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同棲編
番というものをなめてました 上
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うとうととソファで寝てしてしまってから、気が付いたら外はオレンジ色になっていた。
侍女の人も気を遣ってくれたのか、部屋には私だけしかいない。
・・・今日は一人で、寝っちゃってたのか。
前に、ゼブラさんとお昼寝したことを思い出した。
その時は、横にゼブラさんがいて、とても心がポカポカしていたのに・・・
もちろん、ゼブラさんは仕事があるから昼寝どころではないが・・・
自分だけこうも暇しているのは、仕方がないとは言え、心苦しいものがあるなぁ。
ソファに座ったまま寝ていたからか、背中が少し痛くなっていた。
伸びをして、身体を少しほぐしてから鏡の前で髪の毛や服を整える。
外に出ても大丈夫そうなのを確認して、部屋から出た。
「番様、お身体は大丈夫ですか?」
廊下には、侍女さんたちがいた。
ちょうど廊下を掃除してくれていたみたいだ。
城に来ていきなりお昼寝をするなんて、かなり恥ずかしい。
申し訳ないことをしたなーと思って、「すみません、寝てしまってました」と謝った。
侍女の人はきょとんとした後に、優しく微笑んで首を小さく振った。
「本日は空を飛び、長時間緊張していたと思います。お疲れなのも無理はありません。それに・・・本日からは、番様の家なのですから、ゆっくりくつろいでください」
侍女の人たちはとても優しい。
また夕食の時間になったら、呼んでくれるとのことで・・・、一旦部屋に戻ろうとした。
すると・・・
「あ、あなたは・・・」
「つ、番様・・・!私は部屋の中に入れません!竜王様に何と言われるか・・・!!」
「あの、ちょっとだけで良いので、教えてもらいたいことがあるんです!」
ちょうど廊下を歩いているソルトさんを見つけたので、ちょっと申し訳ないけど部屋の中に入ってもらった。
今日一日見ることがなかったけど、やっぱりまだ城に勤めていたみたいだ。
そりゃそうだ、ソルトさん、ゼブラさんの側近だし、早々仕事を辞めることはないだろう。
ソルトさんはとても慌てた様子だったけど、話はすぐに終わるから、我慢してもらいたい。
「あの、番様!いけません、せめて、廊下でお話させてください・・・!!!!」
「でも、廊下だと他の人に聞かれるし・・・、今のところ、ソルトさんくらいじゃないと話を聞けないので」
パンを買いに来てくれることも多くて、ソルトさんとは以前から面識がある。
わがままを通してくれて、この城に連れてきてくれたこともあったから、今回も頼らせてもらいたい。
その一心で、ソルトさんを部屋のソファに座らせた。
ソルトさんは私に本格的に抵抗できないからか、すごく困った顔をしながらも従ってくれた。
本当に申し訳ないけど、ちょっとどうしても聞いておきたいことができたんだよね。
「単刀直入に尋ねますが、ゼブラさんって仕事が凄く大変なのでしょうか?」
「え?りゅ、竜王ですか・・・?それは、まあ、職業柄多忙な方ですから・・・」
何を当たり前のことを、という顔をしていた。
やっぱりそうだよね。
毎日毎日ぎりぎりまで仕事をしているイメージだ。
寝不足で倒れちゃうくらいだもん。
「今日も寝不足ですよね?・・・あの、小娘が何を言うのかって思うことを承知で聞きますが、私がゼブラさんの仕事を手伝うことはできないのでしょうか?」
「へ・・・?」
ソルトさんはきょとんとした顔をした。
私が仕事を手伝うということは、おかしいことだと思う。
人間だし、パン屋の娘が竜王の仕事を手伝うと言っても、できることは多分ないだろう。
でも・・・
ゼブラさんが私に会いに来る時間を短縮して、仲良くなれたらと思って同棲の提案をしたけど、やっぱりそれだけじゃ居心地も悪いし、ゼブラさんに頼り切った生活になってしまう。
ゼブラさんは竜王だけど、私はゼブラさんとなるべく対等でいたい。
せめて、お手伝いとか私にできることがあれば、させてもらいたい。
