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2章
11歳 -水の陽月7-
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綺麗な形の眉をひそめた牡丹様は溜息を一つ吐くと
「顔を上げよ……。
連れて行ってやりたいのは山々じゃが、内裏はそう簡単に入れる場所ではない。
特に呪詛の噂が囁かれるようになってからは、出入りの審査が厳重でな。
子供のそなたが入る事は不可能に近い」
と首を横に振ってしまいました。内裏というのは帝や東宮のプライベート空間なので、普段から出入りの際には厳しい検査があったそうなのですが、今はそもそも帝が指名した人以外の出入りが禁じられているのだそうです。
その指名された人が目の前にいる牡丹様をはじめとした東宮妃たちです。ただ彼女たちも最初から内裏に入る事が許されていた訳ではなく、各神社が帝に要請を出した結果です。境内にいると熱病にかからない事に気付いた人々は、争うようにして神社に保護を求め始めました。華族や豪商といった人たちは勿論、日々の暮らしに困窮するような人々も神社に救いを求めて列を作ったのです。
神社側がそういった人々を全て助けたいと思っても、収容できる人数には限りがあり、取捨選択をせざるを得ません。そこでせめて将来内裏に入る事が確定している東宮妃と、何かあったら外交問題に発展しかねない各国の王族を内裏で受け入れてほしいと帝に請願を出したのです。
天都へ留学に行く事は各国の王族や華族にとってはステータスになっているので、毎年一定数の留学生が天都には来ています。茴香殿下や蒔蘿殿下も天都にある高等教育機関の天学に留学した経験があるはずですし、母上や叔父上も通っていたはずです。
「ふむ……。櫻姫、そなたは呪詛を感知できると申すが
何をどの程度、どのように解るのか、
また呪詛を放つ人や呪具を見つけたとして、そなたに対処は可能か?」
何かを悩んでいた牡丹様の質問に、少し考えてから答えます。
「まず呪詛の波動……えと、呪詛の名残のようなものは今も解ります。
あちらの方角から放たれたという事と、水の気配がある事も。
後は実際に見てみないと断言はできませんが、
呪詛を放っている人や物は、見れば解ると思います」
正確には私がではなく、私の中にいる金さんや浦さんが感知できるのですが、それを説明する訳にもいきません。
「問題は呪詛自体はどうにかできても、
物理的な攻撃をされると私には対処ができません……」
これがあるから山を下りる際に山吹が心配したのです。山吹は決して三太郎さんの事を疑っている訳ではありませんが、不特定多数の人の前で姿を現す事を嫌う三太郎さんなので、物理的な攻撃を加えられた時に三太郎さんの守りが間に合わない可能性がある事、そんな時に私一人では身を守れない事など思うと心配でならないと訴えていました。
「あぁ、それに関しては端から期待しておらぬし、なんなら心配すらしておる。
誰ぞ腕利きの護衛をつけた方が良いと思い先程から考えておるのじゃが、
そなたを任せる事が出来る者となると、海棠以外には思い浮かばぬ。
じゃが海棠は妾の随身として内裏に入る予定でなぁ……。
海棠。何か良い手はないか?」
「そうですね……。某たちと共に内裏に行く事は不可能に近いでしょう。
成人女性ならば女房の1人と入れ替わってもらう事もできましょうが、
このように小さな女童を女房として連れて行く事は不自然です」
「そこよなぁ……」
私も無理なお願いをしている自覚はあります。ですが単独で忍び込むのは、どう考えても現実的ではありません。前世でいうところの皇居の一般公開されていない場所、しかも皇室の方々のプライベートエリアに忍び込むようなモノなのですから。
今は緊急事態なので東宮妃やその子供も内裏に入る事ができますが、本来ならば子供がいるような場所ではありません。そんな普段から子供が居ない場所に子供がいたら、迷子なんて言い訳は絶対に通じません。犯罪の容疑者を通り越していきなり犯人扱いされてもおかしくありませんし、少なくとも片棒を担いだ、或は利用された子供として即逮捕間違い無しです。
<内裏から呪詛の波動が漂ってきている事は間違いありません。
私達が内裏に入れないのならば、
内裏から出てきてもらっては如何でしょう?>
<内裏から出てきてもらう?>
