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変わった人
変わった彼女は①
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僕の彼女は変わっている。
ナンパした僕を受け入れて、同棲までしちゃうのだから。
いや、めちゃくちゃ嬉しいんだけどね?
一目惚れな訳だしさ??
「…ぅん…?ひぃーちゃん、もう起きるの…?」
カーテンの向こうはまだ薄暗い。起きるにはまだまだ早すぎるはずだ。僕は思うがままに、背中を向けるひぃーちゃんにそのまま抱き付く。
夏が終わり、秋がやって来て少し肌寒い朝。一肌恋しくなる季節の到来は目前で、寒がりの僕としては体温が低めのひぃーちゃんを温める役割も担うため、と言い訳して公に抱き付く。
「……春樹、離せ」
「ふふっ…ん…いや、だ。まだ、…ねむーーいぃぃ…」
まだ眠いけど、ひぃーちゃんをベッドから逃がさないように背中に口付けて、布団の中へ引き込む。
「…春樹」
「うふふ…なぁに?」
「……シャワー浴びたいから離せ」
「ふえぇ……眠いから、やぁだ」
ぎゅう、と強く後ろから抱き締めて肩口に鼻を押し当てると、ひぃーちゃんの甘い匂いと僕と同じシャンプーの匂いがして落ち着く。一緒に住んでるから同じ匂いで当たり前なんだけど。
「…春樹、昨日…ゴムしなかったな?」
「…………あはっ?」
うん、しなかったかも?
昨晩は実家で大嵐にあって、その後で父さんに用事を頼んで…。楸さんの所に仕事で行ってたひぃーちゃんを迎えに行って、おうちに帰ってきて…そのままベッドへ直行。
だって、大嵐の相手はやっぱり疲れたし、颯太にも大嵐・母さんにもひぃーちゃんと仲が悪くなったのかって聞かれたし?仲良しの証になるようなことしても許されるかなぁ、て思った訳ですよ。うん。
ゴム付けなかったのは、ちょっとだけ反省してるけど。
「……ゴムしなくても良いが、中に残ってるのは気持ち悪いから、シャワーを浴びて出したい」
「良いの!?またシても良いの!?」
「……シャワー浴びさせてくれるなら、な」
嬉しい!嬉しすぎてひぃーちゃんをさっきまでよりも強くぎゅう、てすると僕の腕を抓ってきた。
「ひぃーちゃん、痛いんだけど!?」
「早く離せ阿呆」
「ちぇっ」
僕は大人しくひぃーちゃんを解放すると、ひぃーちゃんは素早く布団を抜け出して寝室の扉へと向かう。
良いもん。言質は取ったし。ふふん。
「ひぃーちゃん」
「……なんだ」
「だぁーい好きだよ」
「……知ってる」
「えぇ…?ほんとかなぁ…??」
一目惚れした僕から言わせれば、僕の気持ちは半分も伝わっていない気がする。
最初はひぃーちゃんが、静かに目を閉じて音を聴いている姿に一目惚れした。その後、仲良くなっていく内にどんどん好きなところが増えていった。
「ひぃーちゃん」
「…まだ何かあるのか」
ひぃーちゃんは扉のノブに手を掛けた状態で立ち止まり、ベッドで寝転ぶ僕を振り返る。その瞳はいつも凪いでいて、僕をいつも無性に不安にさせる。
「……僕のこと、好き?」
颯太と母さんに言われた言葉が思ったより深く残っていた。
僕はひぃーちゃんをナンパした。そんな僕とひぃーちゃんは、榎ちゃんの助言もあってお友達からなら、と仲良くしてくれた。そして今、僕の彼女として隣に居てくれて、ひぃーちゃんの家に入れてくれて一緒に住んでいる訳ですが。
