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1章
1歳 -水の陽月4-
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前世時代にインクラインという言葉を聞く機会はあまり多くはなかったのですが、ケーブルカーなら比較的耳にしたことがありました。なにせ転生前に住んでいた県には日本で最初に作られたというケーブルカーの路線がありましたから。
その日本最初のケーブルカーが作られたのは大正時代なのですが、それと同じものをここに再現する事はどう考えても不可能でした。知識も道具も技術も資材も足りないモノを作るのは流石に無理です。
ですが記憶と、何より三太郎さんが私にはいます。
そして三人寄れば文殊の知恵っていう言葉が前世にはありましたが、あれは平凡な人でも三人寄れば良い知恵が出るモノだということわざです。なので凡人には程遠い三太郎さんたちなら、もっともっと良い知恵が出るはず!
ちなみに私は知識は得るもので、知恵は活かすものだと思っています。
本や様々な媒体から得て蓄積出来る情報が知識で、その蓄積した情報を活かす力が知恵という認識ですね。なのでどちらか一方が大事という事ではなく、どちらが欠けても駄目な大事なモノと思っています。
そんな訳で文殊様以上の知恵を出そうと、精神世界で三太郎さんたちとあーでもないこーでもないと岩屋から拠点へ移動するルートや方法を考えていた時、近代的なケーブルカーは無理でも同じようなものは古代からあった事を思い出しました。
それがエレベーターです。
子供の頃の私は、エレベーターは極近代的な装置だと思っていました。
そう、あの文化祭の時までは。
私の通っていた高校は学年によって文化祭でやる事が決まっていました。1年は講堂で演劇を、2年は教室を使った模擬店や催し物を、3年は合唱や極簡単な催し物という割り当てでした。1年は演劇の準備を通してクラスメイトとの親睦を計り、2年は生徒のみで運営する経験を学び、3年は受験の関係で簡単に、かつ最後の文化祭を楽しめるようにという学校側の配慮なんだそうです。
その1年の時に私は「走れメロス」をやった訳ですが、担任の先生が良く言えば教育熱心な先生だったんです。えぇ、良く言えば。
「走れメロスは古代ギリシャの伝承が元になっているが、
その古代ギリシャの文化を知らずして演劇はできないだろう。
だから二人ずつのペアを組んで、それぞれ古代ギリシャの衣食住を調べること。
文化祭の前に発表をする時間を設けるから、ちゃんと調べておけー」
と宣ったんですよ。そりゃぁブーイングの嵐でした。
劇の準備だけで忙しいのに、そこに調べものをする時間を足されたんですから。
ですが
「メロスは妹の結婚に必要な物を買いに行ったが、必要なモノって何だ?
妹の結婚式で出された料理はどんなのだ? 衣装は?
今ここで全部、具体的に答えれた人はやらなくて良いぞ」
という先生の言葉に誰も答えられず。結局全員、其々の役割に因んだモノを調べる羽目になったんですよね。私は衣装を作る班だったので、衣食住の「衣」を調べることになりました。
確かに自分が思っていたものとは全然違う事実に驚きました。まさか花婿は白い衣装なのに花嫁はカラフルな衣装を身に纏っていたとか、糸は貝の足糸が最高級品だったとか想像すらしていませんでした。
ですが、この時はこんな知識があっても知恵として役立てる機会はないだろうなぁと思っていたのです。まさかのまさか、異世界に来てその時の知識が役に立つ日が来るなんて思いもしませんでしたよ……。
そして他のペアが発表した中にエレベーターの事があったんです。古代ギリシャの物理学者アルキメデスがエレベーターを作ったと。ただ、当時のモノはロープと滑車を使った簡単な装置で、人力だし荷物用なのでそのまま此処で使う事はできません。ですが時は流れ古代ローマ時代になると、闘技場の舞台装置としてもっと大がかりなエレベーターが使われていたんだとか。……人力ですが。
その人力の部分をどうにかできないかと悩んでいた時に思い出したのが、祖父母と旅行した際に見かけた水力によるエレベーターでした。そのエレベーターはつるべ式に繋がれた乗り物とおもりを、水の重さを利用して動かすという説明でした。
水! それなら浦さんがいる!!