ひとりで部屋で待ってるって、やっぱりさみしいから。
こういうことは、早く話しておくにこしたことはない。
「つ、番様・・・。番様が城にいてくだされば、それだけで良いのです。それ以上、望むことはありません」
「でも、私・・・一生懸命仕事をしているゼブラさんを、ここで何もせず待つのはやっぱり嫌なんです。昨日まで私は家の仕事を手伝っていました。ここが、今日から私の家になるのなら、私はこの家の仕事を手伝いたい・・・。それに、寝不足のゼブラさんを見るのは、嫌です。一緒に、お昼寝とかしたい・・・。」
ソルトさんはゼブラさんの側近の人の中で一番会う機会が多かったから、すらすらと本心を話せる。
ソルトさんは私の本心に目を見開きながらも、聞いてくれた。
きっと、ゼブラさんにお願いしたら、私が手伝う仕事を“作って”くれると思う。
だから、ゼブラさんに話す前に、だれかに聞きたかった。
ゼブラさんの仕事内容を知っている人、尚且つ私が内緒にしてと言っても、約束を守ってくれそうな人。
私の中でそんな竜人さんはソルトさんだけだった。
「客観的に見て、私でも手伝えそうなことはありませんか?」
「・・・番様が、竜王様のことをとても大切に思われていることは分かりました。とても喜ばしいことです。・・・できれば、穏やかに過ごしてもらいたいですが・・・そう望まれるのであれば、お手伝いができる内容があるか、確認してみます」
戸惑いながらも返事をしてくれるソルトさんは、やはり優しい人だ。
余計なことをするな、と言うわけではなく、私の望みが叶えられるか確認してくれるようだ。
とてもうれしかった。
すぐにというわけではないけど、私がこの生活に慣れるころには、私でもできることが見つかるかもしれない。
堕落した生活に慣れる前に、お手伝いできることがあるなら、ぜひさせてもらいたい。
「ありがとう!ソルトさん!!」
とてもとても嬉しくて、興奮して、思わずソルトさんの横に行って、握手をしてしまった。
驚いたソルトさんは、突然のことに対応できず、私に右手を取られて上下に一往復、手を振った・・・・
その時
凄まじい音がして、窓ガラスが割れた。
侍女の人も気を遣ってくれたのか、部屋には私だけしかいない。
・・・今日は一人で、寝っちゃってたのか。
前に、ゼブラさんとお昼寝したことを思い出した。
その時は、横にゼブラさんがいて、とても心がポカポカしていたのに・・・
もちろん、ゼブラさんは仕事があるから昼寝どころではないが・・・
自分だけこうも暇しているのは、仕方がないとは言え、心苦しいものがあるなぁ。
ソファに座ったまま寝ていたからか、背中が少し痛くなっていた。
伸びをして、身体を少しほぐしてから鏡の前で髪の毛や服を整える。
外に出ても大丈夫そうなのを確認して、部屋から出た。
「番様、お身体は大丈夫ですか?」
廊下には、侍女さんたちがいた。
ちょうど廊下を掃除してくれていたみたいだ。
城に来ていきなりお昼寝をするなんて、かなり恥ずかしい。
申し訳ないことをしたなーと思って、「すみません、寝てしまってました」と謝った。
侍女の人はきょとんとした後に、優しく微笑んで首を小さく振った。
「本日は空を飛び、長時間緊張していたと思います。お疲れなのも無理はありません。それに・・・本日からは、番様の家なのですから、ゆっくりくつろいでください」
侍女の人たちはとても優しい。
また夕食の時間になったら、呼んでくれるとのことで・・・、一旦部屋に戻ろうとした。
すると・・・
「あ、あなたは・・・」
「つ、番様・・・!私は部屋の中に入れません!竜王様に何と言われるか・・・!!」
「あの、ちょっとだけで良いので、教えてもらいたいことがあるんです!」
ちょうど廊下を歩いているソルトさんを見つけたので、ちょっと申し訳ないけど部屋の中に入ってもらった。
今日一日見ることがなかったけど、やっぱりまだ城に勤めていたみたいだ。
そりゃそうだ、ソルトさん、ゼブラさんの側近だし、早々仕事を辞めることはないだろう。
ソルトさんはとても慌てた様子だったけど、話はすぐに終わるから、我慢してもらいたい。