<えぇ、内裏に住むほとんどの者が参加するような何かを催し、
それで呪詛を放つ者が内裏から出てくれば良し。出てこないのなら、
呪詛を放っている者は参加しなかった少数の者に絞り込めます>
<牡丹様が言うような、呪詛を放つ物が置かれた可能性は無いの?>
<それはあるまい。
連日、しかも広範囲に呪詛を放っているにも拘らず、呪詛の強度が衰えぬ。
そのような呪具は未だかつて見聞きした覚えがない。
よしんば斯様な呪具があったとしてもこれだけの呪詛だ。
一度使う毎に呪力を籠める必要があり、それを行う人間が必ず傍に居るはずだ。
そして呪詛を行った人間には、特有の穢れが付きまとう>
確かに山で使っている霊石も、定期的に三太郎さんに精霊力を籠めてもらわないと使えなくなってしまいます。その頻度は霊石の使う頻度や、籠めた技能の強さや精霊力の使用量に比例しています。呪具を技能を籠めた霊石と同じだと考えれば、これだけの広範囲にとんでもなく強い力を行き渡らせば、霊力はあっという間に枯渇してしている事でしょう。なのに毎日呪詛が放たれるという事は、必ず力を籠め直す人が傍にいるという事です。
私はその事を微妙にぼかしつつ牡丹様と海棠さんに伝えました。
「なるほど、何かしらの理由をつけて全員を外へと誘い出し、
その者たちをそなたが見れば、犯人は一目瞭然という事じゃな?」
「はい、その場に居なれば逆にいなかった人という事で絞り込めますから……」
「それは良いな。ふむ…………そうじゃな……。
火の神社にて病魔退散の神事を行うのはどうじゃろう?
いや、いっそ大内裏にて三神社合同神事を執り行えば、
妾以外の東宮妃は勿論、帝や后の方々も参列してくださるやもしれん」
大内裏というのは現代でいうところの霞が関みたいなもので、諸官庁などがある区域の事です。この世界の大内裏は東西・南北それぞれ約3km程と、前世の平安京の大内裏よりも更に大きいのですが、その中に帝の住む内裏もあります。牡丹様によると大内裏には宴の松原と呼ばれる大きな広場があるそうで、そこで合同神事を執り行えば良いのでは……と。
「なるほど、では櫻嬢には神事の際に舞ってもらえば良ろしいかと。
そうすれば自然と四方を見渡す事もできますから」
「そうじゃな。良し、その方向で話しを進めよう。
櫻姫、そなたは今より火の神社に伝わる舞の稽古をしてもらう。
何、心配致すな。今は皆が皆、体調を崩しておって万全ではない。
少々ふらつこうが、間違えようが熱病の所為だと誤魔化せる」
「えっ?! 舞をですか?!」
そのまま「無理です、無理無理!!」と言いそうになったところを、グッと堪えます。内裏は当然ながら、大内裏ですら一般人が簡単に入れるような場所ではありません。舞なんて踊った事はありませんが、少なくとも警備の厳しい場所に忍び込むよりは簡単なはずです。
「わ、解りました。
頑張ります……が、私は全くの素人なので、誰かに教えてもらわないと」
「その事なのじゃが、妾はその事を推し進める為にも内裏に入らねばならん。
そして海棠は……」
「申し訳ありませんが、舞の経験はありませぬ」
「という事じゃから、信用できる者にそなたを預けるしかない訳なのじゃが……。
海棠、あ奴で大丈夫じゃと思うか?」
「……あの方ですか?!
いや、まぁ、今の櫻嬢ならば大丈夫ではないでしょうか。
有能な方である事には違いありませんし……」
折角決めた覚悟がアッという今に萎んでいきそうな事を、牡丹様と海棠さんが困り顔で言いあっています。いったい誰に預けるというのか……。
「その、何じゃ、妾の義理の甥が今、留学生として天都に来ておるのじゃが……。
ヒノモト国の誉とも言うべき男でな、武に優れておるゆえ護衛としても役立つ。
海棠と手合わせしても、今は海棠が経験で勝るが数年後では解らぬ程の腕じゃ。
じゃが……その……、少々女癖が悪くてな……。
いや、そなたはまだ子供ゆえ大丈夫じゃと思うが……」
なるほど……いわゆる女泣かせの遊び人な訳ですね。そういう人は苦手ではありますが、流石に11歳の私相手に……って、その人幾つなんでしょう??
「えと、その方のお名前と歳を教えて頂けませんか?」
「うむ。緋桐と申してな。今年の火の月で16歳になるはずじゃ」
16歳。うん、大丈夫でしょう。流石に高校生の男子が小学生女児を相手にするとは思えませんから。しかも悲しい事に私は見た目は7歳ですからね……。というか、16歳で浮名を流す人生ってどうなの?!
