刀身に誓った恋 或は 頭身が違った恋

詠月初香

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玄関先で話す事では無いと、私達はお父様の執務室へと向かう事にしました。お父様の執務室には大きな机や書棚といった様々な執務の為の家具に加えて、ゆったりと座る事ができるソファーセットもあります。執務室の雰囲気を壊さないように装飾を抑えた、それでいて品と質の良いソファーに私達が腰を下ろすと、お父様付きの侍従が素早くお茶とお菓子を出してくれました。流石はお父様の侍従、タイミングがこれ以上はない程に正確です。

その侍従がお父様の指示で退室すると、お父様とエルンストお兄様が風魔法を展開して、防音魔法を部屋全体と私達の周囲の二重にかけました。その魔法がしっかりと発動した事を確認してから、改めて切り出します。

「王国に問題ですか??」

正直な気持ちを言えば、良い思い出がほとんど無いモディストス王国で何か問題が発生したとしても、年端も行かない子供を除く貴族が痛い目を見るだけなら何とも思いません。ですがその被害が幼い子供や平民にまで及ぶのならば話しは別になります。まぁ平民の中にも若干の魔力を持つ自分たちを上級民と称して、魔力を全く持たない平民を見下すような人も居ましたし、そんな自称上級民たちは私に対する態度も慇懃無礼なものでしたので、若干の引っかかりは覚えてしまいますが……。

「その前に……。出発前にも確認したが、
 本当にジェラルド殿下に思いを残してはいないのだな?」

じっと私を見詰めてそう切り出したお父様。お父様は本当に心配性です。

「はい。そもそも残すような思いを一度たりとも殿下に寄せた覚えがありません。
 むしろ苦手だった程で……。王命でしたので断る事など出来ませんでしたが、
 もし断る事が許されていましたら即時お断りをしていました」

嘘偽りない気持ちを率直に口にすると、お父様はホゥと溜息をつくと同時に身体から力が抜け、珍しく疲れたようにソファの背もたれに身体をゆだねます。

「だから言ったじゃないですか。リアはあの男の事を嫌っていると……」

「いや、だがな、男女の間の事は当人でないと解らない機微もあるだろう?」

「もしリアがあの阿呆にまだ思いを寄せているのなら、
 この10ヶ月の間に私が何度も懇切丁寧に諭していますよ。
 アレは救いようがない馬鹿だから止めておけ……と」

エルンストお兄様もお父様に引けを取らない心配性ですが、お父様とは違って少し言葉に過激なところがあります。

「お父様もお兄様も私は本当に大丈夫ですから。
 それで王国に問題とは、何があったのですか?」

このままでは何時まで経っても本題に入れそうにないので、少し強引ですが話しを進める事にしました。

「幾つかあるんだが……。
 まずは王国を包む結界は、痕跡すら残っていないレベルで無くなっていた。
 その所為で騎士団の増員と再編が急務となっていて、
 そこから徴兵が行われるのではないかという噂が広がったようでな。
 そのために王国の上から下までが少々険悪な雰囲気になっていた」

「そもそもリアの力をあてにして
 騎士団の規模や任務の縮小をしている事がおかしいんですよ」

「騎士団の縮小……ですか?」

お兄様の言葉に思わず聞き返してしまいました。何故なら私の知る限り予算は例年通りに分配されていましたし、騎士団の縮小なんて王国内では聞いた覚えがありません。当然ながら軍務を含む国政の実務は専門の知識を持った官僚が行う事で、私が触れる事ができるようなモノではありません。将来の王太子妃として国政の流れを知識として知っておく必要があると、数度見学させてもらった程度なので具体的な数字は出てきませんが……。

「王国側は当然ながら一切認めていないが、
 集めた情報などから推察するにかなり酷いありさまのようだ。
 騎士団の武器庫に保管されていた武具は錆びてしまって使い物にならず、
 また実戦経験の乏しい若い騎士の退団願いが殺到しているらしい。
 その若い騎士の大半が騎士団に名前だけ登録していた貴族の子弟らしく、
 戦うどころか防具をつけたら満足に動けないような者まで居たそうだ」

