199 / 206
4章
17歳 -土の陽月2-
しおりを挟む
「櫻、起きよ!!!」
夢すら見ないほどに熟睡していた私を問答無用で叩き起こしたその声は、かつてないほどに切羽詰まった声をしていました。なにせ普段なら精神世界内にある居間に一旦意識が浮上してから肉体が目覚めるという段階を踏むというのに、それをすっ飛ばして飛び起きたぐらいです。
それと同時に鼓膜が痛い程の爆音が耳を劈き、音も凶器になるのだと身を以て理解させられました。異常事態な事は明白で、私は慌ててウォーターベッド御帳台から下りようとしたのですが、途端にドンッっと大きく突き上げるような衝撃が下から襲ってきます。そのため私の足はまるで床に拒否されたかのように弾かれ、その場に膝をついてしまいました。
「いたたた……。金さん、何がっっうわぁっ!!」
勢いよく床にぶつけて痛む膝をさすりながら立ち上がり、私を起こした声の主である金さんに問いかけようとしたのですが、今度は横揺れが襲ってきてその場に横倒しになってしまいました。中途半端な体勢だったせいで思いのほか勢いよく床に倒れ込み、色気どころか可愛さも何もない悲鳴が口から漏れます。相変わらず私が咄嗟に上げる悲鳴は残念仕様のままで、ヒロイン力の高い母上とずっと一緒に暮らしていたというのに似ることはありませんでした。血が繋がっていなくても一緒に暮らしていたら似てくるっていうけれど、ヒロイン力は対象外のようです。
「どうやら我らが想定していた時期よりも少し早くに
お目覚めになられたようだ」
金さんが敬語を使う相手なんて、考えるまでもなく土の神しかいません。だからこそ少しだけ心配になります。
「金さん、大丈夫? その、何ていうか……」
金さんからすれば自分の親に叛旗を翻すようなもので、躊躇ってしまうのも理解できます。だからといって、ここで「止めて良いよ」とは言えないのですが……。
「心配致すな、我は既に覚悟を決めておる。
先程の言葉は長年の間に染み付いた癖のようなもの。
以降は一層のこと気をつけよう。
ゆえにそなたが心配するような事は何もない」
金さんの視線は私には向いておらず、下ろされた蔀戸の更にその向こうを見ているようです。元々金さんは三太郎さんの中でも厳つい見た目をしていますし、視線も少々鋭い方ではあります。ですがここまで鋭い視線を何かに向けることはなく、思わず息を飲んでしまいました。
「危険ゆえ何かに捕まっておれ」
こうやって話している間も床に這いつくばったままの私に縦揺れ横揺れが襲ってきて、そのたびに床を転がりそうになります。必死に踏ん張るのですが揺れは強いうえに想定外の方向へと揺れるので、どうしても踏ん張りきれずにゴチンと勢いよく御帳台に頭をぶつけてしまいました。こんな事なら小学生の頃には必需品だった、防災頭巾を作っておけば良かったと後悔しきりです。
そんな後悔は時間に余裕がある時にするとして、今はあの頃を思い出して速やかに安全の確保をするべきです。なので定番の机の下へ! と思ったのですが机は地味に遠く。一番近い家具の御帳台の柱は装飾性は高いのですが頑丈ではありません。
(ここで一番頑丈なのって……)
誰に聞いてもそう答えるだろうと確信しつつ、私は金さんに横からしがみつきました。いきなりしがみつかれた金さんは目を丸くして私を見下ろしますが、少し逡巡してから溜め息をつき
「それで良い」
と言ってくれました。そうやってくっついていると金さんの体温が伝わってきて、幾分か心に余裕が生まれてきます。そして落ち着いて部屋の中を見渡せば、低レベルの発光の霊石が一つ灯っているのみで薄暗く、寝る前に焚くようにしている火時計の残り具合から、まだ東の空すら明るくなっていない夜明け前だと推測できます。
「随分と早朝から来たんだね」
「そうだな。まだ4時にすらなっておらぬ」
それは早朝と言って良いのか疑問に思うレベルの早朝で、火の極日頃ならうっすらと明るくなっていたでしょうが、流石に今の季節だと真っ暗です。三太郎さんや龍さんが居なければ完全に不意打ちを食らっていたでしょうし、その後の応戦も不可能でした。そもそも起きて直ぐは思考もまともに動きませんし、身体だって思うように動きません。それを狙ってこの時間にしたのだとしたら、土の神は意外と悪知恵の働くタイプなのかもしれません。……と思ったけれど、そういえば土の神は策を巡らせて火の神と水の神を共倒れさせた過去があります。それを踏まえれば意外でも何でもなく、そういう性質を持つ神なのかもしれません。