火の神社に着いた所で、後続の牛車に乗っていたらしい緋桐さんに引き合わされました。牛車から出ようと御簾を上げた途端、緋桐さんのお付きの女房さん達からはキッ!!と睨まれ、その余りの圧に顔を上げる事ができません。もっとも海棠さんが私の顔を隠すようにして抱き上げていたので、物理的な意味でも顔を上げられませんでしたが。
ですが私が抱きかかえられて牛車から降りてくるような小さな子供だと気付くと、女房さんたちの刺々しい空気は収まりました。あの女房さんたちを敵にはまわしたくないので、できるだけ緋桐さんには近付かないでおこうと心に決めます。そんな決意をしている私の近くで、牡丹様と緋桐さんが話していました。
「その子に火の舞を教えれば良いのですか?
私も本調子ではないので、上手に教えられぬやもしれませんが、
それでもよろしいですか?」
「あぁ、構わぬ。
ただヒノモトの名にかけて、出来る限りの助力をしてやってほしい。
その礼に「あの話」は妾が何とか致そう」
「そういう事ならば私としても全力であたりましょう」
何やら取り引きめいた会話が行われていますが、前もって顔を上げるなと言われているので、私の視界か相変わらず海棠さんオンリーです。天都で素顔を晒すと危険だという事は解っていても、不便で仕方がありません。
会話を続ける牡丹様と緋桐様を先頭に、火の神社の中を移動して宮家や華族だけが使えるエリアなんだろうなぁと想定できる程、華麗な装飾のあるエリアに辿り着きました。その一番奥の大きな扉のある部屋まで来ると、
「私達はちょっと話しがあるから、君たちはここまで。
その間、ヒノモトから取り寄せた菓子や茶を楽しんでおいで。
体調がすぐれない人も居るだろうから、出来るだけ休むんだよ」
なんて優しいけれどちょっと軽い緋桐さんが声が聞こえ、続いて女性の了承の声と軽い衣擦れの音が遠ざかっていきました。そのまま私達は部屋へと入ると、
「さて、私はヒノモト王家第二王子の緋桐だが、君の名は?」
そう改めて切り出されました。前もってどこまで話して良いのか、牡丹様たちと相談しておけば良かったのですが、時間が無くて相談できていないのです。なので困り切ってしまって、とりあえず抱きかかえている海棠さんの顔を見ます。そんな戸惑っている私に助け船を出してくれたのは牡丹様でした。
「その子はな、櫻と言う。それ以上の詮索は許さぬ。
そなたを信じて今は顔を上げさせたが、今後はこの子の顔を晒す事は禁ずる。
何かしら手段を考え、常に顔を隠させるようにしてほしい」
「顔を晒すなと仰るので?
……ヒノモトの名に翳りをもたらすような事は、ありませんよね?」
緋桐さん……いや、第二王子なんだから緋桐様とか緋桐殿下と呼ぶべきなのかな?
その緋桐殿下の声がスッと低く鋭くなります。確かに今のように「何も聞かずに顔出しNGの人を助けろ」と言われて、即了承はできませんよね。
「妾が斯様な事を致すわけが無かろう。
むしろ緋色宮やヒノモトが呪詛を放っているという噂を
冤罪と証明する為の者じゃ。なればこそ必ず守り通してほしい」
「一応解りましたと言っておきます。
が、詳しい話は後で必ずしてください、それをお約束してくださるのなら」
「あぁ、約束致そう。そなたの例の話しも込みでな」
そうやって話しがまとまった所で、私はようやく海棠さんの抱っこから解放されました。どうも何か事が起こったら、海棠さんがそのまま抱きかかえて逃げるつもりだったようです。
「櫻です。怪しいかもしれませんが、絶対に悪い事はしません。
一生懸命頑張るので、宜しくお願いします」
詳しい素性は話せませんが、少しでも印象を良くしたくて頭をペコリと下げます。不審者扱いされたままは私だって嫌ですから。
「はぁ……。解った。
短い間だが君に舞を教える事に異論はない。よろしく」
肺の空気が全て抜けてしまいそうな程の溜息をついたかと思うと、仕方ないとばかりに苦笑してから緋桐殿下は握手を求めてきました。反射的にその手を握り返してしまったのですが、途端に少しだけ目を見開いた緋桐殿下を見て
(コレ、駄目な奴じゃ?!
ヒノモト国って握手の文化だっけ? これ断るのが正解だったの??)
とパニックになる私を他所に、牡丹様はやれやれといった顔で溜息をつきます。反対にニコニコ笑顔になった緋桐殿下は
「君はどこの姫君かな??