まさかという驚きが心の大半を占めますが、同時に心の隅で(あの国の貴族ならありえるかも)と思ってしまう自分がいます。それなりの鍛錬を積み、ちゃんと騎士団として活動をしているミーモス侯爵家次男のハワード卿やロブスト伯爵家次男のブライアン卿をまだ良い方の騎士と評する日が来るとは思いもしませんでした。

陛下はそんな事態になっていた事を御存知だったのでしょうか……。
いえ、何かしらの手を打った形跡が無いという事は御存知なかったのでしょう。

あの国は色々と構造に歪みがあり、歴代国王の中でも良識派と呼ばれた王はそれを正そうとしたのですが、その度に貴族派と呼ばれる人々によって妨害されて頓挫してきました。

軍務もその歪みを抱える一つです。モディストス王国の軍は大きく二つに別れていて、王宮や王家の人々を守る衛兵たちが所属する近衛兵団王室派と、王国を守る騎士団貴族派があります。騎士団貴族派にもいくつの部隊グループがあり、樹海にまで追いかけてきた飛竜騎士団は辺境伯とその一門が所属する部隊です。そして陛下は近衛兵団には直接命令を出す事が出来るのですが、各騎士団への命令は緊急時にしか許されていません。平時は陛下から総騎士団長へと命令を出し、更にそこから各騎士団長へと命令が伝達される仕組みで、騎士団の運営にも直接関わる事はありません。

「そしてリア、貴女の事ですが……。貴女は病死した事になっていました」

「……え、病死ですか?
 でも私がジェラルド殿下達に取り押さえられたところを大勢の人が見ています。
 無理がありませんか??」

「えぇ、だから色んな噂が広がっていましたよ」

エルンストお兄様は指を折って数えながら、王国で広まっている様々な噂を教えてくださいました。一番多い噂は「自分の思い通りにならない王太子や側近を害そうとして捕縛・投獄され、獄中で病気にかかって死んだ」というもので、恐らくこれが王太子が流している噂だろうという事でした。そして次点が「ジェラルド殿下が断罪した際に怪我をし、その怪我が元で死亡したらしい」というもの。他にも「モンスターを呼び寄せて女生徒を襲わせようとしたが、そのモンスターに殺された」などなど……。それらの噂話が複雑に組み合わされたりで、20通り以上の噂があったそうです。

「リアを死んだ事にしているという点については此方にも利がある為、
 どうこう言うつもりはないのだが……。
 ただ! あの馬鹿王太子の下手な芝居が腹立たしくて仕方がない!!」

皇国の外務大臣という地位におられるお父様が、他国の王太子を馬鹿と言ってしまうのは激しく問題があると思うのですが、止めるべきお兄様もウンウンと頷いてしまっていて止めてくれません。

「慈悲深い王太子を演じていたよ。横に居た女も込みでね」

今にも舌打ちしそうな程に忌々し気にいうお兄様。どうやらジェラルド殿下と新しい婚約者の女性は嘘八百を並べて大仰に演じたらしく、「私としては彼女が改心する事を心から望んだが、最後まで自らの行いを顧みる事は無かった。その事が残念でならない」……なんて言っていたそうです。

ちなみに新しい婚約者は、あの日あの時あの場に居たレイチェル・ミーモス侯爵令嬢です。あの方からは何かと目の敵にされてきましたが、自身が王太子妃になりたかったからなのですね……。

「ただ彼の立場はこの先、かなり危うくなるだろうな。
 天の神に愛されて地の神に守られた王太子なんて称していたようだが、
 今の王国に結界はなく、これからは次から次へと災難が襲い来るだろう。
 それに対してどう言い訳をするのやら」

「それに関しては当人はかなり楽観的に考えているようですよ。
 神々が男女の二柱な事になぞらえて、今は独り身なので神の寵愛が薄れたが
 自分に婚約者ができれば再び寵愛は戻るだろうと豪語していましたよ」

「……あそこの国王はそれなりの人物だと思っていたのだが、
 息子の教育には失敗したようだな。
 しかし王国内の問題が皇国にまで飛び火しなければ良いのだが……。
 まったく迷惑極まりない連中だ。」

お父様が深い深い溜息と共に吐き捨てるように言います。

「あの、お父様。
 災難が襲い来ると断定される根拠がお有りなのですか?」

お父様の言葉に少し気になるところがあって、尋ね返しました。確かに結界が無くなった事で瘴気の氾濫には気をつけなければなりませんし、モンスターへの対処も必要になります。ですがそれらは他国では当たり前の事ですし、ほんの数年前までは王国でも普通に行われていた事です。