「浦さんと桃さん、それに龍さんは?」
「我を含め、全員が取り決め通りに動いておる」
どうやら襲撃が始まると同時に桃さんと龍さんは最前線へ、浦さんはその少し後方へと向かったようです。
(も、もしかして……
襲撃があったのに私だけ眠り続けていたりして……)
そう思って恐る恐る尋ねたら、どうやらそうではなく。私が飛び起きるのとほぼ同時に、皆は飛び出していったのだとか。良かった……。
良かった。そう思えたのはここまででした。
外から聞こえる爆音はほんの一瞬も途切れることなく鳴り続け、風に乗って焦げた匂いが遥か上空に位置するこの天空島にまで届きます。本来なら地上の匂いが届くような距離じゃないのですが、龍さんが霊力を使いまくっているせいなのか、それともそれだけ大規模な火災が地上で起きているのか……。何にしても良い兆候ではありません。
「金さん、外に」
「却下だ」
私のお願いは、言い終わる前に金さんが一刀両断してしまいました。外の状況がまったく解らないので、不安ばかりが募っていきます。もちろん見えたところで私に出来る事なんて何も無いと解っていても、それでもせめて見守りたいと思ってしまうのです。なので食い下がろうとしたら、
<まったく貴女って人は……>
と浦さんの心話が届きました。
<浦さん、戦況は?!>
<安心なさい……と言ってあげたいところですが、
正直なところ五分五分、時に少し劣勢になってしまっています>
浦さんの報告に絶句し、嫌な汗が流れます。五分五分なら何とかなると思っていました。その間も金さんは相手の霊力を浄化して奪い続けているので、長期戦になればこちらにも勝機はあると。ですが劣勢では駄目です。浄化か吸収のどちらかが追いつかなくなってしまい、逆に徐々に追い込まれてしまいます。
<劣勢になる原因は解る?>
<それが解ってたら苦労しねぇって。
単純に敵の数が多すぎるってのも問題だが、
何より倒しても倒しても暫くすると復活しやがるのが大問題だ>
<復活?!>
限りなく愚痴に近い桃さんの言葉に、目を見開いてしまいます。どういう仕組みなのかはわかりませんが、倒した敵が暫くすると再び立ち上がって襲ってくるのだそうです。終わりの見えない戦いなんてゾッとしてしまいます。今回に限ればこの戦いで負ければ世界が滅亡してしまうので、士気が下がることはありません。ですが通常の戦いなら厭戦感から、士気がだだ下がり間違いなしです。
<そもそも敵って土の神じゃないの?!>
<もちろん土の神もおるんじゃが、
土の神の発する力にあてられた妖が大量に押し寄せてきよったんじゃよ>
<貴女の知っているところですと、土蜘蛛が大量発生していますよ>
浦さんにそう言われ、先ほどとまでとは正反対に外を見たくないという気持ちが湧き上がってしまいました。
<しかもあれ土蜘蛛じゃなくて、岩蜘蛛とでも呼びてぇぐれぇに固いんだよ。
全力で燃やせば殺れるんだろうが、周りへの被害を考えるとなぁ……>
桃さんはそう言うと一拍おいてから
<って俺様ですら気ぃ遣って戦ってるのに……なんなんだ、あいつは!!!!>
と、怒号のような心話が届きます。神代の昔の大戦は、最終的にマガツ大陸を崩壊させました。つまりここで神と神に近しい精霊が全力で戦えば、次はこの大陸が崩壊してしまいます。世界を守る為にアマツ大陸を犠牲にするというのは、本当に最後の最後の選択としてはありなのかもしれませんが、それは今する選択ではありませんし、何より私はそんな選択をしたくありません。なので三太郎さんや龍さんは土の神を倒す事と同時に、この地を守りながら戦ってくれています。
たとえそれだけのハンデがあったとしても、4属性の精霊が揃っていれば五分五分以上には持ち込めると三太郎さんたちの試算では出ていたのですが、どうやら地上では想定外の事態が1つや2つじゃなく起きているようです。
<やべぇ!! させねぇよっ!!>
桃さんの咆哮のような心話と同時に床が大きく傾き、バランスを崩した私と金さんはその場に倒れ込んでしまいました。私の方が下になって倒れたのですが、金さんが咄嗟に私の後頭部に手を回して頭をぶつけないように庇ってくれます。ですが床の傾きは更に大きくなり、そのまま二人揃って部屋の端っこまで吹き飛ばれるような勢いで滑っていき壁に背中を強打してしまいました。しかもそこに机が突っ込んで来て、慌てて金さんは身を捩って直撃を避けます。