僕は自信がない。
ひぃーちゃんは、優しいから僕に流されてここまで付き合ってくれてるんじゃないか。
―――いつか。
ひぃーちゃんに呆れられて捨てられてしまうんじゃないか。颯太と母さんに言われたことは、いつか起こりうる未来の一つとして僕は怖かった。
「バカか」
俯いていた僕の近くにいつの間にか来ていたひぃーちゃんはそっと僕を抱き締める。
「……ナンパがきっかけだったが、ちゃんと好きだ。バカ」
ひぃーちゃんはそのまま僕の胸に額を押し当てる。
「好きじゃなかったら、付き合っていない」
分かってる。
「好きじゃなかったら、一緒に住もうと誘わない」
ちゃんと分かってる。だけど不安なんだ。
「……好きだから、生でも良いって言ったんだよ、バーカ」
「…不安なの」
「始まりがナンパだったからか?」
「…うん」
「……それでも、好きだったから付き合ったんだが?」
「……ちゃんと分かってるよ」
ひぃーちゃんは、そっと僕の肩を押して僕の上に乗る。
「分かってない。春樹は、全然分かってない」
ひぃーちゃんの顔が悲しそうに歪んでるのを見上げて、僕は不謹慎にも愉悦に浸る。
ひぃーちゃんに、こんな顔をさせているのは僕なのだと。
「喜ぶな阿呆」
ひぃーちゃんはそっと僕に口付ける。そのまま深く舌が侵入してきて、ひぃーちゃんに甘く、強く吸い上げられる。
「んっ…ぁ」
ひぃーちゃんに与えられる甘い刺激に、不安よりも快感が増していく。
気が付くとひぃーちゃんの小さくて冷たい手が僕のモノに触れていた。
「ひぃーちゃん!?何を…」
「バカには、身体で教え込む方が早いかと」
「い、い…や、それ…はッ」
ひぃーちゃんは容赦なく僕のモノを扱くと、胸の突起をペロリと舐められる。
「アっ…へ、変にな、る…から…ッ」
ひぃーちゃんに触られている所、舐められている所に熱が集まるのを感じる。
僕の彼女は変わっている。
ナンパされたのに、僕を好きと言ってくれる。
どんなに僕が不安なのかも分かってくれて、その上で僕に愛をくれる。
ナンパした僕を受け入れて、同棲までしちゃうのだから。
いや、めちゃくちゃ嬉しいんだけどね?
一目惚れな訳だしさ??
「…ぅん…?ひぃーちゃん、もう起きるの…?」
カーテンの向こうはまだ薄暗い。起きるにはまだまだ早すぎるはずだ。僕は思うがままに、背中を向けるひぃーちゃんにそのまま抱き付く。
夏が終わり、秋がやって来て少し肌寒い朝。一肌恋しくなる季節の到来は目前で、寒がりの僕としては体温が低めのひぃーちゃんを温める役割も担うため、と言い訳して公に抱き付く。
「……春樹、離せ」
「ふふっ…ん…いや、だ。まだ、…ねむーーいぃぃ…」
まだ眠いけど、ひぃーちゃんをベッドから逃がさないように背中に口付けて、布団の中へ引き込む。
「…春樹」
「うふふ…なぁに?」
「……シャワー浴びたいから離せ」
「ふえぇ……眠いから、やぁだ」
ぎゅう、と強く後ろから抱き締めて肩口に鼻を押し当てると、ひぃーちゃんの甘い匂いと僕と同じシャンプーの匂いがして落ち着く。一緒に住んでるから同じ匂いで当たり前なんだけど。
「…春樹、昨日…ゴムしなかったな?」
「…………あはっ?」
うん、しなかったかも?