君のように手荒れをしていない人は、かなり高位の姫だと思うんだけど?
荒れていないどころか、こんなにしっとりとすべらかな肌は初めてだよ。
それに髪も驚くほどサラサラとしていて綺麗だし、香も覚えのないものだ。
いったい何を使っているのか、是非とも私に教えて欲しいな」
と立て続けに質問をしてきますが、色々とセクハラ気味だから!!
思わず気も腰も引けてしまって、慌てて手を引っこ抜こうとするのですが、緋桐殿下は手を握ったまま離してくれません。
「緋桐! 先程も申したじゃろう。その者の素性は探るな。
それがそなたの安全にも繋がり、ひいてはヒノモトの安全にも繋がる。
念には念を押してもう一度申すが、素性の詮索は決して致すな、良いな!
これは東宮妃にしてヒノモト国筆頭仁家第二姫牡丹の願いと心得よ」
「その肩書きを使う程の者という事ですね。承知致しました」
「全くそなたは可愛げが無い……」
「いい年をした男が可愛くても仕方ないがでしょう?
それにしても牡丹様が美しい所為で、
「師匠に似たのですよ」と返せない事が口惜しいですね」
「相変わらずそなたは口も達者じゃな。
それに可愛さと可愛げは違うと何度も申しておろうが」
笑っているのに感情が全く読めない笑顔を浮かべていた緋桐さんは、ようやく私の手を離すと牡丹様に向き直って軽口をたたきます。私に対する笑顔と違い、牡丹様に向けた笑顔は普通の笑顔……と言うのもおかしいですが、ちゃんと感情の解る笑顔でした。
牡丹様のお姉さんはヒノモト国の正妃なのですが、緋桐殿下は正妃ではなく第二妃の息子です。だから牡丹様と緋桐殿下に血の繋がりはありません。そんな訳で先程牡丹様は義理の甥なんて表現をしたんですね。
そして牡丹様と緋桐殿下が話している時に海棠さんがこっそりと教えてくれたのですが、2人は昔からの知り合いな上に緋桐殿下が小さい頃に剣の手ほどきをしたのが牡丹様だったとかで、今でもとても仲が良いのだとか。
牡丹様、王子に剣を教えられる程に強いんですね……。
その後、火の神社でのお祓いを終えた牡丹様をはじめとした緋色宮家の人々は内裏へと向かい、本来なら牡丹様たちと一緒に内裏へと向かうはずだった緋桐殿下は、舞の稽古を付ける為に神社に残る事になりました。
想定外の増員となってしまった神社の人からは、少し疎ましそうな目で見られてしまいましたが、牡丹様が大内裏で三神社合同の神事を行うように内裏で働きかけるという事を聞いて、それならばと納得してくれました。
また安全な内裏に入れる予定だった女房さんたちからは再び睨まれてしまいましたが、緋桐殿下が手配して女房さんたち全員が先に内裏に入れるようになりました。名目は私の舞の稽古が終わり次第内裏に向かう緋桐殿下の為に、先に入って色々と整えておく為という事になっています。
私としては女房さんたちに事あるごとに睨まれなくて助かったのですが、そのとばっちりを受けたのは海棠さんでした。申し訳ない気持ちになってしまいますが、未成年とはいえ女の私と殿下を2人っきりにはできないのは当然です。
海棠さんは「気にしなくて良い」と笑っていましたが、牡丹様の護衛があるはずなのにと思うと申し訳なさもひとしおです。
「何度も言うが気にするな。牡丹様の随身は私以外にも居る。
勿論、随身の中で一番武に優れているのは私だという自負はあるが、
同時に牡丹様を任せれられない程に弱い仲間は1人もいないという誇りもある。
我らは武の国ヒノモトの民なのだから」
そう言って頭をぽんぽんとされてしまいました。
「更に言えば牡丹様に君を任された事も誇りに思っている。
君は……大事な役目を持つ子だ。その子を守れるのだからね」
一瞬、私の素性を言いかけたのか口ごもった海棠さんは、さり気なく別の言葉で取り繕いました。
「まっ、そうだな。私としてもヒノモト国や緋色宮が呪詛を行ったなんていう
謂れのない噂は、虚偽だと完全に証明したい。その為の協力は惜しまないさ」
その言葉と同時に緋桐殿下はパンパンッと手を鳴らし、途端に部屋に何人もの人が入ってきたかと思ったら桐箱を置いて出ていきます。
「……という事で、櫻姫。さっそくだが衣装合わせといこうか」
つまり目の前に積み上げられたこれらの木箱は全て衣装のようで、その量に思わず顔が引きつってしまう私でした。
「顔を上げよ……。
連れて行ってやりたいのは山々じゃが、内裏はそう簡単に入れる場所ではない。
特に呪詛の噂が囁かれるようになってからは、出入りの審査が厳重でな。
子供のそなたが入る事は不可能に近い」
と首を横に振ってしまいました。内裏というのは帝や東宮のプライベート空間なので、普段から出入りの際には厳しい検査があったそうなのですが、今はそもそも帝が指名した人以外の出入りが禁じられているのだそうです。