<<<大丈夫か?!>>>
ほぼ同時に同じ内容の心話が3つ届きますが、息が詰まって返事ができません。変わりに金さんが
<身体をぶつけはしたが、大怪我はしておらん。
しかし空に浮かぶ島が傾ぐなど、何があった?>
<何体もの土蜘蛛が糸を空に向かって吐いたんですよ。
まさかそこまで届くとは思わず……>
<やばいと思って俺様の炎で焼ききったんだが、少し遅かったな。悪ぃ>
この天空島は地上1000mぐらいの高さに浮かんでいます。そこにまで糸が届くっておかしくない?!と思ってしまいますが、もともとこの世界では私の常識の一部は通用しませんし、今居る妖たちは土の神のせいで色々とバフがかかっているようなので、私の常識は一度リセットするべきかもしれません。
「金さん、外に出よう!」
もちろん島の端に行って、地上の様子を確認するなんて無茶はしません。向かいたいのは島の中央で、そこにある巨木はこの天空島の核です。その巨木の枝か根に縄で自分の胴体を括っておけば、先程のような事があっても対処できると思ったのです。そう説明すると金さんも頷き、
「そなたが言う事にも一理ある」
と納得してくれました。流石に机が吹っ飛んでくるような場所では、身を守り続けるにも限界があると思ったようです。
「じゃぁ、行こう!」
私はそう言うと、金さんに向かって両手を伸ばして抱き上げてもらいました。
この年になって抱き上げてもらって移動するなんて、恥ずかしいという気持ちは当然ながらあります。ですが自分の羞恥心やプライドを優先した結果、怪我をしたり他人に迷惑をかけるぐらいなら、プライドなんていくらでも捨ててやります。
天空島はヤマト国に住んでいた頃の家と良く似た作りになっています。流石に時間が無かったことや優先順位の関係で兄上たち家族の部屋は空部屋ですし、作業小屋や水力ケーブルカーといった付随施設はありませんが、寝殿造りに似た配置の建物類と庭園はそのままです。その庭園部分に天を突くほどの巨木があります。直径が20mはゆうにあるので巨木というよりは巨樹と呼ぶほうがふさわしいこの木を囲むようにして建物を配置しているので、あの頃の家よりも大きくなってしまいました。その大きな部屋を金さんは私を抱えたまま飛び出して、一目散に巨木へと駆け抜けます。
外に出たことで焦げた匂いは強くなり、大気を震わす轟音は鼓膜だけでなく身体全体を震わせてきます。小さい頃にじゃんじゃん火と戦った時も恐怖でしたが、今はその比ではありません。もちろん三太郎さんや龍さんがいるという安心感もあるのですが、母上や叔父上たちが居ないという……こう、なんていうか……足元が不確かな感じといえばよいのか、微妙に不安感があるのです。
そんな不安から目を背けるように、できるだけ遠くへと視線を移しました。
外はまだ暗闇で、雲が無いおかげで星は見えますが月はありません。そのせいでなお一層暗いのですが、その暗闇の濃淡に違和感を覚えます。空の暗闇をバックに山の陰影がうっすらと見えるのですが、その形がおかしいのです。
(あそこの山の形はもっと緩やかだったような……?
それにあっちの山はどうしてあんな形に??)
緩やかだった山は今や急峻となっていて、その横の山のシルエットは中腹辺りが大きく抉れています。闇の濃淡でしか判別できないので詳しくはわかりませんが、明らかに何かがおかしく……。と思ったらその抉れた部分から高速で何かが飛んできました。
それはキュルキュルと高速回転しながら飛翔してくる岩で、回転するたびに細く鋭く巨大な槍のようなります。そしてソレが轟音をたてて天空島にぶつかりました。
ドゴォンッ!!!
という音と衝撃に、思わず金さんに力いっぱい抱きつきます。
「直撃はしておらん、安心致せ」
金さんはそう言いますが、私の膝は震えてしまって自力で立っていられないほどですし、抱きついた腕から力を抜くこともできません。
どうやら土の神は「死なば諸共」とでも思っているのか、それとも自分が作り上げた世界には何をしても良いと思っているのか……。神の気持ちなんて私にはわかりませんが、三太郎さんと龍さんが世界を壊さないように戦っているのに対し、土の神は大地を削り、山を壊してでもこちらを攻撃してきます。
(あっちの山に村は無かった……よね?)