「王国にはノーヴァ聖国から遣わされた使者も来ていたのだが、
 移動中に溟海めいかいの瘴気から大氾濫が起きる兆しを感じ取ったらしい」

溟海、それは王国では北の魔境と呼ばれている荒海の皇国での呼び方です。魔境の王、通称「魔王」と呼ばれる巨大な魚が暴れまわっていると言われていて、その北の海を更に北へと進んだところにノーヴァ聖国があります。流石に魔境を突っ切るような航路はとらずに迂回して進むのですが、それでも感じられたという事は相当はっきりと兆しが出ていたのかもしれません。

そして理由は解りませんが、1つの魔境で瘴気の氾濫が起こると、連鎖反応を起こして他の魔境でも瘴気の反乱が起こると言われています。そしてアスティオス皇国が接している魔境は樹海だけなのに対し、モディストス王国は四方全てに魔境があります。つまりモディストス王国は、全方位から瘴気が押し寄せてくる危険性が高まっているという事です。

「リア、念の為に聞くけれど……
 王国に戻ろうなんて考えていないよね?」

とは思っていませんでしたが、とは思っていたのでお兄様の言葉にピクリと肩が揺れてしまいました。

「お兄様もご存知のように、私はあの国の上層部に思うところがあります。
 ですが赤子を含む小さな子供には何の罪もありませんし、
 真っ先に巻き込まれるであろう平民の安否を思うと、やはり少し……」

私に害意を向けた当人には相応の神罰が下れば良いのにと思ってしまいますが、その罰に無関係の人が巻き込まれては申し訳ない気持ちの方が先立ってしまいます。

それは当事者の血縁だとしても同じで、例えばジェラルド殿下とレイチェル令嬢の間に既に子供が生まれていたとしても、私はその子供にまで負の感情を向ける事はできません。

「そんなリアの優しさは美点だと思うけれど、でも駄目だよ。
 王国に向かうというのなら私は全力で引き留めるから」

「そうだな。私もエルの意見に賛成だ。
 それに樹海を漂う瘴気が観測史上、かつてない様相を見せている。
 そんな時期に王国へ向かうのは危険すぎる」

王国以上に皇国は樹海の観測に力を入れています。その皇国で観測した事がない様相だなんて……。もちろん樹海の中を突っ切って王国に向かうなんて無茶はしませんが、王国と皇国を結ぶ道は樹海からほど近い場所を通っています。なので樹海の異変の影響は当然ながら出てしまうでしょう。

「氾濫の兆しとは違うようなんだが、
 瘴気の均一化が起こっていて、人が入り込むことが出来なくなっている。
 遠からずヴィルヘルム殿下やエルが調査に向かう事になるだろうな」

ウィルさん……いえ、流石に皇国内ではちゃんと呼ぶべきですね。ヴィルヘルム殿下やエルンストお兄様は私が力を込めた装飾品を身につけているので、瘴気が満ちた場所でも変わらずに活動が出来ます。この10ヶ月の間も2度ほどギルベルト殿下やアンドレアス卿と一緒に樹海に調査に赴いていて、私はその調査の度に装飾品に魔力を籠めてきました。

「解りました、その時には何時もより多く魔力を籠めます」

それにしても樹海で異変なんて何があったのでしょうか。それを調べる為にお兄様やヴィルヘルム殿下が樹海に向かう訳ですが、異変の起きている樹海に入るなんて不安で仕方がありません。

「ファーー。ナーーァ? ゥナナーーー」
(ふぁぁ。樹海に異変? それは俺が此処に居る所為だろうな)

不安に押し潰されそうになっていた私に衝撃の一言を投げかけたのは、私の膝の上でずっと眠っていたファフナーでした。

「どういう事なの??」

「ナナァーー ナッナーゥナーーー
 ゥナナンナーーーー ナゥナゥナァーーー」
(簡単に言えば瘴気は昔、俺が意図せずに出してしまったモノだ。
 ただそれに気づかず、結構な期間出しっぱなしだったんだ。
 気付いた時には少々……いや、すまん。正直かなり手遅れに近く、
 これは流石にマズイと瘴気を消し去ろうと試行錯誤したんだが、
 逆に俺の方が瘴気に取り込まれてしまってな。
 完全に精神が変容する前に守護界エリアを作って精神の一部を保護し、
 肉体が変容しても瘴気を減らす努力をし続けていたんだが、どうにもならず。
 切羽詰まっていたところでお前に出会ったんだ)