と思った私は金さんと浦さんに再現をお願いしたのです。小さな模型を金さんに作ってもらって、それで何度も何度も実験しました。万が一にも事故なんて事があったら怪我どころが命に係わるので、それこそ桃さんが呆れるくらいに何度も実験しました。どれぐらいの荷重に耐える必要があるのか調べたり、それに対応できそうな資材を調達してもらったり……。垂直移動よりも斜面を滑るようにして移動する方が安全そうだとか、定滑車や動滑車を使った重量計算や、斜面の角度と移動距離を調べる為に三平方の定理を使って計算したりとか、前世の知識を総動員しましたよ。
正直、転生直後にやっておきたかったです。この1年の間に日常的に使わない知識がかなりうろ覚えになっていて、フレーム映像を何度も見直しました。
そういった三太郎さんたちと私の試行錯誤や努力が、どうにか形になったのは水の月に入る直前でした。その間に何度も何度も知恵熱を出して母上たちには心配をかけてしまいましたが、その甲斐があった出来になっていると思います。
床がどんどんと迫ってくる光景に、叔父上はもとより初めてこの光景を見た母上たちも驚いたようで、珍しく口をポカーンと開けて硬直してしまいました。まぁ確かにこの世界でこんな光景が見られるのはここだけだと思います。
迫りくる床は、行き止まりだと思った岩壁にくっつくようにして滑りおりてきました。岩壁といっても50度程の斜面なのですが、これぐらいの角度でも下から見上げると充分にそそり立っているように見えます。
その岩壁は表面が綺麗に整えられていて、よじ登ろうとしても手足が滑って落ちてしまうぐらいにツルツルです。その鏡面のような岩壁に4本の溝が入口よりも中の方が少し広くなるように刻まれています。その溝がレールのようになっているのですが、その溝の中に金さんの「成形」で床の土台(金属)部分を埋め込むようにして上下に移動する床が左右にぶれないようにしているのです。
そして降りてきた床をよく見ると、見えていたのは床そのものではなくその下にある貯水タンクである事が解ります。その貯水タンクは行きどまりとなっていた地底湖の上に着水すると、少し沈んでそこで床の動きは止まりました。そして眼前に出来上がったのは正真正銘90度の絶壁でした。
このケーブルカーと言えば良いのか、エレベーターと言えば良いのか……。それの床は木材で作られているのですが、ちゃんと地面に対して水平になっています。その床下部分には床と斜めの岩壁の隙間を埋めるように貯水タンクがあります。横からみれば三角形の貯水タンクの上に床が乗っかっている感じですね。
問題は大きな馬や大量の荷物、そして叔父上たちも一緒に乗る事を想定して、かなり大きく4m四方ぐらいで作った結果、貯水タンクの高さが4mを越えてしまった事ですね。つまり今、私の前には乗り越えなくてはならない5m近い壁がある訳です。5mというと前世の一般的な住宅の二階の天井ぐらいの高さです。
我ながらもう少しどうにか出来ないモノかとは思ったのですが、水の月に入るまでという期日を設けていたので断念しました。まぁ細かい改造は時間をかけて、皆の意見を聞きながらやれば良いかなとも思ったので。
とりあえず乗っている浦さんに合図して階段を下ろしてもらおうとしたら、視界の端を何かがすごい勢いで通り過ぎました。
「え?!」
と思ってそちらを見れば、なんと叔父上が床に向かってジャンプ!