その指名された人が目の前にいる牡丹様をはじめとした東宮妃たちです。ただ彼女たちも最初から内裏に入る事が許されていた訳ではなく、各神社が帝に要請を出した結果です。境内にいると熱病にかからない事に気付いた人々は、争うようにして神社に保護を求め始めました。華族や豪商といった人たちは勿論、日々の暮らしに困窮するような人々も神社に救いを求めて列を作ったのです。
神社側がそういった人々を全て助けたいと思っても、収容できる人数には限りがあり、取捨選択をせざるを得ません。そこでせめて将来内裏に入る事が確定している東宮妃と、何かあったら外交問題に発展しかねない各国の王族を内裏で受け入れてほしいと帝に請願を出したのです。
天都へ留学に行く事は各国の王族や華族にとってはステータスになっているので、毎年一定数の留学生が天都には来ています。茴香殿下や蒔蘿殿下も天都にある高等教育機関の天学に留学した経験があるはずですし、母上や叔父上も通っていたはずです。
「ふむ……。櫻姫、そなたは呪詛を感知できると申すが
何をどの程度、どのように解るのか、
また呪詛を放つ人や呪具を見つけたとして、そなたに対処は可能か?」
何かを悩んでいた牡丹様の質問に、少し考えてから答えます。
「まず呪詛の波動……えと、呪詛の名残のようなものは今も解ります。
あちらの方角から放たれたという事と、水の気配がある事も。
後は実際に見てみないと断言はできませんが、
呪詛を放っている人や物は、見れば解ると思います」
正確には私がではなく、私の中にいる金さんや浦さんが感知できるのですが、それを説明する訳にもいきません。
「問題は呪詛自体はどうにかできても、
物理的な攻撃をされると私には対処ができません……」
これがあるから山を下りる際に山吹が心配したのです。山吹は決して三太郎さんの事を疑っている訳ではありませんが、不特定多数の人の前で姿を現す事を嫌う三太郎さんなので、物理的な攻撃を加えられた時に三太郎さんの守りが間に合わない可能性がある事、そんな時に私一人では身を守れない事など思うと心配でならないと訴えていました。
「あぁ、それに関しては端から期待しておらぬし、なんなら心配すらしておる。
誰ぞ腕利きの護衛をつけた方が良いと思い先程から考えておるのじゃが、
そなたを任せる事が出来る者となると、海棠以外には思い浮かばぬ。
じゃが海棠は妾の随身として内裏に入る予定でなぁ……。
海棠。何か良い手はないか?」
「そうですね……。某たちと共に内裏に行く事は不可能に近いでしょう。
成人女性ならば女房の1人と入れ替わってもらう事もできましょうが、
このように小さな女童を女房として連れて行く事は不自然です」
「そこよなぁ……」
私も無理なお願いをしている自覚はあります。ですが単独で忍び込むのは、どう考えても現実的ではありません。前世でいうところの皇居の一般公開されていない場所、しかも皇室の方々のプライベートエリアに忍び込むようなモノなのですから。
今は緊急事態なので東宮妃やその子供も内裏に入る事ができますが、本来ならば子供がいるような場所ではありません。そんな普段から子供が居ない場所に子供がいたら、迷子なんて言い訳は絶対に通じません。犯罪の容疑者を通り越していきなり犯人扱いされてもおかしくありませんし、少なくとも片棒を担いだ、或は利用された子供として即逮捕間違い無しです。
<内裏から呪詛の波動が漂ってきている事は間違いありません。
私達が内裏に入れないのならば、
内裏から出てきてもらっては如何でしょう?>
<内裏から出てきてもらう?>
<えぇ、内裏に住むほとんどの者が参加するような何かを催し、
それで呪詛を放つ者が内裏から出てくれば良し。出てこないのなら、
呪詛を放っている者は参加しなかった少数の者に絞り込めます>
<牡丹様が言うような、呪詛を放つ物が置かれた可能性は無いの?>
<それはあるまい。
連日、しかも広範囲に呪詛を放っているにも拘らず、呪詛の強度が衰えぬ。
そのような呪具は未だかつて見聞きした覚えがない。
よしんば斯様な呪具があったとしてもこれだけの呪詛だ。
一度使う毎に呪力を籠める必要があり、それを行う人間が必ず傍に居るはずだ。
そして呪詛を行った人間には、特有の穢れが付きまとう>
確かに山で使っている霊石も、定期的に三太郎さんに精霊力を籠めてもらわないと使えなくなってしまいます。その頻度は霊石の使う頻度や、籠めた技能の強さや精霊力の使用量に比例しています。呪具を技能を籠めた霊石と同じだと考えれば、これだけの広範囲にとんでもなく強い力を行き渡らせば、霊力はあっという間に枯渇してしている事でしょう。なのに毎日呪詛が放たれるという事は、必ず力を籠め直す人が傍にいるという事です。
私はその事を微妙にぼかしつつ牡丹様と海棠さんに伝えました。
「なるほど、何かしらの理由をつけて全員を外へと誘い出し、
その者たちをそなたが見れば、犯人は一目瞭然という事じゃな?」
「はい、その場に居なれば逆にいなかった人という事で絞り込めますから……」
「それは良いな。ふむ…………そうじゃな……。
火の神社にて病魔退散の神事を行うのはどうじゃろう?