「あの、番様!いけません、せめて、廊下でお話させてください・・・!!!!」
「でも、廊下だと他の人に聞かれるし・・・、今のところ、ソルトさんくらいじゃないと話を聞けないので」
パンを買いに来てくれることも多くて、ソルトさんとは以前から面識がある。
わがままを通してくれて、この城に連れてきてくれたこともあったから、今回も頼らせてもらいたい。
その一心で、ソルトさんを部屋のソファに座らせた。
ソルトさんは私に本格的に抵抗できないからか、すごく困った顔をしながらも従ってくれた。
本当に申し訳ないけど、ちょっとどうしても聞いておきたいことができたんだよね。
「単刀直入に尋ねますが、ゼブラさんって仕事が凄く大変なのでしょうか?」
「え?りゅ、竜王ですか・・・?それは、まあ、職業柄多忙な方ですから・・・」
何を当たり前のことを、という顔をしていた。
やっぱりそうだよね。
毎日毎日ぎりぎりまで仕事をしているイメージだ。
寝不足で倒れちゃうくらいだもん。
「今日も寝不足ですよね?・・・あの、小娘が何を言うのかって思うことを承知で聞きますが、私がゼブラさんの仕事を手伝うことはできないのでしょうか?」
「へ・・・?」
ソルトさんはきょとんとした顔をした。
私が仕事を手伝うということは、おかしいことだと思う。
人間だし、パン屋の娘が竜王の仕事を手伝うと言っても、できることは多分ないだろう。
でも・・・
ゼブラさんが私に会いに来る時間を短縮して、仲良くなれたらと思って同棲の提案をしたけど、やっぱりそれだけじゃ居心地も悪いし、ゼブラさんに頼り切った生活になってしまう。
ゼブラさんは竜王だけど、私はゼブラさんとなるべく対等でいたい。
せめて、お手伝いとか私にできることがあれば、させてもらいたい。
ひとりで部屋で待ってるって、やっぱりさみしいから。
こういうことは、早く話しておくにこしたことはない。
「つ、番様・・・。番様が城にいてくだされば、それだけで良いのです。それ以上、望むことはありません」
「でも、私・・・一生懸命仕事をしているゼブラさんを、ここで何もせず待つのはやっぱり嫌なんです。昨日まで私は家の仕事を手伝っていました。ここが、今日から私の家になるのなら、私はこの家の仕事を手伝いたい・・・。それに、寝不足のゼブラさんを見るのは、嫌です。一緒に、お昼寝とかしたい・・・。」
ソルトさんはゼブラさんの側近の人の中で一番会う機会が多かったから、すらすらと本心を話せる。
ソルトさんは私の本心に目を見開きながらも、聞いてくれた。
きっと、ゼブラさんにお願いしたら、私が手伝う仕事を“作って”くれると思う。
だから、ゼブラさんに話す前に、だれかに聞きたかった。
ゼブラさんの仕事内容を知っている人、尚且つ私が内緒にしてと言っても、約束を守ってくれそうな人。
私の中でそんな竜人さんはソルトさんだけだった。
「客観的に見て、私でも手伝えそうなことはありませんか?」
「・・・番様が、竜王様のことをとても大切に思われていることは分かりました。とても喜ばしいことです。・・・できれば、穏やかに過ごしてもらいたいですが・・・そう望まれるのであれば、お手伝いができる内容があるか、確認してみます」
戸惑いながらも返事をしてくれるソルトさんは、やはり優しい人だ。
余計なことをするな、と言うわけではなく、私の望みが叶えられるか確認してくれるようだ。
とてもうれしかった。
すぐにというわけではないけど、私がこの生活に慣れるころには、私でもできることが見つかるかもしれない。
堕落した生活に慣れる前に、お手伝いできることがあるなら、ぜひさせてもらいたい。
「ありがとう!ソルトさん!!」
とてもとても嬉しくて、興奮して、思わずソルトさんの横に行って、握手をしてしまった。
驚いたソルトさんは、突然のことに対応できず、私に右手を取られて上下に一往復、手を振った・・・・
その時
凄まじい音がして、窓ガラスが割れた。
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