さらには安全の為につけられた床の縁にある柵に手をかけ、振り子のように体を振ってそのままポーーンと床上に飛び乗ってしまいました。
「…………は?」
この世界の人の身体能力が地球人に比べて高い事は知っていましたが、これに飛び乗れるってどんだけ……。とはいえ、流石の叔父上でも荷物を持ったまま飛び乗る事は出来ないようなので、階段を下ろすことにはなるのですが。
「すごいな、これは……。
精霊様の御力は徒人の私には理解できないようだ」
と床に飛び乗った叔父上が上から感嘆に満ちた声を出せば、下にいる山吹が
「若様! どのような危険があるかも解らないものにっ!」
と大慌てで同じように床に飛び乗って辺りを警戒しています。山吹がお家大事なのは解っているのでサラッと流して、浦さんに積み込んである階段を下ろしてもらいます。その間に桃さんが私を抱いたまま二頭の馬に近寄ると、そっとその額に指をあてました。するとそれまでは二頭の馬の耳がクルクルとあちこちを向いていたのにスッと前を向き、そのままトコトコと階段に向かって歩き出しました。そして器用に階段をのぼりきってしまいます。
その後を橡、母上、金さんに抱っこされた兄上と続き、最後に私達も乗り込みました。その間も叔父上と山吹は何だか揉めているようですが無視です、無視。
試運転では岩などで想定している重さの2倍強を乗せても全く問題なかったので大丈夫だとは思いますが、馬が暴れたりすると危険です。ですから橡と母上にお願いして馬の様子を見ておいてもらいます。
さーて
「うっぱついんこー」
桃さんに壁際にある制御テーブルへと連れてきてもらった私は、そこに並ぶ幾つかの霊石のうちの一つ、浦さんが作ってくれた「流水」の霊石をオフにしました。
床を引っ張り上げる頑丈な金属製のロープとは別に、べとべとさんの撥水液をしみ込ませた布で作ったホースがタンクに繋がっているのですが、そこから流れ込む水はタンクが着水した時に自動で停まるように「流水」の霊石に条件付けをしてあります。ですがタンクが離水すると再び水が流れてくるので、まずはそれを止める必要があります。
次に「成形」の霊石を発動させると、貯水タンクの壁面についている栓が変形してリング状になり、そこから水がダバダバと流れ出しました。そうすると最初はガクンッと、次いでスルスルと床が上昇し始めました。背後で阿鼻叫喚顔になっている面々が居ますが、見ない事にしておきます。
拠点からは少し離れた場所にある湖に、ほど近い所にある天然の洞穴。そこに人の出入りや荷物の運搬をしやすいように手を加えた大きな洞穴、そこが終点です。時間が足りなかったので仮の建物で妥協して、その洞穴を出ると真っ白な雪景色が広がっていて、ようやく戻ってきたなぁという感じがします。
「我らはやらねばならぬ事があるゆえ、そろそろ行く。
まずはその者らを徹底的に清めるように。良いな」
そう母上に指示を出した金さんは、このままここで水力ケーブルカーの点検を浦さんと一緒にしてもらう事になっています。保守点検大事!
なので金さんが抱っこしていた兄上は、再び橡へと戻されました。そして同じように私も母上へと戻されます。
「じゃぁ、俺様もちょっと森まで作業に行ってくるぜ」
と、いそいそと私達に背を向ける桃さん。桃さんとしては極寒期にしかできない樹液の採取を、少しでもたくさんやっておきたいんだと思います。
ですが思わず「逃げたな!」と思ってしまうのは、これからの事を思うと気が重くなるからですね……。
「はーうえ、おいうえたちに おふろ といれ おしえてねって
しぇーれーしゃんがいってた」
そう母上に丸投げしてみます。ちなみにトイレに相当する言葉が此方の世界には無かったので、そのまま「トイレ」と呼ぶことにしました。母上たちにとっては意味の解らない言葉になりますが、精霊様の不思議な言葉だと思っているようです。
「えぇ、解りました。
私達が此処にきた時と同じように二人にも教えればよいのね?」
そう言う母上に私は頷きます。そうして私達は拠点に向かう事になりました。ただ岩屋付近と違ってこの辺りはまだまだ積雪がすごいのです。なので背後から母上が指示した方向に、馬に乗った叔父上と山吹が雪を踏み固めたり除けたりしながら進んで行くことになりました。
叔父上たちの馬って凄く大きいんですよ。吃驚するぐらいのサイズです。
前世で住んでいた祖父母の家には父の部屋がまだ残っていたのですが、そこには父が読んでいたと思われる本が何冊もあったのです。その中に描かれていた世紀末の覇王が乗っていた馬や、戦国の傾奇者が乗っていた馬と最低でも同じかそれ以上の大きさだと思います。
そうやって進んでいくと先ず見えるのが、巨大な雪の滑り台です。それに気づいた叔父上と山吹の目が見開かれるのが解ります。
「姉上……アレはなんですか?」
戸惑いが隠せない叔父上に母上はにこやかに答えます。
「精霊様が作ってくださった、子供たちが大好きな遊具ですよ」
「……ゆ、遊具ですか?! アレで遊ぶのですか?!」
母上、そこは出来れば子供たちではなく兄上としておいてください。思わず遠い目をする私ですが、母上が指示するルートが川沿いの為に次々と下流に見えてくる水車小屋に叔父上の質問が止まりません。川沿いルートを選んだのは温泉に行く為でしょうが、まずは馬の荷下ろしも必要だと思うんだけど……。
川沿いをしばらく歩いて、ようやく温泉前へと辿り着きました。橡は馬を連れて荷下ろしとお昼ご飯の準備へと向かい、今ここに居るのは母上と兄上、私。そして叔父上と山吹の五人となりました。その中の二名は周囲を見ては呆然としています。まぁ山奥に上級華族の住居に迫る規模の建物があれば驚くのも仕方がありません。ちなみに心の中でこっそりと、規模では上級華族に負けるかもしれないけれど、冷蔵庫やウォーターベッド御帳台などを含めた設備面では絶対に世界一だから!と思っている私がいたりもします。
そんな驚いて言葉もない叔父上たちに
「まずはトイレの使い方を教えますね」
そう母上がまるで追い打ちのように言いますが、叔父上たちにとってトイレという言葉は未知の言葉です。
「あ……姉上、そのトイレというのは??」
「精霊様は当然の事ながら不浄をとてもお嫌いになります。
ですから、私達も排泄は決まった場所で決まった作法で行う必要があります」
と言う母上ですが、アレ作法じゃないからっ!!