いや、いっそ大内裏にて三神社合同神事を執り行えば、
妾以外の東宮妃は勿論、帝や后の方々も参列してくださるやもしれん」
大内裏というのは現代でいうところの霞が関みたいなもので、諸官庁などがある区域の事です。この世界の大内裏は東西・南北それぞれ約3km程と、前世の平安京の大内裏よりも更に大きいのですが、その中に帝の住む内裏もあります。牡丹様によると大内裏には宴の松原と呼ばれる大きな広場があるそうで、そこで合同神事を執り行えば良いのでは……と。
「なるほど、では櫻嬢には神事の際に舞ってもらえば良ろしいかと。
そうすれば自然と四方を見渡す事もできますから」
「そうじゃな。良し、その方向で話しを進めよう。
櫻姫、そなたは今より火の神社に伝わる舞の稽古をしてもらう。
何、心配致すな。今は皆が皆、体調を崩しておって万全ではない。
少々ふらつこうが、間違えようが熱病の所為だと誤魔化せる」
「えっ?! 舞をですか?!」
そのまま「無理です、無理無理!!」と言いそうになったところを、グッと堪えます。内裏は当然ながら、大内裏ですら一般人が簡単に入れるような場所ではありません。舞なんて踊った事はありませんが、少なくとも警備の厳しい場所に忍び込むよりは簡単なはずです。
「わ、解りました。
頑張ります……が、私は全くの素人なので、誰かに教えてもらわないと」
「その事なのじゃが、妾はその事を推し進める為にも内裏に入らねばならん。
そして海棠は……」
「申し訳ありませんが、舞の経験はありませぬ」
「という事じゃから、信用できる者にそなたを預けるしかない訳なのじゃが……。
海棠、あ奴で大丈夫じゃと思うか?」
「……あの方ですか?!
いや、まぁ、今の櫻嬢ならば大丈夫ではないでしょうか。
有能な方である事には違いありませんし……」
折角決めた覚悟がアッという今に萎んでいきそうな事を、牡丹様と海棠さんが困り顔で言いあっています。いったい誰に預けるというのか……。
「その、何じゃ、妾の義理の甥が今、留学生として天都に来ておるのじゃが……。
ヒノモト国の誉とも言うべき男でな、武に優れておるゆえ護衛としても役立つ。
海棠と手合わせしても、今は海棠が経験で勝るが数年後では解らぬ程の腕じゃ。
じゃが……その……、少々女癖が悪くてな……。
いや、そなたはまだ子供ゆえ大丈夫じゃと思うが……」
なるほど……いわゆる女泣かせの遊び人な訳ですね。そういう人は苦手ではありますが、流石に11歳の私相手に……って、その人幾つなんでしょう??
「えと、その方のお名前と歳を教えて頂けませんか?」
「うむ。緋桐と申してな。今年の火の月で16歳になるはずじゃ」
16歳。うん、大丈夫でしょう。流石に高校生の男子が小学生女児を相手にするとは思えませんから。しかも悲しい事に私は見た目は7歳ですからね……。というか、16歳で浮名を流す人生ってどうなの?!