「ナナゥナーー ナァナーゥナ」
(そして瘴気の均一化だが……
 あの樹海はどういう訳か風が一切吹かないんだが
 瘴気をせめて薄くしたくて、俺の魔力で風を起こして流していたんだ。
 その俺が居なくなったから、風が流れずに瘴気が均一化したんだろう)

「…………」

驚きすぎて声が出ません。瘴気を出してしまった? つまりファフナーが瘴気の発生源という事なのでしょうか。


━━━]━━━━━━━━━-


ファフナーが私と意思疎通ができる事をお父様たちは既に御存知です。そのうえ魔法伯爵家が誇る様々な魔法や魔道具を用いて隅々まで検査済みで、ファフナーはこの世界に同種が居ない唯一の個体という結果が出ています。

ちなみに検査される事を最初はすごく嫌がっていたファフナーでしたが、魔法伯爵家が魔道具と同じぐらいに誇るパティシエの作ったお菓子に釣られて検査を許諾しました。甘いものが好きなお母様の為に、お父様が厳選に厳選を重ねて雇い入れた世界でも指折りのパティシエだそうです。彼の作るお菓子は本当に美味しくて、私も大好きです。

閑話休題

ファフナーは本当に特殊で、人間と意思疎通が可能な知能を持ち、当然ながら人語を解し、そこそこ多い魔力と人間には知られていない知識を持ちます。しかも皇国建国以前の古代ともいえる時代の記憶を持っていました。それらの全ての真偽を魔道具でチェックし、嘘偽りがない事が証明されています。最後の一つだけならば近しい存在に心当たりがあったのですが、その全てを持つ存在にはお父様ですら心当たりがありませんでした。

「リア、ファフナーは何て言っているんです?
 何か私達に言いづらい事でも言われましたか?」

「いえ、その……余りにも衝撃的な事ばかりで、
 頭の中を整理する時間を少しください」

そうお兄様に断りを入れてから深呼吸をし、ついでに冷めてしまった紅茶で喉を潤します。私の中にお父様やお兄様に嘘をつくという選択肢はありません。ただファフナーの言葉を誤解なく伝える為には言葉を選ぶ必要があり、それが逡巡しているように見えてしまうのでしょう。

「実は……」

先程ファフナーが言っていた事を、出来るだけ誤解が生じないように言葉を選んでお父様とお兄様に伝えます。その途端にお父様は頭痛を堪えるような表情になってしまいますし、お兄様は遠い目をされてしまいました。

「ファフナー、お前が瘴気の大元なのか?
 はいなら1回、いいえなら2回鳴いてくれ」

「ナゥ(そうだ)」

「1回かぁ……。そうか、瘴気の大元なのかぁ……」

この「はいなら1回、いいえなら2回」は、ファフナーが私以外の家族や使用人と意思を疎通する為に作られたルールです。そんなファフナーの1回鳴きに、お兄様は更に遠くを見るような表情になってしまいました。

「ナナーー、ナゥナー(正確には樹海の瘴気の大元だな)」

そのファフナーの言葉を再びお父様たちに伝えます。
お父様は最近、ファフナーの言葉を翻訳できる魔道具の開発をしているそうなのですが、できるだけ早く完成させてほしいです。ファフナーの言葉を齟齬や誤解が生じないように伝えるのは、思いのほか疲れます。

「ファフナー、もしかしてお前は……いや、まさかな……」

お父様が何やら首を横に振って、自分の考えを否定しています。なんだか顔色が悪く、体調が悪くなったのかと心配になった私でしたが、私が声をかけるよりも先に意を決したお父様が再び口を開きました。

「ファフナー、お前はもしや樹海の魔王なのか?」

「ナゥ(そうだ)」

魔王……、それは人間よりも先に世界に存在していたと言われる太古の存在……。
そんなお父様の質問にファフナーは再び1回だけ鳴いたのでした。
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