「なるほど。精霊様は不浄を嫌うとの事ですが、
もしかして、今の私達は精霊様から見ると……」
「もしかしても何もありません。
私達から見ても、近づくのを一瞬躊躇う程ですよ」
母上、容赦ないなぁ……。いつも優しい母上なのですが、時々叔父上には厳しいように思います。
「勿論、長旅から戻ったばかりなのですから仕方がない事ですよ?
だからこそ、これから綺麗にしましょう……という事です」
そう言って、母上は男性二人をトイレへと案内しました。母上はトイレの中で既に使い慣れたトイレの機能を一通り説明した後、叔父上たちに一人ずつ順番に使ってもらう事にしたようです。
その直後、周囲に連続して「オボボボボ」だとか「アバババババ」だとかいう意味不明なうえに可愛くない悲鳴が響きましたが、私は聞かなかったことにしました。記憶からも消しておこうと思います。
そうして150日程前の橡や母上と同じようにぐったりとした叔父上たちを、今度は温泉へと案内した母上なのですが、ここで母上にとっては想定外、私にとっては想定内のトラブルが発生しました。
「姉上、正気ですか?!
湯につかる?! 全裸で?!!」
「姫様、お考え直しください!」
と強硬に自分の着物を抑えて反抗する叔父上や山吹に
「ここのお湯は精霊様の御力によって水の妖は近づきません。
それに全ての衣服を脱いで入る事が作法なのですっ!」
と言いながら叔父上の袖を引っ張る母上。この世界の人にとって湯や水につかる事は、水の妖に肉を溶かされて死ぬ事を意味します。それに神社の禊やこの世界のお風呂である蒸し風呂では、浴衣を着たままなので全裸にもなりません。なので嫌がる方が当然なのです。
あぁ、もしかして母上が叔父上たちに、汚いとほぼストレートに言ったのはお風呂に進んで入って綺麗になろうという気にさせる為だったのかな??
何にしても、このままじゃ埒が明きません。
「あいうえ、おふろ はいろ!」
そう言うと兄上は心得た!とばかりに目を輝かせていそいそと服を脱いで、棚にある服を入れておく籠に兄上なりに畳んでしまいます。本当は叔父上の服を剥ぐのを手伝って貰おうかと思ったのですが、あのまっ黒に汚れた着物に触りたくないから仕方ありません。
お風呂には竹で作った水鉄砲やシャボン玉を作る道具だったりがあるので、兄上はお風呂大好きなんですよね。他にも母上や私と洗いあいっこしたりするのも大好きな兄上は、私に向かって
「ほら、さくら はやく!」
と急かすほどです。
ですが、兄上は小さい子供だからと何とか自分を納得させていたのですが、叔父上たちの前で裸になるのは抵抗があります。ですがこうなっては仕方ありません。私達がお風呂に入って、お湯に入る事が全く害が無くて安全だって事を叔父上たちに見てもらい、解ってもらえれば入ってくれるはず!
(女は度胸!!)
