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同棲編
同棲してもやはり一緒です
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それからゼブラさんは少し仕事が残っているということで部屋を出て行った。
全力で謝られたけど、先日の仕事も残っていただろうに、この日のために寝不足になってでも私を迎えに来てくれたのだ。毎日多忙となる竜王の仕事が早々にすべて片付くはずがない。
本当、あまり無理しないでほしい。
私に手伝えることはないから、できるだけ負担にはならないようにしたい。
・・・そもそも、同棲を提案する一番の理由は、ゼブラさんが身体を壊さないようにするためなのだ。
私に会いに来るために睡眠時間を削っているのなら、会いに来るまでの時間を減らせば良いってわけで、同棲を提案した。
もちろん、それだけじゃなくて、ゼブラさんとの関係を進展させるためでもあるけどね。
「あんまり無理しないでね」と手を振って見送ったら、お昼ご飯は一緒に食べよう・・・!!と遠くの方で声が聞こえた。
うん、ちょっと無理して仕事しそうだ。
侍女の人たちに手伝ってもらいながら荷物の整理をして、ゼブラさんが追加で買ってくれた私の服を確認して(今度から服はそんなにいらないと伝えようと思った)、そうこうしているとお昼ご飯の時間になった。
侍女の人たちとおしゃべりもしていたから、時間が過ぎるのはあっという間だった。
ゼブラさんの側近の人が呼びに来てくれて、食堂まで行く。
前に一緒にご飯を食べたところだから、なんとなく道は覚えているけれど、側近の人が先導してくれた。
食堂に行くと、ゼブラさんがすでに座っていて、私の顔を見るととても嬉しそうに席を立った。
「ミーア!ああ、さっきは一緒にいられずすまない。何か不自由なことはなかったか?」
そう言いながら、椅子を引いて、私を座らせてくれた。
ゼブラさんと付き合って、男性にこうやって扱ってもらうことにも慣れてきちゃった私は、されるがままだ。
「大丈夫だよ。みなさんが手伝ってくれたから、もう終わっちゃった」
「そうなのか。何か足りないものがあれば、私に言ってくれ。・・・あ、わ、私に言いづらいことは、侍女に言ってくれてかまわない。私も中身をわざわざ確認しないし・・・遠慮せずに、な、何でも言ってくれ」
ゼブラさんも席についたところで、いきなり顔を赤くして早口になって言葉を噛みだした。
何を想像したのかわからないけど、確かに生活に必要なものを収入源がない私が買うのは、これから先難しくなってくるだろう。
もちろん今まで貯めたお金は全部持ってきたし、お父さんとお母さんからいくらかお金は渡されたけど、まだこの国の通貨に替えてないし・・・いずれ持って来たお金は尽きてしまう。
・・・でも、まだ自分にお金があるうちは、自分で出したい。
同棲と言っても、おそらく私はお仕事できないだろうし(警備上の問題で)、ゼブラさんのお仕事の手伝いもできないだろうし、ただ毎日をこの城で過ごして、ゼブラさんと毎日おしゃべりしたり散歩したりするだけの生活になるだろう。
だから、何でもかんでもゼブラさんに頼ることは、初めのうちは避けたい。
周囲からどう思われるかわからないし、できるだけ揉め事は避けたいのだ。
まあ、でもいちいち自分でお金出すって言うと、ゼブラさんは絶対にお金を出したがるだろうし、初日から揉めるのは嫌だ。
ここは素直にお礼を言っておこう。
「ありがとう、ゼブラさん。贅沢はしないけど、お言葉に甘えて、必要なものがあったらお願いするね。」
「ミーア、遠慮せずに何でも言ってくれ。ミーアに望まれることが、私の幸せなのだ」