火の神社に着いた所で、後続の牛車に乗っていたらしい緋桐さんに引き合わされました。牛車から出ようと御簾を上げた途端、緋桐さんのお付きの女房さん達からはキッ!!と睨まれ、その余りの圧に顔を上げる事ができません。もっとも海棠さんが私の顔を隠すようにして抱き上げていたので、物理的な意味でも顔を上げられませんでしたが。
ですが私が抱きかかえられて牛車から降りてくるような小さな子供だと気付くと、女房さんたちの刺々しい空気は収まりました。あの女房さんたちを敵にはまわしたくないので、できるだけ緋桐さんには近付かないでおこうと心に決めます。そんな決意をしている私の近くで、牡丹様と緋桐さんが話していました。
「その子に火の舞を教えれば良いのですか?
私も本調子ではないので、上手に教えられぬやもしれませんが、
それでもよろしいですか?」
「あぁ、構わぬ。
ただヒノモトの名にかけて、出来る限りの助力をしてやってほしい。
その礼に「あの話」は妾が何とか致そう」
「そういう事ならば私としても全力であたりましょう」
何やら取り引きめいた会話が行われていますが、前もって顔を上げるなと言われているので、私の視界か相変わらず海棠さんオンリーです。天都で素顔を晒すと危険だという事は解っていても、不便で仕方がありません。
会話を続ける牡丹様と緋桐様を先頭に、火の神社の中を移動して宮家や華族だけが使えるエリアなんだろうなぁと想定できる程、華麗な装飾のあるエリアに辿り着きました。その一番奥の大きな扉のある部屋まで来ると、
「私達はちょっと話しがあるから、君たちはここまで。
その間、ヒノモトから取り寄せた菓子や茶を楽しんでおいで。
体調がすぐれない人も居るだろうから、出来るだけ休むんだよ」
なんて優しいけれどちょっと軽い緋桐さんが声が聞こえ、続いて女性の了承の声と軽い衣擦れの音が遠ざかっていきました。そのまま私達は部屋へと入ると、
「さて、私はヒノモト王家第二王子の緋桐だが、君の名は?」
そう改めて切り出されました。前もってどこまで話して良いのか、牡丹様たちと相談しておけば良かったのですが、時間が無くて相談できていないのです。なので困り切ってしまって、とりあえず抱きかかえている海棠さんの顔を見ます。そんな戸惑っている私に助け船を出してくれたのは牡丹様でした。
「その子はな、櫻と言う。それ以上の詮索は許さぬ。
そなたを信じて今は顔を上げさせたが、今後はこの子の顔を晒す事は禁ずる。
何かしら手段を考え、常に顔を隠させるようにしてほしい」
「顔を晒すなと仰るので?
……ヒノモトの名に翳りをもたらすような事は、ありませんよね?」
緋桐さん……いや、第二王子なんだから緋桐様とか緋桐殿下と呼ぶべきなのかな?
その緋桐殿下の声がスッと低く鋭くなります。確かに今のように「何も聞かずに顔出しNGの人を助けろ」と言われて、即了承はできませんよね。
「妾が斯様な事を致すわけが無かろう。
むしろ緋色宮やヒノモトが呪詛を放っているという噂を
冤罪と証明する為の者じゃ。なればこそ必ず守り通してほしい」
「一応解りましたと言っておきます。
が、詳しい話は後で必ずしてください、それをお約束してくださるのなら」
「あぁ、約束致そう。そなたの例の話しも込みでな」
そうやって話しがまとまった所で、私はようやく海棠さんの抱っこから解放されました。どうも何か事が起こったら、海棠さんがそのまま抱きかかえて逃げるつもりだったようです。
「櫻です。怪しいかもしれませんが、絶対に悪い事はしません。
一生懸命頑張るので、宜しくお願いします」
詳しい素性は話せませんが、少しでも印象を良くしたくて頭をペコリと下げます。不審者扱いされたままは私だって嫌ですから。
「はぁ……。解った。
短い間だが君に舞を教える事に異論はない。よろしく」
肺の空気が全て抜けてしまいそうな程の溜息をついたかと思うと、仕方ないとばかりに苦笑してから緋桐殿下は握手を求めてきました。反射的にその手を握り返してしまったのですが、途端に少しだけ目を見開いた緋桐殿下を見て
(コレ、駄目な奴じゃ?!
ヒノモト国って握手の文化だっけ? これ断るのが正解だったの??)
とパニックになる私を他所に、牡丹様はやれやれといった顔で溜息をつきます。反対にニコニコ笑顔になった緋桐殿下は
「君はどこの姫君かな??
君のように手荒れをしていない人は、かなり高位の姫だと思うんだけど?