覚悟を決めて服を脱ぐと、兄上がサッと私と手を繋いでお風呂に連れて行ってくれました。床が滑ると危ないからと、いつもは母上たちが手を繋いでくれているんですが、その真似をしたんでしょうね。お兄ちゃんだなぁ……なんて事を思ってしまいます。
後方では叔父上や山吹が「子供たちを止めないと!」とか色々叫んでいますが、まぁ……母上が上手くやってくれる事でしょう。
その後、私達がしっかりお風呂で頭や身体を洗いあいっこして湯につかる頃になって、ようやく叔父上たちが入ってきました。全裸はどうしても嫌だったようで、腰に布を一枚巻いていましたが。
色んな意味でホッと一安心した私でした。
その日本最初のケーブルカーが作られたのは大正時代なのですが、それと同じものをここに再現する事はどう考えても不可能でした。知識も道具も技術も資材も足りないモノを作るのは流石に無理です。
ですが記憶と、何より三太郎さんが私にはいます。
そして三人寄れば文殊の知恵っていう言葉が前世にはありましたが、あれは平凡な人でも三人寄れば良い知恵が出るモノだということわざです。なので凡人には程遠い三太郎さんたちなら、もっともっと良い知恵が出るはず!
ちなみに私は知識は得るもので、知恵は活かすものだと思っています。
本や様々な媒体から得て蓄積出来る情報が知識で、その蓄積した情報を活かす力が知恵という認識ですね。なのでどちらか一方が大事という事ではなく、どちらが欠けても駄目な大事なモノと思っています。
そんな訳で文殊様以上の知恵を出そうと、精神世界で三太郎さんたちとあーでもないこーでもないと岩屋から拠点へ移動するルートや方法を考えていた時、近代的なケーブルカーは無理でも同じようなものは古代からあった事を思い出しました。
それがエレベーターです。
子供の頃の私は、エレベーターは極近代的な装置だと思っていました。
そう、あの文化祭の時までは。
私の通っていた高校は学年によって文化祭でやる事が決まっていました。1年は講堂で演劇を、2年は教室を使った模擬店や催し物を、3年は合唱や極簡単な催し物という割り当てでした。1年は演劇の準備を通してクラスメイトとの親睦を計り、2年は生徒のみで運営する経験を学び、3年は受験の関係で簡単に、かつ最後の文化祭を楽しめるようにという学校側の配慮なんだそうです。
その1年の時に私は「走れメロス」をやった訳ですが、担任の先生が良く言えば教育熱心な先生だったんです。えぇ、良く言えば。
「走れメロスは古代ギリシャの伝承が元になっているが、
その古代ギリシャの文化を知らずして演劇はできないだろう。
だから二人ずつのペアを組んで、それぞれ古代ギリシャの衣食住を調べること。
文化祭の前に発表をする時間を設けるから、ちゃんと調べておけー」
と宣ったんですよ。そりゃぁブーイングの嵐でした。
劇の準備だけで忙しいのに、そこに調べものをする時間を足されたんですから。
ですが
「メロスは妹の結婚に必要な物を買いに行ったが、必要なモノって何だ?
妹の結婚式で出された料理はどんなのだ? 衣装は?
今ここで全部、具体的に答えれた人はやらなくて良いぞ」
という先生の言葉に誰も答えられず。結局全員、其々の役割に因んだモノを調べる羽目になったんですよね。私は衣装を作る班だったので、衣食住の「衣」を調べることになりました。
確かに自分が思っていたものとは全然違う事実に驚きました。まさか花婿は白い衣装なのに花嫁はカラフルな衣装を身に纏っていたとか、糸は貝の足糸が最高級品だったとか想像すらしていませんでした。
ですが、この時はこんな知識があっても知恵として役立てる機会はないだろうなぁと思っていたのです。まさかのまさか、異世界に来てその時の知識が役に立つ日が来るなんて思いもしませんでしたよ……。
そして他のペアが発表した中にエレベーターの事があったんです。古代ギリシャの物理学者アルキメデスがエレベーターを作ったと。ただ、当時のモノはロープと滑車を使った簡単な装置で、人力だし荷物用なのでそのまま此処で使う事はできません。ですが時は流れ古代ローマ時代になると、闘技場の舞台装置としてもっと大がかりなエレベーターが使われていたんだとか。……人力ですが。
その人力の部分をどうにかできないかと悩んでいた時に思い出したのが、祖父母と旅行した際に見かけた水力によるエレベーターでした。そのエレベーターはつるべ式に繋がれた乗り物とおもりを、水の重さを利用して動かすという説明でした。
水! それなら浦さんがいる!!