ゼブラさんってときどき凄く甘いことをさらっと言うよね。
初心なところもあるけど、ゼブラさんは自分の気持ちを伝えるときはとても真剣な顔をする。
いつも私が翻弄しているはずなのに、こういうときは翻弄されちゃう。
ちょっとだけ頬っぺたが熱くなった気がしたけど、気のせいだ。
侍女の人とか側近の人が微笑ましそうにしているのも、気のせいだ・・・と思いたい。
あまりおしゃべりしていても折角のご飯が冷めちゃうので、話はそこそこに、コックさんが豪勢に作ってくれたご飯を食べた。
心なしか、私の好きなものが多かった気がしたけど、これはたぶん気のせいじゃない。
テーブルに乗せられているパンは、朝私が焼いてきたものだ。
ゼブラさんは、目の前にある豪華な食事よりも、私の作った素朴なパンを何よりおいしそうに食べてくれた。
ご飯を食べたら、ゼブラさんは一緒に庭でお茶を飲もうと誘ってくれた。
一応ゼブラさんの側近の人に視線を向けると、ちょっとだけ苦笑いしていたけど・・・小さく頷いていたから、ちょっとくらいなら時間はあるのだろう。
ゼブラさんも息抜きしたいだろうなぁと思って、誘いに応じた。
庭は、やはりと言うかとても広かった。
前世で西洋の王宮の庭を写真で見たことがあったけど、それくらい、いいやそれよりも豪華だった。
赤、ピンク、城、黄色、青、紫、色とりどりの様々な花が咲いている。
それを、二人の庭師が毎日世話してくれているようだ。
本当は、庭師は一人だけだったみたいだけど、私が来ることが決まって急遽もう一人雇ったらしい。
お金を使わせちゃってることに申し訳ないと思ったんだけど、ゼブラさん曰く、もう一人雇った庭師は元からいる庭師の友人らしい。他国から勉強のため竜人国に渡ってきたようで、仕事を探しているところでこの城で勤務していた庭師と酒場で出会い意気投合して、急遽もう一人雇うという話が出たところで、ゼブラさんはこの城の庭師に紹介されたようだ。
タイミングが良かった、とゼブラさんは笑っていた。
・・・それはそうと、ゼブラさんはずっと、この城の人の名前をなかなか教えてくれない。
この前私に名前を教えてくれた側近の人は今日は見ないし・・・早くこの城に慣れるためにも、名前を教えてもらいたいんだけどなぁ。
ちなみに、さっき部屋の整理を手伝ってくれた侍女の人たちは、「また王の方から紹介があると思いますので、その時までどうぞ好きにお呼びください」とのことだった。
仲良くお話してくれるんだけど、そこだけ線を引かれちゃったんだよね。
この国特有の作法かもしれないから、取り合えずそれ以上名前を聞かなかったけど。
「これからもこうしてミーアと一緒にいられるなんて・・・夢のようだ」
ゼブラさんはとても嬉しそうにそう言った。
私の好きなお菓子をたくさん用意してくれたようで、テーブルの上にはいろんな種類のケーキやクッキーがある。
とても気を遣ってくれて申し訳ないけど、全部食べるのは絶対無理だよこれ・・・。
でも、今それを言う雰囲気じゃないのは分かるので、また明日にでもそう伝えよう。
「私も、ゼブラさんと一緒にいられてうれしいよ」
私がそう答えると、ゼブラさんは頬を真っ赤にして、俯いてしまった。
さっき私がドキドキした分のお返しだ。
存分にドキドキしてもらいたい。
同棲するから、二人の関係がギクシャクしちゃうかもしれないと思っていたけど、全くそういうことはなさそうだ。
一緒にお茶をする場所が町の広場や森から、城の庭に変わったことと、会いたいと思ったときにいつでも会える距離にゼブラさんがいるようになった、変わったことはそれだけに思えた。
ちょっと緊張していたのか、私はゼブラさんとのお茶の後、部屋のソファでちょっぴり居眠りしてしまった。
