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恋人関係
ゼブラさんを説得します
しおりを挟むゼブラさんとしては、添い寝も責任を取るべき範囲だと判断しているようです。
大雑把じゃなくて、私の行動の理由なども含めて、ゼブラさんに全てを説明した。
私がちょっとでもゼブラさんを元気にしたくて添い寝したことも、恥ずかしかったけど説明した。
ゼブラさんもその時は顔を真っ赤っかにして、「なぜ俺は意識を失っていたんだ…」とぽつりと呟いていたが、私だっていずれは起きてるゼブラさんとベッドでいちゃいちゃしたいと思ってる。
おしゃべりしたり悪戯したり、大人の階段だって登りたい。
ただ、その時に意識があったかどうかではなく、一緒に寝たのは事実だから…と、ゼブラさんはきちんとしたいみたいだ。
ゼブラさんは意識がなかったんだから、責任を取るなら私だと思うんだけど…と反論しようとしたら、何故かゼブラさんは「やはり俺のこと嫌いなのか…?」と一瞬目が遠くを見つめそうだったので、即座に責任を取ってもらう方向で話を持って行った。
危ない。
ゼブラさん、私と恋人関係になってから徐々に私に対する警戒を解いてくれて、私がゼブラさんを拒絶しないと認識してくれるようになってたけど…やっぱりこういう大切な場面で少しでも私が遠慮すると、即座に闇堕ちみたいな感じになっちゃうんだなぁ。
まぁ、私が彼を格好良いとどんなに褒めても、これまでずっと周囲に醜いと思われた環境で過ごしてきたんだから、自信を持てないのは仕方ないよねー…
番の私に捨てられるーとか思ったら、即座に闇堕ちしそうだもんなぁ…
そんなことはさせないけどね。
闇堕ちしたゼブラさんを見てみたい気持ちもあるけど、どちらかというと生き生きとしてる姿の方が好ましいと思うし。
どんな彼を見ても嫌いになることは無いと思う。
私、かなりゼブラさんのこと好きだし。
このまま結婚しても良いと思うくらい…前世では出会えなかった理想的な彼氏だと思う。
こんなに尽くしてくれる人、私のことを好きだと思ってくれる人、今後絶対出会えないだろう。
私の方が逃してやるつもりがないくらい…ゼブラさんはきっと、私のこの気持ちには気づかないだろうなぁ。
「ゼブラさん、具体的にはどうする予定なの?」
「私としては、ミーアの家に謝罪に行き、対価として必要な品物を差し出して、今回のことを君の両親に許してもらえるまで誠心誠意、頭を下げるつもり「待って待って、え?そっち!?」
責任取るってそっち!?
結婚とか婚約とかじゃなくて、え!?
意味がわからないんだけど!!?
驚く私を見て、ゼブラさんは少し頬を染めて、それだけではない…、と言葉を続けた。
「い、いずれは結婚をしたいとも、伝えるつもりだ…」
いや、それはもう、両親からしたら番なんですーと初対面で自己紹介した時から、結婚前提の話だと思ってるよ。
今更だよ、その話…!
「私は番の本能があるし、それがなくとも君に心底惚れている。君を見た時から、ずっと…生涯一緒に居たいと思った。だが…、君や君の家族は人間だ。それならば、きちんと段階を踏みたい」
私たちのことをきちんと考えてくれるのはありがたい。
けれど、私たちとしてはもう結婚とかも覚悟してたし、ゼブラさんが私のために交際期間を設けてくれたのも分かってる。
そのために、今回のように体調を崩して倒れるまで追い詰めてしまうのだったら、もういっそ…許可とかじゃなくて、手を出しても問題ない状況を作るべきなんじゃないかな!?
「ゼブラさんは、私のことをあんまり信用してないよね」
「な!そんなことは…!」
「あと、勉強してるかもしれないけど、乙女心分かってない」
「うっ、そ、それは…」
それは思い当たる節があるのね。
「ちゃんと私のこと、好き?」
「好きだ!愛してるし…言葉で言い表せられない…!」
拳を握って、私に愛の言葉を叫ぶ。
ならば、それをもっと別の形で表してもらいたい。
ゼブラさんがわざわざ会いに来なくて良くなるため、私たちの関係をもっと前に進めるには、これしかない。
「じゃあ、両親に同棲の説得するので、協力してくれる?」
ゼブラさんが固まる。
しかし、私も攻撃を緩めるつもりはない。
ゼブラさんの両手を持ち上げて、頑張って上目遣いをしてみた。
これ可愛い子がしたら効くらしいけど、どうかなーとプライドを捨てて試みてみたが、ゼブラさんには効果抜群だったみたいだ。
顔を赤く染めて、口をパクパクとして、ゼブラさんはたらりと鼻血を出しながら…
「よろこんで…」
それだけを呟いて、清々しい表情のまま、彼の意識は数分旅に出た。
「皇帝…!良かったですね…!!」
「いやはや、めでたいめでたい。人族の出産などを再度勉強し直さなくては。」
「おめでとうございます…!早く番様のお部屋をご用意しなければ…!!」
「侍女総動員で、皇帝の横の部屋を用意しなさい…!部屋同士行き来できるように、中に扉を付けなければ…!」
そして、ギャラリーがいる中、こんな話をしてしまったことを、ゼブラさんが一人旅立った後に気づいた。
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