と思った私は金さんと浦さんに再現をお願いしたのです。小さな模型を金さんに作ってもらって、それで何度も何度も実験しました。万が一にも事故なんて事があったら怪我どころが命に係わるので、それこそ桃さんが呆れるくらいに何度も実験しました。どれぐらいの荷重に耐える必要があるのか調べたり、それに対応できそうな資材を調達してもらったり……。垂直移動よりも斜面を滑るようにして移動する方が安全そうだとか、定滑車や動滑車を使った重量計算や、斜面の角度と移動距離を調べる為に三平方の定理を使って計算したりとか、前世の知識を総動員しましたよ。
正直、転生直後にやっておきたかったです。この1年の間に日常的に使わない知識がかなりうろ覚えになっていて、フレーム映像を何度も見直しました。
そういった三太郎さんたちと私の試行錯誤や努力が、どうにか形になったのは水の月に入る直前でした。その間に何度も何度も知恵熱を出して母上たちには心配をかけてしまいましたが、その甲斐があった出来になっていると思います。
床がどんどんと迫ってくる光景に、叔父上はもとより初めてこの光景を見た母上たちも驚いたようで、珍しく口をポカーンと開けて硬直してしまいました。まぁ確かにこの世界でこんな光景が見られるのはここだけだと思います。
迫りくる床は、行き止まりだと思った岩壁にくっつくようにして滑りおりてきました。岩壁といっても50度程の斜面なのですが、これぐらいの角度でも下から見上げると充分にそそり立っているように見えます。
その岩壁は表面が綺麗に整えられていて、よじ登ろうとしても手足が滑って落ちてしまうぐらいにツルツルです。その鏡面のような岩壁に4本の溝が入口よりも中の方が少し広くなるように刻まれています。その溝がレールのようになっているのですが、その溝の中に金さんの「成形」で床の土台(金属)部分を埋め込むようにして上下に移動する床が左右にぶれないようにしているのです。
そして降りてきた床をよく見ると、見えていたのは床そのものではなくその下にある貯水タンクである事が解ります。その貯水タンクは行きどまりとなっていた地底湖の上に着水すると、少し沈んでそこで床の動きは止まりました。そして眼前に出来上がったのは正真正銘90度の絶壁でした。
このケーブルカーと言えば良いのか、エレベーターと言えば良いのか……。それの床は木材で作られているのですが、ちゃんと地面に対して水平になっています。その床下部分には床と斜めの岩壁の隙間を埋めるように貯水タンクがあります。横からみれば三角形の貯水タンクの上に床が乗っかっている感じですね。
問題は大きな馬や大量の荷物、そして叔父上たちも一緒に乗る事を想定して、かなり大きく4m四方ぐらいで作った結果、貯水タンクの高さが4mを越えてしまった事ですね。つまり今、私の前には乗り越えなくてはならない5m近い壁がある訳です。5mというと前世の一般的な住宅の二階の天井ぐらいの高さです。
我ながらもう少しどうにか出来ないモノかとは思ったのですが、水の月に入るまでという期日を設けていたので断念しました。まぁ細かい改造は時間をかけて、皆の意見を聞きながらやれば良いかなとも思ったので。
とりあえず乗っている浦さんに合図して階段を下ろしてもらおうとしたら、視界の端を何かがすごい勢いで通り過ぎました。
「え?!」
と思ってそちらを見れば、なんと叔父上が床に向かってジャンプ!
さらには安全の為につけられた床の縁にある柵に手をかけ、振り子のように体を振ってそのままポーーンと床上に飛び乗ってしまいました。
「…………は?」
この世界の人の身体能力が地球人に比べて高い事は知っていましたが、これに飛び乗れるってどんだけ……。とはいえ、流石の叔父上でも荷物を持ったまま飛び乗る事は出来ないようなので、階段を下ろすことにはなるのですが。
「すごいな、これは……。
精霊様の御力は徒人の私には理解できないようだ」
と床に飛び乗った叔父上が上から感嘆に満ちた声を出せば、下にいる山吹が
「若様! どのような危険があるかも解らないものにっ!」
と大慌てで同じように床に飛び乗って辺りを警戒しています。山吹がお家大事なのは解っているのでサラッと流して、浦さんに積み込んである階段を下ろしてもらいます。その間に桃さんが私を抱いたまま二頭の馬に近寄ると、そっとその額に指をあてました。するとそれまでは二頭の馬の耳がクルクルとあちこちを向いていたのにスッと前を向き、そのままトコトコと階段に向かって歩き出しました。そして器用に階段をのぼりきってしまいます。
その後を橡、母上、金さんに抱っこされた兄上と続き、最後に私達も乗り込みました。その間も叔父上と山吹は何だか揉めているようですが無視です、無視。
試運転では岩などで想定している重さの2倍強を乗せても全く問題なかったので大丈夫だとは思いますが、馬が暴れたりすると危険です。ですから橡と母上にお願いして馬の様子を見ておいてもらいます。