まさかその後、同棲の前にいろいろとゼブラさんに聞いておかなかったことを後悔することになるとは・・・この時には全く思いもしなかった。
全力で謝られたけど、先日の仕事も残っていただろうに、この日のために寝不足になってでも私を迎えに来てくれたのだ。毎日多忙となる竜王の仕事が早々にすべて片付くはずがない。
本当、あまり無理しないでほしい。
私に手伝えることはないから、できるだけ負担にはならないようにしたい。
・・・そもそも、同棲を提案する一番の理由は、ゼブラさんが身体を壊さないようにするためなのだ。
私に会いに来るために睡眠時間を削っているのなら、会いに来るまでの時間を減らせば良いってわけで、同棲を提案した。
もちろん、それだけじゃなくて、ゼブラさんとの関係を進展させるためでもあるけどね。
「あんまり無理しないでね」と手を振って見送ったら、お昼ご飯は一緒に食べよう・・・!!と遠くの方で声が聞こえた。
うん、ちょっと無理して仕事しそうだ。
侍女の人たちに手伝ってもらいながら荷物の整理をして、ゼブラさんが追加で買ってくれた私の服を確認して(今度から服はそんなにいらないと伝えようと思った)、そうこうしているとお昼ご飯の時間になった。
侍女の人たちとおしゃべりもしていたから、時間が過ぎるのはあっという間だった。
ゼブラさんの側近の人が呼びに来てくれて、食堂まで行く。
前に一緒にご飯を食べたところだから、なんとなく道は覚えているけれど、側近の人が先導してくれた。
食堂に行くと、ゼブラさんがすでに座っていて、私の顔を見るととても嬉しそうに席を立った。
「ミーア!ああ、さっきは一緒にいられずすまない。何か不自由なことはなかったか?」
そう言いながら、椅子を引いて、私を座らせてくれた。
ゼブラさんと付き合って、男性にこうやって扱ってもらうことにも慣れてきちゃった私は、されるがままだ。
「大丈夫だよ。みなさんが手伝ってくれたから、もう終わっちゃった」
「そうなのか。何か足りないものがあれば、私に言ってくれ。・・・あ、わ、私に言いづらいことは、侍女に言ってくれてかまわない。私も中身をわざわざ確認しないし・・・遠慮せずに、な、何でも言ってくれ」
ゼブラさんも席についたところで、いきなり顔を赤くして早口になって言葉を噛みだした。
何を想像したのかわからないけど、確かに生活に必要なものを収入源がない私が買うのは、これから先難しくなってくるだろう。
もちろん今まで貯めたお金は全部持ってきたし、お父さんとお母さんからいくらかお金は渡されたけど、まだこの国の通貨に替えてないし・・・いずれ持って来たお金は尽きてしまう。
・・・でも、まだ自分にお金があるうちは、自分で出したい。
同棲と言っても、おそらく私はお仕事できないだろうし(警備上の問題で)、ゼブラさんのお仕事の手伝いもできないだろうし、ただ毎日をこの城で過ごして、ゼブラさんと毎日おしゃべりしたり散歩したりするだけの生活になるだろう。
だから、何でもかんでもゼブラさんに頼ることは、初めのうちは避けたい。
周囲からどう思われるかわからないし、できるだけ揉め事は避けたいのだ。
まあ、でもいちいち自分でお金出すって言うと、ゼブラさんは絶対にお金を出したがるだろうし、初日から揉めるのは嫌だ。
ここは素直にお礼を言っておこう。
「ありがとう、ゼブラさん。贅沢はしないけど、お言葉に甘えて、必要なものがあったらお願いするね。」
「ミーア、遠慮せずに何でも言ってくれ。ミーアに望まれることが、私の幸せなのだ」
ゼブラさんってときどき凄く甘いことをさらっと言うよね。
初心なところもあるけど、ゼブラさんは自分の気持ちを伝えるときはとても真剣な顔をする。
いつも私が翻弄しているはずなのに、こういうときは翻弄されちゃう。