アスカ村の住民は全員避難していますが、あっちの山にも人が住んでいたらと思うと血の気が引いていきます。
ただ金さんの言うように確かに攻撃は天空島に当たった訳ではないようで、眼前のなにもない空間で岩の槍は粉々に砕けていきます。どうやら天空島に張られている結界を突破出来ないようで、次から次へと襲い来る攻撃全てが小石となって地上に落ちていきます。つまり先程から感じていた衝撃は全て結界が揺れたことによるもののようで、今のところ天空島自体に目に見えるような被害は出ていません。
そうなるとむしろ問題は妖の大群で、遠くの地表にまで蠢いている何かが居ます。これらも結界で全て弾ければ良いのですが、対土の神に霊力の大半を割いている為に妖にまで霊力を割く余裕がありません。正確には精霊が元となっている妖は弾くことが出来ますし、穢を元に自然発生した妖も弾けます。問題は元々いる動物や虫が穢を取り込むことで妖化したモノです。これらは元が神がこの世界に必要だと判断して作り出したものなので、精霊の結界では足止め程度にしかなりません。それでも霊力を増して亜神となった三太郎さんたちなら弾ける可能性はあったのですが、今のところ個体によっては弾けたり弾けなかったりしているようです。そしてこの元動物や虫の妖が、復活しているようなのです。
何か良い手が無いかと前世の知識も今世の知識も全て使い、ありとあらゆる経験も思い出して必死に考えます。でも良い考えはポンッと生まれてきてくれません。
何も出来ない無い自分に激しい苛立ちを覚え、同時に言い表せないほどの無力感に襲われてしまいます。
「夜明け前が一番暗い」と書いたのはシェークスピアだったと思いますが、これは苦難は終わりかけの時期が最も苦しいという意味のイギリスの諺らしいです。なので実際には夜明け前が一番暗い訳ではないのですが、なぜか本当に空が明るくなるどころか暗くなっている気がして仕方がありません。
<いかん、儂の結界が崩れる……っ 身構えろ!>
何度目か解らない岩槍を崩した直後、龍さんの苦しそうな心話が届きました。そもそも龍さんと土の神は、霊力の相性が良くありません。それでも龍さんが最前線に居たのは自分の消費も激しいけれど、相手の消費も激しいからです。激しく消費させれば、その霊力を金さんが浄化して吸収できますから。
ただ一つ。私達が間違っていたのは土の神は世界の変化を望まない、つまり世界を維持するだろうと思っていた事でした。蓋を開けてみれば、土の神は大地を壊してでも私達を排除しようとしているのに対し、こちらは……と前提が違いすぎる戦いを余儀なくされています。
バリバリッ!!!
と、まる落雷のような音がしたと思ったら、目が開けていられないほどの突風が襲ってきました。巨木と私、巨木と金さん、そして私と金さんといった感じで三点を縄で結わえてあるうえに事前に身構えることができたので大丈夫でしたが、私の足が少し浮いてしまったぐらいの突風です。
そして龍さんの結界が消えると、今度は桃さん負担が激増して結界が不安定になりました。桃さんの後にも浦さんの結界と最終結界の金さんの結界がありますが、このままではそれらの結界が消えるのも時間の問題です。
何より三太郎さんたちに疲労の色が見えるのです。
精霊の三太郎さんや龍さんは、実体化していたとしても人間のような肉体的疲労はありません。気分の問題で擬似的に疲れを感じる事はあるようですが、それは美味しいお酒や食事、楽しい何かで簡単に消えてしまいます。なので今の三太郎さんたちが感じているであろう疲労は、精霊力の多用に伴う疲労です。普段ならば一度私の中に戻ってもらって急速充電をしてもらえば済むことなのですが、今はそういう訳にもいきません。
もちろんこういった事態を想定して、待機中に作った大量の霊石(霊力充填済)を各自持っているはずなのですが……。
眼の前が暗くなりそうですが、そこをなんとか踏みとどまります。皆が頑張っているのに、何もしていない私が真っ先に絶望するなんて彼らに対する裏切りでしかありません。
そうこうしている間にも、桃さんの結界も浦さんの結界も破られてしまいました。残るは金さんの結界だけですが、どうやら金さん以外は再度結界を張らずに全力で攻撃する作戦に変更するようです。とはいえ天空島の火・水・風の霊力が消えてしまった訳ではなく、巨木や周囲に配置した霊石に宿した霊力で天空島の高度は維持されています。ですが次の攻撃が来たら、今度の揺れは今までとは比べ物にならない激しさとなるでしょう。それを物語るように
