。
 年の頃は三十代で身なりは悪くない。細身の体格に撫で付けた灰色の髪、上品で、一般的にダンディといわれる風貌と言っていい。どこかの家に仕える執事か何かだろうか?

 彼はこちらに気づくと、一直線にこちらに向かってくる。
「失礼、ちょっとよろしいか?」
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