さーて
「うっぱついんこー」
桃さんに壁際にある制御テーブルへと連れてきてもらった私は、そこに並ぶ幾つかの霊石のうちの一つ、浦さんが作ってくれた「流水」の霊石をオフにしました。
床を引っ張り上げる頑丈な金属製のロープとは別に、べとべとさんの撥水液をしみ込ませた布で作ったホースがタンクに繋がっているのですが、そこから流れ込む水はタンクが着水した時に自動で停まるように「流水」の霊石に条件付けをしてあります。ですがタンクが離水すると再び水が流れてくるので、まずはそれを止める必要があります。
次に「成形」の霊石を発動させると、貯水タンクの壁面についている栓が変形してリング状になり、そこから水がダバダバと流れ出しました。そうすると最初はガクンッと、次いでスルスルと床が上昇し始めました。背後で阿鼻叫喚顔になっている面々が居ますが、見ない事にしておきます。
拠点からは少し離れた場所にある湖に、ほど近い所にある天然の洞穴。そこに人の出入りや荷物の運搬をしやすいように手を加えた大きな洞穴、そこが終点です。時間が足りなかったので仮の建物で妥協して、その洞穴を出ると真っ白な雪景色が広がっていて、ようやく戻ってきたなぁという感じがします。
「我らはやらねばならぬ事があるゆえ、そろそろ行く。
まずはその者らを徹底的に清めるように。良いな」
そう母上に指示を出した金さんは、このままここで水力ケーブルカーの点検を浦さんと一緒にしてもらう事になっています。保守点検大事!
なので金さんが抱っこしていた兄上は、再び橡へと戻されました。そして同じように私も母上へと戻されます。
「じゃぁ、俺様もちょっと森まで作業に行ってくるぜ」
と、いそいそと私達に背を向ける桃さん。桃さんとしては極寒期にしかできない樹液の採取を、少しでもたくさんやっておきたいんだと思います。
ですが思わず「逃げたな!」と思ってしまうのは、これからの事を思うと気が重くなるからですね……。
「はーうえ、おいうえたちに おふろ といれ おしえてねって
しぇーれーしゃんがいってた」
そう母上に丸投げしてみます。ちなみにトイレに相当する言葉が此方の世界には無かったので、そのまま「トイレ」と呼ぶことにしました。母上たちにとっては意味の解らない言葉になりますが、精霊様の不思議な言葉だと思っているようです。
「えぇ、解りました。
私達が此処にきた時と同じように二人にも教えればよいのね?」
そう言う母上に私は頷きます。そうして私達は拠点に向かう事になりました。ただ岩屋付近と違ってこの辺りはまだまだ積雪がすごいのです。なので背後から母上が指示した方向に、馬に乗った叔父上と山吹が雪を踏み固めたり除けたりしながら進んで行くことになりました。
叔父上たちの馬って凄く大きいんですよ。吃驚するぐらいのサイズです。
前世で住んでいた祖父母の家には父の部屋がまだ残っていたのですが、そこには父が読んでいたと思われる本が何冊もあったのです。その中に描かれていた世紀末の覇王が乗っていた馬や、戦国の傾奇者が乗っていた馬と最低でも同じかそれ以上の大きさだと思います。
そうやって進んでいくと先ず見えるのが、巨大な雪の滑り台です。それに気づいた叔父上と山吹の目が見開かれるのが解ります。
「姉上……アレはなんですか?」
戸惑いが隠せない叔父上に母上はにこやかに答えます。
「精霊様が作ってくださった、子供たちが大好きな遊具ですよ」
「……ゆ、遊具ですか?! アレで遊ぶのですか?!」
母上、そこは出来れば子供たちではなく兄上としておいてください。思わず遠い目をする私ですが、母上が指示するルートが川沿いの為に次々と下流に見えてくる水車小屋に叔父上の質問が止まりません。川沿いルートを選んだのは温泉に行く為でしょうが、まずは馬の荷下ろしも必要だと思うんだけど……。
川沿いをしばらく歩いて、ようやく温泉前へと辿り着きました。橡は馬を連れて荷下ろしとお昼ご飯の準備へと向かい、今ここに居るのは母上と兄上、私。そして叔父上と山吹の五人となりました。その中の二名は周囲を見ては呆然としています。まぁ山奥に上級華族の住居に迫る規模の建物があれば驚くのも仕方がありません。ちなみに心の中でこっそりと、規模では上級華族に負けるかもしれないけれど、冷蔵庫やウォーターベッド御帳台などを含めた設備面では絶対に世界一だから!と思っている私がいたりもします。
そんな驚いて言葉もない叔父上たちに
「まずはトイレの使い方を教えますね」
そう母上がまるで追い打ちのように言いますが、叔父上たちにとってトイレという言葉は未知の言葉です。
「あ……姉上、そのトイレというのは??」
「精霊様は当然の事ながら不浄をとてもお嫌いになります。
ですから、私達も排泄は決まった場所で決まった作法で行う必要があります」
と言う母上ですが、アレ作法じゃないからっ!!