荒れていないどころか、こんなにしっとりとすべらかな肌は初めてだよ。
それに髪も驚くほどサラサラとしていて綺麗だし、香も覚えのないものだ。
いったい何を使っているのか、是非とも私に教えて欲しいな」
と立て続けに質問をしてきますが、色々とセクハラ気味だから!!
思わず気も腰も引けてしまって、慌てて手を引っこ抜こうとするのですが、緋桐殿下は手を握ったまま離してくれません。
「緋桐! 先程も申したじゃろう。その者の素性は探るな。
それがそなたの安全にも繋がり、ひいてはヒノモトの安全にも繋がる。
念には念を押してもう一度申すが、素性の詮索は決して致すな、良いな!
これは東宮妃にしてヒノモト国筆頭仁家第二姫牡丹の願いと心得よ」
「その肩書きを使う程の者という事ですね。承知致しました」
「全くそなたは可愛げが無い……」
「いい年をした男が可愛くても仕方ないがでしょう?
それにしても牡丹様が美しい所為で、
「師匠に似たのですよ」と返せない事が口惜しいですね」
「相変わらずそなたは口も達者じゃな。
それに可愛さと可愛げは違うと何度も申しておろうが」
笑っているのに感情が全く読めない笑顔を浮かべていた緋桐さんは、ようやく私の手を離すと牡丹様に向き直って軽口をたたきます。私に対する笑顔と違い、牡丹様に向けた笑顔は普通の笑顔……と言うのもおかしいですが、ちゃんと感情の解る笑顔でした。
牡丹様のお姉さんはヒノモト国の正妃なのですが、緋桐殿下は正妃ではなく第二妃の息子です。だから牡丹様と緋桐殿下に血の繋がりはありません。そんな訳で先程牡丹様は義理の甥なんて表現をしたんですね。
そして牡丹様と緋桐殿下が話している時に海棠さんがこっそりと教えてくれたのですが、2人は昔からの知り合いな上に緋桐殿下が小さい頃に剣の手ほどきをしたのが牡丹様だったとかで、今でもとても仲が良いのだとか。
牡丹様、王子に剣を教えられる程に強いんですね……。
その後、火の神社でのお祓いを終えた牡丹様をはじめとした緋色宮家の人々は内裏へと向かい、本来なら牡丹様たちと一緒に内裏へと向かうはずだった緋桐殿下は、舞の稽古を付ける為に神社に残る事になりました。
想定外の増員となってしまった神社の人からは、少し疎ましそうな目で見られてしまいましたが、牡丹様が大内裏で三神社合同の神事を行うように内裏で働きかけるという事を聞いて、それならばと納得してくれました。
また安全な内裏に入れる予定だった女房さんたちからは再び睨まれてしまいましたが、緋桐殿下が手配して女房さんたち全員が先に内裏に入れるようになりました。名目は私の舞の稽古が終わり次第内裏に向かう緋桐殿下の為に、先に入って色々と整えておく為という事になっています。
私としては女房さんたちに事あるごとに睨まれなくて助かったのですが、そのとばっちりを受けたのは海棠さんでした。申し訳ない気持ちになってしまいますが、未成年とはいえ女の私と殿下を2人っきりにはできないのは当然です。
海棠さんは「気にしなくて良い」と笑っていましたが、牡丹様の護衛があるはずなのにと思うと申し訳なさもひとしおです。
「何度も言うが気にするな。牡丹様の随身は私以外にも居る。
勿論、随身の中で一番武に優れているのは私だという自負はあるが、
同時に牡丹様を任せれられない程に弱い仲間は1人もいないという誇りもある。
我らは武の国ヒノモトの民なのだから」
そう言って頭をぽんぽんとされてしまいました。
「更に言えば牡丹様に君を任された事も誇りに思っている。
君は……大事な役目を持つ子だ。その子を守れるのだからね」
一瞬、私の素性を言いかけたのか口ごもった海棠さんは、さり気なく別の言葉で取り繕いました。
「まっ、そうだな。私としてもヒノモト国や緋色宮が呪詛を行ったなんていう
謂れのない噂は、虚偽だと完全に証明したい。その為の協力は惜しまないさ」
その言葉と同時に緋桐殿下はパンパンッと手を鳴らし、途端に部屋に何人もの人が入ってきたかと思ったら桐箱を置いて出ていきます。
「……という事で、櫻姫。さっそくだが衣装合わせといこうか」
つまり目の前に積み上げられたこれらの木箱は全て衣装のようで、その量に思わず顔が引きつってしまう私でした。
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