昨晩は実家で大嵐にあって、その後で父さんに用事を頼んで…。楸さんの所に仕事で行ってたひぃーちゃんを迎えに行って、おうちに帰ってきて…そのままベッドへ直行。
だって、大嵐の相手はやっぱり疲れたし、颯太にも大嵐・母さんにもひぃーちゃんと仲が悪くなったのかって聞かれたし?仲良しの証になるようなことしても許されるかなぁ、て思った訳ですよ。うん。
ゴム付けなかったのは、ちょっとだけ反省してるけど。
「……ゴムしなくても良いが、中に残ってるのは気持ち悪いから、シャワーを浴びて出したい」
「良いの!?またシても良いの!?」
「……シャワー浴びさせてくれるなら、な」
嬉しい!嬉しすぎてひぃーちゃんをさっきまでよりも強くぎゅう、てすると僕の腕を抓ってきた。
「ひぃーちゃん、痛いんだけど!?」
「早く離せ阿呆」
「ちぇっ」
僕は大人しくひぃーちゃんを解放すると、ひぃーちゃんは素早く布団を抜け出して寝室の扉へと向かう。
良いもん。言質は取ったし。ふふん。
「ひぃーちゃん」
「……なんだ」
「だぁーい好きだよ」
「……知ってる」
「えぇ…?ほんとかなぁ…??」
一目惚れした僕から言わせれば、僕の気持ちは半分も伝わっていない気がする。
最初はひぃーちゃんが、静かに目を閉じて音を聴いている姿に一目惚れした。その後、仲良くなっていく内にどんどん好きなところが増えていった。
「ひぃーちゃん」
「…まだ何かあるのか」
ひぃーちゃんは扉のノブに手を掛けた状態で立ち止まり、ベッドで寝転ぶ僕を振り返る。その瞳はいつも凪いでいて、僕をいつも無性に不安にさせる。
「……僕のこと、好き?」
颯太と母さんに言われた言葉が思ったより深く残っていた。
僕はひぃーちゃんをナンパした。そんな僕とひぃーちゃんは、榎ちゃんの助言もあってお友達からなら、と仲良くしてくれた。そして今、僕の彼女として隣に居てくれて、ひぃーちゃんの家に入れてくれて一緒に住んでいる訳ですが。
僕は自信がない。
ひぃーちゃんは、優しいから僕に流されてここまで付き合ってくれてるんじゃないか。
―――いつか。
ひぃーちゃんに呆れられて捨てられてしまうんじゃないか。颯太と母さんに言われたことは、いつか起こりうる未来の一つとして僕は怖かった。
「バカか」
俯いていた僕の近くにいつの間にか来ていたひぃーちゃんはそっと僕を抱き締める。
「……ナンパがきっかけだったが、ちゃんと好きだ。バカ」
ひぃーちゃんはそのまま僕の胸に額を押し当てる。
「好きじゃなかったら、付き合っていない」
分かってる。
「好きじゃなかったら、一緒に住もうと誘わない」
ちゃんと分かってる。だけど不安なんだ。
「……好きだから、生でも良いって言ったんだよ、バーカ」
「…不安なの」
「始まりがナンパだったからか?」
「…うん」
「……それでも、好きだったから付き合ったんだが?」
「……ちゃんと分かってるよ」
ひぃーちゃんは、そっと僕の肩を押して僕の上に乗る。
「分かってない。春樹は、全然分かってない」
ひぃーちゃんの顔が悲しそうに歪んでるのを見上げて、僕は不謹慎にも愉悦に浸る。
ひぃーちゃんに、こんな顔をさせているのは僕なのだと。
「喜ぶな阿呆」
ひぃーちゃんはそっと僕に口付ける。そのまま深く舌が侵入してきて、ひぃーちゃんに甘く、強く吸い上げられる。
「んっ…ぁ」
ひぃーちゃんに与えられる甘い刺激に、不安よりも快感が増していく。
気が付くとひぃーちゃんの小さくて冷たい手が僕のモノに触れていた。
「ひぃーちゃん!?何を…」
「バカには、身体で教え込む方が早いかと」
「い、い…や、それ…はッ」
ひぃーちゃんは容赦なく僕のモノを扱くと、胸の突起をペロリと舐められる。
「アっ…へ、変にな、る…から…ッ」
ひぃーちゃんに触られている所、舐められている所に熱が集まるのを感じる。
僕の彼女は変わっている。
ナンパされたのに、僕を好きと言ってくれる。
どんなに僕が不安なのかも分かってくれて、その上で僕に愛をくれる。
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