「なるほど。精霊様は不浄を嫌うとの事ですが、
もしかして、今の私達は精霊様から見ると……」
「もしかしても何もありません。
私達から見ても、近づくのを一瞬躊躇う程ですよ」
母上、容赦ないなぁ……。いつも優しい母上なのですが、時々叔父上には厳しいように思います。
「勿論、長旅から戻ったばかりなのですから仕方がない事ですよ?
だからこそ、これから綺麗にしましょう……という事です」
そう言って、母上は男性二人をトイレへと案内しました。母上はトイレの中で既に使い慣れたトイレの機能を一通り説明した後、叔父上たちに一人ずつ順番に使ってもらう事にしたようです。
その直後、周囲に連続して「オボボボボ」だとか「アバババババ」だとかいう意味不明なうえに可愛くない悲鳴が響きましたが、私は聞かなかったことにしました。記憶からも消しておこうと思います。
そうして150日程前の橡や母上と同じようにぐったりとした叔父上たちを、今度は温泉へと案内した母上なのですが、ここで母上にとっては想定外、私にとっては想定内のトラブルが発生しました。
「姉上、正気ですか?!
湯につかる?! 全裸で?!!」
「姫様、お考え直しください!」
と強硬に自分の着物を抑えて反抗する叔父上や山吹に
「ここのお湯は精霊様の御力によって水の妖は近づきません。
それに全ての衣服を脱いで入る事が作法なのですっ!」
と言いながら叔父上の袖を引っ張る母上。この世界の人にとって湯や水につかる事は、水の妖に肉を溶かされて死ぬ事を意味します。それに神社の禊やこの世界のお風呂である蒸し風呂では、浴衣を着たままなので全裸にもなりません。なので嫌がる方が当然なのです。
あぁ、もしかして母上が叔父上たちに、汚いとほぼストレートに言ったのはお風呂に進んで入って綺麗になろうという気にさせる為だったのかな??
何にしても、このままじゃ埒が明きません。
「あいうえ、おふろ はいろ!」
そう言うと兄上は心得た!とばかりに目を輝かせていそいそと服を脱いで、棚にある服を入れておく籠に兄上なりに畳んでしまいます。本当は叔父上の服を剥ぐのを手伝って貰おうかと思ったのですが、あのまっ黒に汚れた着物に触りたくないから仕方ありません。
お風呂には竹で作った水鉄砲やシャボン玉を作る道具だったりがあるので、兄上はお風呂大好きなんですよね。他にも母上や私と洗いあいっこしたりするのも大好きな兄上は、私に向かって
「ほら、さくら はやく!」
と急かすほどです。
ですが、兄上は小さい子供だからと何とか自分を納得させていたのですが、叔父上たちの前で裸になるのは抵抗があります。ですがこうなっては仕方ありません。私達がお風呂に入って、お湯に入る事が全く害が無くて安全だって事を叔父上たちに見てもらい、解ってもらえれば入ってくれるはず!
(女は度胸!!)
覚悟を決めて服を脱ぐと、兄上がサッと私と手を繋いでお風呂に連れて行ってくれました。床が滑ると危ないからと、いつもは母上たちが手を繋いでくれているんですが、その真似をしたんでしょうね。お兄ちゃんだなぁ……なんて事を思ってしまいます。
後方では叔父上や山吹が「子供たちを止めないと!」とか色々叫んでいますが、まぁ……母上が上手くやってくれる事でしょう。
その後、私達がしっかりお風呂で頭や身体を洗いあいっこして湯につかる頃になって、ようやく叔父上たちが入ってきました。全裸はどうしても嫌だったようで、腰に布を一枚巻いていましたが。
色んな意味でホッと一安心した私でした。
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