ちょっとだけ頬っぺたが熱くなった気がしたけど、気のせいだ。
侍女の人とか側近の人が微笑ましそうにしているのも、気のせいだ・・・と思いたい。
あまりおしゃべりしていても折角のご飯が冷めちゃうので、話はそこそこに、コックさんが豪勢に作ってくれたご飯を食べた。
心なしか、私の好きなものが多かった気がしたけど、これはたぶん気のせいじゃない。
テーブルに乗せられているパンは、朝私が焼いてきたものだ。
ゼブラさんは、目の前にある豪華な食事よりも、私の作った素朴なパンを何よりおいしそうに食べてくれた。
ご飯を食べたら、ゼブラさんは一緒に庭でお茶を飲もうと誘ってくれた。
一応ゼブラさんの側近の人に視線を向けると、ちょっとだけ苦笑いしていたけど・・・小さく頷いていたから、ちょっとくらいなら時間はあるのだろう。
ゼブラさんも息抜きしたいだろうなぁと思って、誘いに応じた。
庭は、やはりと言うかとても広かった。
前世で西洋の王宮の庭を写真で見たことがあったけど、それくらい、いいやそれよりも豪華だった。
赤、ピンク、城、黄色、青、紫、色とりどりの様々な花が咲いている。
それを、二人の庭師が毎日世話してくれているようだ。
本当は、庭師は一人だけだったみたいだけど、私が来ることが決まって急遽もう一人雇ったらしい。
お金を使わせちゃってることに申し訳ないと思ったんだけど、ゼブラさん曰く、もう一人雇った庭師は元からいる庭師の友人らしい。他国から勉強のため竜人国に渡ってきたようで、仕事を探しているところでこの城で勤務していた庭師と酒場で出会い意気投合して、急遽もう一人雇うという話が出たところで、ゼブラさんはこの城の庭師に紹介されたようだ。
タイミングが良かった、とゼブラさんは笑っていた。
・・・それはそうと、ゼブラさんはずっと、この城の人の名前をなかなか教えてくれない。
この前私に名前を教えてくれた側近の人は今日は見ないし・・・早くこの城に慣れるためにも、名前を教えてもらいたいんだけどなぁ。
ちなみに、さっき部屋の整理を手伝ってくれた侍女の人たちは、「また王の方から紹介があると思いますので、その時までどうぞ好きにお呼びください」とのことだった。
仲良くお話してくれるんだけど、そこだけ線を引かれちゃったんだよね。
この国特有の作法かもしれないから、取り合えずそれ以上名前を聞かなかったけど。
「これからもこうしてミーアと一緒にいられるなんて・・・夢のようだ」
ゼブラさんはとても嬉しそうにそう言った。
私の好きなお菓子をたくさん用意してくれたようで、テーブルの上にはいろんな種類のケーキやクッキーがある。
とても気を遣ってくれて申し訳ないけど、全部食べるのは絶対無理だよこれ・・・。
でも、今それを言う雰囲気じゃないのは分かるので、また明日にでもそう伝えよう。
「私も、ゼブラさんと一緒にいられてうれしいよ」
私がそう答えると、ゼブラさんは頬を真っ赤にして、俯いてしまった。
さっき私がドキドキした分のお返しだ。
存分にドキドキしてもらいたい。
同棲するから、二人の関係がギクシャクしちゃうかもしれないと思っていたけど、全くそういうことはなさそうだ。
一緒にお茶をする場所が町の広場や森から、城の庭に変わったことと、会いたいと思ったときにいつでも会える距離にゼブラさんがいるようになった、変わったことはそれだけに思えた。
ちょっと緊張していたのか、私はゼブラさんとのお茶の後、部屋のソファでちょっぴり居眠りしてしまった。
まさかその後、同棲の前にいろいろとゼブラさんに聞いておかなかったことを後悔することになるとは・・・この時には全く思いもしなかった。
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