「これよりは不意の事態に我の助けが間に合うか解らぬ。
ゆえに我にしっかりと捕まっておるように、良いな?」
と金さんは言い、更には念を押すように私達の間にある縄の強度を確認します。
「うん、解った」
私はそれ以上の言葉が出ず、金さんにしがみつく事しかできませんでした。
夢すら見ないほどに熟睡していた私を問答無用で叩き起こしたその声は、かつてないほどに切羽詰まった声をしていました。なにせ普段なら精神世界内にある居間に一旦意識が浮上してから肉体が目覚めるという段階を踏むというのに、それをすっ飛ばして飛び起きたぐらいです。
それと同時に鼓膜が痛い程の爆音が耳を劈き、音も凶器になるのだと身を以て理解させられました。異常事態な事は明白で、私は慌ててウォーターベッド御帳台から下りようとしたのですが、途端にドンッっと大きく突き上げるような衝撃が下から襲ってきます。そのため私の足はまるで床に拒否されたかのように弾かれ、その場に膝をついてしまいました。
「いたたた……。金さん、何がっっうわぁっ!!」
勢いよく床にぶつけて痛む膝をさすりながら立ち上がり、私を起こした声の主である金さんに問いかけようとしたのですが、今度は横揺れが襲ってきてその場に横倒しになってしまいました。中途半端な体勢だったせいで思いのほか勢いよく床に倒れ込み、色気どころか可愛さも何もない悲鳴が口から漏れます。相変わらず私が咄嗟に上げる悲鳴は残念仕様のままで、ヒロイン力の高い母上とずっと一緒に暮らしていたというのに似ることはありませんでした。血が繋がっていなくても一緒に暮らしていたら似てくるっていうけれど、ヒロイン力は対象外のようです。
「どうやら我らが想定していた時期よりも少し早くに
お目覚めになられたようだ」
金さんが敬語を使う相手なんて、考えるまでもなく土の神しかいません。だからこそ少しだけ心配になります。
「金さん、大丈夫? その、何ていうか……」
金さんからすれば自分の親に叛旗を翻すようなもので、躊躇ってしまうのも理解できます。だからといって、ここで「止めて良いよ」とは言えないのですが……。
「心配致すな、我は既に覚悟を決めておる。
先程の言葉は長年の間に染み付いた癖のようなもの。
以降は一層のこと気をつけよう。
ゆえにそなたが心配するような事は何もない」
金さんの視線は私には向いておらず、下ろされた蔀戸の更にその向こうを見ているようです。元々金さんは三太郎さんの中でも厳つい見た目をしていますし、視線も少々鋭い方ではあります。ですがここまで鋭い視線を何かに向けることはなく、思わず息を飲んでしまいました。
「危険ゆえ何かに捕まっておれ」
こうやって話している間も床に這いつくばったままの私に縦揺れ横揺れが襲ってきて、そのたびに床を転がりそうになります。必死に踏ん張るのですが揺れは強いうえに想定外の方向へと揺れるので、どうしても踏ん張りきれずにゴチンと勢いよく御帳台に頭をぶつけてしまいました。こんな事なら小学生の頃には必需品だった、防災頭巾を作っておけば良かったと後悔しきりです。
そんな後悔は時間に余裕がある時にするとして、今はあの頃を思い出して速やかに安全の確保をするべきです。なので定番の机の下へ! と思ったのですが机は地味に遠く。一番近い家具の御帳台の柱は装飾性は高いのですが頑丈ではありません。
(ここで一番頑丈なのって……)
誰に聞いてもそう答えるだろうと確信しつつ、私は金さんに横からしがみつきました。いきなりしがみつかれた金さんは目を丸くして私を見下ろしますが、少し逡巡してから溜め息をつき
「それで良い」
と言ってくれました。そうやってくっついていると金さんの体温が伝わってきて、幾分か心に余裕が生まれてきます。そして落ち着いて部屋の中を見渡せば、低レベルの発光の霊石が一つ灯っているのみで薄暗く、寝る前に焚くようにしている火時計の残り具合から、まだ東の空すら明るくなっていない夜明け前だと推測できます。
「随分と早朝から来たんだね」
「そうだな。まだ4時にすらなっておらぬ」
それは早朝と言って良いのか疑問に思うレベルの早朝で、火の極日頃ならうっすらと明るくなっていたでしょうが、流石に今の季節だと真っ暗です。三太郎さんや龍さんが居なければ完全に不意打ちを食らっていたでしょうし、その後の応戦も不可能でした。そもそも起きて直ぐは思考もまともに動きませんし、身体だって思うように動きません。それを狙ってこの時間にしたのだとしたら、土の神は意外と悪知恵の働くタイプなのかもしれません。……と思ったけれど、そういえば土の神は策を巡らせて火の神と水の神を共倒れさせた過去があります。それを踏まえれば意外でも何でもなく、そういう性質を持つ神なのかもしれません。
「浦さんと桃さん、それに龍さんは?」
「我を含め、全員が取り決め通りに動いておる」
どうやら襲撃が始まると同時に桃さんと龍さんは最前線へ、浦さんはその少し後方へと向かったようです。
(も、もしかして……
襲撃があったのに私だけ眠り続けていたりして……)
そう思って恐る恐る尋ねたら、どうやらそうではなく。私が飛び起きるのとほぼ同時に、皆は飛び出していったのだとか。良かった……。
良かった。そう思えたのはここまででした。
外から聞こえる爆音はほんの一瞬も途切れることなく鳴り続け、風に乗って焦げた匂いが遥か上空に位置するこの天空島にまで届きます。本来なら地上の匂いが届くような距離じゃないのですが、龍さんが霊力を使いまくっているせいなのか、それともそれだけ大規模な火災が地上で起きているのか……。何にしても良い兆候ではありません。
「金さん、外に」
「却下だ」
私のお願いは、言い終わる前に金さんが一刀両断してしまいました。外の状況がまったく解らないので、不安ばかりが募っていきます。もちろん見えたところで私に出来る事なんて何も無いと解っていても、それでもせめて見守りたいと思ってしまうのです。なので食い下がろうとしたら、
<まったく貴女って人は……>
と浦さんの心話が届きました。
<浦さん、戦況は?!>
<安心なさい……と言ってあげたいところですが、
正直なところ五分五分、時に少し劣勢になってしまっています>
浦さんの報告に絶句し、嫌な汗が流れます。五分五分なら何とかなると思っていました。その間も金さんは相手の霊力を浄化して奪い続けているので、長期戦になればこちらにも勝機はあると。ですが劣勢では駄目です。浄化か吸収のどちらかが追いつかなくなってしまい、逆に徐々に追い込まれてしまいます。
<劣勢になる原因は解る?>
<それが解ってたら苦労しねぇって。
単純に敵の数が多すぎるってのも問題だが、
何より倒しても倒しても暫くすると復活しやがるのが大問題だ>
<復活?!>
限りなく愚痴に近い桃さんの言葉に、目を見開いてしまいます。どういう仕組みなのかはわかりませんが、倒した敵が暫くすると再び立ち上がって襲ってくるのだそうです。終わりの見えない戦いなんてゾッとしてしまいます。今回に限ればこの戦いで負ければ世界が滅亡してしまうので、士気が下がることはありません。ですが通常の戦いなら厭戦感から、士気がだだ下がり間違いなしです。
<そもそも敵って土の神じゃないの?!>
<もちろん土の神もおるんじゃが、
土の神の発する力にあてられた妖が大量に押し寄せてきよったんじゃよ>
<貴女の知っているところですと、土蜘蛛が大量発生していますよ>
浦さんにそう言われ、先ほどとまでとは正反対に外を見たくないという気持ちが湧き上がってしまいました。
<しかもあれ土蜘蛛じゃなくて、岩蜘蛛とでも呼びてぇぐれぇに固いんだよ。
全力で燃やせば殺れるんだろうが、周りへの被害を考えるとなぁ……>
桃さんはそう言うと一拍おいてから
<って俺様ですら気ぃ遣って戦ってるのに……なんなんだ、あいつは!!!!>
と、怒号のような心話が届きます。神代の昔の大戦は、最終的にマガツ大陸を崩壊させました。つまりここで神と神に近しい精霊が全力で戦えば、次はこの大陸が崩壊してしまいます。世界を守る為にアマツ大陸を犠牲にするというのは、本当に最後の最後の選択としてはありなのかもしれませんが、それは今する選択ではありませんし、何より私はそんな選択をしたくありません。なので三太郎さんや龍さんは土の神を倒す事と同時に、この地を守りながら戦ってくれています。
たとえそれだけのハンデがあったとしても、4属性の精霊が揃っていれば五分五分以上には持ち込めると三太郎さんたちの試算では出ていたのですが、どうやら地上では想定外の事態が1つや2つじゃなく起きているようです。
<やべぇ!! させねぇよっ!!>
桃さんの咆哮のような心話と同時に床が大きく傾き、バランスを崩した私と金さんはその場に倒れ込んでしまいました。私の方が下になって倒れたのですが、金さんが咄嗟に私の後頭部に手を回して頭をぶつけないように庇ってくれます。ですが床の傾きは更に大きくなり、そのまま二人揃って部屋の端っこまで吹き飛ばれるような勢いで滑っていき壁に背中を強打してしまいました。しかもそこに机が突っ込んで来て、慌てて金さんは身を捩って直撃を避けます。
<<<大丈夫か?!>>>
ほぼ同時に同じ内容の心話が3つ届きますが、息が詰まって返事ができません。変わりに金さんが
<身体をぶつけはしたが、大怪我はしておらん。
しかし空に浮かぶ島が傾ぐなど、何があった?>
<何体もの土蜘蛛が糸を空に向かって吐いたんですよ。
まさかそこまで届くとは思わず……>
<やばいと思って俺様の炎で焼ききったんだが、少し遅かったな。悪ぃ>
この天空島は地上1000mぐらいの高さに浮かんでいます。そこにまで糸が届くっておかしくない?!と思ってしまいますが、もともとこの世界では私の常識の一部は通用しませんし、今居る妖たちは土の神のせいで色々とバフがかかっているようなので、私の常識は一度リセットするべきかもしれません。
「金さん、外に出よう!」
もちろん島の端に行って、地上の様子を確認するなんて無茶はしません。向かいたいのは島の中央で、そこにある巨木はこの天空島の核です。その巨木の枝か根に縄で自分の胴体を括っておけば、先程のような事があっても対処できると思ったのです。そう説明すると金さんも頷き、
「そなたが言う事にも一理ある」
と納得してくれました。流石に机が吹っ飛んでくるような場所では、身を守り続けるにも限界があると思ったようです。
「じゃぁ、行こう!」
私はそう言うと、金さんに向かって両手を伸ばして抱き上げてもらいました。
この年になって抱き上げてもらって移動するなんて、恥ずかしいという気持ちは当然ながらあります。ですが自分の羞恥心やプライドを優先した結果、怪我をしたり他人に迷惑をかけるぐらいなら、プライドなんていくらでも捨ててやります。
天空島はヤマト国に住んでいた頃の家と良く似た作りになっています。流石に時間が無かったことや優先順位の関係で兄上たち家族の部屋は空部屋ですし、作業小屋や水力ケーブルカーといった付随施設はありませんが、寝殿造りに似た配置の建物類と庭園はそのままです。その庭園部分に天を突くほどの巨木があります。直径が20mはゆうにあるので巨木というよりは巨樹と呼ぶほうがふさわしいこの木を囲むようにして建物を配置しているので、あの頃の家よりも大きくなってしまいました。その大きな部屋を金さんは私を抱えたまま飛び出して、一目散に巨木へと駆け抜けます。
外に出たことで焦げた匂いは強くなり、大気を震わす轟音は鼓膜だけでなく身体全体を震わせてきます。小さい頃にじゃんじゃん火と戦った時も恐怖でしたが、今はその比ではありません。もちろん三太郎さんや龍さんがいるという安心感もあるのですが、母上や叔父上たちが居ないという……こう、なんていうか……足元が不確かな感じといえばよいのか、微妙に不安感があるのです。
そんな不安から目を背けるように、できるだけ遠くへと視線を移しました。
外はまだ暗闇で、雲が無いおかげで星は見えますが月はありません。そのせいでなお一層暗いのですが、その暗闇の濃淡に違和感を覚えます。空の暗闇をバックに山の陰影がうっすらと見えるのですが、その形がおかしいのです。
(あそこの山の形はもっと緩やかだったような……?
それにあっちの山はどうしてあんな形に??)
緩やかだった山は今や急峻となっていて、その横の山のシルエットは中腹辺りが大きく抉れています。闇の濃淡でしか判別できないので詳しくはわかりませんが、明らかに何かがおかしく……。と思ったらその抉れた部分から高速で何かが飛んできました。
それはキュルキュルと高速回転しながら飛翔してくる岩で、回転するたびに細く鋭く巨大な槍のようなります。そしてソレが轟音をたてて天空島にぶつかりました。
ドゴォンッ!!!
という音と衝撃に、思わず金さんに力いっぱい抱きつきます。
「直撃はしておらん、安心致せ」
金さんはそう言いますが、私の膝は震えてしまって自力で立っていられないほどですし、抱きついた腕から力を抜くこともできません。
どうやら土の神は「死なば諸共」とでも思っているのか、それとも自分が作り上げた世界には何をしても良いと思っているのか……。神の気持ちなんて私にはわかりませんが、三太郎さんと龍さんが世界を壊さないように戦っているのに対し、土の神は大地を削り、山を壊してでもこちらを攻撃してきます。
(あっちの山に村は無かった……よね?)
アスカ村の住民は全員避難していますが、あっちの山にも人が住んでいたらと思うと血の気が引いていきます。
ただ金さんの言うように確かに攻撃は天空島に当たった訳ではないようで、眼前のなにもない空間で岩の槍は粉々に砕けていきます。どうやら天空島に張られている結界を突破出来ないようで、次から次へと襲い来る攻撃全てが小石となって地上に落ちていきます。つまり先程から感じていた衝撃は全て結界が揺れたことによるもののようで、今のところ天空島自体に目に見えるような被害は出ていません。
そうなるとむしろ問題は妖の大群で、遠くの地表にまで蠢いている何かが居ます。これらも結界で全て弾ければ良いのですが、対土の神に霊力の大半を割いている為に妖にまで霊力を割く余裕がありません。正確には精霊が元となっている妖は弾くことが出来ますし、穢を元に自然発生した妖も弾けます。問題は元々いる動物や虫が穢を取り込むことで妖化したモノです。これらは元が神がこの世界に必要だと判断して作り出したものなので、精霊の結界では足止め程度にしかなりません。それでも霊力を増して亜神となった三太郎さんたちなら弾ける可能性はあったのですが、今のところ個体によっては弾けたり弾けなかったりしているようです。そしてこの元動物や虫の妖が、復活しているようなのです。
何か良い手が無いかと前世の知識も今世の知識も全て使い、ありとあらゆる経験も思い出して必死に考えます。でも良い考えはポンッと生まれてきてくれません。
何も出来ない無い自分に激しい苛立ちを覚え、同時に言い表せないほどの無力感に襲われてしまいます。
「夜明け前が一番暗い」と書いたのはシェークスピアだったと思いますが、これは苦難は終わりかけの時期が最も苦しいという意味のイギリスの諺らしいです。なので実際には夜明け前が一番暗い訳ではないのですが、なぜか本当に空が明るくなるどころか暗くなっている気がして仕方がありません。
<いかん、儂の結界が崩れる……っ 身構えろ!>
何度目か解らない岩槍を崩した直後、龍さんの苦しそうな心話が届きました。そもそも龍さんと土の神は、霊力の相性が良くありません。それでも龍さんが最前線に居たのは自分の消費も激しいけれど、相手の消費も激しいからです。激しく消費させれば、その霊力を金さんが浄化して吸収できますから。
ただ一つ。私達が間違っていたのは土の神は世界の変化を望まない、つまり世界を維持するだろうと思っていた事でした。蓋を開けてみれば、土の神は大地を壊してでも私達を排除しようとしているのに対し、こちらは……と前提が違いすぎる戦いを余儀なくされています。
バリバリッ!!!
と、まる落雷のような音がしたと思ったら、目が開けていられないほどの突風が襲ってきました。巨木と私、巨木と金さん、そして私と金さんといった感じで三点を縄で結わえてあるうえに事前に身構えることができたので大丈夫でしたが、私の足が少し浮いてしまったぐらいの突風です。
そして龍さんの結界が消えると、今度は桃さん負担が激増して結界が不安定になりました。桃さんの後にも浦さんの結界と最終結界の金さんの結界がありますが、このままではそれらの結界が消えるのも時間の問題です。
何より三太郎さんたちに疲労の色が見えるのです。
精霊の三太郎さんや龍さんは、実体化していたとしても人間のような肉体的疲労はありません。気分の問題で擬似的に疲れを感じる事はあるようですが、それは美味しいお酒や食事、楽しい何かで簡単に消えてしまいます。なので今の三太郎さんたちが感じているであろう疲労は、精霊力の多用に伴う疲労です。普段ならば一度私の中に戻ってもらって急速充電をしてもらえば済むことなのですが、今はそういう訳にもいきません。
もちろんこういった事態を想定して、待機中に作った大量の霊石(霊力充填済)を各自持っているはずなのですが……。
眼の前が暗くなりそうですが、そこをなんとか踏みとどまります。皆が頑張っているのに、何もしていない私が真っ先に絶望するなんて彼らに対する裏切りでしかありません。
そうこうしている間にも、桃さんの結界も浦さんの結界も破られてしまいました。残るは金さんの結界だけですが、どうやら金さん以外は再度結界を張らずに全力で攻撃する作戦に変更するようです。とはいえ天空島の火・水・風の霊力が消えてしまった訳ではなく、巨木や周囲に配置した霊石に宿した霊力で天空島の高度は維持されています。ですが次の攻撃が来たら、今度の揺れは今までとは比べ物にならない激しさとなるでしょう。それを物語るように
「これよりは不意の事態に我の助けが間に合うか解らぬ。
ゆえに我にしっかりと捕まっておるように、良いな?」
と金さんは言い、更には念を押すように私達の間にある縄の強度を確認します。
「うん、解った」
私はそれ以上の言葉が出ず、金さんにしがみつく事しかできませんでした。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる